第五十八話「母と娘」
計算ミス発覚で一部修正かけました。
920/3/31 20:31
夕食後の食卓のテーブルに、スシネさんの娘のアカリちゃん十二歳が資料を持ってきてくれた。
この子も随分と大きくなった。そして俺がこの世界に来てから丸二十年経過か。
俺の最初の娘のマリーも、明日からは大学生だ。
一学年下に無理やり編入させたので既に十九歳。
さすがに女子高生の制服を着続けるわけにもいかないので、明日からはそれ以外の服装になる。
本人は女子高生の夏服のままでも良いらしいのだが……そういうわけにもいかないだろう。
マリーの胸はなんだかんだでFカップ程度にまで育っていた。
とても良い大きさだが、うちの妻達は皆巨乳ばかりなのでこのサイズでも負けてしまう。
皆で揉んで育てたんだけどね。リース二号や愛姫二号にも後から追い抜かされてしまった。
まとめた資料は例のアレだ。家族の人数に関する報告書である。
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ルナ姫 南大陸出身、猫族
英雄マリー 金の瞳の乙女
男子9名 女子12+5名
愛姫 東大陸日本本国出身
男子6名 女子17+7名
ジゼル姫 東大陸ユーロ国出身
男子6名 女子17+9名
フリマ姫 東大陸トルッコ国出身
男子22名
リース姫 北大陸アルフヘイム国出身
男子6名 女子17+5名
ティターニア姫 北大陸アヴァロン国出身
男子6名 女子15+5名
アンジェラ姫 北大陸ダークエルフ国出身
男子2名 女子20+9名
キャラット姫 南大陸ロップイヤー国出身
男子10名 女子12+4名
男子67名 女子110+44名 英雄1名 計178+44名
王族の割合 100%
父親の毒牙にかけられた娘の人数30名
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その他の一族
ルナ姫
父1人孫108人
愛姫
父2人孫191人
ジゼル姫
父0人孫0人
フリマ姫
父4人孫390人
リース姫
父3人孫225人
ティターニア姫
父0人孫0人
アンジェラ姫
父0人孫0人
キャラット姫
父2人孫117人
合計 孫1031名
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なんというか、改めて数字で見せられると絶句だな。
この世界に来てから満二十年が経過しただけだというのに、俺の血が入ってる子孫の人数は既に合計千二百五十三人に達しているらしい。
それにしても。
「ねぇアカリちゃん。この父親の毒牙にかけられた娘の人数の項目は必要なのかな?」
「ヒロ様の外道っぷりを記す為には必要だと判断しました。十四歳に達した実の娘を誕生日に襲う外道なんて、この世界では貴方様ぐらいのはずです」
「まぁそれはそうなんだけどさ」
どうにもこのスシネさんの娘のアカリちゃんは俺に対して遠慮の無いことを言う。母親同様ってことか。
この結果に対して、何故このようになったのかという理由について少し説明する。
学校は一クラス基本四十人だ。マリーやブロントの学年までは息子や娘を入れたうえでクラスの合計人数が四十人程度だったのだが、マリー達より下の学年では少し人数を増やしておいた。娘を人数に含めず、ハーレムの女の子の人数を三十九人確保するように変更した。
息子達がハーレムの女の子相手に子作りするペースは一年に一人を目安にさせた。なので高校の三年間に彼女らが生む子供の数は三人である。ブロントのハーレムのお嫁さんは合計三十六人で、既に百八人の子供がいるようだ。
大学一年の時点で、嫁が三十六人に百八人子供がいるとか、リアルで想像するととても恐ろしい話だな。ベビーブームってレベルなのか?コレ。
息子達のハーレムに関してはそんな感じ。
娘達に対しては、こちらも一年に一人のペースで子作りすることにした。オリジナルの妻達には十ヶ月に一人ペースで生んで貰っているのだけどね。
なんでも、コピー体の娘達はオリジナルのように五十人までは生むことが出来ないという予測になっているらしい。理由はまだよくわかっていない。ただその理由が推測出来る材料として、リース二号の生んだ一人目の女の子のパーティーリスト上での名前表記が、リース=アーゼス2Aだったことは確認した。
おそらく孫世代はアルファベット表記になるのだが、Zかあるいはその手前までが生める最大数になっているかと思われる。
それにしても。リース二号のオートパイロットは以前から随分と淫乱だったが最近はそれが更に加速しているような気がしなくもない。高校を卒業したらどうなってしまうのか。
話を戻そう。とにかく今は結果報告の最中である。
俺はこのアカリちゃん十二歳に抗議しなければならない。
「俺としてはね、神の使徒として頑張っている方だと思うんだけどなぁ。過去の神の使徒の記録を見たけれども、妻三十人と子供七十人で魔物の巣に挑んで大敗したという結果も出ているんだろう?一人の妻を深く愛してたくさん子作りした方が、きっと少数精鋭で強力な軍隊が出来上がるはずだ」
「そうですね。ですが、リース二号様が高校を卒業する時点で四人も子供がいるというのは、一般人の感覚からいえば明らかに作り過ぎです。一度きりの過ちならまだしも、実の娘を積極的に孕ませるその姿勢を世間が認めるはずが無いですよ」
「むぅ」
ちなみに最近はコピーリースの中には本人が入っている。なので身体こそ娘だが実際は妻本人を抱いているのと変わらない。とはいえ、抱いているのはリースのコピーだけじゃないので結局その言い訳は通用しないのだが。
ジゼルやアンジェラちゃんのコピーは、中身オートパイロットで姉妹同時に楽しんでいるしな。一度三人同時も試してみたのだが、手が回らないので二人同時までで自重した。
下世話な話だが、実の姉妹を同時に襲うのはかなり燃えるシチュエーションだった。同じコピー体なのに性格がわりと違ったり身体の成長具合が違う。どちらを先に相手するか、姉妹におねだり合戦させるのも萌えた。
そんなことを考えていたら、アカリちゃんにすごく冷たい目で見られる。
それはもう、俺のことを人間以外の何かと見なすような冷たい目で。
妻達も娘達もいつも熱い眼差しで見つめてくるので、こんな冷たい目で見てくるのはアカリちゃんだけだ。
別にマゾでは無いので、もう少し親しみを持って欲しい。
「まぁなんというか、種馬の役割が俺の仕事なんだから、褒められこそすれ、責められるいわれは無いはずなのだが!」
「責めてませんよ。褒めていないだけです」
「せっかく毎日一緒に食事を取っているのだから、もう少し俺とも仲良くしてくれないか」
「ルナ様やアンジェラお姉様はお慕いしています。ですがヒロ様は生理的に無理です。触れただけで妊娠しそうですから」
「そこまで言うか。俺は十四歳以上しか相手に出来ないのだが」
「そうですね。ですから私は十四歳になることが既に恐ろしいです」
どうにもそういうことらしい。
ちなみに、昔のスシネさんもその娘の今のアカリちゃんも、そこそこ可愛くはあるのだがそこまで可愛いということもない。うちの妻達や娘達はさすが王族というべきか、皆凄く可愛い。なんというか格が違う感じ。
なので俺はアカリちゃんに手を出す気など全く無いのだが。頼まれても断るぐらいなのだが。でもそれを口に出すとそれはそれで相手を傷つけることになるからな。難しいところだ。
とりあえずその後適当に言葉を交わしてから、俺の部屋に戻った。
今は丁度良い時期で、昼間はリースと愛姫をたっぷりと抱いて、夜はリース二号十七歳と愛姫二号十八歳をたっぷりと抱いている。二人が潰れた後にはアンジェラ五号十六歳とキャラット三号十六歳の相手をする。そんな感じ。
リース二号と愛姫二号の中身には、どちらも母親本人が入っていた。ほぼ毎晩だが、たまに途中で満足して元の身体に母親が精神だけ帰っていく。そうすると娘の反応が少し変わる。それまで操作を奪われていたせいか、やたら積極的になることがある。特にリース二号はその傾向が強い。
これは母娘でケンカが起きそうな気がする。
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920/4/1 9:13
その日、リースと毎日続けている朝のティータイムはいつもと様子が違っていた。
俺の目の前には三つのティーカップと一つのコップが並べられている。
いつもは俺の左右にリースとティターニアが座っているのだが、今日は対面にルナ。ルナの左右にリースとリース二号が座っている。そして俺の左にはティターニアがいて、右には愛姫が。
カップが三つあるのは全員だ。その全てがミルクティー。同じものを三杯とは正気か。
コップの方には水が入っている。
ちなみにルナは今日の早朝に十人目の男の子を生んだ。通算二十三人目。そのわりに普通に朝食に出てきたしこの朝のティータイムの席にまで出てきている。正直言ってタフ過ぎる。何人も生んでいると慣れてしまったとでもいうのか?
俺の正面に座ったルナが、現在のこの状況について説明してくれる。
「今、リースさんとリース二号さんが母娘で不思議な料理勝負をしているそうです。せっかくですので私も参加させて頂きましたが。三人でそれぞれ同じ材料で紅茶を淹れましたので、飲み比べて誰のものか判別してみてください。味の勝ち負けではありませんからね」
どうにも今日はそういう勝負らしい。
つまりこの三杯のうち、一つがルナで二つがリースとリース二号のものなわけだ。
リースとリース二号は料理スキルまで共有しているのだろうから、差をつけることは不可能に近い気がするのだが……
とりあえず中央のカップを手にとって飲んでみる。その一杯はいつものミルクティーと味が違いすぎてわかりやすかった。明らかにミルクが過剰だった。それでも十分おいしかったが。というかこれ、下手すると水で煮出さず牛乳で煮出してないか?ミルクティーというよりも紅茶味のミルクだ。
ミルクが過剰なコレは明らかにルナだろう。ルナやマリーのホットミルク好きは昔からずっと継続中である。対面に座っているルナは、自分の作ったミルクティーもどきを飲んでニッコリ笑顔になっていた。うーん、でもさすがにやりすぎだと思うぞ?コレ。
続けて左のも飲んでみるが……牛乳過剰なミルクティーもどきのせいで、細かい味まではよくわからなかった。水を飲んでリセットをかけるべきだったか。大体いつも飲んでいるものと同じ気がする。気がするが自信は無い。
一度コップの水を飲んでから、右のミルクティーも飲んでみる。これはいつも飲んでいるものと同じような。しかしまだ決め付けるには早い。
水を飲みながら左右のカップを飲み比べてみたが、なんとなく左のものは違和感がある気がしなくもなかった。そんなわけで結果発表。
「俺にとって右のコレがリースで、左がリース二号だな。中央のはルナが淹れたものだ」
「正解です。私のもちゃんと全部飲んでくださいね、アナタ」
「はいはい」
ずっと飲み比べしてた関係で左右のものだけ先に飲み終わってしまっていた。ルナの入れた牛乳過剰なソレも飲み干しておく。おいしいっちゃおいしいんだけどね。ほぼ牛乳そのものって感じがするけども。
そんなわけで。
今日はしばらく、リースとリース二号が勝負をするらしかった。
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リース二号の誕生日は四月一日、今日である。なので彼女は十八歳になった。
俺が昔リースに出会った時、オリジナルのリースは十八歳と八ヶ月。リースの誕生日が十一月十一日で、出会ったのが七月十五日だったからな。
リースとリース二号を現在見分ける簡単な方法はヒップサイズである。身長も胸もその他の容姿も完全一致だが、リースは二十歳までにおしりだけ大きく成長した。なのでおしりを触るか観察したら一発で判明するのだが、今回その方法は禁止らしい。
あとは、リース本体だけが俺のことを名前で呼ぶことが出来る。これも今回は判断材料としては禁止らしい。二人とも今は俺のことを「お父様」と呼ぶ決まりになっているようだ。
勝負のお題目一発目は「目は口ほどに物を言う。目だけを見てどちらがオリジナルか判別して」とのことだった。
まったく同じ、春用の白と薄い緑の洋服を着た二人に並んで貰って、目だけをじいっ、と見つめた。
うん……二人とも可愛い。どっちも同じ顔だけど可愛い。やっぱりリースは可愛いなぁ。
目は口ほどに物を言う。そんなもの判別出来るわけがないと最初は思っていたのだが、案外簡単だった。
なんというか、リース二号の方は愛情というよりも情欲の炎が燃え盛っている感じがする。基本淫乱だからな。がっつく感じがする。わりとわかりやすかった。
母親のリースの方はいつも通りだった。愛情と信頼と、知性の輝きが感じられる。俺のパートナー、俺の最愛の人だ。もうすぐ満二十年の付き合いになるんだな。今年は妻達に結婚二十周年の贈り物をしないといけないなぁ。
そんなことを考えながら、母親のリースの方を抱きしめてキスをした。
「こっちが母親のリースだな。案外わかりやすかった」
「もう、ヒロったら。信じていたわ」
「お父様、どうしてそんなに簡単にわかってしまうのですか?」
「年季の違いかなぁ」
見た目も声も完全に一致しているというのに、案外判別出来るものなんだねぇ。
二つ目のお題目は、一旦シャッフルしてどちらかわからなくしてから、目を見ずにキスだけで判別するというものだった。
これも実際にやってみるとわかりやすかった。リース二号の方が積極的で、尚且つ少し下手だった。
母親のリースの方はゆっくりペースで俺の好みだった。長年付き合っている分、やはり差が出るらしい。
三つ目のお題目は胸を揉んで判別するというもので、四つ目のお題目は母乳を飲んで判別するというものだった。
三つ目は判別出来ない気がしたのだが、より感じている方がリース二号だった。四つ目は無理だろって思ったのだが、母親のリースの方がおいしかった。なんだろう、長期間直接飲むと味が良くなるとかそういう要素があったりするのだろうか。
五つ目は、同じ台詞を喋って判別するというものだったが。
「お父様、愛しています」
「お父様、愛しています」
目隠し状態で声をかけられて、どちらが本物か指差し確認するというものだった。ランダムなタイミングで場所をチェンジするらしい。
微妙に台詞のイントネーションというか何かが違う。とりあえず、母親のリースの方はお父様と呼ぶことになれていない。だからその単語が含まれている場合はそれだけで判別出来る。
それ以外にも色々と、なんとなく違いがわかった。リース二号の台詞はとにかくストレートだ。母親の方は何か言い含めるところがあるような響きだった。
結局全問正解したらしい。
「お母様、ズルしていませんか?」
「していないわよ。貴方も聞いていたでしょう?」
「だからといって、身体はほとんど同じはずなのにおかしいです。ズルイです」
「年季の違いかしらね」
「年季の違いだなぁ」
リースはこの二十年ほどの間、いつも精一杯の愛情を俺に向けてくれたからな。子育てで忙しい期間が長かったとはいえ、最近はずっと一緒だし改めてそれを感じている。
それにしても、なんだろう。このオートパイロットってやつは、まやかしとかではなく本当に完全な一人の人間であるとしか思えない。母親が遠隔操作出来ることは確かなのだが、どう見ても確固とした一人の人間だ。
そんなリース二号に、実の娘に、既に俺は四人も子供を生ませているわけだ。コピー体の娘は更にコピー体の娘を生む。愛の奇跡を用いても、コピーではない男の子を生むことは出来ない。
……うーん。
少しひっかかったので、俺はこんなことを言ってしまった。言ってはいけないはずなのに。
「なぁ、娘の方のリースちゃん」
「えっ、はい、お父様」
「えっとな、今は母親と同じ名前だろう?母親もリース、お前もリースだ」
「はい、そうです。私もお母様もリースです」
「自分個人の名前は欲しくないのか?」
「えっ……」
俺がそう言うと、娘のリース二号の表情が一気に変わった。顔面蒼白というかなんというか。
母親のリースの方は、俺の顔と娘の顔を交互に見ている。
何を考えているのかは、表情を見ればわかった。
うん、これはタブーなんだよな。触れてはいけないことなんだ。
娘のリース二号は少し震えながら答えてくれた。彼女は泣いていた。ぽろぽろと涙を流していた。
これが、心の無い存在がすることであるはずがない。
「お父様、私は、お母様のコピーに過ぎません」
「うん」
「私に、私自身の名を名乗る権利はありません。私だけでなく私の妹達も、そして私が生んだ四人の娘達も、全てがリース、お母様のコピーなんです」
「……うん」
「私達を区別することがお父様にとって良いことだとは思えません。私達を区別しないでください。お願いです、お父様」
「うん、悪かった。ごめんな、リース」
俺は謝って、泣いているリース二号の身体を抱きしめた。最初彼女は震えていたが、すぐにその震えは治まった。それから少し熱が上がって、俺の身体に抱きついてきた。
なんだろう。抱いて欲しいのだろうか。
その時は昼前だったので、まだ仕事の時間では無かった。母親のリースの方も少し気にしたらしい。
「貴方達、するのは午後からにしましょうね。今日の昼食はルナに相談してこちらで作ることにしてあるから、母娘で協力して作るわよ。ほら、いくわよ、リース」
「はい、お母様」
母親のリースが、娘のリースのことをリースと呼んだ。いつもは二号ちゃんって呼ぶんだけどね。何かしら思うところがやはりあるのだろう。
その日の昼食は、二人のリースが協力して作った料理だった。なんというか肉多め。実家が畜産重視な国だからなぁ。牛ステーキや牛乳が名物だからな、あの国。ステーキもその付け合せも全部おいしかった。キャラットちゃんもしっかり肉を食べていた。
昼食後は二人のリースをたっぷりと時間をかけて抱いた。やはり母親の方がおしりが大きかった。娘ももう二年もしたらこれぐらい大きくなるのだろうか。それはそれで魅力的である。
三時のティータイム後には愛姫と愛姫二号を同時に抱いたのだが、そちらの二人は既に身体の区別がつかなかった。ただし内面はやはり違うようで、母親の方が先にギブアップして寝てしまった。その後も二号相手に続けていたら中身に母親が入っていた。そのまま娘相手に五回ほどして気絶させてやった。
それから半月もする頃には、皆まとめて仲良く次の子を妊娠していた。
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920/4/16 8:34
今日はマリーの見送りの為に表に出ていた。中央の広場あたりまで。
大学に入ったマリー達は、一年の半分が魔物討伐になっている。とはいっても俺の娘達は俺との子作りが優先だが。
偶数月が魔物討伐なのだがさすがに四月開始からいきなり魔物討伐はキツイので、四月だけは後半の半月にしておいた。
妊娠中の死亡はシャレにならない悲惨な事態になるが、娘達は既に常人よりも遥かに高いHPを確保しているので、低ランクの魔物の巣程度までなら少人数で突入でもしない限りまず死ぬことは無い。
HPが高い理由は色々とある。行為の際に俺の方がスキル値が高いので、妻や娘達の方がスキルアップしやすいこと。妊娠するまでに抱かれる回数が常人よりも遥かに多いこと。常人よりも遥かに多い人数を妻達が生んでいること。更に妻本人だけでなくスキルを共有する娘まで抱かれていることなどだ。
目安としてはどの程度だろうか。HP三百から五百程度でラスボスに挑むようなRPGを考えて欲しい。常人のHPは子供が三、四人いる家庭でも百程度だ。うちの妻や娘達のHPは三千二百程度にはなるだろうか。レベル四十のモンスターに一発殴られて八十ダメージ受けるとしても、四十発耐えられる。無理せず下がればまず大丈夫だ。
皆のHPとMPの1%を受け取るマリーも十分高いステータスになっている。
「おとーさん、行って来ます」
「うん、行ってらっしゃい。気をつけてな」
現在マリーはなかなかカッコイイ革の鎧を着ている。どこかで見覚えがあると思いきや、俺が昔会った猫族の女王が着ていた鎧をおさがりで貰ったらしい。なるほどな。あの女王は背が高かった。マリーの背丈は百七十センチだから、あの女王とほぼ同じなのかもしれない。
既にあれから二十年近く経過している。当時の女王は既に退位し、娘に次の女王の座を譲ったらしい。マリーにとってはどんな関係になるだろうか。
猫族の女王はマリーの母のルナにとっての伯母である。その娘だからルナにとっては従姉妹にあたる。マリーにとってはなかなか表現に苦しむ相手だな。五親等の「いとこおば」にあたるのだが漢字が特定出来ないな。
もしも新女王に既に娘がいるのなら、それはマリーのハトコにあたる。
ブロントもマリーと一緒にニッポンポンの魔物の巣方面に向かうのだが、ブロントの方は金属防具というか見覚えのある服を着ていた。いかにもナイトだというイメージの白い服だな。金属部と白い服の部分。服の下には鎖帷子を着込んでいる。ブロントサーコートと名付けよう。怒られるだろうか。
せっかくなので一つ新語を考えた。ブロントに早速教えることにする。
「なぁブロント、ちょっといいか?」
「む、どうしたんだ父さん」
「ブロントが金属防具、マリーが革防具だろう?」
「あぁ、そうだな」
「金属防具のナイトと革防具のナイトが両方備わり最強に見える」
「……突然何を言っているんだ、父さん」
「逆に二人が協力しないと頭がおかしくなって死ぬ」
「わかったわかった。マリーと仲良くしろってことなのか?大丈夫だよ父さん、これでも夫婦なんだから」
「それもそうだな」
うん、マリーの心は完全に俺の方を向いているが、お前等は一応夫婦だからな。
夫婦ナイトだ。金属鎧と革鎧の二人のナイト。
今はまだ武器と盾は一時的な間に合わせのものを使っているが、将来的には絆神力で実体化させた神具により戦えるようになるだろう。
息子のブロントに、創作した新ブロント語を教え込もうとしている俺に、マリーが心の声で語りかけてくる。
『おとーさん、おとーさん』
『うん、なんだい?マリー』
『今の台詞は何か意味があったの?おとーさん少し嬉しそうだったよ』
『そうだな……まぁ、ブロントにお前を取られていることはイヤなんだけどな。二人のナイトが戦うところには期待しているんだよ』
『そうなんだ。でも私にとっての一番はおとーさんだからね』
『うん、わかってる。俺もマリーのことは二番目に愛しているからな』
『はいはい。リースお姉ちゃんとこれからも仲良くね、おとーさん』
言われるまでもなく毎日仲良くしているけどな。そこらへんはマリーもよく知っているはずだ。
大学に向かう子供達の乗る馬車はいつも通り高速で走っていった。一度大学の方に集合してから、皆を乗せて改めて出発することになっている。大型馬車何台分になるんだろうな。
それを見送ってから俺は朝のティータイムの為に屋敷へと戻る。左にはリース、右にはルナがくっついてくる。更に周りを見ると他の妻達も皆一緒だった。いつも仕事をしているフリマさんも息子の見送りに出てきていたらしい。
その後八人の妻達と一緒に朝のティータイムを楽しんだ。同席していたアカリちゃんが謎の疎外感に震えていた。




