運を上げて上げて上げたい
よろしくお願いします
『…次のニュースです。この夏、日本初のVRゲームが発売されることになりました。世界で見ると、アメリカ、イギリスに次いで3番目となります。作成にはおよそ4年ほどかかったそうです。VRを楽しめる、ヘッドギアがセットで購入出来るそうなので、注目されています。先週の日曜日から来週金曜日までが応募期間ですので、お早めにお近くのゲームショップに向かわれるのが良いでしょう。次のニュースに移ります。』
「へー、面白そうじゃん応募しに行こうかな〜」
そう言いつつもその場を動こうとしない青年、道田藍佑。21歳。大学生だ。特に何かに秀でてるわけではないが、藍佑の家族(藍佑を除く)は異常なほどに運がいい。例えば中学2年生になる弟の郷人はショッピングモールのガラガラではほぼ毎回一等を出し、母親の富美枝は懸賞のついたクロスワードをよくやるが、最低でも3個は商品が来る。極め付けは父親神羅。ジャンボと名のつく宝くじを買えば1億当たるのは当たり前。そんな家庭に生まれた。自分にはなんで運がないんだと悩むこともあったが、周りからお前が普通なんだと言われ、開き直ることで諦めがつき今に至る。家族はだいぶ変だが、藍佑は普通の大学生で、今は夏休みに入ったところ。特に働く理由もないため、のんびり暮らしている。そんな時にこのニュースが出た。藍佑も、普通にゲームくらいはする。欲しくなるのも当然だろう。だが、どうせ当たらないだろうと腹をくくりだらけていたところだった。
ニュースから2週間後、この日は応募から2日たち抽選結果の知らせと共にヘッドギアが届く日である。
ピーンポーン
「こんな日に誰だよ、だりぃなぁ。はーい」
「道田富美枝さんにお届けものです。ハンコお願いします」
「はーい今行きまーす」
「大丈夫です。それでは、ありがとうございました」
「はーい」
「なんなんだこれは?」
そこそこ大きいダンボールで出来た箱だ。するとすぐに…
ピーンポーン
「今日は来客が多いな。はーい今行きまーす」
「道田郷人さんにお届けものです。ハンコお願いします」
「はい、ハンコ」
「こちらがお荷物となります。ありがとうございました。」
「はーい」
「なんでこんなに荷物多いんだ?」
その日の夜
「そういや兄さん、荷物届かなかった?」
「来てたぞ」
「あっ、私のは?」
「そっちも来てたぞ」
「あれ、兄さんへのプレゼントだから後で開けてみてね」
「私も藍佑へのものだから見てみてね」
「お、おう」
「なんだ…俺からもあるんだ」
「えッ…」
「部屋に置いといたからな、後で開けてくれ」
「わかった。けど、どうしてみんなして今日プレゼントなんか…」
「何言ってんの今日藍佑の誕生日じゃない、忘れてたの?」
「そういや、そうだったような…そうじゃなかったような…」
「「「はぁ…」」」
夕飯後、自室にて
今日のご飯がちょっと豪華だったのはそのせいか。それにしても自分の誕生日忘れるなんて…まぁ開けてみるか
「郷人のからだな……ウォッ!!この前ニュースでやってたVRゲームじゃん。こんなの買って大丈夫なのかな?貰ったものは仕方ないありがたく貰おう。次だな、母さんのは…あら?これもVRゲームじゃん。1個でいいけどなありがたく頂戴しよう。父さんのは…例のVRゲームだね。ありがとう〜はい、2つ余ったけどどうしようか…とりあえず置いておこうそれがいいうんうん」
ピーンポーン
「はーい」
母さんが出たようだ。
「藍佑ー新潟のお爺ちゃんとこから荷物よ〜取りに来て〜」
「今行く」
再び、自室にて
「何が入ってるかな…ウォッ!!この前ニュースでやってたVRゲームじゃん。4個目だねあはははは…みんな〜ちょっと来てー」
「なにぃ?」
3人とも藍佑の部屋に入ってきた。
「実はね、今、この前ニュースでやってたVRゲーム4個あるんだけど、みんなでやらない?」
「「「…は?」」」
「ようは、みんな同じものくれたわけね、だから一緒にやらないかって…」
「いいわ」
「別にやることもないしいいよ」
「たまには家族で何かをやることはいいことだな、仕事辞めてくるな」
「「わかったー」」
「ええええええ、そんなことくらいで仕事やめないでよ。お金がなくなる…ことはないか」
「明日のお昼から配信開始だから、それまでに説明書読んでキャラ作っておくこと。それでいいか?」
「「はーい」」
「り、了解」
みんなすごいやる気なんですけど…
次の日の朝
「説明書って言っても配線とかがどうこうとかだったから、あんまり読む必要なかったな。よし、完了。それでは早速」
ダイブ・オン
『Change Status Onlineへようこそ。ナビゲーターのシーサです。よろしくお願いします』
「よろしく」
優秀なAIだな…
『先ず初めに、このゲームについて説明させていただきます。Change Status Online、以降CSOとさせていただきます。では、現実世界の8倍で進んでいます。なので、身体的影響を考え、現実世界で、1日16時間までとさせていただいてます。又、身体に異常が出てきた場合、こちらから警告をさせていただき、応じなければ、強制的に回線をシャットダウンさせてもらいます。ご了承ください。更に、ゲーム内での待ち合わせなどは困難なので、ダイブした直後はすぐさまゲームに移動するわけではなく、今いる様な場所に移動することも可能です。上手くご活用ください。とりあえずここまでの説明で何か質問はありますか?』
「特にないです」
『それでは、次はゲームの進行に直接関わる説明をしますので、CSOを起動させてください。」
「はい」
リンクイン
『こちら、チュートリアル専用ステージです。CSOでは敵となるモンスターを倒してステータスを上げていくゲームです。敵を倒す方法は武器を使った攻撃、スキルを使った攻撃、アイテムを使った攻撃の3つです。ここで、重要なのが職業です。アイテムは基本的に誰でも使えますが、武器とスキルは職業により、大分変わっており、制限がかかっていたり取得できなかったりします。例えば、魔法使いの人が両手剣を持つことは出来ません。戦士の人が魔法を使うことができないなどです。これは実際に職業に就いてみないとわかりません。次に今出たスキルについて説明をします。スキルとはSPを消費することで普通ではできないことを可能にするもので、SPがなくなると使用出来なくなります。時間によって回復するので、一度使い切ってしまったら永遠に使えなくなるとかではないので安心してください。それでは早速戦闘に移りたいと思います。少し奥にウルフがいます。剣を渡しますので倒して下さい。それではどうぞ』
「え、はい」
藍佑はすぐ側にある鉄の剣を持ち歩いて行った。
こんな重そうなのなんでもてるんだろうな…てかこの人本当にAIなのか?やけに人間味を帯びていて恐ろしい限りだよ。てかそもそも攻撃食らったら痛いんじゃない?まぁ気にしたら負けだ。死ぬことはないんだし
ガルルル…
でたぁ〜とりあえず剣であいつを切ればいいわけね、
「うぉぉぉぉ」
ガルルァァァァ
「いてっ」
ザシュッ
キャィーン…バタッ
《レベルが上がりました》
『お疲れ様です。レベルが上がりましたね。レベルとはモンスターを倒して経験値を集めれば上がり、ステータスポイントとスキルポイントが手に入ります。おや?ウルフからダメージをもらいましたね。ダメージをくらうとHPが減り、これがなくなると死にます。これで主な説明を終わります。何か質問はありませんか?』
「痛覚ってどうなっているんですか?」
『現実世界の10分の1程度ですね』
「ありがとうございます 。とりあえずは大丈夫です。」
『1度ゲームから出てください』
「はい」
リンクアウト
『これでチュートリアルは終了です。最後にステータスを作成してください』
「えーと、適当に埋めりゃいいのね」
ステータス
名前:ーーーLevel1
性別:male
職業:
所持ポイント1000
ATK:1
DEF:1
INT:1
MEN:1
DEX:1
AGI:1
LUK:1
スキル
所持ポイント20
称号
「えー、これはこうでこうしてなぁ…うーむ…」
ステータスを完成させるのに2時間ほどかかった。
ステータス
名前:アイLevel1
性別:male
職業:農家
所持ポイント0
ATK:1
DEF:1
INT:1
MEN:1
DEX:1
AGI:1
LUK:1001(1000)
スキル
所持ポイント0
土属性魔法lv1、農業lv1、幸運大アップ、幸運中アップ、幸運アップ
称号
幸運を引き寄せる者
これでよし、うちの家族みんな運がいいんだからゲームくらいみんなより運が良くないと割に合わんよ。
『完成した様ですね。それでは楽しんでください。何かわからないことがあればヘルプを見れば分かりますので。それでは』
「ありがとうございました」
「ん?なんでチュートリアルできたんだ?今の時間は…うわァァァァァァ」
ダイブオフ
「ごめんなサァァァァぃいぃぃぃぃぃいぃ」
ありがとうございました