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20/51

把握

 勇者達の朝は遅い。

お昼前に起き出し、かなり遅めの朝食をとる。

ホテル滞在から5日経っていた。


 毎日夜中まで馬鹿騒ぎをして。食べ物を食い荒らし、思うままに飲んでいた。

前の世界には飲酒の制限は無いらしい。

飲むだけ飲んで、ふらふらになりながら自室で倒れこむように寝る。

 ミリスが勇者と寝るのだと、駄々をこねて騒ぎになったことが二回あったが、全員がミリスを制圧するため、大して時間はかからなかった。


 官邸が憂慮していた、生活パターンに関しては、無理に介入する必要はなさそうだった。

「おい檜山。葡萄酒をもう一杯だ。喉が乾いてきたから、またシュワシュワするやつを頼む。」

 スパークリングワインは向こうの世界には無いらしく大好評だ。辛口から甘口まであるので皆お気に入りの物があるようだ。

 キリアは中々の大酒のみだ。最後は絡み酒になり、勇者への愚痴を永遠と呟き始めるのがお決まりらしい。

 途中、「何だお前はそんな事も分からんのか、それだからお前はダメなんだ!」と、罵られるとばっちりを受けた檜山は、大変幸せそうだった。彼の成長は止まる事を知らない。


 ミリスは変わらず上から目線だ。勇者に対しても引くところがない。

しかし、酔っぱらうと勇者に甘えだすところや、「べ、別に勇者の事なんて何とも思ってないんだからね!」等という、テンプレツンデレ魔法使いのセリフは、檜山の頭の中では「べ、別に檜山の事なんて何とも思ってないんだからね!」に自動変換されるようになっている。

 幻聴も聞こえている様であった。

もしかしたら、一日中プールを監視している際に、暑さで少し脳が溶けかけているのかもしれない。


 リリーとエミリアはとても仲が良いらしい。

いつもびくびくしている感じのエミリアは、おっとりとしたリリーの事が大好きの様で、いつもくっついている。

 仲良しの二人に檜山はスマホで写真を撮ってあげた。

 最初のうちは、スク水の二人に「おじさんが写真を撮ってあげよう」と、もはや事案以外何物でもない台詞を吐いていたのだが、写真も向こうではない技術らしく、最近では二人で新しいポーズを考え、檜山に写真を撮るようねだってくるようになった。

 黙々と二人の写真を撮る檜山の姿は、まさしく紳士であった。


「檜山さーん。こっちに来てくださーい」

「ひ、檜山さん、お、お願いします」

 分かりました。もう法の壁なんて打ち破りましょう。今の檜山なら障壁魔法も打ち破れそうである。

「これですー。これを撮ってください」

 今日はホールのケーキが食卓に上がっていた。きれいな細工を施されたケーキに感動して、リリーとエミリアはケーキと一緒に写真を撮ってほしかったようだ。

 リリーさん、安心してください、自分が近々ウエディングケーキを用意しますから。

まったく安心できない事を考えながら、一心不乱に写真を撮る檜山だった。


 ここ五日間での行動を、監視カメラから確認したところ、食事の時の乾杯は皆同じものを飲むのが通例になっている様だ。

ただ、飲み始めてから、ベットに入るまで長いと5時間近く騒いでいる事が有る。乾杯のドリンクに眠剤を入れるのは難しそうだった。

 今日のケーキは好評だった様だ。全員が口にしている。

五日間食事のバリエーションを変えながら、食事の後半に、全員が手を付ける物のリストアップを行っていた。

 時間は迫ってきているため、あまり悠長には構えられない。

全員が好物だ有ったとしても、たまたま手をつけないものが一人いるだけで計画は実行すらできない。

 念のため、勇者達が設定した期限5日前から実行部隊に現地入りする予定である。

隊員たちの演習もあるため、これでもぎりぎりだった。

その為、最善なのは隊員たちが現地到着するまでの後4日間で、彼らの嗜好を把握する事だ。

 現在のところ、作戦日、内容、全てホテルに入っている職員には伝えられていない。

これに関しては安藤ですら例外ではないのだ。


 そして、安藤はいつも勇者達との会話を楽しみながら食事をしていた。





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