ビデオレター
官邸 危機管理センター
勇者達が北朝鮮に渡って5日後。
朝鮮総連より封書が官邸宛に届けられた。
先に確認はしていたが、昼過ぎに到着したクライドルと共に再度内容を確認する。
モニターには勇者達5人と安藤が映っていた。
中央にいるのはミリス。なぜか勇者は一番端にいる。
「岸総理と魔王クライドルも見ているのかしら。先日のパフォーマンスはどうだったかしら。楽しんでいだけた?」
腕組みして、必死で威厳を出そうという感じが伝わってくる。
「ぶーちゃんも、私達にはとっても良くしてくれてるわ。最初はチョット偉そうだったけど。岸総理と違って、今はとっても良い子よ」
ぶーちゃん。考えたくもないが第一書記の事だろう。
「それに、お城をくれるそうよ。元はホテルの予定だったらしいんだけど。それにメイドや奴隷もたくさんつけてくれるそうよ」
柳京ホテル。物資が足りず未完成のままだった。多分そうだろう、物資の供給に問題無くなればそこの可能性が一番高い。
また、完成させれば、北朝鮮が資源や外資の獲得に成功している証の一つになる。
奴隷は収容所の人間達だろう。
「まあ、とにかく私たちに良くしなかったことを今から後悔しなさいってことよ」
ミリスは興奮して喋っているようだが、他の四人は特に興味はなさそうだった。
安藤から言われたのでとりあえず映っているというところか。
「岸総理ご無沙汰しています。安藤です」
ホテル襲撃からまだ数日しかたっていないのに、嫌味な言い方だった。
安藤はまた底冷えのするような笑みを浮かべる。
「そこに魔王クライドルがいるのならもうご存知でしょうが、我々は感知されることもなくソウルを火の海にする事が出来ます。
ただ、世界中の首脳の皆様は、まだ実感がわかないかと思われますので、近々デモンストレーションを行います。
おっと、心配しないでくださいね。私は平和主義者なので、人命が失われる様な事は無いよう配慮して行いますので。
それと、もう期待されていないと思いますが、我々がこの地で粛清を受けたりすることはありませんよ。
それが不可能だというのはもう身に染みるほど理解されているようですので」
やはりコントロールなどできる訳がなかったのだ。
これではそう遠くないうちに、第一書記は安藤の傀儡になるだろう。
とんだ考えなしだ。改めて三代目の愚かな指導者に頭を悩ませる岸だった。
「でわみなさーん。またおあいしましょー」
リリーのんびりとした挨拶の後映像が途切れる。
「クライドルどう思う」
「そうですね。多分デモンストレーションは、もう予想されているかもしれませんが。
射程40km位で、どれくらいの威力が出せますよ。というものでしょう。
恐らく日本海当りでやるのでしょうね。ミリス、勇者どちらが実行するかは分かりませんが」
「やはりそうなるか…。各国首脳に連絡を数日中に日本海上で大規模な爆発が起こる可能性あり。
規模は90キロトンを超える可能性がある」
これでスパイ衛星を持っている国は可能な限り、情報収集してくれるだろう。
危機意識を煽るのにはちょうど良いのかもしれない。
もちろん違う問題も出てくるだろうが…
岸はそう考えて、髪を撫でつけた。




