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懸念事項

 官邸 総理大臣執務室


「総理、カーターだ。そちらにもリンクしていたはずだ。映像は見ていただろう」

「大統領、拝見させて頂きました。勇者を名乗るディルという青年の方は想定内でしたが、本命はそちらではないようですな」

「あれは不味い。いざとなれば、力でと思っていたがそうもいかんらしいな。それに、他の問題がある」

 ああ、あれの事かと岸は考える。

「次の大統領候補、あいつはダメだ。世界の安全保障というものを全く理解していない。自らパワーバランスを破壊していこうという愚か者だ。

今回の件も、アジアの小国での出来事で、自分たちには関係ないと言って煽ってやがる。

総理も任期が短いが、私だってそう変わらん。私が大統領である内にこれは片づけなければならないだろう」

「仰る通りだと思いますが……」

 恐らく岸との懸念事項は同じだろう。

「総理の懸念ももちろん分かっている。中国だろう。

あれだけ冷え込んでいた関係の修復を、中南海が今慌てふためいて改善に走っている。

こちらも、もちろん中南海とは接触を取っているが難しいだろうな。

中国とのパイプが戻ってしまったら、食糧だけでなく資源も手に入ってしまう。そうなると手が付けられん。しかも、ロシアまで原油の供給の上乗せ、最新ではないが戦闘機、艦船の売却を打診しているそうだ。

他にも、石油の精製プラントの技術供与をしようとしている国まである。安保理も絶対にひっくり返らん。

思いあがった三代目が暴走して、話を蹴ったなんてことが無い限り、解決は困難を極めるよ」

 しかも、向こうには安藤がいる。絶対に大きなミスはしないだろう。

第一書記だけならその可能性も大いにあったが、もう首根っこを掴まれていると言ってもいい。

「第三次世界大戦なんてならないようにせんとな、私も総理も歴代最低の汚名は避けたいな」

 少し、自嘲したような笑いが電話の向こうから聞こえてくる。

「ともかく。日米、いや、先進国先導で北朝鮮、ロシア、中国を引き離さんといかん。

それに、韓国は今や大パニックだ。南北統一の話もまた噴き出てくるだろう、これも止めんとさらに厄介な事になる。明後日は首脳会議もある、日米歩調を合わせていきたい。その為にはこちらもフォローさせてもらう」

「もちろんですよ大統領。そのことについて、日本政府として異存等ありません」

「そう言ってもらえると助かる。ではまた総理」

カーターがそう言うと通話は切れた。



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