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冒険者クエスト  作者: チョコミルク
剣魔学校入学~
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79 武道大会2

 ヤックとは違う闘技場ではトトの試合が始まろうとしていた。

 この会場でトトは一番始めに戦う。


「一年生Bー3、グルーミー選手の入場です!対して一年生Fー2、トト選手の入場です!」


 審判の案内で二人は武舞台に姿を表す。


「おっ、始まるみたいだぞ」


 ブロンがトトを見ながらそう言う。

 こちらの闘技場でもFー2クラスは応援に来ていた。

 因みに、ハンスは闘技場席の問題で分身を使い両方を見ることが出来ずにこっちには来ていない。


「ブロン、あいつ装備は杖だけか?」


 ブロンに話し掛けるエウリ。


「・・・そうみたいだな、それだけ余裕で勝ち抜けると思っているのだろうな」

「全く、トトがこれならヤックも同じなんだろうな」

「違いない」


 そう話しお互いに笑い会う。


 武舞台上では


「君、装備はしてきてないのかね?」


 そう審判にツッコミが入る。

 対してトトは


「俺は豹人族だからな、重たい装備は逆に意味はないんですよ」


 豹人族は素早さに特化した獣人で、確かに重たい装備をしているものは少ないが、何も装備していないわけではない、だが、審判は本人が言うなら問題ないだろうと、対戦相手のグルーミーに話をふる。


「グルーミー選手は準備は良いかね?」

「大丈夫です」


 対してグルーミーはガチガチに装備を固めた重戦士タイプ。

 お互いを見た審判も内心苦笑いをする。

 だが、審判に選ばれているだけあって顔には出してはいない。

 そして


「それでは試合開始!」


 開始の宣言する。

 グルーミーは重戦士だけあってゆっくりとトトに近付いていくが、対してトトは自分が持つスキル【加速】を使い距離を縮め。


「アクアダイブ!」


 ハンス直伝のオリジナル魔法で水属性のアクアダイブを使う。

 アクアダイブは後方に水の濁流を出し加速するだけの魔法だ。

 トトはスキル【加速】に加えアクアダイブによって更に加速状態になり、手に持っていたバトルスタッフをグルーミーの腹へ突き出した。


「ぐぼぉ!」


 グルーミーは避けることも叶わずまともにくらい、そのまま場外に弾き飛ばされた。


「はっ・・・?えっ?そ、それまで!勝者トト!」


 因みに審判にしてみては、試合開始の宣言した直後だったため、腕は上に上げたままで、まさかこれほど早く勝負が着くとは思わず、場外に落ちたグルーミーとトトを何回も見て、状況を把握し勝者の宣言をする。


「大分、使えるようになってきたなハンス直伝。だが、まだ俺は強くなれる」


 そう呟き控え室に戻っていく。

 トトが控え室に戻ってきて声をかける者が居た。


「よう、トトお疲れ」

「エリオット様・・・いえ、疲れてはいないですよ。直ぐ終わりましたし」


 それはエリオット第二王子だった。

 エリオットは喜んだ顔でトトを迎えるが、直ぐに暗い顔になる。


「それもそうか・・・だが、残念だ」

「何がです?」

「俺や他のSSのクラスメイトも全員が、こっちの闘技場になってしまったことだよ・・・しかも、こっちにはトトが居るし・・・」


 武道大会のトーナメント表を指差しそうエリオットは言う。


「そっちですか・・・だがあっちにはブイエルとヤックが居るんで俺としてはホッとしてますよ」


 何が残念か分かったトトはそう答える。

 エリオット達はトトと同じ会場になり、悔しがっているがトトはブイエルとヤックと同じ会場でないことに喜んでいた。


「そうなんだよな・・・・・・本当にハンスの特訓組どうにかならないかな?」

「ふふっ、ハプニングに期待ですか?」

「だって、俺も特訓に参加しているが、はっきり言って勝ち目無い事分かっているさ・・・ってか、Fー2の代表に落ちた者達でも勝ったことがないのにな・・・・・・」


 そうなのだ、いくらSSクラスの成績が優秀でもFー2では戦闘面では平均以下の実力しかない。

 それは、戦い方の相性にもよるが・・・・・・。


「試合では手を抜きませんよ?」

「当たり前だ、全力で闘って思いっきり散ってやるさ」

「責めての救いは、私と王子の対戦はこっちの会場で決勝の時ですね」

「俺のくじ運に感謝だな」


 二人が話す通りに勝ち続けていたら、こっちの戦いでの1位と2位までがもう1つの会場の、1位と2位と戦えて、そこで、優勝と準優勝が決まるのだ。


「そうだ、この対戦が終わって次はケンチムの出番ではないか?」


 そうエリオットがケンチムに向けて言う。

 対してケンチムは今まで目をつぶり自分の試合に向け、瞑想していた。が、エリオットに話を振られ目を開ける。


「そろそろか・・・エリオット、感謝している。素晴らしい特訓の機会を与えてくれて」


 ケンチムは犬の獣人だ。犬獣人は嗅覚と聴覚に優れ、忠誠心が高い種族だ。

 ただ、種族特性からあまり魔法が扱えないとされ、戦闘よりも探索等で活躍をしている種族。ってのが一般常識だった。

 その犬獣人のケンチムはハンスの特訓を受けるようになって、劇的に変わる。


 ケンチムの戦闘スタイルは元々、軽戦士タイプだったがハンスに言われ、二刀のナイフを扱う超接近の戦士に変更した。

 初めは今まで培った事が全否定されたことに憤りを覚えたが、いざやってみると、憤りが感謝に変わる。

 そして、変わったのは武器や戦闘スタイルだけではない。

 苦手だった魔法も難なく使えるようになったのだ。

 ただ、放出系の魔法は今までと同じで苦手だったが、いわゆる強化魔法等に対しては、すんなり使えるようになっていた。


 ただ、惜しいことにSSクラスの生徒全員に言えることだが、特訓の期間が短すぎた。

 Fー2は今までガッツリ特訓出来ていたので、戦闘力は劇的に伸びているが、SSクラスは発展途上の状態だった。

 ただ、特訓を始める前と比べたらかなり差は出ているが、Fー2クラスから見れば誤差の範囲に収まる程度・・・・・・他の生徒から見れば驚愕するレベルではあるが・・・・・・。



 そうこうしている間に試合が終わり、ケンチムの番が回ってきた。

 審判に呼ばれるままケンチムは武舞台へと足を運ぶ。


「では、行って参ります」

「おう!いつものようにな」

「期待してるぜ!」

「無事に戻ってくるのを期待してるよ」


 仲間からの応援をもらい今ケンチムの闘いが始まろうとしていた。


 ケンチムは対戦相手をまず観察する。

 対戦相手は戦士のようで、それを確認するとケンチムは少なからず安堵する。


 この初戦は勝ち抜けそうだ。


 そうケンチムは心中で思い、体制を低くし両手にナイフを握り構える。

 対戦相手もロングソードを構え審判の開始宣言を待つ。


「それでは、始め!」


 そうして開始され、ケンチムは体制を低くしたまま走り距離を縮める。

 相手もその行動が分かっていたようで、慌てるようなことはせずゆっくりと前に進み、自分の間合いに入ったケンチムに対して上からロングソードを振り下ろす。

 本人から見てその攻撃は決まったと確信できる攻撃だった。


 対してケンチムは振り下ろされるロングソードに対して、そまま

 距離を縮め、ナイフをロングソードの腹に当て流れるように攻撃をずらす。

 そうして出来た相手の隙にナイフを喉元に付きかけ・・・。


「なっ・・・ま、参りました・・・」


 と勝敗が決した。


「勝者ケンチム!」


 そこで、ケンチムに対して観客から拍手が鳴り響く。

 ケンチムは対戦相手と握手を交わし、観客の拍手に対して各方向に軽く頭を下げ武舞台から控え室に姿を消す。


「よぉ!ケンチム、新しいスタイルは調子が良いみたいだな!」


 そう声をかけるエリオット。


「いえ、まだまだ。まだぎこちない箇所が多い。だが、このスタイルは自分に合っているのが日に日に分かる・・・」


 ケンチムは手をグーパーグーパーしながらかえし


「ハンス殿の狂いは無かった・・・」


 そう続ける。


「ケンチムもそうだが、ハンスの一言で何人もスタイルの変更が合ったんだよね?」


 そうエリオットがトトに聞くと。


「ああ」


 と短く答える。


「皆は勿論、鑑定の水晶は行っていて、そこでは新しいスタイルは何も出ていなかった・・・と、ふむ・・・1人、2人なら話が分かるけど、何人もか・・・・・・ハンスは人に見えない何かが見えているのかな?」


 エリオットのその言葉でトト達は改めて考えさせられた。

 それから何試合も続き、SSクラスのシスムの番になる。


 シスムはケンチムとは違い魔法使いタイプ。

 魔法使いタイプと言っても、少し変わっている所がある。


「それでは試合開始!」


「うふふっ」


 開始と同時に笑い出し、相手から見れば何やら戦闘を楽しんでいるように思える。


「頑張って、長く対戦しましょ」


 相手の選手はショートソードを構え、シスムに接近する。

 対してしの武器は珍しくトンファー・・・そう、トンファーだ。

 対戦相手とシスムはお互いに接近し、それぞれの武器を振るう。

 初撃はお互いの武器がぶつかりそれだけに終るが、その後も何度もお互いの武器がぶつかる。


「くっ!」


 試合開始から何分も時間が経ち、相手には疲れが見え始める。


「ちょっと!何やっているの?まだまだ全然足りないわ!もっと打ち合いましょ!」


 対してシスムには疲れは全く無い様子で今だ元気だ。


「もう、全然ダメじゃない!それなら攻撃当てていくからね」


 今ではシスムが打ち合いを楽しんでいたが、相手が疲れ始めた頃には、シスムのトンファーが対戦相手に当たり始める。


「ぐふっ!」「うっ!」と当たる度に苦痛で声が漏れ始めた。


 それから何度も何度もそれが繰り返し


「そ、それまで!シスム選手の勝利!」


 相手が気絶したところで、審判はそう宣言をした。


「・・・・・・はぁ、今から楽しくなるとこだったのに・・・」


 そう呟き武舞台から控え室に戻っていく。



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