45 ダンジョン地下3階
ハンスのダンジョン3階探索は続いていて、これまで倒してきた魔物はスライムのみ、ドロップアイテムもスライムの体液や魔石だけとあまり旨味がない内容だ。
今はただ倒してはドロップアイテムを拾うという作業とも言える探索になっていた。
途中で昼御飯を食べたり、宝箱を見つけトラップの解除に挑んだりしていたが、これ迄見つけた宝箱は全部で4個、中身は銅貨やゴブリンのボス部屋の宝箱で出たコアの欠片だった。
せめて普通の宝箱にコアの欠片が入っているなら、ボス部屋の宝箱の中身をもっと良いのをくれよ・・・と思い目の前の扉を開ける。
扉の奥はそこそこ広い部屋になっていて奥には扉も見えた。
今までだったら宝箱があったり、魔物が居たりとしていた部屋だけに少し立ち止まって部屋を見渡す。
「この部屋には何もない?」
その宝箱も無い魔物も居ない部屋を横切り奥の通路に進もうとしたが、突如頭の上から何かが降ってきた。
「うわっ!」
なんとか間一髪で避けれたもののハンスは何が降ってきたのかを確認する。
名前 ーーー 種族 ビッグリザードベビー 年齢 3
職業:無し 装備 無し
固有スキル 【疑似色Ⅱ】
常時スキル【丸飲み】
「ビッグリザードベビー?リザードってトカゲのこと?こいつも魔物なのか?その前に部屋を見渡す限りこいつ居なかったよね?」
落ちてきたのはビッグリザードベビーという魔物で、今もなお力一杯威嚇なのか「シャャャーッ!」と両手を上げハンスを睨めつけている。
大きさは20㎝で体の色はダンジョンの壁と同じ灰色だ。
「・・・小さい・・・可愛い・・・いや、格好良いのか?」
甲高い声で一生懸命に威嚇する姿は癒されるが、その立ち振舞いは何処と無く格好よくも見える。
・・・これ、餌付けしたら仲良くなれるんじゃね?そう思い、おもむろにアイテムボックスから小さな干し肉を取り出す。
「ほら、干し肉だぞ!食べるか?」そう言ってハンスは小さな干し肉片手にビッグリザードベビーに近付いていく。
「ほら、そんなに怒るなって。美味しいぞ!ほら」
「キューゥ・・・」
ビッグリザードベビーも次第に威嚇しなくなり、ハンスが持っている小さな干し肉・・・ビッグリザードベビーにしたら自分の顔よりも大きい干し肉だったが首を傾げながら見つめてくる。
そうこうしている間にビッグリザードベビーの口の前まで干し肉を近づけたハンス、ここでビッグリザードベビーも動き出した。
「ガブッ!」
「!!」
ほんの少しの間ハンスは時が止まったような間隔がした。
「か、か、か、か・・・」
ビッグリザードベビーの仕草に壊れてしまったかの様なハンスだったが、要約ある言葉を発せれた。
「か、火球ぅ・・・」
ハンスが発した火球の魔法はビッグリザードベビーの体内で暴れ、周囲には焼けた肉の臭いが漂う。
その臭いも良い臭いではなくて、不快を感じる臭いだ。
「うっ、うっ、う・・・」
ハンスは自分がした行動の愚かさに少しだけ後悔をした。
今し方何があったかと言うと、ビッグリザードベビーの口の前まで小さな干し肉を近づけたまでは良かったのだが、まさかビッグリザードベビーがハンスの手まで小さな干し肉ごと呑み込もうとしたのだった。
あんな小さな体で、まさか自分の拳まで呑み込むとは思いもよらず、ハンスは思考が止まってしまった。
頭が動き出した時には無意識で火球の魔法を唱えてしまったのは更に追い討ちをかけてしまっていた。
その時のビッグリザードベビーの様子は、蛇が自分の口よりも大きなものを丸飲みしたかの様な状態で、実際にハンスの手は喉の奥にまで入っていっていて・・・何とも気持ちが悪い状態だった。
「うっ、うつ、気持ち悪かった・・・でも、ビッグリザードベビーが・・・」
焼けた肉と化したビッグリザードベビーはドロップアイテムに変わり収納し、ハンスは探索を開始し奥の扉を抜けるのだった。
結局、何も居なかった部屋に突如として現れたビッグリザードベビーだったが、どうやって?隠れていた?いや、何処から現れたのか分からず、咄嗟の出来事でその事も忘れ探索に戻るハンス。
あの後もスライムやビッグリザードベビーとは幾度となく出逢い、先程の感情を忘れるようにハンスは殲滅していった。
ビッグリザードベビーはやはり何処からともなく降ってきたりしていて謎な魔物だったが、軽く一蹴り入れた相手を少し放置してみたら、驚くことにダンジョンの壁と灰色だった体の色が変化し、ビッグリザードベビーが動かなければ見付けるのにパッと見では分からないようになってしまった。
再度鑑定を使ってみると、スキルに【迷彩】ってあったがもしかしたらこのスキルが影響している結果かもしれない。
神格に聞いてみてもいいが、帰ってくる言葉は大抵※※※教えるのは簡単です。が、其ではハンス様が成長しないのである程度経験を※※※との事である。
いつからか性格が厳しく、スパルタなスキルになってしまった。
教えてくれるときは教えてくれるのに・・・
※※※これもハンス様の為です※※※
・・・あっ・・・はい、すみません、ありがとうございます。
因にここまでに手に入ったビッグリザードベビーのドロップアイテムは、ビッグリザードベビーの肉と爪、更にはビッグリザードベビーの魔石や、スライムは体液と魔石のみと余り旨味がない内容だったが、そうこうしているうちにハンスはボス部屋の前まで来ていた。
扉はダンジョンの内の通路にある扉よりも豪華に出来ていて、扉 には何かの魔物の顔が装飾されている。
よって、不意に扉を開けいきなりボスモンスターと戦うという辛い体験しなくていい。
まぁ、ハンスはダンジョンはここが初めてで、よそのダンジョンがどうなっているか実際には知らないが、ここのダンジョンはそう言うところは優しさを感じられる。
トラップは嫌いになったが・・・
扉を開けると中はやはり広い部屋になっていて、奥にはボスモンスターが居た。いや、ボスモンスター達が居た。
名前 ーーー 種族 コボルトリーダー 年齢 0
職業:無し 装備 石の剣 皮の服
固有スキル 【遠吠えⅠ】
常時スキル【統率Ⅰ】【見切りⅠ】【剣Ⅰ】
名前 ーーー 種族 コボルトリーダー 年齢 0
職業:無し 装備 石の槍 皮の服
固有スキル 【遠吠えⅠ】
常時スキル【統率Ⅰ】【体力Ⅰ】【槍Ⅰ】
名前 ーーー 種族 コボルトリーダー 年齢 0
職業:無し 装備 石の斧 皮の服
固有スキル 【遠吠えⅠ】
常時スキル【統率Ⅰ】【力Ⅰ】【斧Ⅰ】
名前 ーーー 種族 コボルトリーダー 年齢 0
職業:無し 装備 弓 矢 皮の服
固有スキル 【遠吠えⅠ】
常時スキル【統率Ⅰ】【集中Ⅰ】【弓Ⅰ】
名前 ーーー 種族 コボルトリーダー 年齢 0
職業:無し 装備 スモールシールド 皮の服
固有スキル 【遠吠えⅠ】
常時スキル【統率Ⅰ】【守りⅠ】【盾Ⅰ】
名前 ーーー 種族 コボルトリーダー 年齢 0
職業:無し 装備 ロングボウ 皮の服
固有スキル 【遠吠えⅠ】
常時スキル【統率Ⅰ】【賢さⅠ】【棒Ⅰ】
名前 ーーー 種族 コボルトリーダー 年齢 0
職業:無し 装備 皮の服
固有スキル 【遠吠えⅠ】
常時スキル【統率Ⅰ】【敏捷Ⅰ】【体術Ⅰ】
名前 ーーー 種族 コボルトリーダー 年齢 0
職業:無し 装備 杖 ローブ
固有スキル 【遠吠えⅠ】
常時スキル【統率Ⅰ】【魔力Ⅰ】
スキル【聖魔法Ⅰ】
名前 ーーー 種族 コボルトリーダー 年齢 0
職業:無し 装備 皮の鞭 皮の服
固有スキル 【遠吠えⅠ】
常時スキル【統率Ⅰ】【運Ⅰ】【鞭Ⅰ】
見たままにコボルトリーダーが持っている装備でどんな行動をするかは大体予想は出来たが、鑑定をした結果スキルに持っている通に装備がキチンと揃っていた。
持っている武器も質の悪い武器ではなく、新品同様の装備をしている。
基本のスキルで、【遠吠え】【統率】等は仲間のコボルトリーダーと同じだが、その他のスキルは【力】やら【守り】等で強化されている分、普通の人は苦戦するかも知れないけど、9匹とは多くね?しかも全員コボルトリーダーで【統率】持ちって・・・。
そうハンスは考えていた。
コボルトリーダーだけで9匹で、他にコボルトもその他の従える魔物も居ない。
果たして意味があるのかないのか分からないが、ハンスが相手にしたこと無いような武器まで扱うコボルトリーダーまでいるから戦いにくいだろう。
だが、今のハンスには少し物足りないような相手にも思える。
上の階のボスモンスターであった、ゴブリンソルジャー達の連携はそれなりに面倒だったが、苦戦はしていない。
以前仲間の魔物であるゴブリンのゴータは5階までは行っていたと言うから、何処と無くただのゴブリンだったゴータが上の階と、この階のボスモンスターを倒していることは驚きはある。
余程ハンスのもう一人の父であるバルベリアさんが気合を込めて鍛えたに違いない・・・どんだけハードな内容だったのか今度聞いてみるかと思い、ハンスは2本のショートソードを構えるのだった。




