ハル一番!
この話を書いてる途中で本題の夜桜を忘れるところだったよ…。
エピローグ
月夜の日、淡くおぼろげに白光を放つ一本の桜の木が私の前に立っていた。
そう、夢のようだ。
いや…夢であって欲しかった…。
本編
空ノ希高校、総合学部。
私が入学して半年がたった。
この村に引っ越してきて、この学校に入学して、この学部に入った。
入学してすぐに私を受け入れてくれた。
本当にいい学校だ…生徒が少なすぎる事以外は…。
「聞いてくれぇ!!今日のロングホームルームの議題は明日に控えた郊外学習にたいしてだぁ!」
教卓に片手をつき拳を握り締めているこの女性、薄い栗色の長い髪が綺麗で美しいこの人。
生徒会長及び学級委員とかなりのやりてだ。今やこの学校を支えているのは『紅葉 刹那』彼女と言っても過言ではない。
ただ…彼女の清楚で美しい姿とは裏腹に荒々しく男勝りな性格をしている。
そしてその彼女の目の前で話を聞かされているのが空ノ希高校一のシャッターガールこと、『桜井 淋音』この物語りの主人公、私である。
「せっちゃん先輩…そんなに大声で言わなくても聞こえてますよ!」
「いや、だがなぁ…淋音よ、私はこの情報をみんなにも伝えるためにだな…」
「みんなって…この学校にいる生徒って先輩と私しかいないじゃないですか」
すると先輩は教卓を叩き本気の形相でこう言いはなった。
「お前の目は節穴かぁ!!見ろ!私達の素敵なクラスメートを!!」
せっちゃん先輩がそうクラスを仰ぎ見ながら両腕を広く広げた。
私を中心とした他の席には人の形をしたダンボールが34名座っている。
奇妙な光景である。
だがこの幻想もまもなく制作者の彼女の行動によって終わりを告げようとしていた。
(ガボト…)
ひとりのダンボール生徒の頭が落ちたそれに続くようにクラスじゅうの『クラスメート』が音を立てて崩れていく。
「ああぁ!!鈴木!近藤!田中!安崎!伊藤!原田!中島!羽鳥!etc…」
先輩の悲鳴に近い叫びが聞こえる。
恐らく教卓を叩いた振動でクラスメート達が揺らぎ、崩れたのだろう。
せっちゃん先輩は床に手をつき、たぶん…後藤を胸に抱きしめ、こうつぶやいた。
「淋音よ…若さ故の未熟さと言う物はどうしたらいい…」
「大人にって下さい。」
「そうだな…そうだ…。すまない…今日はコイツらとだけにさせてくれ」
ひゃふーい、早く帰れてテンションが上がる私。
マリオさながらのナイスな声を発した私は教室を後にした。
実際の所、今回の郊外学習は私のために計画されたようなものなのだ…村に来てまもない私を村の中を案内すると言うせっちゃん先輩の生きな計らいなのである。
その日の夜。
遠足の前日の小学校のような気分に刈られ、寝るのに苦労した。
「桜?」
目を開けた、窓からは朝日の優しい光が差し込み鳥のさえずりが聞こえる。
自分でも理解不能だ、何故そんな事を言ったのか…。
何か夢を見たきがした、だが何も思い出せない。
故にどうでも良いことと判断。
一階から母親の呼び声がする、それに返事をし、一階に降りていった。
台所に未開封のまま置いてある食パンを二枚コンガリローストし、バターを塗りたくった物を口に放り込み。
その後歯磨き、着替え、持ち物チェックをものの8分で終え玄関に立つ。
そしてクルリと後ろを振り向き。
「行ってきます!!」
っとすがすがしい朝の第一声。
コレから少しいつもと違う1日が始まる、そう思って家を後にした。
もうだいぶ慣れた通学路をいつもより少し膨れたバッグを肩に歩いていると突如背中に衝撃が……。
「ひでぶぅ!!」
ズザザザザザァ…。
後ろからの見事なクロスチョップによりなす統べなく地面に屈する私…。
後ろを振り向けばそこには見慣れた影。
刹那先輩もといせっちゃん先輩の姿が有った。
「よお!軽快に鼻歌なんか歌って随分とご機嫌そうだなぁ!あはははは!!」
「ええ、ご機嫌でした。刹那先輩にクロスチョップをぶち込まれるまでは淋音は壮大にご機嫌でした…」
ユラリと立ち上がり、憎悪煮えたぎる隻眼で刹那先輩を睨みつける淋音。
「ご機嫌だった淋音の機嫌をぶち壊した者には…万死の償いを受けてもらう!!」
死の宣告をされた刹那先輩の顔からは笑顔が消え、不適な笑みが浮き出ていた。
「面白い……淋音、貴様が私に喧嘩を売ってきた事を後悔させてやろう…。この私の森羅万象の力でねじ伏せてやろうじゃあないかぁ!!」
ここに戦いの火蓋が落とされた。
「せぇぇつぅなぁあああ!!」
山にこだまする淋音の叫びと共に淋音が動いた。
刹那に向かい駆け出し空高く飛んだ。
それを刹那は腰に手を当て目で追っていた。だが途中で凄まじい光で淋音が見えなくなった。
「くそ!太陽を背にしたか!考えたねぇ!淋音!でもそれじゃあ私を殺る事も叶わない!!」
太陽の影に向かって飛ぶ刹那。
「せぇぇぇうぁああああ!!」
『ズドム!!』渾身の力で影を地面に叩きつけた。
「淋音、私の勝ちのよ…!!。なんだと?バッグ、だと?」
地面に伏していたのは淋音バッグだった。
その時背後から淋音の声がした。
「私の勝ちです。」
「何ぃ!?」
とっさに振り返る刹那、だがコレがミスだったのだ。
突如轟音と閃光が刹那を襲った。
「がぁぁああぁあ!?」
目を押さえ転げ回る。
「スタングレネード」
そして最後の言葉が告げられる。
「ワルサーP-P-K」
『ダンガン!!ダンガン!!ダンガン!!』
刹那を三発のゴム弾が襲った。
このゴム弾一発はヘビー級プロボクサーの一撃に相当する。
「あなたの負けです、刹那先輩。」
地面に転がる先輩を哀れみの目で見下ろしながら立ち尽くす淋音。
その手にはワルサーP-P-Kが冷たい光を放ちながら、しっかりと握られていた。
「くっ…く!!かはぁ!!…はぁ…はぁ…何故…お前がそんな力を…!!」
刹那が絞りだしたような声で訪ねてきた。その問いに淋音はこう答えた。
「8割の興味心と2割の勇気が有れば手に入りますよ…。」
「それ…犯罪…だよ?…ガク…」
刹那は力尽きたようだ。
その時、学校のチャイムが鳴った。
キーンコーカーンコーン♪
「あっ!いけない!遅刻だよ!」
そう一言残し淋音はその場を後にした。
ずり…ずり…ずり…ずり…。
その後を刹那ははいずりながら追った。
ナイスファイト精神である。
いかがだったでしょうか、次回はいつになるんだろう。