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エピローグ「一兆円」

 元の世界に戻った俺に、神様がサービスしてくれたものがある。神様の奢りだと言っていたし、特に神貨による支払いは必要無いらしい。


 それは、一兆円である。


 一兆円。


 なんか俺用の口座が日本の銀行に新規に用意されていて、一兆円分の日本円が銀行口座に入ってました。とはいってもそこら中の口座に分散されてたんだけども。すげぇ、これすげぇ。


 神様本当にありがとう。ただしこの金を使って世界を荒らすようなことをするのは絶対にダメだそうです。中級神様より上の、上級神におしおきされて消されるそうです。恐ろしいですね。



 ---



『元の世界に戻るにあたり、お主に説明しておかねばならんことがある』

「はい」

『前にも説明したが、世界を超えて物資を持ち込み、持ち出しすることは強く制限されておるのじゃよ。例えばパン一個であろうと、そういったものは持ち込みや持ち出しは禁止なのじゃ。このことには深い意味がある、わかるか?』

「はい、大体は」

『ならばよろしい。特にな、世界の性質上存在し得ぬものを持ち込むと、真世界にとんでもない異常が発生するのじゃよ。具体的には、その世界に特別に設定してあるミスリル、アダマン、オリハルコンの三金属などじゃ。そういったものを元の世界に持ち込むと、本来は原子配列の関係上別の存在であるはずじゃから色々とバグが起こるのじゃよ。とにかく気をつけるのじゃぞ』

「はい」


 なかなか難しい話だった。それでは逆に、何ならば持ち込んで良いのか。


『では何を持ち込み可能かというと……それはな、許可証付きならば、数人まで人間を持ち込めるのじゃよ』

「なるほど?」

『お主も一人では寂しいじゃろう?だからお気に入りの嫁ならば元の世界に連れてくることが出来る。ただし、持ち物としてな。多元世界用の異次元収納の中にお主の嫁さんを放り込んで、それで持ち運びが出来るのじゃよ。異世界の人間というのは、神の世界では所持品扱いになる。人権などは認められぬから、そのように覚悟しておくことじゃ』

「はい」

『だからといって、戸籍を発行してやらんわけではないがな。ワシの方で手を回してあるから、お主の嫁さん達には秘密で日本戸籍を発行可能じゃぞい。やや不審な内容の捏造っぽい出来にはなるがの』


 神様は本当に凄いな、と思った次第。


 だから俺は、異世界ピースサークルの管理はルナに任せて、収納袋にマリーとリースとティターニアを突っ込んで、元の世界に帰ることにしたのである。時間の流れはしっかりと調節して、地球時間とピースサークルの時間をほぼ一緒にしておいた。それまでは地球時間一日があちらの一ヶ月になっていたからな。


 俺が元の世界に戻ると、俺の部屋は元通りだった。地球時間で半月ほど放置状態だったみたいだけどね。うん、なんというかもう百年ぶりだし色々と懐かしいな。


 元の部屋に俺の前の身体が無いのは、俺の前の身体自体は分解して光の粒にしちゃったらしい。うん、分解しちゃったのか。まぁ元の身体がそのまま残って腐敗とかしてたら嫌だし、それでいいんだけどさ。


 ネットの情報も確認してみた。うん、例のネトゲはちゃんと発売日通りに出るらしい。素晴らしいな、素晴らしい。


 神様に頂いた高額の預金通帳や印鑑なども収納袋に入っているし。さて、これからどのように過ごしたものか……


 まずは引っ越しすることにしよう。前世で住んでいた住まいは一人用だし、アパートを借りていたので出ていっても何の問題も無いだろう。このあたり、引っ越しの為の手続きとかを神様直属の業者が全部綺麗サッパリやってくれることになっていた。神様は本当に凄い。ちょっと万能過ぎて恐ろしいですね。


 そんなわけで俺は、神様指定の新居に移り住むだけで良いわけだな。うん、本当にありがとうございます。


 そんな流れで元の世界に戻って数日後、俺はかなり広めの新居の方に移り住んだ。それから、収納袋からマリーとリースとティターニアの三人を新居の方で解放する。袋に入っている間は時間が止まっているらしいから、本人達にとっては一瞬の出来事らしいんだけどね。それにしても所持品扱いされるのは、うん、ちょっと悪い気がする。ごめんね。


「おとーさんの世界に-、とうちゃーく!」

「あら、ここがヒロの家なの?案外汚れてないのね」

「お兄様、早速こちらの家を案内してくださいな」


 新居の方で袋から出した三人がそのように言う。うん、なんというか色々とごめん。前借りてた部屋とか一人用だしすっげー汚かったから、到底見せられなかったわ。妻の好感度を下げたくなかったから新居の方で呼び出しちゃったわ。なんかもう色々と澄まないね。


 とりあえず俺は、今後の方針を三人に発表することにした。


 この世界ではここに住むこと。実家と連絡して父親と連絡を取ること。それから――


「俺さ、やっぱりさ」

「うん、どうしたの?ヒロ」

「やっぱり、この世界のさ、ゲームが好きだからさ」

「ふんふん」

「ネトゲ、してもいいかな!?」

「えっと、よくわかんないんだけど?」


 その後色々質問攻めにされたのだが。しかしそれでも最後には納得して貰った。その結果一人でやるのではなく皆でやることになった。


 これで新生への準備はバッチリってことですね。



 ---



 後日、百年振りに父親と再会した。


 まぁなんというか、以前は三十路を超えていた俺なわけだが。今は完全に容姿も一変しているしどうしたものかと思ったものの、色々と過去のエピソードについて語ったところ、確かに息子である俺本人だと納得して貰った。


 それから三人の妻を紹介して――ただし元の世界に更に妻がいることや、マリーが妻であるだけじゃなく娘であることは伏せて――新居の場所なども紹介して、けれど姉には教えないようにお願いしておいた。父だけならまだしも他の家族まで混ざるのは勘弁して欲しい。仲悪いからな。


「それでね、父さん。今考えてることとしては――」


 それから俺は、父親に今までのことや昔のことについてたくさんありがとうを言って。もうこれからは大丈夫だから心配しなくて大丈夫だということも伝えて。ついでに、俺の子供に父さんの名前から少し頂くことを了承して貰った。


 要するに、親孝行させてくれ、ということなども含んでいた感じだ。


 うちの父親は寡黙な人で。だがそれでも、わかったと言ってくれた。孫の顔をそのうち見せに来る約束をしてその日は別れた。大分突拍子もない話をしたはずだが、それでも受け入れるあたり大物なんじゃなかろうか。


 その日からは、日によってこちらで過ごしたりピースサークルに戻ったりといった感じで。異世界にいる間は、世界の名前のことなんてすっかり抜け落ちてたんだよな。最初に来た時だけにしか、世界の名前がピースサークルだなんていう説明は無かったから。平和な円状世界という点ではとてもわかりやすい名前だよなと感じた次第。


 異世界に残留する妻達の中では、当然というかルナが一番先に五十一番目の子供を妊娠していた。あの世界特有の妊娠中の男性への拒絶反応とかも、クリア報酬で解除済みではあるらしい。今後生まれてくる子供は、女の子もコピー体では無いちゃんとしたオリジナルの子供が生まれてくる。男の子は元々前からオリジナルだったし、今は皆女の子を生みたがっているようだ。俺も張り切らないとな。


 他の皆が女の子希望な一方で、子供を生むのが初となるマリーだけは男の子を希望していた。だから男の子にしようと思う。


 ちなみに、世界を超える関係でマリーとリースとティターニアは、外見を見た目上だけ人間に設定してある。あくまで幻によるフェイクで実質は元のままなんだけども。一応マリーは、この世界で子供を生む限りでは人間も生めるらしい。元の異世界では必ず猫族になっちゃうらしいのだけどね。さすがにこの世界で猫耳、猫尻尾つきの男の子を生むわけにはいかないのでそこらへんは調整することになった。


 うん。なんというか順風満帆だといった感じだな。



 ---



 2013/8/10


 例のネトゲのサービスインの日は刻々と近づいてきている。


 しかしまぁなんというか、金があるからといって毎日ネトゲしかしてない親とか、子供から怒られそうな気がしないでもないな。何故そんな金を持っているのかとか、色々と問い詰められそうでもあるし。


 これはなんというか、職業を捏造した方が良いのだろうか。そのうち神様に相談してみよう。今はまだ子供は生まれていないけれど、ネトゲは普通に五年以上続くものだからな。生まれてきた子供が三歳や四歳になった時に、お父さんの職業は?とか聞かれたらわりとピンチだと思うんですよ。


 神様曰く、当分は俺に出来るような下級神の仕事はすぐには回ってこないらしい。それまでは自宅待機と、そういうわけだ。あまり世界に甚大な影響を与えない範囲では動き回って良いことになってはいる。


 ついでに言えば、小規模の仕事として依頼されている、あるいは許可されている事項もあるのだが……そちらの方は、本当に実行して良いものか少々悩んでいる。絶対大騒ぎになることは間違いない。そのうちそれについて語る機会もあるだろうか。


 今はそんなことより、ネトゲのスタートダッシュを頑張ってみようかと考えている。



 ---



 異世界での俺の物語は終わったけれど、俺自身の生活はこれからも続いていく。


 むしろある意味ここが始まりなのかもな。新人の下級神となったからには、あのホームともいえる俺の子供だらけの世界を維持していかなければならないし。その為の維持費をしっかり稼ぐつもりである。一体どのような無理難題が飛び出すのかは、ちょっと予想出来ないけれど。


 あの世界で俺に与えられた使命は、俺にとっては苦にはならなかったけれど他の男性方にとってはどうだろうか。妻や娘達と何度も何度も子作り前提のイチャラブなノーマルプレイを繰り返せるという方がいれば、神様にお願いしたらもしかしたら選ばれるかもしれない。

 わりとハードですけども。すっからかんになるまで搾り取られますけれども。でも種馬生活も案外悪くないと思うの。


 美人は三日で飽きるとかいうけれど、実際には百年経っても飽きなかったな。皆性格も良いですし可愛いです。素晴らしいね、素晴らしい。


 色々と素晴らしさを語りたいが、女の敵扱いされそうなのでやめておこうか……うん。


 それでは最後に、俺から一言。


 さらば皆の衆。新生で会いましょう!





 異世界で、一兆円とクエストと。家族計画、神の道 おしまい。

お疲れ様でした。八十万字超えでなんとか完結した次第です。


一話あたり一万字程度で調整していきましたが、やはり一話一万字は長いみたいですね。もしも次を書くのなら、一話あたり五千字前後でやっていこうかと思います。


新生頑張りますので、皆さんもよろしくお願いします。

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