10話 王都からこんにちわ盗賊さん! (ユウタ、セリア、モニカ、ルナ、ガイ、アベル、マーク、レオ、ゴブリン)
某日某時刻 騎士団詰め所
私ことルナ率いる騎士団は詰所で会議をしていた。普段は皆和やかな雰囲気をしているのだけれど、今日はその限りではない。いつものメンバーの他にも隊長クラスが参加している。円卓上にはアーバインの町を中心とした地図や駒が並んでいる。
「それでモンスターの数は?」
「斥候の目測では800以上だとか。森からでてきたゴブリン連中は、これまでにない数です。ゴブリンが中核ですが多数の武装したホブゴブリンにオーガまでいるとか。そして、ゴブリン連中はグレーウルフなどのモンスターも連れているのが目撃されています。まさに、軍勢です」
っく、モンスターの数が多すぎるわ。こちらの準備不足もあるのだけれど、王都の反応が鈍すぎる。こうなったら私達の手だけでなんとかしないといけない。
「迎撃の準備を騎士団の方にも連絡をいれて頂戴。領城にある支部の騎士たちの準備も済み次第城門で迎撃よ」
「野戦ではなく町の塀で迎撃ですか・・・内部に侵入をうければ、町も民衆も大混乱になります。・・・わざとゴブリン達を内部に引き込み殲滅する策はリスクはありますが効果も高い。いかがですか?」
「ちょっとリスクが高すぎるわ、アベル」
こことここで迎撃と地図を活用しながら説明する騎士。知性派で通るアベルならではの策ですね。状況さえ許すならそれもやってみたいのだけど、確実を期すならテレポートが一番よ? アベル。
「ルナよお、アベルは忘れているだろ。連中とこちらの騎士団員の数の差がありすぎる防衛するには足りないだろ。野戦より門に自然引き寄せる形を想定していいとおもうぜ。流れとしちゃゴブども逃がさず殲滅しようってことがベストだろ。森から引き離してテレポートで背後をとる。こいつが確実な殲滅法だろ? 背後をつき敵を門から引きはがしたら騎兵で追撃していくわけだ。とにかくこちらの騎士団の動員数だけじゃ足りないぜ」
「同意見ですよ、ガイさん」
意外にも、慎重なレオと同意見だったガイ。とても野生派筆頭とは思えない考えですね。
「ふむ、その通りだなガイよ。話はわかる、だが油断は禁物だ。町を襲うゴブリン達は得体がしれん。やはり背後に回す兵力を多数用意するべきだな。普通に城門を破壊され内部を蹂躙される市街戦の想定も必要だ。」
皆意見があるようですが、こちらも手をこまねいているわけではないのです。
「アベル、ガイ、マーク卿、3人の心配する数の問題ですが、すでに冒険者達にも報酬をだして応援を要請してあります。5万ゴルは成功報酬で先払いに5千ゴルを払います、数だけはそろえられるハズですわ。あの子も探さないといけないのに忌々しいこと」
「ルナ様、皆さん、いずれにしても準備は万端にしましょう。中に騎士団を中心とした200・・外に回るほうに冒険者達、500は欲しいですよね」
レオ君の言うとおり編成する手筈でいきましょう。
「戦力を集中するとなるとむしろ、こっちよりも周辺の町や村のほうが襲撃にたえられないかもしれないな。 」
襲撃を受けるかもしれない村や町の人を思うと心が痛むのだけれど、情報を集める斥候役を出す位しかいまは打つ手がありません。
「ええ・・こちらとしては一刻もはやく相手を打ち破る必要があります。
簡単な話ではないのですよ。損耗は内側騎士団2割外の冒険者達が3割の損耗とみております 」
「全く無傷ってわけにはいかないだろうな。武器で装備したホブゴブリン達が気になるぜ」
え・・・ガイ、ゴブリン達が武器を装備ですって? まさか・・・いいえ想定した通りになったのなら最悪の展開を見せることになってしまう。
「うむ、気がかりは尽きないな。ですがそろそろ時間ですな、ルナ様。話をまとめますか」
マーク卿が時間が差し迫っている事を伝えてくる。確かにこのあとも編成に準備、補給の手筈、冒険者達との連携にとかなりの時間を要するのですから急がねばなりません。でも、何かがおかしい。その違和感に気づけないもどかしさに私は悩みつつ宣言するように話しを締める。
「ゴブリン達の勢い次第では数が揃う前に突入を許すことにもなりかねません。各所の警備もはずせないのです。ゴブリン達に本格的な侵入されれば、騎士の信頼も何もかも、全てを失うわ。冒険者達に対する出費も痛い、民衆に対して減税どころか増税推進になりかねないわ。戦術も弾力的に行なっていくしかありません。時間さえあればこちらはどんどんそろえられますよ。迷宮からの帰還者、王都や国内各地からの援軍要請はだしてあります。想定外の事態にも対応していきます。みなさん頑張りましょう!」
「イエス・マイ・ロード!!」
時間がないにもかかわらず、時間を掛ければ楽に対処出来る。この矛盾に、私達いえ私は苦しむ。
もし、もしもこの時私が気付いていたのなら、あんな奴に好き勝手はさせなかったのに。どうしてそうなってしまったのでしょうか。おそらく此処が私とアイツとの差を決定した転換点だったのですわ。何かが? いえ全てが変わったのです。
◆
アーバインのスラム街に移動する。俺達は黒装束を装備している。
図書館からスラム街に入り盗賊団アジトまでいくことにした。
アジトに行く道中、盗賊を見つけるとさっくり殺っとく。
どうやらアジトには残党が戻ってきているようだ。
「盗賊達、結構な数だな・・セリア後ろの警戒頼む。あと逃がさないように。モニカはセリアとペアだ」
「それはいいが策はあるのかご主人様。連中15以上はいる。逃げられるとまた厄介だぞ」
「無理そうなら逃げ出すから。まー見てなって」
地面にファイアウォールを撒くと突っ込んでいった。
◆
心臓がドキドキしてきます。
鍛冶士になったのですがお役にたてるのでしょうか。
ご主人様が突っ込むといったときは、びっくりしました。
その・・・普通は奴隷が特攻するものだとばかり。
セリアさんも心配してるみたいです。
さっきも一人で特攻でしたし。
ご主人様、大丈夫なのでしょうか。
え・・・魔術スキル【ファイアウォール】? あっというまに盗賊達は炎の壁に囲まれています。
【ファイアウォール】の詠唱していなかったような。
ご主人様はワンドをイベントリにしまうと持ち替えてハルバードをくるくると振り回してます。
ぐるぐる回ってコマみたいです。
ご主人さまがスキル【スラッシュ】を発動させて強引になぎ倒してます。ご主人様が戦闘スキル使うの初めてみました。
あっ、盗賊さんが逃げます。セリアさんがすぐに追いついて倒しました。
【ファイアウォール】の炎の壁が発生させる熱と風に煽られてご主人様から逃げようとするとセリアさんが援護して倒していきます。
2人は連携してどんどん倒していくのです。悔しいのですが、私は盗賊さんを1人も倒せません。
さっきの盗賊さんより一際大きい盗賊さん達の攻撃をガードして払って・・・よけられる。
剣を当てても、急所でもなくて盗賊さんを倒せない。
セリアさんがフォローで相手を倒してくれました。
セリアさんが絶妙的にご主人様の援護して斬り倒していきます。
2人とも凄いです。
私も、もっと頑張らなくちゃ!
◆
ああ・・・終わってみるとやばいの居なかったな。
LVが上がってるせいなのか?セリアの見よう見まねで戦闘スキルつかってみた。
うーんスラッシュはなんというかスピードとパワーが乗る威力が上がるそんな感じだった。
スキルといってもブーストかけたみたいな・・・
ここぞというところでは使えると思うが地味だな・・・
もっとこう派手なものがほしいんだ。
見栄えがしないという。
ただ斬っているだけだったり。
スキル本がないのでじれったい。
キューブを回収すると装備もついでに頂いとく。
鉄の剣x18 硬い皮鎧x18 硬い皮のブーツx18 本x10
アジトにあった燃えてなかった本とか回収する。
いい装備してたようだ。
硬い皮鎧にブーツを交換しておく。
本は中身がわからんのでもって帰って調べよう。
回収し終わるとちょっと離れて様子を伺うがなんの反応もないようだ。
待つ間にキューブを確認すると
【冒険者LV20市民32村人29戦士27剣士27弓士25勇者27狩人29魔術士22
商人19薬剤士19騎兵17弓騎兵17格闘士17英雄17治癒士17料理人16魔獣使い17
付与術士6錬金術士6】
全滅したと思いたいが。また湧いたときはそのときだな。
気がつくと、セリアに援護もらっていた。ちょっと嬉しかった。
戦闘中の後方支援仕方とかをわかってくれているみたいだ。
【ファイアウォール】は・・・これめくらましみたいなもんだとおもった。
たしかに熱い。けどこれ突き抜けられるだろう。
耐熱仕様なら無意味なくらいだ。そして発生までタイムラグがあるので狙って当てるのは厳しい。
動く相手に狙い付けるのは無理なくらい。予測してあてるしかないな。
「ご主人様策があるといいましたがどうだったのですか? 実際には力押しでしたよね今のは」
「アッ・・・」
ウグッたしかに【ファイアウォール】で分断してーみたいなところを除けば
ゴリ押しだった。
「たしかに・・スキル使ったくらいでとくには。」
「でしたよね、力攻めであればそのように言って欲しいご主人様」
「セリア、すまなかった」
「いえ・・・援護は当然だ。先に飛び込むなら奴隷の役割になる。それをお忘れなきようにお願する。ご主人様」
モニカがこちらを見たりセリアと見たりとおろおろしている。
んーむ、セリアもいろいろなやんでるんだろうな。
2人の好感度上げほんとむずかしい。どうすりゃいいんだ。
マジでセリアはドSの予感しかしない。オラオラって殴られて・・汚ねーもん立たせてんじゃねーぞっていわれそう。俺・・・ノーマルだから! むうう、主人にむかってその態度! が・・・正論であったしなにもいえない。けしからん乳に免じて許しておくか。そのうち揉みしだてやるぞ、きっと。
モニカはなんというか脱げって言ったら脱ぎそうだが、それしたら何かが終わる気がする。主に人としてのなにかが。
ともあれ、賞金ゲット用に盗賊達のキューブも集まったし取り合えず夕飯用の飯でもかって邸宅で休憩しよう。
ゲートで先に二人をもどす。
テレポートで買い物をしにいく。
町の中は騒然としているようだ。何かおきたのかな。買い物をするついでに聞いてみると森からゴブリンがでたらしい。物騒だな。
鍋食器ベットクローゼットタンス食材もわすれないように買う。
ガンガンイベントリ突っ込むと4千ゴルがとんだ。
盗賊の賞金を戴きに冒険者ギルドにテレポートする。
一体何が起きたのだろう、すごい数の冒険者達が集まっている。
騎士団詰所前も騎士達PT員、騎兵がかなりあつまっている。
これは報酬もらうどころじゃないな。
まるで戦争のような雰囲気だ。カウンターにいってみる。
「あのこれ一体何がおきているんですか?」
「ゴブリン達が町にせまっているのです。えっと、町防衛のため冒険者さんを募集しております。緊急クエストです。よろしければPT員も含めて依頼いかがですか? なお、先着500名様までお一人5千ゴル先払いの成功報酬特別枠5万ゴルとなっております。ですが、5万ゴルのうち3万ゴルはアーバインでのみで使用可能なチケットになっております。換金方法はありますのでご心配なく」
話をきくとゴブリン達はかなりの数があつまって町に接近しているのだとか。
緊急クエストで高額の報酬が先着でだされるとか1部先払いだとか。
迎撃のために冒険者もかりだされることになったみたいだ。
報酬がけっこう魅力的だったので仮依頼をうけて予約して準備をすることにした。
このとき俺はあんなことになるなんて思いもしなかった。
異世界3日目夜のこの戦いで。
キューブステータス サナダ・ユウタ 16才 冒険者
装備 鉄の剣 チェインアーマー 銅のメット 硬い皮のブーツ 木のバックラー 銅の篭手
邸宅有り セリア 人狼 モニカ 鍛冶士
スキル テレポート PT編成
特殊能力 なし
冒険者LV20市民32村人29戦士27剣士27弓士25勇者27狩人29魔術士22
商人19薬剤士19騎兵17弓騎兵17格闘士17英雄17治癒士17料理人16魔獣使い17
付与術士6錬金術士6
所持金 46万弱ゴル
次回も 基本ハッピー無双です




