タイトル未定
美女がどろどろした液体啜ってます。
「お前――なにやってんだ?」
戦いが終った直後、九澄は戸惑っていた。それは何故か?
超絶美人が、紙コップに入ったどろどろした液体(液体というのもおこがましいほどどろどろとしたナニか)を啜っていたからである。
「は? みてわかんないの? 水分補給よ、水分補給」
そう言って、ロングストレートのさらさらとした黒髪でくりくりおめめの女は九澄を睨み、
「っていうかあんた誰? なんでこんなとこいんの?」
「それは俺が訊きてえよ! なんであんた、こんな危険なとこにいんだよ! っつーかそもそもどうやってここに『入った』んだ?」
そう、ここはゾーン。九澄みたいな『人外』ならまだしも、目の前にいるような一般人とはいいたくないような一般人が『入れる』ようなところではないのだ。
黒髪美女は謎のスライムを飲み干し、口を手で拭いながら、
「ああ、あんたもこっち側の人間だったんだあ」
と、艶然に微笑み、
「だったら納得。あ、でもあれはやらないわよ?」
意味不明な一人納得は置いておいて、眼前の質問を潰す。
「あれ?」
「あれ。私がさっき飲んでたやつ」
「いらねえよ! こっちからお断りだっつーの!」
「あら勿体無い」
そう言って謎の美女はどこへともなく消えていった。
どこかに行ったのはゾーンから出たってだけなんだろうが、一体全体謎すぎる女だった。