借りた傘返したくない
すべて行き着くところは決まっているの
あなたは今何をしているの?
それが答え、人に言わなくても 誰も見ていなくても、あなたの心のなかにあるものが時の経過とともにいろんな事象となってあらわれる。
今あなたのところに辿り着いた私、でもそれは偶然じゃない
その事を知らずに過ごしてきた長い時間。
そして、それも一時の幸せで
また時に流されて行くことも知らずはしゃいでたあの頃こと。
bar rainは女友達に連れられ一度立ち寄ったことがあった。
レンガ色の壁に飾りはなく、薄暗い店内にキャンドルを灯してある落ち着いたお店。
40代と思われるフシギな雰囲気のマスターカケルさんは秘密の話も、流して聞いてくれそうな大人の人。
同僚との飲み会の帰り道、急に寄りたくなった。
同僚のケンイチとはいわゆる不倫の中、不倫ってなんだろう
ケンイチにはパートナー友人のレイカがいるのでそういうことになるのだろうけど、会うととても楽しい。月一回飲みに行って恋人気分を楽しんで帰るだけの関係、それで満足と思っていた。
レイカに対する優越感も罪悪感もなかった。
その日は帰り道どしゃ降りの雨が急に降りだしたから、
一人飲んでたら、なんだか急に悲しくなって泣き出した私の顔を覗き込んで「お前ブスやなー!」って爆笑してる。
大泣きしながら笑ってしまった。
お店を出るときも大雨は続いていて、マスターは1本しかない傘を貸してくれた。
翌日もどしゃ降りの雨、
「借りた傘返したくない」と心がつぶやいた。