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第4話

 まりあは起き上がるのに数日かかった。その間に男の言葉に「いいえ」を言う事が出来なくなった。どんなに心の中で嫌と思ってても命令されれば言う事を聞く人形になってしまった。



 寝込んでいる間に皆んな、あの男の事が怖いのにまりあの為に呪いを解いてくれ、これからはずっと言う事を聞くからと言ってくれた。そのせいで、姉様と慕ってくれていたミオは他の貴族の元へみんなへの見せしめとして、まりあへの嫌がらせとして売られた。



「お前のせいで、ミオは売られたんだ。お前が俺を裏切ろうとするからこんな目に遭うんだ。可哀想なミオだな。」



 やっと意識が戻り布団の中で熱でぼーっとしている時に、あの男は笑みを浮かべながら、まりあを責め立てた。お前のせいだ。と、



 ミオが居ないなんて信じられず看病してくれていた少女に恐る恐る目を向けると床に目線を落とし涙が次々と零れ落ちていた。



「っごめんなさい。ごめんなさい。止められなくて、ごめんなさい。」



 少女の姿を見て、本当にミオはもう居ない事を、男の言葉が本当の事だと理解した。




 私のした事はーーーー、




 みんなの事守るって、みんなでここから抜け出すんだって、そう思っていたのに。


 

 傷付くのが自分なら耐えられる。そう思っていたのに。一晩中涙が止まらなかった。泣く資格なんて無いのに…。



 ミオが居なくても日々は過ぎていく。何事もなかったかの様に日が昇り1日が始まる。



 

 ミオがいなくなり、もう数ヶ月が経過していた。その頃には、まりあの外出許可も出ていた。また助けを呼んだとしても、誰かが犠牲になるだけ、それにまりあは逃げ出したとしても呪いがあり男の元に戻る羽目になる。



アイカは相変わらずあの男に気に入られていた。そのせいで、まりあはいつもストレス発散されていた。男の言う事、アイカの言う事、従ってきた。



ーーー人に危害を加える様に命令されないだけまだ良かった。そう思いながら、涙を溢した。



 私、何のためにここにいるの?


 帰りたい


 …でも、帰れない


 ミオが酷い目に遭ってるかもしれない


 私だけ助かるようなこと、できない


 私が物語のヒロインだったら、ミオを助けれたの…?

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