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学年一の美少女転校生が好きなのはモテモテハーレムパラダイスのイケメンの主人公様ではなくて、引き立て役の僕だったようです。

学年一の美少女転校生が好きなのは

イケメンの主人公様ではなくて彼と同姓同名な陰キャの俺だったようです。


「振られたよ、あーくそっ」


お昼の時間。

俺は学食で、俺の幼馴染であり、友達でもあるユーマの愚痴話に付き合っていた。

ユーマはラーメンが伸びるのも構わないといった風で俺に話を聞いてもらいたいと、身を乗り出していた。そのくらい、ユーマにとっては

話したい事柄のようだった。


「振られたって誰に??」


「あれ、俺おまえに言ってなかったっけ?林ユーコだよ!学年一の美少女の!!」

「最近、都会からここ、山梨県のとある高校に編入してきた転入生だよ!」


「え、ユーマ、凄いね。あの高嶺の花に

告ったなんて...!」


「見事に振られたよ」


「ごめんね。私、好きな人がいるの。

だから付き合えない」だってよ」


「ふーん」


「それでさ」


「うん」


「俺、聞いたわけよ。誰が好きなのか、

それとなくさ」


「うんうん」


「そしたら、ビビったよ」


「え」


「なんと!おまえの名前が、ユーコの口から出たんだ」


「うそ...」


「わたし、山吹シンジくんが好きなの、

だとさ!」


「えええ!?」


た、たしかに僕の名前は山吹シンジ。


だけどな。


「ユーマ。それなんだけどな。

山吹シンジはもう一人いるよ。

それも、僕なんかとは打って変わって超絶イケメン....」


そんな会話をしてたら、

もう一人の山吹シンジが、何人もの女子に

囲まれて、食堂に現れた。


きゃっ、きゃっ....。


女子の黄色い可愛い声が響き。


男くさい食堂が、一気にコスモスが咲き誇ったかのような雰囲気に包まれた。

おばちゃんだらけの食堂のキッチン内が。

一瞬にして華やいだ。

「キャーッ。イケメンきたぁ!」って

おばちゃんの何人かが、包丁を両手で握りしめたり、おたまフリフリして

騒いでいた。



僕は息を呑んだ。

僕とは住む世界が違う、イケメンの中のイケメン。主人公様の登場だった。

サッカー部のエースストライカーにして

学年一位の成績。凄い文武両道っぷり。



ユーマはチッ、と舌打ちした。


それから小声で。

「けっ、絵に描いたよーなイケメン様の

御登場かよ...!あー!むかつく!!」


ユーマはやけ食いだ!と言わんばかりに

ラーメンに向き直り、ズズーっとすすった。

それから、うえっ、えっ、と汚くむせてた。


僕は、大慌て、ユーマの背中を叩いてやった。


「大丈夫?」


「あー、ああ」


「つまりな。ユーコはあいつのことが好きらしいんだ」


「でもさ、いつもユーコはあの、取り巻きの女子のなかにいないよ。山吹くんファンクラブに所属してないらしいよ...」


「それな。多分、照れ隠しかなんかだと

思うんだけどさ...」


「まぁ、間違っても...」


ユーマは俺をチラリと見た。

それから割り箸をラーメンどんぶりの上にのせた。それから徐にこう言ったんだ。


「おまえに気があるとかじゃねーよなぁ...」


「ないっしょ、それは」


僕は苦笑した。


「天変地異がひっくり返っても、

高嶺の花の美少女が陰キャな俺を好きになるわけがないよ...」






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