命の卵は投げられた
はじめましての方ははじめまして。
久しぶりの方はお久しぶりです。
いつもの方はいつもありがとうございます。
すべての方に、読んでくださり、ありがとうございます。
久しぶりの『なろう』投稿です。
よろしくお願いいたします。
この作品はフィクションですが、作者の夢から生まれて、
ほぼそのまま再現しました。
作者の実体験や深層心理が反映されていると思われます。
そのため、鬱病のような表現、暗い描写を含みます。
(作者は鬱病と診断されています。)
今までとは違う作風のため、読む方を限定するかもしれません。
ですが、書かずにはいられませんでした。
面白い?作品にしてゆくため精一杯努力致しますので、
お付き合いいただければ幸いです。
不定期更新だと言いつつ、早く書き上げたいとは思っています。
――・・・ねぇ。ナツ。命の卵って知ってる?
アイスランドだったかなぁ・・?北の国の昔話に出てくるの。
二人の魔女だったかが、自分たちの命の卵を投げ合うの。
毎日毎日。
『落とさないように投げ合うんだ。
卵が割れたら死んでしまうからね。』って言うんだけど・・。
じゃあ何で毎日投げ合うのかって笑う子がいたけど・・。
人間だって同じだよね。
大好きなボールを汚れるとか壊れるとか考えずに投げ合うもの。
そう考えると、魔女たちは自分で『割れたら死ぬ』
と分かっている分、賢いのかもね。
・・・魔女たちはどんな気持ちで命の卵を投げ合ったんだろう?
ひりひりした生きている実感?
それとも、唯一の死ぬ方法を試したくて、
でもその勇気がなかったのかなぁ?
・・・・・ねぇ。ナツはどう思う?
リカは大人びた不思議なことを言う子だった。
ギャルのような見た目とは裏腹に、
ときどき夢見がちなことを言う。
私たちはとあるバンドのライブで出会った。
音楽に乗せて身体を揺らし、ライトを振る。
その花火大会の後のような帰り道。
楽しかった時間の後、ふいに虚脱感が訪れる。
明日からはいつもの学校生活。
別に不満じゃない。私は恵まれているのだと思う。
家族仲は良い方だろう。
家はお金持ちではないけれど、貧乏でもない。
高校は上の中くらい。成績もそれくらい。
友達も普通にいる。
けれど、たまに家族でケンカすると落ちる重い空気。
何のためにするのか分からず惰性でする勉強。
その数値に一喜一憂する大人。
楽しそうに会話していたと思えば、
影で悪口に華を咲かす友達。
何よりその顔色を伺っている自分自身が、何より嫌だった。
それが、この先、ずっとずっと続くと分かってしまうのが、
とても疲れてしまった。
そして、ついに最近は・・
「・・・・はぁ。――――死にたい。」
そう何回目かの台詞を吐く。
「――――ねぇ。それ・・本気?」
振り返る。そこに、リカが立っていた。
キン、と音が消え、空気が凍る。
その、アイカラーで腫れたように見える目の中で、火花が散った。
その火花に魅せられて。
「――――うん。本気だよ。」
私は頷いた。何の戸惑いもなく。
頷いてしまった。
この出会いが何か違ったなら。
二人の関係は、何か違っていただろうか?