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安藤司

「素晴らしい実りだ、安藤」

 龍城官邸執務室で報告を受け終始ご機嫌の黄第一書記。

各地より続々と、リリーが行った大聖魔法による土地改良の結果の報告が届いている。

「安藤、それにしても、まさか一か月で収穫できるとは」

 リリーが行った魔法による改良された土地では恐るべき速さで植物が実っていった。

主食の米の栽培に、僅か一カ月である。

安藤も試食したが、品質においても、日本で単一米で出しても全く問題ない水準のものだった。

「これで食糧問題は解決、これから確保しておいたルートを使って、外貨と資源の確保です。

それから、人民の感情をよくするためにも、配給量を増やす事は間違いなくお願いしますね」

「もちろんだ、人民の腹を満たす。条件にも有った通り実行させてもらう」

 一か月で卑屈な笑顔が絵になってきた第一書記に満足する安藤。

「お願いしますよ」

「ああ、言う通りにしていたら全て良いように回っている。これからも頼む」


 黄と地位協定を結んでから、安藤は次々に北朝鮮が抱える内政・外交問題に着手した。

といっても、あのパフォーマンスのおかげで、問題の外交交渉の相手達が対話姿勢になってくれている。

 今までは威嚇、挑発を繰り返していたが、張りぼてではない『本物』の戦力を有したのだ。

当分は不要なミサイル開発や、周辺国を挑発する発射演習など不要になる。必要になれば買えばいいのだから。


 龍城の官邸内に自室を用意させている安藤。

安藤は外交交渉の条件管理も行っているが、交渉の場に出る事は殆どない。

表向きは第一書記が主導している事になっているのだ。

 ただし、最初に報告するのは第一書記ではなく安藤にするよう決められている。

「馬鹿が調子に乗るのだけは避けないとね」

 中国、ロシアの友好はまず押さえないといけない。当然、物資、資源、兵器購入の主要取引相手だ。

 特にロシアだ。中国軍はいざという時は、張り子の虎で、簡単に総崩れしてしまう事があり得るが、ロシアはそうではない。

ロシアを押さえれば大規模衝突はほぼ起きないとみていい。

安藤は確信している。ロシアへの土産、これは効果があると。


 更に安藤は、幹部、人民にいたるまで、見せしめの処刑は可能な限り減らした。

探知魔法を応用すれば本当の敵は直ぐにわかる。不要な処刑は対外的に非常に不味い、国連からの良い攻撃材料だ。国内の不満も煽る事になる。

 それに、有能な人材の死は国力の低下に直結する。

もう既に有能な人材の大部分は失われてしまっていたが。


 国連も食料配給量の増加、武力による威嚇行為の廃止、処刑人数の激減、こうなってしまうと。手も足も出せなくなるだろう。

持っている兵器は核兵器ではないのだ、誰も文句は言えない。


「いやいや。勇者達がいると本当に充実した毎日が過ごせますね。」


 内政、外交ともほぼ安藤の手中にあると言ってよかった。

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