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ヘタレの異世界無双   作者: garaha
一章 行き倒れた男
122/709

118話 戦いは終わらない(トリップ者+アル)

「だからチート選択間違えたっていってんだろが。え、そりゃ無敵の力をくれっていっても通らないのはわかっているよ。選んでみるリストにさあ、あるだろ。才能の底上げみたいなスキルとかゲットして異世界で無双出来る。そう思ってたんだよ。だから、こんな事を書くのもなんだけど。迷宮(ダンジョン)に潜るなら、罠探知は必須だかんな。あと、平地型(フィールド)でも有効な索敵なんてのもいるわ。魔法は、水系がいい。飲み水がないとすぐ死ぬぞ。餓死もだが水が足りなくて動けなくなるなんてのは悲惨だ。ってここまで読んだお前。この文字が読めるって事は・・・・・・日本人だろ。だから何度も言ってるけど、これは現実だ。デスゲームっぽいゲームじゃねえ。常に安全マージンを取って行動し・・・・・・」

 

 そこまで読んだカズキは手帳を閉じる。 

 カズキ達は向かった冒険者ギルドで逮捕された。他の装備は、全て奪われたのだ。

 この国がやばい方向に向いているのはカズキも薄々感じていたが、何もしなかった。


 今いるのは、冒険者ギルドの牢屋である。

 薄汚れたギルドのそこは、同じように捕まった冒険者で溢れていた。

 カズキとしては、関わらなければ無視される物だと考えていたがそうはいかなかった。

 

 出向いた所で、多数の兵士に囲まれればなす術がない。

 装備を奪われ、自らの奴隷や仲間と引き剥がされた。

 カズキにとって最悪なのは、このまま処刑されてしまう事だ。


 逃げようにも魔力を封じる鋼鉄の檻は、人間の力でどうなるものでもない。

 囚人は、彼だけではなかったが。

 皆一様に表情は、暗かった。 


 この国の冒険者ギルドは、ミッドガルドのようには運営されていない。

 国の影響もなく、中立を胸とする謳い文句で勢力を伸ばしていた。

 だが、それが裏目にでる。

 国が圧力をかけてきた際には、どうにかなる物ではないのだ。


 空を駆け、千の敵を蹂躙するような兵はいない。

 大抵押し包まれば、そこで詰みである。昨夜のような敵は、見た事がなかったのだ。

 情報を纏めるカズキは、一つの結論を得た。


 この際ミッドガルドに亡命するしかないと。

 だが、それにはポチタマやミレーヌを置いてはいけない。

 だからカズキは大人しくしているが、事態は思惑とは裏腹の展開を見せた。


 てっきり金で動けと、脅して来ると予想していたのである。

 冒険者ギルド前に、反乱軍の兵士によって連れ出されたカズキが目撃したのは、殴られた跡のあるポチタマとミレーヌの姿だった。

 取り囲む兵士の中から、一際眼光の鋭い男が前に出てくる。

 それが、ドルカスと呼ばれる男だという事は知っていた。

 カズキと変わらない年齢にも関わらず筋骨隆々のドルカスが、


「よく聞け冒険者ども。お前等は、今日から新生ハイデルベル軍の兵士である。お前達は、大公様の為に存分に働いてもらう事になった。光栄に思うがいい。なお、サボったり逃げ出したりするようであれば、仲間がどうなるか。身の安全は保障できんぞ? 以上だ」


 黒く塗られた金属の鎧を着た男の宣言が、一方的に終わる。

 戦いに参加せず捕まった冒険者たちは、一様に首輪をつけられた。

 無論、有形無形の首輪を両方である。

 自爆するように拵えられたそれは、魔術による信号を受けて様々な効果を発揮すると説明された。

 カズキとしては、自身と二人が生きていれば望みはある。


 最悪なのは、二人が死んでしまう事だ。

 尚も戦争への参加を拒んだ人間がいたが、目を覆うしかない光景が産まれた。

 男であれば人質になる女の仲間がどうなるのかは、火を見るより明らかなのに想像できないのだ。

 まさか、そんな。という言葉を吐く時点で自らの認識が甘い。


 従順に従う振りをしながら、必ずや二人を助け出してみせると誓いを立てる。

 カズキが心配するのは、二人が美人で有る事だ。

 カズキを捨てて他に走る事は、あり得る。

 

 無論二人に信頼を寄せているカズキだが、それでも状況の変化は人の心を変えるにたやすい。

 絶望の声を上げる冒険者から視線を背けた。

 人の身体とは、快楽に屈しやすいのだ。女が嬌声を上げるのも仕方がないのである。

 

 よく考えて、男は行動するべきであった。


(馬鹿だろお前。そうならないように行動するべきなんだぜ。何でもかんでも反発すりゃいいってもんじゃねえんだよ。ここは我慢して、機を伺うべきだろうが。糞がっ。クソクソクソクソクソォ。何で俺はむかついてんだ。間抜けが、墓穴を掘っただけじゃねえかっ)


 知らずカズキは、歯ぎしりを立てていた。

 何もしなかったツケが回ってきた事に、少年は後悔を抱く。








 トイレから転移したユウタとアルトリウス。

 少女は、涼しげな表情でユウタに告げた。


「ここは、邸宅か?」

「はい。一旦戻ってドス子の様子を確認しませんと」

「ふむ。あえて言わなくともわかっていると思うが、講義は重要な法律について解説していたりする。記憶がないならば、そこは把握しておけよ。特に、商法関連だ。マルチ商法等は押さえてあるが、未だに抜け道を使った悪事は絶えん」

「わかりました」

 

 ユウタは、授業をあっさり抜け出した。けれども、彼は良くわかっていないのである。

 授業には、迷宮探索のパーティーを組む。

 そういう物がある事を。

 高等部一年に転入した訳だが、既にパーティーは粗方決まっていた。

 何せ途中転入。早くもボッチをまっしぐらである。

 ユウタは、一人で潜らねばならない。


 当然ながらアルトリウスは、その点も指摘する。

 配下の騎士達には、決して見せない微笑みを見せ、


「今日はいいのだが、明日はちゃんと授業を受けるのだぞ。くどくど言う気もないがな」

「はい」


 くすりと笑うアルトリウス。

 少女は、門扉をあけながらユウタの隣に寄り添う。


「最初に出会った時のユウタは、最高に恰好良かったのだがな」

「そうなのですか」

「うむ。モンスターに囲まれて、やられる覚悟を決めた瞬間に割って入って来てくれたのだ。しかし・・・・・・」


 不味い物を食べたかのようにアルトリウスはしかめる。

 痛い思い出に、ユウタは聞き返す。


「しかし?」

「お前は、ハイゴブリンの群れを倒した後で俺を見るなり殴りやがった」

「まさか、そんな事する筈が」

「そのまさかだ。そのまま、俺の装備を剥ぎ取り服まで持って行こうとした」


 昔を思い出す少女の瞳は、怒りの感情で満ちていた。

 少女は、ユウタの顔を手を添えると頬を横に引っ張る。 


「むぅにゅ・・・・・・」


 引っ張った手を放す。

 皮膚は、痛みを感じる寸前で止められた。

 アルトリウスは、自らの顔を指さしながら、


「男だと思ったのだろうな。下着まで剥ぎ取ってから、あいつはボロボロの服を返して寄越した」

「げ、外道ですね」

「ああ、全くもって最高に最低な奴だった。しかし、そこから俺とパーティーを組むことになったのだ」


 情報が少な過ぎて判断が出来ないユウタにとって、不可解な話である。

 当然、疑問の声が出た。


「どうしてですか?」

「パンツまで剥ぎ取ったからな。つけ回したのだ。わかるだろ」

「何てことするんだ俺」


 アルトリウスを殴り倒していた事実を知って、頭を抱えるユウタの肩に手を置く。

 そして、ウィンクをしながら、


「というのは冗談だ。斬りかかる俺を殴り倒しては、起こす。しつこく付きまとう内に無視されるようになった。俺としては、冷酷非情なユウタが、いやユーウがヘタレ化していったのが謎だ。最初会った頃の殺伐さがどんどん薄れて、もう殺したくない。等と最近じゃあ言っていたしな」

「何だか自分とは、とても思えませんよ」

「そうだな。何というか、剣の腕より魔術の腕を伸ばすようになってああなったような気もする。あいつの事がひっか・・・・・・なんでもない」

「はあ」


 ユウタは視線を外すと、縁側となっている石に腰かけた。

 扉には、鍵がかかっていない。中に入って話すか迷っているのだ。

 ユウタの隣に腰かけたアルトリウスは、話を止めないでいた。

 少女は、黒い瞳を真摯に見つめながら、


「俺とユウタの関係は、切れぬ関係だからな」

「切れない?」

「ああ。少し話すか」


 アルトリウスは、語る。

 かつて、己に仕えた無双の騎士の話を。

 かの騎士は、武器に困らずいずれを取っても無双。

 魔術に置いても、魔術師をも凌ぐ腕前。

 余人に並ぶ者の無い功績を誇り、情に厚く、人柄、容貌共に優れたる豪の者。

 

 騎士の仕える王は、いつしか彼女を愛するようになった。

 しかし、彼女は決して王の言に従おうとはしない。

 王は、騎士に試練を与える。

 

 十二に渡る試練を見事に乗り越え、騎士は胸を張る。

 王は、騎士に愛を囁く。


「我が妃となるならば、何でも望みの物を与えよう。山と積まれた財宝が欲しければ、いくらでも集めてみせようぞ。乙女よ、返答は如何に」

「ああ、王よ。私は何も望まない。只ひたすら、貴方の騎士である。それだけです」

「乙女よ。何故だ? 何故我の愛を受け入れない」


 騎士は黙って膝をついたままである。

 他の騎士たちからは、罵詈雑言は飛ばない。

 何せ、筆頭騎士は人望に置いても王以上であった。


 一昼夜に渡る王の言葉に、騎士はただ一言、


「陛下は王で、私めは騎士なのです」


 その言葉を貰った王は、それきり騎士に愛を囁く事を止めた。

 王は機械のように働き、騎士もまたそれに応える。

 辺境の小国であった国は、何時しか大ログレスと呼ばれるようになり。


 王都キャメロットは、千年の繁栄を迎える事になる。

 王は、死ぬまで独り身であった。

 騎士もまた言い寄る男を寄せ付けない。


 騎士の武勲は数知れず、討った敵の数は万を超える。

 生かした味方の数は、その十倍にも登り。

 騎士は、十二の会戦を勝利に導いて生ける伝説をなった。


 大きく広がる版図を前に、騎士は強敵との戦いに明け暮れる。

 王は、民を愛し騎士を愛した。善政を敷き、人々の笑顔が絶えない国を作る。

 が、騎士が疲労し、倒れる事までは予想出来なかった。


 騎士が相対したのは、隣国シュバルツシルトのロキ。

 ウートガルドより現れた男であり、アースガルズ陣営でも最強を謳われる神族であった。

 戦場となった大地が原型を留めない程の戦いを経て、帰還した少女は王の元で看取られる。


「ああ、騎士よ。どうして逃げ出さなかったのだ。相打つなど、どうしてなのだ」

「王の騎士ですから」

「ああ。愛しき人よ。どうして貴方が」

「王よ、それ以上はいけない。最後にこの力を貴方に」


 にっこりと微笑みながら少女は、息を引き取る。

 力を受け取った王は、王にして無双の騎士となった。

 十二の試練を乗り越えた祝福と自身の力を授かったのだ。

 そんな力など欲しくないのに。

 騎士の細身を抱く王の両手は、騎士の血で真っ赤である。

 

 相打つロキの攻撃は、騎士に解けぬ呪いを与えた。

 それは、黒薔薇の槍シュヴァルツェアローゼ

 死を成す神槍であり、身体の生命活動を許さない。

 騎士は、神々トゥアハ・デ・ダナーンの祝福を受けていた。

 故に、王の元へと辿りつけたのだ。襲い来る死の衝撃に耐えながら。

 不死と謳われた回復力がそれを可能にして、最後は細胞の限界から息絶える。


 王の悲しみは、王宮をどんよりとしたものに変えた。

 何日も食事を取らない王に、同僚の騎士が喝破する。

 中年の騎士は口元の髭を摩りながら、


「王よ、貴方は暗愚な王として終えるのか」

「・・・・・・」

「もしも、今の貴方を彼女が見たらどう思うでしょうか」


 騎士の亡骸を背に王は、目を剥いた。

 王と騎士は、誓ったのだ。幼い日に交わした約束がある。

 平和で、穏やかな国を作ると。

 

 決して、国民を飢えさせたり惨めな様で死なせたりはしない。

 そう決意して、少年は王となったのだ。 

 一切れのパンを奪い合い、弱い者を虐げる時代を終わらせる為に。

 王は、震える足と真っ赤に染まった目を臣下に向ける。


「心配をかけたな」

「御無礼を」


 以来、王は執務に励み、千年王国の基礎を打ち立てる。

 宿敵アースガルズを退け、大ログレスの国力は不動の物となっていく。

 王は、後継者を定めつつも終生において妃をとらなかった。


 王の国は栄え、国王は称えられた。

 最強の騎士と、円卓を持つ王と。

 その武力は、神々にも匹敵し、その知恵と人格は最優であると謳われる。


 しかし、王は国の隆盛を目にしてこの世を去った。

 治世は二十年にも満たないながら、その間で千年の基礎を完成させたと後世の歴史家は言う。

 王は、未来において復活を約束された人。


 その王の名は、と少女は語り舌を止めた。

 もしも、もしもあの時。あの日に戻れたならと。

 騎士を失ってから、王の人生は後悔しかない。

 どんなに人々の笑いさざめく安らかな一時よりも。

 なお燦然と輝くのは、少女と過ごしたのどかな時間だ。


 それ以降の物は義務でしかない。


 だから、少女は口にする。


「ユウタは、覚えているか?」

「何をですか」

「うん。いやいいんだ。天気は、良いし。このままずっとこうしているか」

「いえ、そういう訳にもいきません」


 これである。一万年経っても、輪廻転生を繰り返す少女は常に不幸だ。

 ユウタと出会うのは、必然であり呪いのような物である。

 何しろ、アルトリウスには記憶があった。

 幾たびの邂逅を経ても、彼彼女らは決してアルトリウスになびかない。

 

 終生に渡って、愛を受け入れないのだ。

 アルトリウスにとっては、最早悲願ですらあった。

 しかし、彼女がユウタに勝つ事は出来ない。

 アルーシュにしてもそうである。


 では、何故今回の事が実を結んだのか。

 アルル。彼女と事は関係しているのだが。

 ユウタにしてみれば、不幸ないや幸運といってもいい。

 

 彼女の目覚めが遅かったが故に、アルトリウスとアルーシュは手を結ぶ事にした。

 本来、二人は宿敵同士。どう転んでも手を取り合う等ありえない。

 だが、ユウタがアルーシュとの関係を結ばせた。

 このまま争いを続けては、全く関係が進まないと。


 どうしても手に入れたいのだ。その笑顔を。

 だから、一歩を踏み出す。

 その為の肉体関係なのである。便所に連れ込んでヤル気であったが。

 アルトリウスは、ユウタの悲しげな瞳を見て気勢を削がれた。


 それで、このような昔話でもしているのだ。

 けれども、ユウタは話を半分も理解しているのか。

 ぼんやりとした目線は、アルトリウスの太腿に行っている。

 

「こーらっ」

「あっすいません」


 苦笑するアルトリウスは、ペコペコするユウタに後ろから抱き着く。

 確かな輪郭を抱きしめ、ユウタの匂いを嗅ぐ。

 ああ、これこそ俺の求めた物だ。と叫びを喉まで出して、嚥下する。

 ユウタは、近すぎる距離に戸惑い。

 アルトリウスは誰にもかけない優しい口調で、


「このまま運んでくれ。気分が悪い」

「はあ、そうですか」


 アルトリウスの気分はいい。果たしてそう見えないように振る舞う少女。

 過日の騎士は、軽かった。果たして、自分はどうであろうか。

 アルトリウスは自問を投げかけようして止めた。

 折角のくつろいだ時間なのだ。

 全く持って、それを壊すような言葉はいらない。


 ユウタが扉を開けるタイミングを見計らい、アルトリウスは手を伸ばして開ける。

 胸を押し付ける恰好が自然に取れるのだ。

 普通の男子ならば、ここで押し倒してもおかしくはない。


 扉を開ければ、そこには恨めしい顔をしていた赤い髪の女がいた。

 恨めしいのは、アルトリウスの方だ。

 事に及ぶかどうか是非もない。

 ユウタは鷹揚に、


「待たせたな。ドス子、ティアンナは?」

「主ー大人しくしていた。我に食事はないのか」

「お前は、人の質問に答えろ。応えてもないがなっ」


 ドス子はしぶしぶといった様子で奥へと案内する。

 アルトリウスには、警戒を怠らない。

 何しろユウタは、何時狙われてもおかしくないのだ。

 ユウタとの事が発覚すれば、過去生にて他の因縁がある連中が気が付いても不思議ではない。


 ユウタは、異世界に渡っては勇者として魔王を倒す。

 そうして、爺まで独身で在ったりする事は珍しい。

 というよりも、極めて稀なタイプである。

 そうして、その渡った世界で何人もの関係のある者を産み出す。

 

 ユーウと融合させたユウタは、当然ながら異世界で様々な人間に関わる。

 当人は、戻る度に記憶を失う。ついに死ぬまで独身であった。

 アルトリウスもやはりと、決意するに至る。


 この男は、ユウタは、一万年近く経っても鉄壁の童貞。

 女ならば、鋼鉄の処女。アルトリウスがどれだけ言い寄っても初恋の相手を忘れない。

 これが運命かと嘆く事もあった。

 けれども、ここに来て悲願の始まりを踏み出す。


 記憶を奪ってリセットしたのだ。アーティの事が手遅れになる前だったのは、幸運である。

 

 今までの転生では、ユウタが女であれば関係は難しかった。

 アルトリウス自身が、強姦は己の正義において良しとしない。

 様々な手段で、ユウタの気を引こうとしていくがこれも上手くいかなかった。


 そうこうしている内に、あのロキの転生体であるアルーシュが加わって来る。

 かつては邪神。今は、戦乙女としてヴァルキュリアの一員であった。

 彼女とアルトリウス自身、そしてアルルを加えたアースガルズ陣営は大きく勢力を伸ばし。

 

 今やかつてのアルトリウスとアルルの国を飲み込んだ。

 あの女を含む姉妹は、ユウタにとって天敵とも言える存在。

 力を封印された身では、決して勝てない。

 

 今回の件に関して言えば、アルトリウスとアルーシュは共犯者だ。

 知らないと言いながら、ユウタを罠に掛けている。

 そうでもしなければ、ユウタとの関係が進まない。

 

 全ては、ユウタを幸せにする為だ。その為に、ここにいる。

 昔日のユウタに庇われ、ついには彼を殺してしまう羽目になった自身ではない。

 アルトリウスは、ぐっと奥歯を噛みしめた。

 それが最初だ。そして、今日まで続く涙が止まらない蜥蜴の後悔でもある。


 知らずアルトリウスの手は、白くなるほど握り締められていた。


 通路を抜けると、アルトリウスの身体は食堂のソファーに降ろされた。

 その対面には、ティアンナという裏切り者が二人の女と共に座っていた。 

 風妖精と人族が二人。

 頭が高いと一喝しそうになり、アルトリウスは改める。


「この者達はどうするのだ」

「はあ、とりあえずは様子見ですね。ドス子を連れて、冒険者ギルドに寄って黒き森を探索する予定です。ティアンナには奴隷になった子達の面倒を見て貰おうかと」

「それもいいが、いっそ全員連れていく方がいいだろう。森の中には、案外強敵がまだまだ残っているかもしれんぞ?」

 

 にやりと口の端を上げるアルトリウス。

 虚空より取り出した鎧と具足を装備していく。

 神力で鎧を編む事も出来る彼女だが、愛用するのは太陽神(イルダーナ)からユウタが授かった黄金の鎧だ。腰に下げるのは、いつもの王剣カリバーンである。

 

 三人が付ける鎧は、微妙に形状が違うのだ。けれども、神術で変身する為それがわからない。

 ちなみに、アルルが装備する鎧は太陽王の印である。

 そして、ユウタとアルルを結ぶ因縁深い一品だ。 


 頷くユウタは、装備を交換すると出発した。

 アルトリウスとしては、デザートの一つでも頼んでユウタと楽しみたかったのであるが。

 そういう気の利いた所を期待出来ない男だ。

 出された物は、冷えた水くらいである。今のユウタには料理を期待するのは無理であった。


 目的地は、アーバインのギルドである。





 アルトリウスがユウタの転移門を抜ける。

 空には、雨でも降り出しそうな雲がうず巻いていた。

 古風な建造物は、ゴシック風で立派な建物をしている。


 築百年は過ぎたであろう建造物ではあるが、戦火に晒されてはいない。

 扉を開けて入るユウタと一行。ローブを着た女三人と首輪を嵌められたまさに奴隷が一人。

 さらにユウタの隣を歩く二m級の美女と一匹。

 先頭を歩くユウタは、絡まれていた。


 冒険者の男達が五人。

 ユウタの前を遮るように立っている。


「てめーっ。また別の女か。いい度胸しているな」

「はあ。それで何の用ですか」

「気に食わねーんだよ。その面がよお。ちっとその女共貨してくれや」


 赤い女がすぐに動いた。

 人相の悪く浅黒い男の顔を掴むと持ち上げる。

 

「なー主。食っていいかー」

「駄目だぞ駄目」


 ユウタは、ドス子の腕を下ろそうとする。だが、女の腕はびくともしない。

 大樹の枝にぶら下がるような恰好である。

 男の仲間が怒号を発し、


「てめぇっ」


 と叫ぶ。

 赤い女を宥めようとする少年。男の周りに居た仲間たちが得物を抜く。

 ギルド内は、騒然とした雰囲気に包まれる。

 そこへ割って入るアルトリウスが最後尾から歩を進め、


「お前達。誰の前で騒いでいるのだ?」

「アル様。ただお話をしていただけですよ」

「黙れユウタ。おい、下郎共。道を開けろ」


 歩くアルトリウスを遮ろうとする男たちは、少年の勢いに飲まれ壁に寄った。

 全員が青い顔をしている。

 アルトリウスの瞳には、冷たい殺意が満ちていた。

 

 一人だけ破れかぶれになって、襲い掛かる。

 だが、アルトリウスの蹴りが電光の如く腹部を貫く。

 悶絶して倒れる男。名も知らない男たちは、駆けつけたギルド職員によって取り押さえられる。

 若い女の職員は、涙目になりながら、


「あのアル殿下。ご無事でございましたか」

「うむ。あの程度何ともない」

「あの者たちの処置は如何しましょう」

「監獄に収容しろ。処分は、こちらで追って沙汰を出す」

「わかりましたっ」


 怒れる少年姿に、若い職員は脱兎の如く駈け出す。

 黄金の鎧を着て悪目立ちをする人間などこの国では、王族くらいの物だ。

 普通に、黄金を着ている人間などそう居るものではなかった。 


 力を持つアルトリウスがその気になれば、単独でこの室内にいる生物を殺し尽くす事など訳がない。

 ユウタとその手下を除いてだが。

 そのユウタは、カウンターで受け付け待ちをしている。

 

 逞しさを増した腰と増えた上背。

 抱き着きたい衝動を抑えるのに、組んだ腕を指で叩いた。

 足を抓るなど、雑種のする事である。

 

 アルトリウスは、空いたテーブル席に腰を掛けると周囲を観察した。

 こちらを遠巻きに見る人間が多い。

 この国は、獣人の数が少ない事もあって多くは人だ。


 国の西部に、大部分の獣人が纏まって暮らす自治州がある。

 旧アルカディア王国の方には、大きな州もある。

 ユウタは、知らないが国策として人間優遇であった。

 

 何せ、何から何まで人は獣人や妖精に比べ劣る。

 力でも、知恵でもだ。唯一優る物があるとすれば、悪知恵位のものであった。

 この国には、耕作地である筈の平地にすらモンスターが溢れていた。

 それを討つ事で、十四年の間に大きくミッドガルドは繁栄を迎えている。


 一つは耕作地の拡大である。

 これもユウタがやってきた事の一つであった。

 僅か二年でモンスターの悉くを討ち取り、ダンジョンにモンスターを押し込めた。

 今でこそルーンミッドガルド等と名乗っているが、かつてのミッドガルドは荒れていたのだ。

 

 耕作地は少なく、冒険者ギルドでの争い等日常茶飯事であった。

 こうしてアルトリウスが座っていれば、人攫いにあう。

 その位すさんでいた。

 

「お待たせしました」

「うん。それで、依頼を受けたか? 何か情報は仕入れられたか」

「はい。ゴブリン退治と増えてきているモンスターの駆除です」


 そこまで聞いて、アルトリウスは助け舟を出す事にした。


「ユウタは知っているか。レアなモンスターだと、死体の部位を提出すれば事後であっても討伐が認められるという事をだ。例えば、ゴブリンキングの死体とかな。昔は耳を切り取る等だったんだが、今や収納箱が流通しているからな」

「あっ」


 ユウタはギルドカウンターに戻る。

 その脇には、買い取り専用の受付があるのだ。

 そこにユウタは案内された。


 ゴブリンやらオークの死体をどこからか取り出している。

 アルトリウスには、すぐに判別がついた。

 黒い穴である。そこから取り出したそれを切り取り、カウンターに乗せていく。


 受付嬢は顔を痙攣させていた。無理もない話だ。

 普通は、切り取った物を収納しておくのである。

 何せイベントリは、そう物が入る訳ではない。それを扱う魔術師の魔力量に依って変わる。

 

 商人系が大量の物資を持ち運び出来るかと言えばNOであった。

 故に、魔術師が物資の搬送役を担う。

 魔術師は、このミッドガルドで補給担当でもある。

 これを仕留めたならばたちどころに軍すら止められるのだ。

 

 軍事的に見れば、ここに腕利きの魔術師を三人も揃えているパーティー等は少ない。

 一軍を率いる将ならば、まず魔術師を確保しなければならないのだ。

 ただ、これも最近の話である。

 ユーウの空間魔術がミッドガルドに浸透した結果、軍事の概念が破壊された。


 ホクホク顔をしたユウタの顔は緩んでいる。

 勿論、それを見たアルトリウスは暖かさを表に出す事はない。

 駆け寄って来る少年の顔を舐め回しながら、


「どうだったか」

「はい。ありがとうございます。おかげ様で懐が温まりました」


 満面の笑みに、少女は押し倒しそうな雰囲気になる。

 周囲の目がなく、アルーシュとの協定がなければ休憩を要求した事だろう。 

 

「そうか。それでは森へといくか」

「はい。ですが、森へ行く前にペダ村によりたいのですが」

「構わん。俺としてもロシナから聞いているだけだしな。現地を確認するのは悪くない」


 ユウタが転送門を開く。

 基本的に、転送器無しでゲートの魔術を使用する事には大量の魔力を消費する。

 それも距離に応じて増大する為、単独で転移門を開く人間は少ない。

 アルトリウスがユーウと出会った頃には、転送器すら存在しなかった。


 ミッドガルドのちぐはぐな文明進化は全てユウタがもたらした物である。

 機械については、ある程度進化していたが。

 良くいえば、中世程度という物だ。

 これはユウタの居た世界を物差しにしてではある。

 

 光の門を抜けた先は、牧歌的な村の光景が見て取れた。

 立ち並ぶ家は、原始的な物である。町にあるような白塗りの壁などはない。

 土で外壁を覆っている物が多く。石造りの物は殆ど無い。


 このペダ村は、元々ユーウが耕作地を広げるために作った物だ。

 元々あった周辺の村は、モンスターの襲撃で崩壊し近郊の村人達を合わせて作った。

 このミッドガルドの村人はキューブの影響もあって強い。


 周辺の小国であるハイデルベル国の兵や冒険者と比べれば、数人が束になっても勝てる位だ。

 その村人をして、全滅に追い込む黒き小鬼はただの小鬼とは違う。

 周辺国の冒険者がハイゴブリンと呼ぶそれを遜色がない。


 ルナたちが苦戦するのも理解できる。

 本来ゴブリンとは、知能がない物だ。本能だけで戦うから、駆除できる。

 それが、纏まりを得て集団で森から出てくるなど想像の外だ。


 ましてや、人間の思考を読み動きを逆手に取って来るなどと。

 アルトリウスは、一人の少女に目を取られる。

 水色の髪をした少女だ。背丈は大分低く、三歳の頃のアルトリウスと同じ体躯であった。

 その子供が腰かけ椅子に座るアルトリウスに近寄って来ると、


「お姉ちゃん。お腹すいてない?」

「ん。いただこう」


 小さな手から受け取ったパンは、ふんわりした物だ。

 王都でユーウが流行らせたパンと同じである。

 やる事は、そっくりだった。


 にこやかにほほ笑む少女。悪くない味であった。蜂蜜が薄くまぶしてある。

 だが、それよりもアルトリウスは自身の術を見破られた事に衝撃を受けていた。

 正確にアルトリウスを見抜いているようである。


「美味しかった。このパンの代金はいくらなのかな」

「いらないよ。お姉さんが不機嫌そうにしていたから、何かあったのかって思ったの」


 問うアルトリウスに抱きしめたくなるような笑顔を浮かべる少女。

 不意を突かれるアルトリウスは、ユウタに似た感覚を得た。

 少女とユウタには、何か関係があると。

 アルトリウスは、かじったパンを嚥下し、


「そうか。それはすまなかった。何、待ち人が来ないものでね」

「そうなの。早く帰って来るといいねっ」


 少女は、また何処かに行ってしまう。

 アルトリウスと他の手下も置いてきぼりという待機であった。

 意外にも村には、人が多い。獣人からドワーフまでいる。

 元の人口は二百五十弱。今やその倍近いと把握できた。

 

 待っている間にロシナは現れなかったが、配下の騎士から報告は受ける。

 周辺に隠れ潜む傭兵団の駆除に成功したという事。

 今後、傭兵団の移動には制限をかけるという事。

 捕えた傭兵を使って、根っこの駆除に取り掛かったという事。

 村の周囲は、戦闘と火災で農作物が大損害を被っている。


 この国で、貴族に逆らう気力のある人間は少ない。

 貴族とは、この国に功があった者の子孫だ。

 そして、かつて英雄や勇者となった人間ならばヴァルハラにいく。


 そこは永劫の牢獄であり、戦士システムがある。

 永遠にミッドガルドを守護する兵士となるのだ。

 そうした者達の子孫は、中々取り潰しが効かない。


 ギニアスのような伯爵ともなれば、それなりの先祖を持つ。

 全ては、アルーシュ次第なのだが。


 この国の爵位は公爵、侯爵、伯爵、男爵、子爵と並んでいる。

 ここに騎士ならば、名誉騎士子爵。魔術士ならば名誉術士子爵となる。

 略式で騎士爵、術士爵などと呼ばれる事もあるが。

 

 正騎士となれば、そういった領地のない爵位持ちとなるのがこの国の慣わしだ。

 ロシナの部下を下がらせたアルトリウスは、頬杖をつく。

 ユーウの領地と違い、飲み物屋や売り子すらいない。

 アルトリウスとしては、冷えたエールで一杯したい所である。


 今頃は、アルーシュが書類と対面している時分だ。

 マリアベールが降嫁する為、仕事が全部アルという疑似人物に乗りかかっている。

 当然、そこを見越して二人は手を組んだ。

 仕事が多すぎて、いちゃいちゃ出来ない人生など糞のようだ。


 他の配下からすれば、権力を一手に集める為誰が王位につくかで揉めている。

 馬鹿馬鹿しさで、アルーシュの意見に同意しそうになった。

 彼女の意見は、過激で全く以っててらいがない。

 人など邪魔なだけ、適度に間引きするべし。


 そういう部分がアルーシュにはある。

 アルトリウスがいなければ、ユウタがいなければ、アルルがいなければ。

 彼女は、大戦争を巻き起こすに違いない。

 世界樹(ユグドラシル)システムと戦士(ヴァルハラ)システムを握るアルーシュは、傲岸かつ無慈悲だ。


 他にライバルがいなければ、誰も彼女を止められない。

 

 アルトリウスが、視線を道具屋にやる。

 扉が開き中からユウタと恰幅のいい親父が出てきた。


「また来てくださいよユウタ君」

「ええ、では」


 ユウタは、村の状況を把握する事に専念していたのだ。

 が、もっとユウタがアルトリウスに頼る展開を作るべきかどうか少女は迷っていた。

 自然な形で、ユウタがアルトリウスに依存するのが最善である。

 

 故に、デブがユウタに絡んでも放置し、助けをここぞという場所で出していく。

 さすれば、ユウタもまんざらではなくなる。

 というのが、マリアベールとの筋書きだ。

 

 予想外の出来事もある。だが、それを差し引いても事は順調だった。

 アーティと呼ばれる小娘を知らなければ。

 目下アルトリウスにとって最大の悩みとは、アーティを如何にユウタの視界から消すかである。


 前を行くユウタの姿を見つめながら、


「ユウタは、アーティの事が好きか」


 とは、言えない。

 言うとしたならば、アーティを何処かへとやってしまう決意を固めた時だ。

 殺しはしない。それで失敗した事が、何度もあった。

 それが遠因となって毎度殴られる出会いになるのは、仕方がない。


 恋敵を殺しても上手く行かないのが、童帝という奴なのだ。

 




 森へと足を運んだユウタ達の一行。

 以前とは違い、明るくはないが死の森といった空気が消えている。

 ペダ砦をスルーして森の中へと入って行く。

 

 森の中に踏み入れた途端、アルトリウスは敵の気配を感知する。

 アルルと違い少女には、森の中を走査するなど朝飯前だ。

 ユウタと迷宮に入っていた際に、最も求められたのがこの技術だった。


 高圧的に問答無用で、敵は何処かと尋ねられるのだ。

 そして、答えに窮すれば殴られる。

 空間系の魔術を得意とした少年は、六歳だというから驚いたものだ。


 出会った頃のユウタは、精悍な顔つきをした少年であった。

 黒い鎧に黒いマントを羽織るその姿は、死神を連想させる。

 出会う度に殴られるのは、理解できた。


 何せ、アルトリウスがユウタを殺した事は一度や二度ではない。


 前衛を務めるのは、アルトリウスにドス子と奴隷Aであった。

 狐耳の女は、それなりに出来る。ペダ村に接近するモンスターから処理していった。

 そこは二、三人のPTだった頃とは違う。


 何しろ、魔術師が三人。回復役が一人なのだ。

 ドゴスギガースは、半竜化を使えば鉄壁の前衛となる。

 皮膚は、鋼鉄よりも尚硬い竜皮となり刀剣は通らない。

 

 魔術的な物を付与したとしよう。

 竜もまた魔術で身を固めた場合、攻撃が一切通らなくなる。

 そして、ドス子は竜化を上手く使える前衛だ。


 そこにアルトリウスと奴隷Aが囮となりモンスターをおびき寄せる。

 おびき寄せたモンスターをドス子が確保すると、魔術で一網打尽とするのだ。

 熊系や狼系など獣種から昆虫種まで多彩なモンスターが湧き出る。

 

 ゴブリンやオークは強敵ではあるが、幸いにして鬼人のような物は出ない。

 かつて、ユウタが設置しようとしていた伐採用の小屋予定地まで辿りつく。

 道中、何度もユウタが木材を集めたり、死体をかき集めるのに時間を食う。


 予定地にいたのは、黒いゴブリンであった。

 アルトリウスは、手下を持たないそれを見て好機と悟る。


「(ゴブリンキングだ)」

「(大物ですね)」

「(俺は左。ドス子は右だ。奴隷Aは後ろから回れ)」

「(妾は雪城じゃ。王女様よ、奴隷Aと呼ぶのは止めてたもれ)」


 アルトリウスは、返事をせずに駈け出す。

 不意を突く筈の攻撃は、空振りに終わった。

 距離があったのと、ユウタ達一行の姿を見て退却を選択する知性があったのだ。

 

 アルトリウスと雪城の追跡を振り切るを黒ゴブリンは、手強い。

 下手な追跡ではない為距離を離される。二m弱はある巨体のくせにだ。

 罠を警戒しての追跡行は、難しかった。アルトリウスの攻撃で満身創痍になりながらも、逃げきった。

 背後から振るわれる裂空の斬撃を黒い霧で防ぎながらである。

 敵ながら、見事な遁走ぶりであった。


 大技を繰り出して、空振りは情けない。

 何より、ユウタが見ていなくては意味がなかった。


 手下が居れば、応戦したかと推察するアルトリウスは唇を噛みしめた。

 せっかくユウタに自身の剣技を披露する一幕であったのに。

 逃げられては、それまでだ。

 逃げたゴブリンは、黒き森に巣食うゴブリン十二氏族だと判断できる。

 身に着けた鎧と華美を廃した装飾がそれを物語っていのだ。

 

 追跡から戻りユウタが、黄色い蜥蜴と戯れているのに癒された顔をする。

 自らも戯れたいのだが、そこは我慢であった。

 アルトリウスが如何に無敵を誇ったとしても、不意を突かれれば苦戦はあり得る。

 ユウタの前では、絶対にその様な無様を晒す訳にはいかない。


 ドス子が戯れに参加すると、満更ではない表情するユウタがいる。

 自然、アルトリウスは自身の胸に視線が行く。

 昔から、男の奴は巨乳が大好きなのだ。

 大きくならない胸に不満を抱ていた少女は、鼻を鳴らす。


 その後、一行はゴブリンやオークを蹂躙しながら旧ゴブリン村まで辿り着いた。

 

終わりませんOrzどれだけ書いても終わりません。

段々と、字数が増えて皆さんついてこれるのか心配に。

二歳からスタートする生誕編とかいつ行けるんだろう('ω')

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