116話 交差する運命 (戦闘、少々エッチなお話があります。苦手な方注意です)
「はっ」
「むっ」
狐耳を生やした少女の手刀が、セリアに防御を要求した。
白い小袖に、防具をつけないスタイルの少女の動きは、素早いの一言だ。
辺りは血の海に沈む傭兵達が、虫の死骸のように転がる。
初手からカズキの奴隷は、突進して狼耳の少女の心臓を抉る一撃を狙う。
白い尻尾をたなびかせ、二人の世界を作るかの如き攻防。
互いの立ち位置は、円を描くように移動し、少女の手刀を受けるセリアの手甲が煙を上げた。
セリアと戦う少女の名は雪城。カズキの入手した奴隷である。
手甲で受けるセリアは余裕のない表情であった。
突き、払い、蹴り、受け。手刀と拳の差はあれ、素手による攻撃を捌くのは異常である。
二人のやり取りと見る周りの兵は、遠巻きになっていた。
放火が止まったというのもある。
遠巻きになるまでに巻き添えになった兵は、十を超えていた。
雪城の手刀が生み出す気功の刃は、易々と兵の肉体を破壊する。
対するセリアは、気功の膜でもってそれをそらす。
下がり続けるセリアの身体に手傷はない。
遠距離になれば、線の一撃が待っているのが。
それを易々と躱せば、巻き添えになるのは傭兵達であった。
「それが、狙いかよ。お主は厄介じゃっ」
「今頃気が付いたのか。馬鹿め」
二人が争えば、周囲の輪は広がる筈であった。
しかし、それを許さない枷がある。
自分達で立てた冊と天幕だ。それは、燃え盛る。
火の粉は死の煙と共に、傭兵達を蝕んでいく。
更に、天をつくような竜巻が傭兵達を絶望へと叩きこむ。
ティアンナが生み出しているのだ。それは、絶大な威力を発揮していた。
空高く巻き上げられれば、空を飛ぶ術の無い兵士はそれまでだ。
一つでなく、二つ、三つと増えていくそれに恐慌しない傭兵はいない。
雪城は、それを見ても怯む様子はない。セリアは、この少女に感心する。
閃光の如き雪城の小袖が舞い、気で形を造られた刃は、目に気を通さねば見えない。
当然、その気術を持たない傭兵達が巻き添えになって倒れる。
逃げるにしても、出口は敵の手によって土の壁が出来ている。
倒せないにしても、攻撃をするべきか周囲の傭兵達は、弓を手に指揮官に視線をやる。
黙って見ていれば、死が降りかかる。この場に留まっても死。
外周から迫る竜巻と火で逃げ場がない。
ならば、味方もろ共に纏めて撃ってしまえという雰囲気であった。
雪城は、その突き刺さるような視線を浴びても、気に留めない。
目の前の敵は、強敵であった。
腕は、柳。しなやかに、且つ狙い澄ました連携はセリアの正中線を崩す一撃を作らんとする。
並の兵であれば、一秒と持たない。
ここにいる人間ならば、百居ようが千居ようが同じ事。
それを目の前の騎士は、受け流し続ける。
しばし、足を止めた銀の鎧を着たセリアは雪城と打ち合った。
拳をやりとりするのも稀である。
セリアの前に立つ大抵の相手が、一撃で沈むのだ。
ミッドガルドのモンスターと他国の兵を比べた場合、格段の差がある。
それは、モンスターも兵士もだが。神々の加護を貰っている故。
アーバインの近郊にある黒き森は、入口こそ初心者向きではある。
だが、奥に行くにしたがってモンスターの手強さは跳ね上がっていく。
セリアの相手となっている雪城の強さは、中々の物だった。
雪城が前に出れば、セリアは下がる。
が、下がるようで騎士の身体は奴隷商人達がいる方へと進む。
このまま、目の前の女と打ち合いを演じていては時間を食い潰す。
騎士の決断は早かった。
下がる相手に追う雪城。
パキッという音と共に、彼女の爪が色を変える。
金毛九尾の一尾にして、白の爪。
傷を負えば、相手に死の呪いを与える。
しかし、そんな物がこの相手に効くなど雪城は想定していない。
一撃一撃は、当たる。それでも、相手の装甲を破れないのだ。
振袖の下から伸びる手刀は、緩急をつけてあった。
伸びた爪と横に避けられれば、必死だ。
縦に避ける内は、まだ殺れる。セリアが放つ攻撃を警戒して、踏み込みが浅い。
というのも仕方のない事だ。
なぜならば、セリアの震脚は大地に竜が通ったかのような足跡を作る。
その蹴りを受ければ、傭兵達同様に宙を舞う事は必定であった。
既に、事切れた傭兵達の屍が積み木を作っている。
セリアと雪城の攻防が、派手に増やした。
雪城が、有象無象と見下す相手であっても主の契約対象だ。
多少の配慮をする。が、彼らには逃げ場がない。
大砲よりも破壊力のある拳。
頭部に受けた相手は、頭が捥げる。
加えて、その拳から放たれるジャブは真空の膜を伴い男達の身体を貫く。
雪城を背に、セリアは奴隷商人達の方へと歩を進める。
「お主。まともに戦う気はないのじゃな」
「ああ。互いにカウンターを警戒していては、こちらが不利だ。手間は省くのが効率がいい」
「よく言う口じゃのお。ならば、これはどうじゃ。刃拳の一っ」
手が斜めに宙を引っ掻く。中空を走る衝撃波。
白い着物を着た少女の腕からそれが連続して放たれる。
セリアは、前方に向けて跳躍して躱す。
跳躍は、傭兵達の身体を踏み台にした。見えない刃と足刀が傭兵達の葬送曲。
二人の攻撃に巻き込まれる男達の悲鳴が戦場の合奏曲となる。
宙を舞うセリアの進む先は、指揮官の男であった。
弓による攻撃から雷系の魔術をよくする術者を集める指示を飛ばすが。
後手であった。
踏み殺しながら進むセリアは止まらない。
相手をしていた女の流派には、ある特徴がある。
幻夢流狐月拳は、妖狐達の間で伝承される拳技だ。
狐だけが習得できるという訳ではない。ただ、妖狐が得意とする幻術と相まって無敵となる。
セリアには、今の女と同等以上の存在を相手にした事があった。
スピードも技のキレも雪のように白い髪も似ているが。
実力は、桁が違う。
カウンターにこそ奥義を持つかの流派は、派手に見える攻撃が見せ技である。
飛び込んでくる相手をいなしながら決め技の手刀は、確実に絶命へと誘う。
まともに相手をする訳にはいかなかった。
ある女の面影を雪城に見ながら、セリアは派手は飾りのついた兜の傭兵を盾にと攻撃を防ぐ。
飛来する雪城の攻撃は、ものの見事に男を斜めへ割る。
男の上半身が、斜めに赤い筋を産み出しながら滑った。
雪城の一振りが、傭兵達の死体を産み出す。
何人も巻き込まれれば、傭兵達は皆及び腰になった。
「酷い奴だな。貴様」
「酷いのはどっちじゃ。敵を盾替わりに使うとはの」
セリアが、斬りかかって来る傭兵の首を掴むと勢い良く冊に向かって投げつける。
傭兵の身体が、陣地を覆っていた木の冊を破壊した。
独楽の如く回転し、木片と共に死体に変貌する。
ぶるりと身体を震わせ、傭兵達が顔を見合わせた。
指揮官は、死に団長は不在。そして、竜巻に炙られるような熱気と煙。
それらと死を招く騎士の姿に、我先に逃げ出さんと様子を伺う。
そこに、苛烈な闘気に満ちた少女の声が呼びかける。
「聞け、傭兵共。今なら、逃げるのを見逃そう。が、このまま抵抗するようならば一人として逃がさん。さあどうする」
「何じゃと。馬鹿な事を。傭兵がこれしきの事で・・・・・・!?」
折しも、竜巻が遠ざかったというのもあった。
雪城の周りにいた傭兵達が雪崩をうって逃げ出す。今しかない。
そもそも、金で雇われた身であった。不利を悟れば、命が大事である。
逃げ出す兵を止める筈の隊長は、死亡。
跳ねる。飛ぶ。蹴る。
それを繰り返し、築いた死屍山河。魔術を放つ用意をしていた術者もまた出口を目指す。
雷の魔術で攻撃した術者は、味方の兵を攻撃する羽目になる。
返す拳大の空気が、術者の頭を西瓜のように弾けさせた。
ボウガンや弓を装備した兵は、それを捨てて逃げ出す。
雷系が如何に速くとも、予備動作と呪文が見え見えである。
振るわれる杖とその方向さえ読んでいれば当たらない。
背後から迫る不可視の刃と合わせて攻撃出来れば、別だ。
が、そのような事が出来る様子ではなく。弓矢もまた鎧に阻まれて当たらない。
妨害も、セリアの速度を落とす事はなかった。
セリアは敵に囲まれながら、奴隷商人達の元へとたどり着く。
逃げずに留まった傭兵達もただ眺めてはいなかった。
決死の表情を見せ、セリアを落とさんとしたのだ。
連携を取り、固まって頭上を斬り払えば、飛び交う影は地上を駆け抜ける。
セリアが進む前に立った相手は、身体諸共に吹き飛び臓物を地面へとまき散らす。
味方を巻き込んだそれは甚大な被害をもたらし、士気を低下させる。
留まった兵も、やがて戦意を喪失させた。
「駄目だ。こんな化け物に勝てねーよ」
一人また一人と、奴隷商人を守る兵が去っていく。
竜巻と火災により、中心部にしかもはや兵は纏まっていない。
多少とも腕に自信のある兵がである。
けれど、所詮は雇われ兵であった。誰かが倒す事を期待していた風ですらある。
白い着物から大きく足を出してくる女。
後方より追いついた雪城が、決め技に訴える。
前後左右より幻を飛ばし、挟んで敵を討つ幻術を交えた奥義。
背後を取った彼女の手刀は両の手を合わせて、渾身の突進をした。
孤月拳 奥義 魔貫交殺。
迫り来る雪城の白い小袖は、確かに少女を貫く。
否、貫いたのは背中の外套だけであった。セリアが得意とする影身。
忍者の使う変わり身を影に気功でもって、体と成す技である。
雪城が放つ渾身の力を込めた細い両の手が、空を泳いだ。
その瞬間、雪城は敗北を予感する。
「わらわとした事がっ。ぬかったのじゃ 」
セリアは、絶妙なタイミングで雪城の必殺手を躱した。
その瞬間、
「貴様の負けだっ。飛べ、陽砲ッ」
強烈な膝蹴りが、雪城の腹部を持ち上げる。
さらに放たれた追撃の蹴りは、雪城の華奢な身体をくの字へと折り曲げ宙へと押し上げた。
そして、回転しながら上へ上へと上昇する。
北天狼神拳 空舞。
宙に浮いた少女は、セリアの拳打を空中で無数に浴びた。
上昇しながら殴られ、更には下降中に雪城が浴びる拳。それを常人では目で追う事ができない。
最後は、地面に落ちる寸前でセリアが真っ赤に染まった雪城を受け止める。
森に近く草が生い茂る地面も、雪城の血で覆われた。
僅かな時間で、顔面と言わず全身を強打された雪城が、立ち上がる事はない。
締めの一撃は手加減されていた。本来であれば、背をつかった体技で締める。
だが、虫の息であった。
足でセリアが少女を壊れ物を扱うように地面へと降ろす。
雪城の顔面は、二目と見られぬ悲惨な容貌へとなっている。
急速に膨れ上がった顔面が、丸々としたオークのそれだ。
既に抵抗出来ぬ身、それ以上の追撃で命を確実に奪う事はしない。
何しろ、セリアと競いあう事の出来る相手はそういないのである。
簡単に殺してしまっては、二度と戦う事が出来ない。
セリアは踵を顔の寸前で止める。そして、奴隷商人達の天幕を開けた。
「ひっ。ひぃ。か、金なら幾らでも払う。命だけは助けてくれっ。何ならこの奴隷共も持って行っていい」
「・・・・・・私の主人はお前達の死体を所望していたが、今降参するならば見逃してやってもよいという事だ。それと、今後この森で奴隷狩りをやろうものならばお前達の命はない。覚えておけ」
「はいっ。確かに覚えました。あっ、ありがとうございます。おっお前達。逃げるぞっ」
逃げる奴隷商人達。しかし、セリアに回り込まれてしまった。
すんすんと、匂いを嗅ぐ少女。
顔をしかめたセリアは告げる。
「主人は、見逃すという。しかし、お前達は嘘をついたな。嘲る匂いがここまで鼻につくのは久しぶりだ。禍根は断とう。ここで死ぬがいい」
「へっ。そのような事は」
ガシッと手を打ち鳴らし少女は、犬歯を輝かす。
慌てふためく商人達の身体は、崩れ落ちた。
ただの殺気であったが、商人達は白目を見ている。抵抗する者はいない。
次々に犠牲者は地に伏せ、悲鳴を上げながら逃亡しようとする者の頭を打ち抜く。
全体では、二千を超えた筈の奴隷商人側も今や百を切っていた。
ここに至っても尚残る人間は、奴隷かもしくは逃げ遅れた人間である。
大半の人間は、セリアによって倒されるか姿を見て逃げ出したのだった。
奴隷商人達を始末し終えた後で、雪城が未だ倒れたままな事に気が付く。
何かを思いついたように手を叩いた。
少女を担ぐとセリアは、ユウタの元へと帰還する。
◆◆◆
セリアを単騎で突入させたユウタ達は、傭兵達の陣地を順調に火で埋め尽くしていく。
そのままであれば、火と煙で死ぬ者は半数を占めたであろう。
勢いよく燃え盛る炎を消し止めようとする者が多い。
そこに、ユウタ達の攻撃がさく裂する。
麦を刈るように、敵の傭兵を始末していく。
そこには、ティアンナの力が大きかった。
火を風の魔術で強化してやれば、燃え盛る炎と煙に撒きこまれる。
傭兵は戦うどころではない。
止めとばかりに放たれる魔術。竜巻を使った攻撃は、派手であった。
本来であれば、敵に接近して長々と詠唱している間はない。
そこに、ユウタとシルバーナのスキルが有用となる。
姿を隠したまま魔術を行使できるのは、チートという他なかった。
ユウタ達の前を遮る相手は、存在しない筈であった。
だが、そこにカズキと奴隷達が立ち塞がる。
周囲にいる傭兵達の数は、少ない。
カズキのパーティーは、男一人に女二人。
鼻の効く獣人で奴隷のポチタマと縁あって組む魔術師ミレーヌだ。
カズキの装備は、青く見栄えのいい鎧とヘルムが特徴的である。
ポチタマはオーソドックスな皮鎧に、鉄心を入れた皮帽子。
栗毛に猫耳を生やしているのだ。
皮の帽子と尻から出た尻尾は、猫系の獣人だという事を主張している。
ミレーヌは、金の縁取りが印象的な黒いローブに金髪が巻き毛にしてフードに収められている。
まだ、少女といってもいい年齢で勝気な表情に青い瞳であった。
「こっちだにゃ。ご主人様~」
「どこだ。ポチタマ、見えないぞ」
カズキは、おしゃれなヘルムを被った頭で左右を見渡す。
けれども、見破りスキルを持たないカズキにはわからない。
匂いで判別できるポチタマは、モンスター狩りでも特に重宝されている。
ポチタマが、素早く応える。
「ご主人様から見て右斜め、三十度の角度の方向に怪しい奴がいるにゃ~ 」
「カズキ。ファイア・ストームでもかましてみたら?」
「そうするか。雪城の奴が来ないのが気になるが。また勝手な行動をしているのか」
カズキは、二人以外にいる筈の少女を探す。
だが、努力も虚しい。
ポチタマは、拗ねたような顔で愛らしい声を出した。
「ご主人様~。Hもさせない奴隷なんて売り払ってしまうにゃよ~」
「ポチタマはそういうけどな。俺としては合意の上でしたいの」
「カズキって、むっつりよね。正直が一番よ」
カズキは、毎晩二人を可愛がっている。
できれば、雪城も加える予定であった。
「敵は、隠形を使っているもみたいだにゃ~。ミレーヌ~。見破りの魔術をご主人様とワタシにかけてほしいにゃ」
「わかったわ」
魔術と共に一人の少年と二人の少女の姿がおぼろげに出てくる。
ユウタとシルバーナ、ティアンナの三人だ。
舌打ちする少年は、猫耳を生やした少女に驚きを隠せない。
「チィ。やってくれるじゃないか。そ、その手は肉球だと!? おい、その娘を何処で手に入れたんだ。返答次第では、死んでも生き返らせて口を割らせるぞ」
ケッタイな事を言うのは、ユウタであった。
蜃気楼のように、その姿が見えるのは一瞬だけ。
ユウタの隠形は、おぼろげに見え、また消えるのだ。
カズキ達にしてみれば、反則である。
ポチタマと呼ばれた少女の手は、ふさふさとした毛と肉球がついていた。
少年は、食い入るように手を眺める。
よく見えぬ相手にカズキは、勘でファイア・ボールを飛ばす。
「誰が答えるか。これでも食らえっ」
人間大にまで膨れ上がった炎の玉を食らえば、大概のモンスターは一撃だ。
通常、ファイア・ボールの魔術は手の平サイズの物が平均である。
投げつけた火球をティアンナのウィンド・カッターが裂く。
「ちょっとっ」
焦った声を出すミレーヌが、ポチタマの前にウィンド・バリアを張る。
魔術の発動を察知していなければ、出来ない芸当だ。
ポチタマは、回避力が優れているといっても魔術が見える訳ではない。
猫耳少女は、物理攻撃に対して優秀な壁になる。
しかし、魔術攻撃はそう上手くいかない。
見えない攻撃であったり、発動と着弾が同時におきるような攻撃に対しては無力だ。
それをサポートするのがミレーヌの役割であり、アタッカーはカズキの役だ。
本来ならば、ここに雪城が加わる。
彼女はタフさに加え、回避、攻撃力ともに申し分がない。
が、独断専行と身勝手さはパーティーの輪を乱している。
主人の寵愛を独占したいポチタマとしては、雪城が居ないほうがいい。
今回の戦いで、カズキも愛想を尽かすとみる。
炎に照らされた影は、三つ。
カズキは、ファイア・ランスやファイア・ウォールで攻めたてる。
が、ティアンナの妨害により攻撃は上手くいかない。
炎系を諦めた彼が放つのは、LV三デス。
カズキは知らなかった。ユウタに向けて即死系の魔術を使えばどうなるか。
効果が表れない事に業を煮やしたカズキは、投石系の魔術を発動させる。
地面を剥ぎ取り、小型の隕石の如くぶつけるカズキのお得意の魔術だ。
「これで死ねぇっ」
投げつけられたのは、家程の大きさを誇る土塊であった。
しかし。
「遅い」
投げた塊を少年が、歩くように乗り越えてくる。
カズキは驚異の余り、己の持つ最高の剣を手に取る。
聖剣デュランダル。
不滅の剣であり、魔を滅する聖なる刃。
転移してくる際に、怪しげな爺に貰った剣であった。
それを使って、今のカズキがある。
左右に散ったポチタマとミレーヌは、それぞれの敵と相対している。
援護は、期待できない。
カズキは、身体に活を入れると前へと踏みだした。
加速。さらに加速のスキルを重ね。
剛力を使う。
「叩き斬ってやるぜっ」
全速全開で、上段からユウタを真っ二つにせんと振り下ろす。
ユウタは、悠然とそれを躱しカズキの腹にボティープロ―を放った。
「げぼぉ」
食らったカズキは、胃の内容物を吐き出す。
魔術鉄で強化された筈の鎧は、簡単にバラバラにならない。
ユウタの拳は、鉄の板を拳の形に打ち直した。
ユウタは、カズキのヘルムを掴むと何度も地面に打ち付ける。
普段ならば、問答無用で殺しにかかるユウタ。
けれども、彼は少年の姿と髪の毛が気になった。
日本人をそのままに、ナロウ世界へと移住させたかのような姿。
カズキにダメージを負わせて、剣を奪いイベントリにしまって馬乗りになる。
カズキがしなないよう回復を掛けながら、マウントポジションで聞き始めた。
「お前。日本人か」
「はあ? そうだけど。んなの知ってどうすんだよ」
「何の為にここにいるんだ」
「馬鹿じゃねーの。んなの決まってる。好きに生きて、好きに死ぬ。冒険者としてカッコよくだ」
「あの剣は、お前の力は何の為にあるんだ」
「馬鹿だろお前。俺だけの為だ。俺がTUEEする為に決まってんじゃん。ぶへっ」
「チートな力を手にして、やる事は好き勝手かよ。もう永久に黙れ」
これが普通の出会いであれば、「ふーん」で済んだかもしれなかった。
けれども、諸々の事が追い込むユウタの攻撃は、容赦なくカズキの顔面を襲う。
マウントを取っての正確な打撃。
初めて味わう攻撃にカズキは、なすすべがない。
シルバーナを牽制するポチタマは、盗賊娘の二刀による攻撃を避けつつ反撃をしていた。
相手も回避するのである。
ポチタマの爪グローブによる攻撃が当たらない。
二人は、くしくも似たタイプであった。
即ち、奇襲でもって倒す。もしくは、回避しながらのカウンター狙い。
はたまた、実力で上回る。そうでなければ、逃げ一択である。
魔術のやり取りは、互いに効かない。魔力が弱すぎた。
ポチタマは、カズキの劣勢を悟りシルバーナに背を向けた。
追うシルバーナ。
瞬発力では、猫人であるポチタマに分がある。
「あんた。後ろっ」
シルバーナの声で飛びのくユウタ。
主人を助け起こしたポチタマは、そのままカズキを背負った。
「ご主人様。大丈夫かにゃあ」
「ずまん。だずがっだ」
二対二になる。勝負は、振り出しであった。
横では、電撃を杖で互いに誘導して打ち消し合うティアンナとミレーヌ。
二人のやり取りも、また同系統の魔術を使う。
派手な魔術は、実力を測る為に飛び出してはいない。
しかし、リーダーの許可があれば何時でも放たれる。
ただ、ミレーヌの風、電撃を無効化するティアンナの腕が優っていた。
苛立つユウタの接近。
得意の電撃では、ポチタマを殺してしまう。
ユウタは、捕獲を目論んでいる。すり足でしかし、尋常ではない殺気。
痺れるようなそれにポチタマは、カズキに向けてそっと話す。
「ご主人様~。逃げるにゃ」
「ぐっ、ぺっ。なんつった? こんだけやられて、本気で言っているのかよ」
回復の魔術も使えるカズキだったが、顔の腫れ等は取れない。
そして、口の中から真っ赤な血を吐く。
その様子を見て。
「こいつら強いにゃ。勝てないにゃ~。ポチタマが残るから逃げてほしいにゃ」
ずいっと前に出たユウタは腰だめに忍者刀を構えていたが。
いきなり、泣き出した。
一刀両断の構えから、目から出る汁をぬぐっている。
「うっ、感動した。今なら、逃げても追いかけないぞ。猫耳にかけて、約束しよう」
「何だとテメェー。ふっっざけんなよ。俺をなめんな、糞が」
「駄目にゃ。ご主人様つれていくにゃよ」
「ポチタマ、正気なの? まだまだ相手と本気でやりあってもいないわよ」
頭を左右に振り、猫耳少女は肩にミレーヌをも背負った。
あまりにも素早い動きに、担がれたミレーヌも反応できない。
「こらポチタマ。勝手をするな」
「ヤバいのが後ろからも来たにゃ~。雪城も負けたみたいだにゃ。やりあったら皆、死ぬにゃ。死んだらお終いにゃよ」
雪城を担いだセリアであった。
単騎で突入した銀の鎧を着た騎士風の少女に、ポチタマは怯える。
死神と出会えば、死ぬしかない。そんな相手に尻尾がピンとそそり立つ。
周りに居た筈の傭兵達は、いつの間にか居なくなっていた。
雪城の顔をゴブリンと見間違う。
「雪城かにゃ? 回収できないにゃよ」
「あいつを倒せばいい」
「ちょっと。ポチタマ。降ろしなさい」
二人は現実が見えていない。それを諭すように、ポチタマは小声を出す。
「あいつは、もっと危険にゃよ。西方世界でも、最強を誇る流星の騎士にゃ。得物を抜かないのが特徴にゃよ~。得物を見て、生きているのはいないって噂にゃよ。逃げるにゃ」
「ふむ、珍しいな。お前、猫又の一族か。逃がさんといいたい所だが、ご主人様の目があるか。やるなら受けて立とう。どうする?」
静かに、ゆったりと進むセリア。
彼女は、燃え盛る炎と熱を一向に気にした様子がない。
雪城の身体を下すと、ピクリとも動かない少女の様子にカズキは吠えた。
「馬鹿野郎。雪城を助けないと、って酷いな」
「自業自得だにゃあ。置いていくにゃよ~」
立ち塞がるように、位置を取るセリアを撒こうとポチタマは必死の形相だ。
けれども、銀色の鎧を身に纏い威風堂々たる騎士。
まるで隙がない。
雲から僅かに出た月は、セリアに力を与える。
「取り戻したくば、私と戦え」
「待てセリア。手出しは無用だ」
ユウタが、割って入った。零れる涙を布で拭いている。
ここが、戦場だというのにユウタは余りにも涙もろかった。
こういう部分がなければ、単身で敵の領土に潜入しようなどと考えない。
余りにも甘い考えに、セリアは母になったような表情を浮かべる。
「甘いぞ。ユウタ。こういう相手は逃がせば、厄介な事になる。さっさと仕留めて置く方がいい」
「待て待て。そうやって誰でもかれでも倒すのは、良い事なのか?」
「勿論だ。敵とは、すぐに片付けるべき物。後々になって後悔する事になる。あれはご主人様と同系の異世界人だろう。逃がす訳にはいかないぞ」
セリアの言う事ももっともだった。
何せ、異世界人は、その成長力からして脅威なのだ。
顎に手を当てたユウタは、困ったような表情を浮かべる。
「やっぱそうか甘いかな。日本人だからって訳はある。けど、次会う時も敵とは限らないだろ。それに反乱軍ってわけでもなし」
「今の内にゃ~」
「くっ」
セリアに出来た躊躇いをポチタマは、逃さず捕えた。
それは、針を通すような隙であったが。
二人を抱えたまま、炎の向こうへと消える。
最早、ここにはユウタ達四人だけだ。傭兵も残っているのはほぼ居ない。
「それに、首謀者はやってしまったんだろ。疲れたし、もう帰ろう。どうしても仕留めたいなら俺を倒してからにしてもらおう」
「フッ。ならそうさせてもらう!」
意外であった。まさか、セリアがユウタとやりあうとは。
ティアンナとシルバーナは事の成り行きを見ている。
猫耳少女ポチタマは、さっさと逃げ出していた。
時折、弓矢で狙ってくる傭兵もいるが。
ティアンナの魔術とシルバーナのボウガンがそれを許さない。
二人の息を合わせた攻撃で、辺りにいる者で歯が立つ者はいない。
残っている相手が、少なくなったのも幸いだった。
二人で傭兵の残党を掃討していく。
この場で争うのは不合理であった。事を済ませたのであれば、さっさと帰るべきである。
けれど。
「行くぞっ」
「以前の借りを返してやるっ」
二人ともヤル気は十二分であった。
何しろ、共に根っこは戦闘狂だ。
ユウタのそれは、皮が板に付いた物なのである。
今ではどちらが本物なのか。本人ですらわからない程、お人好しになってしまった。
セリアが繰り出すジャブを的確に躱す。
そして、それに合わせてカウンター。
セリアの顔を殴る寸前で、拳は止められたが。
「あっ」
セリアの方は止めなかった。打ち抜かれ、吹っ飛んでいくユウタは、地面を転がった。
「ずるいセリア。打ち抜くなんて酷いぞ」
「これは、実戦形式という事だ」
「ええー」
セリアを相手に寸止めしかできない。
ユウタは、すぐにボロボロになった。
回復したとしても、疲労は残る。細胞の疲れが取れる訳ではない。
電光のようなセリアの拳を何度も受けて立ちあがる。
「うぐ。まだまだぁ」
「ふ。もういいだろう。しかし、次はない」
「そ、そうですか。わかったから、今日は勘弁してくれ」
「ふふっ」
ユウタを殴りまくったセリアは、喜悦に満ちていた。
殴られる方は堪ったものではない。兜を上げた少女が満面の笑みを浮かべていたとしてもだ。
気を抜けばユウタは今にも倒れる事は、明白で。
いくらなんでも、帰る必要がある。ユウタが転送門を開き、皆中に入っていく。
セリアとしては、倒れるまでやって良かったのだが。
今日は、そうもいかない。
大事な日なのだ。
◆◆
その夜は、真っ青な月が出ていた。
青い清浄な光を背にユウタが、四人で家に帰りつく。
先に帰還した赤い髪の少女と捕虜二人。その三人が一緒に寝ているとモニカから報告を受けた。
食事を取って風呂に入ると、さっぱりした気分になる。
風呂を出た時に、何かおかしい事にユウタは気が付かなかった。
不安になったユウタが寝室に入る。
そこには、見知った少年の姿ではないアルトリウスとアルーシュが鎮座していた。
二人共に薄着である。
宣言するのはアルトリウス。
白い下着姿の少女は、厳かに堂々と話す。
「今日は初夜だ。よろしく頼むぞ、ユウタ」
「なんかおかしいですよね」
その横には見知った少女達が、座っている。
ユウタはそれを凝視するしかない。
色取り取りの美女、美少女が並んでいた。
ユウタの疑問をアルトリウスは、否定する。
「いいやおかしくない」
「いきなり複数とかあり得ないです」
「何を言っているんだ。今日はたったの七人だぞ。もっと増える事は確実だ」
「いや、そのアルトリウス様は、何を仰られているのかわかってない。俺は一人がいいんですよ」
人差し指と指を立てて、アルトリウスに想いを伝えようとする。
しかし、少女は上半身裸のまま腕を組む。
「馬鹿をいうな。よろしい、ならば戦争だぞ?」
「愛はただ一人の為にあるんですよ」
「皆、愛を独占しようとする。故に戦争になる。我慢しろ」
「お断りします。まだ、刺されて死にたくないですよ。それにヤリチンなんて屑じゃないですか」
手を振ってアピールするユウタは、そっと出口に視線を向けた。
だが、セリアが扉に寄りかかっていた。
仮に、ユウタが転送門を開いたとしても脱出は絶望的である。
「ええい、黙れ。確かにそうだが、その気にさせておいてずっと放置プレイされる方の身になってみろ。生殺しとはそういう事だぞ。わかったら脱げ」
「その前に、お二人には身分があるでしょう」
ユウタの認識では、王族とは貴いのだ。
そうそう手が出る者ではない。
正座して座るユウタをアルトリウスとアルーシュが挟みこむ。
「ふん。そんな物を何時でも捨ててやる」
「そんな簡単に捨てちゃ駄目ですよ。一体全体、俺とお二人との間に何があったんですか」
「思い出しても、思い出せなくてもいい。何しろ、お前は自身が受けた封印も忘れている位だ。・・・・・・実はな」
「いえいいです。ですから、寝ましょう」
ユウタは二人に連行されるようにしてベッドに腰掛ける。
最早逃げ場がない。
転移門を開こうとしたが、掻き消えてしまった。
「ふん。逃げようとしたな? そうはいかん。実はな・・・・・・お前が死んだのは、私がしたからだ」
「やはりあたりじゃないか。この嘘つきめ。興味がないとか言いながら、将棋は勝ち零。チェスで9連敗喫したのは余程堪えたようだな。それで、ヤッたので封印の効力を受けて死んだんだろう」
アルーシュの告白にユウタは驚く。同時に、アルトリウスはアルーシュに食ってかかった。
左右から、間近くに迫った二人の顔に顔を赤らめた。
姉と妹というような体型だ。そして、話を聞くだけならば姉妹なのにこのような事になっている。
「ええ?!」
顎がはずれたかのような間抜けな顔をしている。
アルトリウスとアルーシュは、ユウタの腕を自らの胸に押し付けた。
「うむ。それで、生き返らせてみたら記憶がないときた。ちなみに、女がレイプするのは犯罪ではない。そういう法律もないからな。予想外なのは、封印なのだ。童貞を失うと死ぬ事を防ぐのには苦労したぞ」
「杜撰すぎる。生き返らせてはやって死ぬとか。ユウタは玩具じゃないぞ。それで、どうしたのだ」
「途中で、爺の妨害が入った。アルトリウスだって、すぐ気が付いた癖に。ユーウかどうかを判定するのに異世界空間転送器を動かしてみただろう。ユウタが元の世界を行き来きする為に作った奴を。あれ、本人でしか発動出来ないからな」
じとっと三角に座った目をアルーシュがアルトリウスに向ける。
視線は主に、起伏のついた胸だ。
大きく差がついた胸にアルーシュは溜息をつく。
戦いでは、ケリがつかないが。胸と身長では、遅れをとっていた。
そんなアルーシュに手をひらひらと振って誤魔化す。
アルトリウスは、ユウタの顔を舌でペロリと舐め、
「ま、いいではないか。平行世界の魂を無理やり同一化させる目論見は、成功のようだしな」
「うぷ。・・・・・・酷い。酷すぎますよ。どうして、そんな事をするんですか」
キスで口を塞ぐ。
「私「俺」の愛を受け入れないからだ「な」」
「いや、その、愛ってどういう事なんですか」
「そのままだ。幼少の頃から思い出を語るとだな、書物にして三百万文字で終わるかどうかの歴史がある。聞きたいのか」
「気になります。聞きたいです」
ユウタは両の腕を取られたままベッドへと倒された。
ユウタが話を通じて空気を変えようとしたのだが。
アルトリウスは、全く意に介さない。
「却下だ。めんどくさい。それより早く脱げ」
「ええ? いやでも、こういう事は結婚してからの男女が・・・・・・」
「頭の固い奴だな。身体から始まる関係というのもある。今のこれが、そういう事だ」
「そんな無茶苦茶な」
必死に抵抗するが、ユウタの力は二人には到底及ばない。
それを眺める少女達は、モニカ、エリアス、シルバーナ、ティアンナであった。
セリアがユウタの足を押さえつけるとズボンを剥ぎ取る。
少年は、目を剥いた。
「セリア。お前もか!?」
「うむ。主としてはいささか頼りないが。ユーウは目も合わせないヘタレだった。しかし、今のご主人様は、結構好みだ。いささか好色の度合いが過ぎているが、それもまた雄としての魅力という奴だな」
セリアだけは、反対して助けてくれる。そう信じていたユウタ。
だが、セリアは悪魔のように唇を釣り上げ、少年を追い込む。
腕を掴んでいた二人は上着を剥ぎ取った。
ユウタの言葉にコクリと頷く狼耳の少女。何時の間にか、狐耳の少女を椅子替わりにしていた。
新たに奴隷に加えた雪城である。器用にも、セリアを乗せたまま移動している。
セリアは、どこからどうみてもドsであった。
ユウタは、呻くようにして問う。
「やったら死ぬというのに、皆狂ったのか」
「ふん。恐らく死なん。ユーウとユウタの魂が融合して、童貞のようで童貞ではない。激痛と快楽が同時に襲うだろうがな」
ユウタの呟きも、断定するアルトリウスには効かない。
ユウタは、アルトリウスの御椀型な膨らみを見ながら、抗議する。
「その、勘弁してくださいよ。モニカ、助けてくれ」
「あのご主人様。恩返しをしたいのです。私もその気にさせておいて、餌をくれないのは卑怯だと思います」
常に従順だった少女は、反旗を翻した。
ユウタは、期待を込めた眼差しを巨大な餅に向けてみる。
ボーイッシュな髪と顔立ちをぷぃと背けてしまう。
次に視線を送るのは、エリアスだ。
ユウタには不思議であった。
傷を負って、自宅で静養している筈の彼女がここにいる事が。
蜂蜜色の髪が、桃色のネグリジェにかかりえも言われぬ色気を出していた。
しかし、ユウタは問わずにはいられない。
「エリアス?」
「ワンチャンだし・・・・・・。うん、諦めなさい。アルーシュ様のフライングが引っかかるけど、機会は平等なわけ。頑張りなさいな」
解放してくれる筈。そんな願いは、あっさりと砕け散る。
次に視線を向けたのは、シルバーナだ。
数日前までは敵同士であった。
期待は薄い。何しろ、茶色いの髪を振りほどいた少女も下着だけだ。
しかも、何気に股間の下着は湿っている。
「おい、シルバーナ。皆を何とかしてくれ」
「あはは。あんたも漢を見せな。種撒きは、男の義務だよ」
「冗談だろ?」
背中まである髪を弄る少女は、答えない。
何が楽しいのかユウタには理解出来ない。
彼の中で、このような行為は、神聖にして犯すべからざる行為なのだ。
一対一で、愛を語らいながらする筈であった。
正座した蒼い少女が、ローブを脱ぎ捨てている。
一糸まとわぬ姿にユウタは絶句する。
「ティ・・・・・・」
「恩返しする」
短く呟くような声が、ユウタに止めを刺す。
結局、誰も助けなかったのである。
ユウタの性癖は、ノーマルだ。故に、この状況は混沌というしかない。
抵抗も虚しく少女が動けば、ユウタも観念する以外に道がなかった。
ユウタは、快楽の渦に飲み込まれていった。
幸せそうな顔をする少年に、激痛の色はない。
一対七の戦いが幕を開けた。
童帝>性王に。
18禁に引っかからないか心配です。
何処までやっていいのか。
いつでも削除して修正できるようにして置く用意。
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