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第11話 転生少年とスライム娘



 ラブコメの主人公達は恋愛感情について、全く乏しかったわけではないだろう。むしろ、片思いの女の子がいながら他のヒロインを好きになってしまったと悩む主人公がいたぐらいだ。


 俺が転生してから、魔王を倒す勇者でも、女の子に取り囲まれるラブコメ主人公でもない。最近はシャルがいるだけ女っ気が出てきたが、彼女の毒舌っぷりから好意があるとは思わない。つまりは何かの主人公ではない。


 ……なにこれ、転生つえぇ系や転生ハーレム系でもないなんて。そもそも転生してチート能力すらもらってないから絶望転生なんだけど。


 ともかく、俺が転生して恋愛について考えることになったのはこれが初めてだろう。


 ラブコメ主人公ならお色気展開からドキッとワクッな物語があるのだろうが、俺は目の前の女の子のオッパイを凝視するだけだ。


「……あの、視線が……、その……」


 リリムが言いにくそうに俺をチラチラと見る。


「これは失敬」


 とは言っても俺の視線は釘付けだ。なにせ、首元の緩いシャツにくすんだローブのリリムは谷間が見えている。その深い谷底に視線がいってしまうのは仕方のないことなのだ。


「しかし、リリムはこれからどうするんだパイ?」

「……ぱ、ぱい!? え、えーと、何も考えてない」


 いけない、頭の中がオッパイでいっぱいになってしまった。語尾語尾、気をつけないと。


「うーん……。何も作戦なしだと、あんたはヨゼフに会えなくなるだろうからなぁー」

「そ、それは困るっ!」


 リリムは焦ったように必死に顔を近づけてくる。


 いやいや、近いし、なんなら良い匂いする。種族別でも異性だと良い匂いするフェロモン出てるの?


「ま、まあ、作戦を考えよう」

「ありがとうございます! ……あっ!」


 落ち着きを取り戻したリリムが顔を近づけたことに気が付いて、顔を赤めらせて離れていった。


 この子、人をたぶらかす能力が高いんじゃないの? 距離感近いし、言動に勘違いさせるし、良い匂いするし、オッパイ大きいし。


 オッパイ強調し過ぎだと思うか? でも、男の子なら、そこに魅力を感じない奴なんていない。


 ゆえに間違えてリリムを好きになる男は山ほどいると思う。しかし、あえて言おう。だが、スライムだっ!


「さて、真面目に考えよう」

「え、今までのは真面目じゃないの?」

「いや、真面目だった」


 表向きは。


「これからもっと真面目に考えようってことだ」

「な、なるほど」


 俺が真剣そうに言えばリリムは納得する。チョロいぜ。


「まず、リリムは今まで同様に教会へ通いたいよな?」

「あ、はい」


 リリムの意思を確認する。


「次に俺らはスライムの発生原因を調べていた。この原因はリリムで、リリムが何かしらの拍子に分裂して個体が増えているってことでいいか?」

「はい。私は擬態しててもスライムだから、身体の一部をどこかへ落としているみたい……」


 身体の一部を落とすって、どんな状況だよ。そんなことを思ったが深く聞けば長くなりそうだし、この際は無視だ。


「俺らの目的はリリムの退治だ。まずはそれを解決しないとなぁ」

「……そうだよね」


 俺が退治と言ったからだろうか。リリムは落ち込んだ様子を見せる。


「まあ、大丈夫だよ。シャルとアリアを説得すれば退治する必要ないってなるから」

「……はいっ!」


 俺が笑って言えば、リリムの表情が明るくなる。


 とは言えど、シャルとアリアを説得するだけの材料があるかだ。俺を捕まえて逃げているだけに敵対心は高くなっているだろう。


「いくつか聞いてもいいか? リリムは自分が分裂しているのを自覚してないよな?」


 先ほどの話ではわざと分裂しているようではなかった。そうすると無自覚に分裂してスライムが増えていると思われる。


「はい。あまり自覚してません。正直、いつどこでもわかってないかも。スライムの時はなんとなく分裂していたので、いつどこでは知っていたけど……」


 スライムの分裂と聞くと人格的な存在も分裂していくのか気になるが、好奇心のままに尋ねていては話が進まなくなりそうなので、個人的な見解をまとめておく。


「スライムの時は分裂する能力だったけど、スライム娘になってからは生み出す能力になり、違う能力だからまだ使いこなせてなくて自覚できてない可能性はあるな」


 スライムは自身を分裂して自身を含めて二匹にする。スライム娘はスライムを一匹を作り出す。


 どちらもスライムを一匹作り出すことには変わりないが、元になる個体がスライムか、スライム娘かで違いがある。


 その違いが能力の違いであり、使いこなせていないと思われる。


「能力を使いこなせれば、ここに残れるかもしれない?」

「説得するには弱いかもしれないなぁ。能力を使いこなせても魔物だからっていう理由があるからなぁ」


 そもそも魔物だから倒す、とアリアは剣を向けていた。シャルは魔物を気嫌いしているにも関わらずリリムを擁護していた。


 そこに説得する余地はありそうであるが、どうやって説得するべきなのか。


「いっそのこと、シャルにまるっと相談して投げ出そうか」

「えぇー。ちゃんと考えてみてよ!」

「ちゃんと考えているよ。どのみちシャルを説得して、シャルからアリアを説得してもらうしかない。アリアはシャルからの言葉に弱いからな」


 アリアはシャルの言うことに弱い。それはリリムを見逃す時にシャルに話を委ねたことから予想が付く。


「俺一人だとスライム娘について知らないことも三人で集まれば何か良い発想が生まれるかもしれない」


 三本の矢なんて前世の記憶では言われていた。それに三人寄れば文殊の知恵なんてことわざもある。


「人に頼れる時は頼るのが俺のセオリーだ。つまりは人を信頼して任せられる。そんな信頼関係を築き上げてきているってことだ」

「……なんか微妙にカッコよくない」


 リリムからの視線が痛いが、そこは無視してシャルに相談する算段を考えた。

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