それを外すなんてトンでもない！‐日常から非日常までバフバフデバフな♨(オンライン)ゲーム‐(※仮タイトル)

　武の国・知の国・法の国――主だった全ての国々が、三種に分けられた時代。
　そんな中、日本という国だけは、唯一の全種能国家として、カテゴリの外にあった。

　この物語の主人公《桑折　緑》は、MMORPG『SleepingLegacy』、大昔の世界を舞台に置いたこのゲームにおいて、300人と居ない数少ない、CβTer(クローズドベータテスター)からOβTer(オープンベータテスター)を体験したヘビーユーザーである。
　OβTの特典は兎も角、正式にサービス開始された後の『SleepingLegacy』内において、本来ならば、全てのオンラインゲームにおいても以降のゲームプレイを大変優位なモノにするはずのCβT特典アイテム。
　しかし、選択型のアイテムの中で彼自身の選んだ物が、困難なプレイを強いる物になろうとは思わなかった事だろう。

　――攻撃速度も遅く、移動速度も遅い。
　――外す事も出来ず、壊す事も売却する事も許されない、呪いのアイテム。
　これが祟り、遂に専用の掲示板において、所謂『地雷プレイヤー』として、度々プレイヤー名が挙がる程になってしまう。

　それもこれも、『SleepingLegacy』運営チーム側のミスによるものだった。

　そんな事も露知らず、『引退』の二文字を頭に浮ばせつつ、彼はゲームプレイを続けて居た……

　しかしそんなある日のメンテナンス日において、修正ファイルの適用によって曇天で続いていた彼のゲームライフに変化が訪れる。

　喜んでいたのも束の間、その翌日、学園から帰宅した彼の自室に見知らぬ女の子がベッドで寝息を立てており、更には同姓同名を名乗る謎の女子校生まで現れた。

　それは、お詫びとばかりに入れられた『とあるプログラム』が引き起こしたバグの様なモノが原因らしいのだが、果たして彼の日常はここから大きく変わって行く事となる――。