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異世界で、一兆円とクエストと。家族計画、神の道  作者: レガ先
第六章 数で乗り切る世界攻略
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第六十八話「中央大陸へ」

世界サイズの考察は五十七話にて。

オーストラリアサイズの中央大陸をフランスサイズの各国が十二個囲んでいる程度のサイズの世界を時速五十キロで旅するとどうなるのかというお話。

 南大陸の国家と北大陸の国家が「国王総無職」という災厄に苦しんでいるみたいだが、俺達の一族は頑張って東大陸上級の巣の攻略を続けていた。

 ちなみにあの時ハンターギルドのお偉いさんが訪れていた理由は、北大陸と南大陸での活動場所が無くなった為、東大陸での今までより自由な活動許可を得たいという用件だった。一応各国の野良ハンターさんも今までは他大陸へ出向くということが基本的に無かった為、東大陸で活動するなら東大陸に居を構えているうちのところに挨拶回りぐらいはしておこうということだったみたいだ。


 ちなみに西大陸についてだが、西大陸の人々は成人になっても子供みたいな見た目のドワーフ族しか住んでいないし、ドワーフ族は元々弱すぎるので魔物の巣をまともに攻略しておらず、軍隊もほとんど雇っていないので問題が無かったそうだ。そもそも最近では宝石事業が好調で、西大陸のドワーフは宝石採掘を特産品の生産として各国家が権利を持っていたので、宝石事業によって最近は十分に日銭が稼げているという話。


 以前からずっと誕生石リングの普及に努めた結果、この世界では誕生石リングや結婚指輪が一般化したらしい。もともとたくさん宝石が掘れる世界だったので今はもう凄い勢いで掘っているのだとか。枯渇しないのかとか心配になるのだが、そこはなんとかなっているのだそうだ。


 そんな各国の事情はさておき。最後の魔物の巣、東大陸上級の攻略はスムーズに進んでいた。イメージとしては某十と十二が混ざった感じで。ただし今回も大ボス的なものはあまりいなかった。小ボス、中ボスっぽいのはちらほら見かけるんだけどね。北大陸の巣の方が大物だったことや北大陸の巣の攻略により随分と戦闘スキルが伸びたことで、今回は比較的早く攻略出来ていたと思う。そんなわけで。


 星歴九百六十六年十月の末頃。ついに東大陸の上級の巣の攻略が完了した。それにより東大陸中央を走る国道が九十キロ延長され天の橋へと届く。この日の為に一応、中央大陸一番乗りはこちらにくださいということで各国にお願いしておいた。さすがに他の人達に一番乗りされるのはイヤだしな。連絡役はフリマさんの娘達と俺の息子達がしてくれている。世界各地に散らばっているからな、彼らは。


 上級の巣の攻略が完了した瞬間、音量抑えめのファンファーレが脳内に直接鳴り響き、システムメッセージに黄文字が躍っていた。前回音量がデカイと苦情が入ったのか今回は音量控えめだった。さっそくその黄文字を確認すると、


 Smes:グランドクエスト「中央大陸の封印解放」の必要条件が遂に達成されました。準備が整いましたら皆様で新しい大地に踏み出してください。それでは良い旅を。


 そうメッセージが流れた。クエスト欄にはまだクエストが残ったままになっているので、完全には完了していないということなのだろう。俺達は早速出立の準備をすることに。

 俺自身がやったことといえば家で寝ながらマリーの身体の中から現場を見て指導することと、それ以外の時間にはこれまで通り毎日子作りを楽しんでいたぐらいのものなんだけどな。これ以上子供を作る必要は無い気がしたのだが、なんだかんだで気持ちが良いので続けていた。


 もちろん子供を作れば生活費もかかる。そういえばうちの経済状況は、なんだかんだでそれなりに持ち直してくれた。途中から初期資金の一兆円を全部使い切って更には借金までして様々な活動をしたわけだが、魔物の巣を回って得た大量の素材を全部教会が買い取ってそれが借金の返済にあてられたのである。

 とはいえ、コピー体の娘達が四万人以上いるわけだから生活費も莫大で。例えば娘一人あたり平均一万円かかるとしただけでも四億円かかるわけで。借金返済後に現在自由に動かせる資金は、千億円程度であるらしかった。現在黒字であるだけ御の字である。


 出立前夜。皆準備で忙しそうにしていた。俺のお世話係はティターニアなので俺自身は特に何も準備しなくて良い模様。しかしそれでも一人寝は寂しいなぁなどと考えていたら愛姫が相手をしてくれた。なんでも、いつも同じ巫女服ばかり着ていて同じ服をいくつも持っている関係で準備が比較的すぐに済んだから、らしい。確かに愛姫以外の妻達はいっぱい服を持っていて結構頻繁に着替えてくるんだよね。なるほど納得。

 納得したところで愛姫に感謝しつつ、気が済むまで行為を楽しんだ。



 ---



 966/11/3 9:43


 最後の上級の巣を攻略完了して数日後、ようやく俺達は東大陸と中央大陸を結ぶ天の橋まで到着していた。攻略に九ヶ月程度はかかってしまう巨大な巣なので、巣の奥地から入り口まで撤収してくるだけでもかなりの手間で数日必要だったのである。

 俺と妻達も久しぶりに家を出て生身でこちらに出向いていた。橋を渡るにあたりどうやって渡るか悩んでいたのだが、橋の幅が百メートルで橋の長さが十キロあるわけで。さすがに歩いて渡るには遠すぎるから馬車を使うことにした。そんなわけで今利用しているのは、国道の連絡馬車のような大型馬車である。幼稚園や学校の送り迎えにも使っているアレだな。六頭立てのデカイヤツだ。

 一応不安なのでシステムメッセージのスメスさんにも確認しておいた。


 >>Smes:この橋ってさ。構造とか大丈夫なのか?リアルなら絶対崩落しているわけだが。

 Smes:大丈夫です。百人乗っても大丈夫です。

 >>Smes:百人どころじゃないよね?今から渡る人数、軽く千人を超えているよね?

 Smes:大丈夫です。一万人乗っても大丈夫です。この橋もまた、神の作った国道の一種ですから。


 よくわからないが大丈夫らしい。本当にか。こちらとしては信じるしかない。


 馬車の席はそれぞれ左右二席ずつ、詰めれば三人座れる程度なわけだが。前の方の席に座っている俺の隣には娘のマリーが座っていた。その向こうには母親であるルナが座っている。三人座ってもそこそこは余裕があるとはいえ、結構狭い。

 どうしてこうなったのかやや謎だが、マリーが頑張って魔物の巣をたくさん攻略した分のご褒美らしい。お父さんとお母さんの間が良かったってことだな。ちなみに放置されたブロントの方はリースの隣に座っていた。一応大人しくしているようである。


 うちの息子達は世界各地に散らばってそれぞれに仕事をしているので、この馬車にはあまり同乗していない。ブロントの他には愛姫の長男の政宗やジゼルとフリマさんの息子達が数人来ているかな。

 政宗は東大陸のニッポンポン国軍を率いて下級の魔物の巣をずっと攻略していたんだ。一応彼の能力なら下級の巣を完全攻略することも可能だっただろうが、下級の巣を完全に滅ぼしてしまうとそれ以上魔物の素材が取れなくなるので他の兵士達を鍛えながら巣を破壊しないように素材稼ぎをしていたらしい。

 今回の同行は中央大陸の様子を見に行くという役をしっかり担っているのだとか。とはいっても母親である愛姫にとっては歳がいくつになっても息子なので久しぶりに会う長男を可愛がっているみたいだが。彼は一応、下に多数の子供や孫が既にいるはずなんだけどな。お母さんにとってはそんなことも関係無いか。


 東大陸組が息子達と仲良くしているのを見て、他の妻達はやや嫉妬気味だった。特にキャラットちゃんが拗ねていた。自慢のオトコノコ達は皆南大陸と西大陸にほとんど行ってるからな。今もドワーフのお姉さん方相手に一生懸命子作りしているんじゃなかろうか。

 キャラットちゃんは俺の後ろの席に座っていて、後ろから話し掛けてきた。


「あのねーヒロお兄ちゃん。ボクね、ある程度落ち着いたら子供達の様子を見に行きたいの」

「ん、そうなの?」

「うん。だってね、中央大陸を通じて陸路で繋がれたら子供達にもきっと会いやすくなるから」

「なるほど」


 なるほど、確かにそういえばそうかもしれない。これまでやたら時間のかかる海路でしか行き来できなかったが、陸路ならあっという間だろう。ただし国道で繋がっていればの話だが。国道の上でのみ、馬車を引く馬が一切疲れずにフルスロットルで爆走可能なのである。国道によるインチキな回復効果があってこそだ。国道以外では馬車の時速は五十キロから十キロ前後に落ちる。国道によるインチキ補助があるかどうかで速度が五倍違うのである。果たして中央大陸に国道が走っているのかどうか。


 そんなことを話してるうちに、橋の上に馬車が乗った。そのままゆっくりペースで進んでいく。橋の路面は木だがまっすぐ伸びている。馬がやや疲れた顔をしているので、もしかしなくてもこの橋には国道のような回復効果が無いのかもしれない。


 そのまま時速十キロ弱、秒速二メートル程度で八分ほど進んでいくと、一キロ地点あたりで人だかりが出来ていた。橋担当のハンターさん達だろうか。一番乗りはうちの家族でーと説明していたはずだが、どうにもしっかり聞いてくれていないみたい。一応うちの家族の関係者らしい人が現場を整理しているらしく、橋の上に敷設したテントなどを片付けている様子も見て取れた。


 どうやら、以前確認した時のように一キロ地点での空気の壁による封印はまだ継続しているらしいが。どうしたものかなと考えていたら、俺の左に座っていたマリーが言う。


「あのね、おとーさん。一応私が封印を解くことになっているみたい」

「そうなのか?」

「うん。だから行ってくるね」


 マリーはそう言うと馬車から出て前の方に出ていった。そうして例の金髪モードを発動させる。ピカピカ光ってとにかく目立つ感じだ。壁のあたりで待機していた他の人々もさすがに道を空けて下がっていった。


 マリーがそのまま空気の壁に近づくと中央あたりに模様が浮かび上がった。三つの矢のようなマークが二組重なっているような形だ。それを見てマリーはとりあえず手で触れてみているがどうにも反応が無い。左手からブルトガングを出して模様を突いているがそれでも反応しない。

 しばらくそんなことを続けていたようだが心の声で救援が入った。


『おとーさん!反応しないよ!助けて!!!』

『あー、うん、今行く』


 さすがに反応しないというのは想定外過ぎて。俺も馬車を降りて前の方に行き、封印と思われる模様に対して行動してみる。マリーと二人で手を模様の上に重ねてみたり、俺にも俺用のブルトガングを出して貰って一緒に突いてみたり。でも反応しなかった。どうしようかこれ。


 そうやって二人で試行錯誤していたら後ろからブロントもやってきた。むぅ。封印が解けないと困るとはいえ、それで解けて貰ってもなかなか複雑なのだが。


「父さん、俺に代わってくれよ」

「やだ」

「……いや、わかるけどさ。そこは素直に交代するべきだろう、父親として」

「ぐぬぬ」


 俺用に出していたブルトガングをマリーにしまって貰って、今度はマリーがブロント用にエクスカリバーを出した。そうして二人がそれぞれ空いている手を繋いでからそれぞれの剣を封印の模様に重ねる。すると、封印の模様が光ってから砕け散った。なんということでしょう。思わず心の声でマリーに愚痴ってしまった。


『マリー、俺、拗ねてもいいかな?』

『おとーさん、拗ねないで。たぶん夫婦じゃないとダメだっただけだよ。私の一番はおとーさんなんだから拗ねちゃダメ』

『はい』


 中央大陸の封印解放という大イベントだったのに主人公枠で参加出来なかったわけだが。どういうことなの。大人しく脇役として今まで通りにしておけってことか。なんたることか。

 今まで通りって俺、これまで子作りしかしてない気がするんですけど。世界を一度回ったのもお嫁さんを買い集めて回っただけだしさ。


 さて封印が解けたわけだが。すると今度は橋が輝き出した。見た目木製の橋なのに光り輝くとかなにそれ怖い。よく見ると馬車を引いていた六頭の馬達まで少し光ってる。そちらはすぐに止んだけれども。


 とりあえず馬車の中に戻ったが……どうやらマリーと一度繋いだ手をブロントが離そうとしない為、微妙な空気になった。ブロントの隣に座っていたリースが俺の左に来て、マリーの左に座っていたルナが少しムッとしながら俺の右に回った。今度は妻二人に挟まれる形に。やや狭い。


「両手に花で嬉しいでしょ?我慢しなさいよ、ヒロ」

「そうですよ。娘を取られたぐらいで拗ねないでください。母親の私がいるんですから」


 とは二人の弁。まぁ確かに、それはそうなんですけども。でも一人取られただけで悔しいものなんですよ。わかっては貰えないか。とそんなことを考えていたら、馬車が徐々に加速して爆走しはじめた。


 国道の体力回復効果がどうやらこの橋にも有効になったようだ。先ほど橋が光り輝いていたしな。見た目は相変わらず木製で暖かみのある木の色だけれど、構成しているのはきっと不思議物質に違いない。そうじゃなければ絶対に崩落しているからな、うん。


 そうやって爆走している馬車の中にいたら、頭の中に直接また音が鳴った。今度はアナウンス音みたいな控えめな音で。そうしてログウィンドウにシステムメッセージの黄文字が躍る。


 Smes:中央大陸の封印が解放されました。これにより死亡時の処理が変更され教会での復活システムが実装されました。今後はHPが零になった時点で死亡扱いとなり、この世界の中央部にある種族別教会で復活となります。またその際装備品も回収され教会で再生されるようになりました。今までよりも安全になった世界をこれからもよろしくお願いします。


 ……なんだって?ちょっと意味がよくわかりませんね。


 このアナウンス、どうにも入ったのは俺だけじゃなかったらしく。馬車の中にいた他の皆も同時にアナウンスが入ったようだった。グランドクエストのお知らせは俺の一族全員に通知されていたらしいが、今の通知は果たしてどこまで及んでいるのだろうか。


 クエストリストからはグランドクエストが消えていた。封印解除により達成されたらしい。

 やや呆然とする俺達を乗せたまま、馬車は橋の上を爆走していった。



 ---



 橋を渡った先には国道が広がっていた。二時間ほどかけて百キロメートルほど進んだところで国道が左右に分かれていて正面にはそれ以上伸びていなかった。正面にはなんというか、デカイ山がそびえ立っていた。ほんのりと青い山脈である。山の向こうは到底見えそうにない。


 どっちに曲がるか悩んだものの、とりあえず右折しておいた。そのまま道なりに走って貰う。道を走っているうちにわかったが、ゆったりと左側にカーブを描いているようだった。周辺の各大陸の中央を走る国道も円弧を描いているのと同様に、この国道も円弧を描いているらしい。もしかするとこの国道は中央大陸をこのまま一周しているのかもしれないな。


 それにしても、道が長い。長すぎる。左側はずっと青い山で、国道の周辺は何も無い草原だ。右折した時点で既にお昼になっていたのでそのまま馬車内で食事をすることになった。さすがにずっと三人で座っていると窮屈なのでリースには席を移動して貰った。再び俺の左側に座り直したルナから、作って貰った食事をインベントリから取りだして一緒に食べた次第。


 そうやって八時間ほど道を進んで。午後八時頃にようやく左折可能な国道が見えてきた。もちろん左に左折して貰う。さすがにここまで遠いとぐったりする。馬車の旅は快適なんだけどね、いくらなんでも遠すぎではなかろうか。角度から考えるにまっすぐ大陸中央部へと伸びているようには思える。道の左側には先ほどまで邪魔だった青い山脈が見えていた。


 国道はどうやらゆっくりと下り坂になっているらしい。距離が長すぎてわかりにくいけれど、どこまでもまっすぐと国道は伸びている模様。そういえば以前、中央大陸のサイズについて考察したことを思い出した。確か、半径千六百キロメートルの円状の大陸で、オーストラリア並のサイズがあるんだったか?最初に内側に百キロ入ったけれど中心部までは残り千五百キロ残っている計算になる。

 千五百キロとかちょっと。時速五十キロでも三十時間かかる気がするんだけど、どうしたら。


 ちょっとそのあたりの予想を周囲の妻達に話したところ、わりとどん引きしていた。三十時間はまだしも、残り二十時間程度は馬車の中となったらそりゃそうだろう。一応この馬車、トイレとかもついてはいるんだけどね。シャワーはないけれども。


 十四席で二十八人乗りの馬車である。左右に二席ずつ七列で。そんな馬車の中に現在俺と妻八人と娘のマリーと息子達がブロント含め三人。合計で十三人か。後は御者さんが二人いるけれども。


 そんなわけで一人一席を使って各自馬車の中で寝ることにした。詰めれば三人座れる幅があるからなんとかなるだろう。寝具とかもティターニアがインベントリから取り出してくれたので助かった。良かった良かった。


 それにしても共有インベントリというのは便利だ。とんでもなくインチキだと思う。食事とかもおいしく保存しておけるしなぁ。ただし食品とそれ以外のものを一緒に入れるのはなかなか抵抗があるので、ルナが食事類、ティターニアが衣類等の役割分担があるみたいだけども。夫婦間の共有インベントリではなく、親子用の枠に入れているのだそうだ。夫婦グループは九人だけど親子グループなら五十一人になるからそちらの方が容量大きいみたいだしな。


 話は変わるが、この馬車に乗っているのはほんの一部で、この馬車よりも後ろには他の娘達が乗っている馬車がずらずらと続いていたりする。マリーと一緒に魔物の巣を一生懸命攻略した娘達だな。コピー体の娘達は合計四万人以上いるわけで、彼女らはその内のほんの一部に過ぎないのだが、それでも二十八人乗りの馬車にそれぞれ二十五人ずつ乗ってその馬車が二十九台ほど後ろに連なっている状態である。合計三十台。あまりにも大所帯で大規模な移動をしている気がしてならないが。


 そんな状態だけれども、それぞれの物資の供給は共有インベントリを利用してワープで運ばれているらしかった。実家の方では補給担当の娘達が何人も詰めていて、ルナの娘達が一生懸命皆の食事を作ってインベントリに投入しているのである。魔物の巣の攻略時もずっとそうしてきたのだし皆慣れたものだった。

 俺も昔世界を回って際にはルナに何度もご飯を作って貰っていたからなぁ。それが形を変えて今でも続いている感じだ。


 そんなわけで、次の日の朝食と昼食もルナの共有インベントリから取り出して食べた次第。馬車は一日中休まずに時速五十キロでずっと走り続けていた。国道の回復効果は本当にインチキとしか言いようがない。何故あの馬達は飲まず食わずで走り続けられるのか本当に謎である。



 ---



 966/11/4 16:17


 馬車を飛ばし続けて約二十時間。千キロ程度進んだだろうと思われる場所で国道が交差していた。周囲を見渡すが特に何も無い草原がただひたすらに広がっているだけである。これはどうしたものだろうか。

 世界のスケールがでかすぎるせいで、建造物の類が全然発見出来ないのである。現在中央大陸の中心から五百キロ地点だと思われるが、もしもこの交差点の国道が円周を描いているのならば、その長さは三千キロを超えているのである。

 大陸中心部からおそらくは放射状に伸びているこの国道が十二本存在すると仮定した場合、この円周で次の国道と交差するのは約二百六十キロほど先である。その中間地点に何か建物が存在するとしてもそれは百三十キロほど先のことだろう。百三十キロって相当遠いぞ。それだけ距離があったら、何か建造物があっても見えるわけがない。


 大陸中央部を目指すか寄り道をするか迷ったものの、思い切って寄り道してみることにした。せっかくなので右折してみることにする。中央部まで残り五百キロあるわけで、十時間もかかると完全に深夜になるからだ。さすがにそれは勘弁して欲しいな、と思った次第で。


 右折して二時間半ほど進むと、大きな建造物が見えてきた。なんというか、西洋風の大聖堂のように見える。ただしなんというかとんでもなくデカイ。縦の高さがあるわけではないのだが、居住施設と見られる建造物が中央の大聖堂を囲むように結構な広範囲に広がっているのである。一体何なのか、興味があった。


 早速馬車を近くに止めて建物の中を視察しに向かったのだが、なんと建物の中には何人も先客がいた。一体何者なのかと確認したところ、どの人も魔物ハンターさんだった。何故こんなところにいるのかと確認したのだが。


「実は私達は東大陸の下級の巣で魔物狩りをしていたのですが」


 どうにも彼等は、国道が中央大陸まで繋がって弱体化した下級の魔物の巣の中で魔物狩りに励んでいたらしい。しかし弱体化したとはいえ完全に無抵抗というわけでもなく。ここにいる彼等は皆、魔物の巣において返り討ちに遭ってしまった人々らしい。


「気付いた時には、この建物の奥の方にある施設で目覚めていたんですよね」


 そう語る彼等の案内に従って中に進むと、確かにそこには随分と大がかりな装置があった。高い天井の部屋に、その上部ほとんどを埋めるような巨大な装置。あまりマシンという外見ではなく、どちらかというと神々しい感じがする。その装置の下部にはかなり太い管がウォータースライダーのようにいくつも取り付けられていた。


「あまりその管の前方には立たない方が良いですよ」


 などと案内をしてくれた男性に言われる。建物の中には彼だけではなく既に何人のも人がいた。どの人も魔物ハンターであり、そして全員が魔物に返り討ちにされたということが共通していた。

 前方に立つなというのはどういうことなんだろうと考えていたら、機械が動き出して稼働音が鳴り出した。その音がしてしばらくすると、何かがゴロゴロと転がる音がしたかと思いきや、装置の下部の筒から丸まった人が飛び出してきた。


 膝を抱えて縮こまった状態だろうか。そんな人がゴロゴロと筒の中を転がってシュポーンと発射されたのである。そのまま施設の石畳の上をゴロゴロ転がっていき、徐々に勢いを失ったものの壁に激突して動きが止まった、裸で。


 そう、裸で。装置から飛び出してきた人は完全に素っ裸の男性であった。その男性に対して、周囲で待機していた他の人が布をかけに向かっていた。一体どういうことなんだろう。


「私もね、ここに来た時には本当にビックリしましたよ。確か魔物の巣に魔物狩りに出かけたはずだったことは覚えているのですが、目を覚ましたら見知らぬ場所で素っ裸でしたからね」


 そう語る彼だが今は普通に服を着ている。一体その服はどこで回収したというのか。その疑問を正直にぶつけたところ、気前よく返事をしてくれた。


「この服は盗品とかじゃなく元々の私の所持品なんですよ。向こうの方に窓口みたいな設備がありますでしょう?あの場所で元々の所持品を返して貰えるのですよ」


 確かに男性が指差す先には、謎の窓口っぽい設備が見えた。もちろんというべきか、対面には誰もいないし窓口と評するべきかなかなか難しいところなのだが。その設備の下の方には何やら大きな取り出し口みたいな部分があって、そこを開いて受け取りが出来るように見えるが……


 先ほど装置からゴロゴロ転がって排出されてきた男性は大分混乱している様子だったが、周囲にどうやら見知った顔がいたらしくすぐに落ち着きを取り戻していた。一時的に身体を隠す布を貸して貰いそのまま男性は窓口っぽい設備の方に向かったのだが、すぐには装備が出てこないようだった。


「現在所持品の返却の準備中です。三十分ほど後に再びお越し下さい」


 謎の窓口っぽい設備からシステムメッセージっぽい音声が流れて男性に返事をしていた。つまりこのまま三十分ほどほぼ裸のまま過ごせということになるらしい。なんということでしょう。


 その後も色々と事情を聞くことにした。事情を聞いている最中にも更に追加で他の人が装置から吐き出されていた。素っ裸なのは男性だけではなく女性も同様であるらしい。何人も装置から射出されてはゴロゴロ勢いよく転がっていた。なかなかシュールだと思う。


 どうにもこれが教会による復活システムの実態であるらしい。HPが零になった後、この中央大陸にある教会にて復活するということ。ただし復活時は素っ裸で、装備品や所持品の返却は即時ではなく結構時間がかかる。復活出来ているだけマシとはいえ、不特定多数に裸で復活するところを見られるというのは恥ずかしい。


 それと、この教会で復活しているのは全員ユーロ国の住人であることもわかった。俺が開発した街の住人も大勢いるらしかった。彼等は突然知らない場所に放り出されたものの、とりあえず生きているだけマシだということで納得してとりあえず過ごしているらしい。


 施設内には水道や魔力関連の生活器具などがある程度揃っていて、照明や水道、風呂などは利用出来るのだそうだ。ただしそれらの装置がある一方で寝具や食料の類は一切無く。元々インベントリに入れていた食料を取り出してなんとか食いつないでいるという話だった。


 俺達は彼等の事情を聞いた後、多少悩んだもののある程度支援することにした。実家の方で詰めている娘達に支援物資の要請をして、居住区画の寝室と思われる場所に自分達用と他の人々用の寝具をそれぞれ設置。今日はこの施設で一夜を過ごすことにする。


 それと同時にフリマさんにお願いして、各国に派遣されているフリマさんの娘を通じて中央大陸への支援を要請することにした。他の場所はともかく、復活拠点である教会施設はおそらく国の数である十二個存在すると思われ、その周辺環境を早めに整備することが必要だと思われたからだ。他の教会でもきっと大勢のハンター達が遭難状態に陥っているかと思われる。


 ただ、現在位置がわからないということは無いみたいだけどな、と俺は感じた次第。俺のUIの右上の地図には、現在位置が世界地図上で中央大陸の中心近くだということがハッキリと示されていたからだ。ただ逆に言えば、世界地図を見た瞬間あまりにも故郷から遠くに離れた場所にいることに気付くだろう。何しろ天の橋からここに辿り着くまでに約千七百キロもあるのである。徒歩の時速を約五キロとすると三百四十時間必要であり、その間一切街が存在しないわけで。ここは現在陸の孤島も良いところなのではなかろうか。


 その日の夜は随分と慌ただしくて女を抱く余裕が無かった。なんとか風呂には入れたんだけどね。それでも傍にはティターニアが付いていてくれたので彼女と一緒に抱き合って眠りについた。昨日のように馬車の座席で寝るよりはよっぽどマシで。女性特有の良い香りを感じながら眠ることが出来た。

2chのスレッドの方では度々話題に出して貰えているようです。ありがとうございます(´;ω;`)

とはいってもPは伸び悩んでいますが。

感想もいくつも貰えていますし、新生十四が始まるまでには完結を目指すつもりなので残り半月程度で決着させないといけませんね。


この物語がしっかり終わった後は、もっと広く支持されるような作品をしっかりと書き上げたいものです。

ただし独自色を捨て去る気はありませんのでこれからもよろしくお願いします。

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