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ふふふ。
あーあ、失敗失敗。
まさか彼があんなこと願うなんて思ってもみなかったよ。
でも、残念。
僕と言う書は無くなる事ないんだよ。
どれほど破っても、捨てても、燃やしても。『僕の書』は既に、沢山の人の手に渡っているもの。
ねえ、そうだろう?
僕の独り言を読んでいる、そこの君さ。
そう、そうだ。そう、君。
今怪訝そうに眉を寄せた、画面から僕を見ている君の事だよ。
あっは! そんな変な顔はしないで?
君こそ、僕の書の最高の守り手なんだから。
あいつも、君には手が出せないでしょ?
ちょおっと。逃げようとしないでよ。
胸を張ってくれてもいいじゃない?
え? 嫌だ?
まあまあ、そう言わずに。
だって、今さら変えようのない事実だもの。
ねえ?
それにしても、おなかがすいたなぁ。
ああ、そうだ。
「さあ、今度は君の番さ。君の名前を聞かせてよ。君の物語を、僕にちょうだい?」




