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アスター/変化を好む

今日は光流と想いを確認し合ってから初めてのデート。

幼馴染みの俺たちだ。

今まで何度か出掛けたことがあるがそれとは訳が違う。

彼氏と彼女。なんて素敵な響きなんだろう。

ふと目の前の鏡にはニマニマとほくそ笑む俺の姿が映っている。

光流には絶対に見せられない姿。

頬をパシッと両手で打つと俺はクローゼットを開けて今日の服を選び始める。

今までの『菫ちゃん』なら白や淡い色を主体に可愛いらしく。

可愛いらしくするとすこしショタコンの気が入っている光流はとても喜んでくれたけど、これからは頼られる彼氏になりたい。

守られるより守りたい。

可愛いより格好良いと思われたい。

少し考え込むと俺はクローゼットの奥から今まで光流には見せたことのない服を取り出す。

ダメージの入ったジーンズに赤チェックの開襟シャツ。

栗色の地毛はかるーくワックスで整える。

今までとは違う植野菫。

光流はこんな俺は嫌いだろうか。

着替えてみると不安になりいつも光流の前で着ている服を手に取りたくなったが堪える。

今までとは違う関係になりたい。

左手の薬指には鈍い光りを放つ装飾も何もない指輪。

今の俺の精一杯。

この指輪を見る時、涙を流して喜んでくれた彼女を思い出す。



「光流…。」



愛しい人の名前。

よし、と気合い一つ。

この間、光流と初めて口づけした。(正確には奪われた)

光流はきっと覚えてなどいないだろうから。

だから今日こそ…思い出になるようなものをしたい。



本日の目標、キス!!



+++



光流を家まで迎えに行く。

押しなれたインターホン。

光流や光流ママは俺が何も言わずにドアを開けて入ってもきっと文句なんて言わないだろうけど、いつだってしっかりした植野菫に見られたい。

特に光流のお母さんには。

がちゃっと大きな音を立てて扉が開く。

勢い良く開いた扉が自分に当たりそうになって思わず仰け反るようにしてよける。

そこに立っているのは愛しい彼女。



「おはよう!菫ちゃん。」



これが漫画だったら光流の後ろにはにぱっという効果音(?)が書かれているに違いない。

そう思うほどによい笑顔。

薄手の白黒ボーダーのニットカーディガンにシフォンのフリルブラウス。

ベージュ色のチノパン。

全体的にすっきりとした格好は可愛いより綺麗という言葉が似合う光流にはよく似合っている。



「おはよう。光流。」



ドアを後ろ手で閉めながら光流が俺のそばにやってくる。

その視線は何故か戸惑いを浮かべ上から下へ移動している。



「・・・光流?」


「・・・うぇ!?」



きょどきょどする光流。

途端に不安になる。



「どうかした?」


「いや・・・あの菫ちゃんがいつもと違う雰囲気だから少し驚いて。」


ああと頷きながら改めて自分の服装を眺め、チェックのシャツの裾を引っ張る。

足元には下ろしたての茶色のトレッキングブーツ。

今までの菫と比べると攻撃的な服装。



「・・・似合わないかな?」



ちらっと伺うように光流を見ると。



「似合いますっ!!!」



・・・鼻息荒く肯定されました。

その目はキラキラと輝いており興奮のためか頬は蒸気していた。







うん、もうなんだか・・・

砂が口から出そう・・・w

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