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醒み夢、幻想ルナティック

作者: 杏人
掲載日:2014/06/27

 眠れぬ夜は長い夜、散歩に行こう、夜風を聞こう。

1.悪夢


 また、だった。

 「はぁ。」

 自然と溜息が漏れた。時計は午前1:12、寝床に入ったのは0:30のはずだから、……まぁ、私は不眠症、そういう事。

 真っ暗な部屋の中、スリープ状態のパソコン二台がそれぞれ、青と緑の電源ランプを明滅させている。

 「……ウィンカー。」

 夢を見たんだ、別になんてことはない夢、だと思う。思うというのは、どんな内容かはもう覚えてない。夢なんてそんなもん。

 ただこの暗闇の中で存在を主張しているパソコンみたいに、走り去っていく車がウィンカーを光らせていたのを覚えてる。


 ―――私は明晰夢っていうものをよく見る。明晰夢とは、夢の中でこれが夢だってわかるやつの事。明晰とつくだけあって、なのかどうかはわからないけど、脳の潜在能力が高い人間ほど見れる、なんて話を聞いた事もある。……まぁ、確か根拠ないんだけど。

 でも、今回の夢はそうじゃない。もしも明晰夢だったら、夢の世界を謳歌して正直もう飽き飽きしてる現実になんてそうそう戻りたがらない。

 すぐ起きたって事は、それだけなんかしらの悪夢を見てたって事、じゃないかな?って思う。覚えてない以上は推測で語るしかない。

 でも、とりあえず、胸の奥がもやもやっとしてる気がするって事は、やっぱり悪夢を見てたってのが妥当な線だ。


 車のウィンカーが関係する悪夢っていうと、安直なところでは大事な人が誘拐されるとか、そういうのかな。

 ……ただ、生憎と誘拐されるような間柄の大事な人ってのが今の自分には居ない。仮に誰か誘拐される夢なんだったとして、だったら大事な人が居ない現実よりか、まだ充実した世界だったりしないかな?

 いや、誘拐じゃなくてお別れかもしれない、恋人にフラれて置き去りにされるとか、そういうの。……まぁ、近しい存在にそういうのが居ないって点が共通してる以上、やっぱりどっちも大差ないんだけど。



2.お月様見える?


 「空、真っ暗だ。」

 空を見るのは好きだ、子供の頃から。

 私は手の届かないモノに憧れるって事に憧れてる。別に、太陽も月も雲も青空も星空も、さして好きじゃない。けど、そういうのが好きな人はなんか自分の世界を持っていそうで、少しカッコいい気がする。

 だから憧れる。

 その証拠に、って言えるかはわからないけど、いろいろな歌を聞いてるとどんなアーティストでも一回くらいは空をテーマにした歌を歌ってると思う。

 だからやっぱり憧れの対象として正しいんだと思う。

 けれど、一つだけ、よく思う事がある。太陽=生命の源、そして月=自殺願望や狂気の表れっていう概念、おかしくないかな。

 人間は、月に行くことは出来る、でも太陽に向かえば着く前に焼け死ぬ。それに、死とかそんな生者にとって不明瞭な現象は、空を仰げば直視出来る月よりも、出来ない太陽に近いんじゃあない?……あ、もしかしてこういうのを自分の世界を持っているっていうのかな。

 けど、どこかで聞いた受け売りのような気がしないでもないや。……ホントのとこ、ハッキリしてないんじゃやっぱりどっちも変わらないか。



3.鼻詰まり


 ザッザッザッ、踵を履きつぶしたスニーカーがアスファルトを擦る。多少明るかったら多分月夜の下の田園風景とか、そういうのを受け売りの情緒的っていう感性で眺められていたかもしれない。

 「眠れなくってなんとなく外に出るのって、年取ってからやったら徘徊老人に分類されるのかな。」

 割とどうだってよくない疑問を口にした。……まだまだ先の事だけど、こういう行いが習慣化していくのはよくないかもしれない。

 ……いや、でも、ロクに車一台も通って行かない上に街灯一つない田舎で徘徊したところで、誰にも発見されないのが落ちか。

 結構風が強い。でもその風というのも気まぐれで、騒いでは大人しくなるって事を繰り返す。なんて思ったらまたゴォーっと吹き駆けていく。夜の風の香り……とかはしない、鼻が詰まってるから。

 ―――あ、もしかすると鼻が詰まってたから目が醒めちゃっただけなのかも。



4.衛星ミサイル


 顔を上向けて鼻をすすろうとしてみるけど、無駄だった。その時、不意に厚く思えていた雲に切れ間。月が顔を見せて、……すぐ隠れた。

 月は死のイメージって感じじゃあないかもーって、ついさっき考えたところだったけど、そういえば地球を丸ごと滅ぼすために一番手っ取り早い方法って、確か月に核ミサイル撃ちまくって地球に落下させる事だって聞いた気がする。

 「撃ちまくるってどれくらいなんだろう。」

 そもそも実際に核ミサイルってものを見た事がない。……あったら死んでる、間違いなく。

 「こう、ブワァーっと、地上から月にミサイルが飛んでいくって、なんかすごそうだなぁ。」

 そう言って暗闇の中で腕をそーっと月が見えた点へと伸ばす……


 刹那、轟々轟々と地鳴りもおまけされていそうな音と一緒に、数えきれないほどの飛行機雲が遠方の山々の、或いはそのまた彼方から空へ向かって昇り行く。

 「え……?」―――ミサイル。確かにすごそうって予想通り、すごかった。

 何度か瞬きをするうちに、その光景は消え去った。……何、今の。幻覚?

 そういえば処方されてた睡眠薬の副作用に幻覚って書いてあった気がする。ぶるっと身震い。


 ―――……しかし間もなく、大気との摩擦で赤々と熱された―――ついさっきまで月と呼ばれていたはずの―――巨大なんて言葉じゃ足りないサイズの岩の塊が頭上を覆った。……落ちてくる、落ちてきてる。私の上に?地球の上に?

 「なんで?」

 目前の大スペクタクル、現実味がなくって間の抜けた声が出た。



 ―――ワールド・コラプス。世界、崩壊。











 ―――というところで、目が醒めた。

 「びっくりしたぁ……。」

 あんな怖い夢、久しぶりだ。いや、始めてかも。涼しい夜にもかかわらずドバドバと放出される大量の汗。


 窓の外を見る。…………燃える月は、また落ちて来ていた。

 ドーモ、カラヒトです。

 眠れなかったので書いてたら電波小説になっちゃったシリーズ第二弾。第三弾以降があるかはわかりません。第一弾は『レイド、ブルー』デスヨ!

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