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異世界で、一兆円とクエストと。家族計画、神の道  作者: レガ先
第五章 家族計画。無計画。
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第五十六話「ナイトの戦い方」

 引越し後、俺の生活も大分変化があったが妻達の生活にも変化があった。


 それについて説明する前にまず確認しておきたいことがある。うちの妻達は皆王族ではあるのだが、王族にもピンキリがあるというか、人によって立場が違うのである。


 今までに説明したことがあるのは、愛姫が第三王女で姉二人は他国に嫁ぎ済であることや、フリマさんが第十三王女で正妃の三人目の娘であること、そしてキャラットちゃんがウサギ族の女王の三十三人目の子供であることぐらいだろうか。


 今日はそのあたりのことを含めて説明する。まずは嫁にした順に。


 まずルナだが、ルナは犬族の現王の弟のフェンリル公と、猫族の現女王の妹の間に生まれた王族の娘である。てっきり俺はルナがフェンリル公の一人娘だとばかり考えていたのだが、実は妹が二人いた。


 誰のことかと思いきや、ルナを購入する際に紹介されたルナ以外の二名、ルナよりも背が高くルナとは似ても似つかない二人がルナの妹達だったらしい。既に妹二人は良い夫の人が見つかって貰われていったのだそうだ。


 獣族の兄弟姉妹が全然似ないことは珍しくないとのこと。まぁ確かにな。ルナはこれまでに男の子を何人も生んでいるが、金髪だったり銀髪だったり赤髪だったりで安定していない。ただしどいつもこいつも女好きのナンパな息子達ばかりではあったが。


 もしも俺がルナを選ばずに妹二人を選んだ場合どうなったのか、そのあたりもルナに聞いてみた。


「妹達にはもしも自分が選ばれた際には、三人まとめて購入してと提案するように言いつけてありました」

「マジで?」

「マジです。姉妹だとバレたらどうしようかと末の妹はびくついていましたが、貴方は全然気付く様子が有りませんでしたね」


 そりゃあれだけ見た目が違えばな。姉妹だと気付けという方が無理だと思う。あの時点で三人まとめて買っておくのもアリだったのかもな。でもそれはそれでルナが妹を虐めそうで大変だ。


 次に愛姫の話。愛姫は上に姉が二人いて既に他の国に嫁ぎ済だったが、その下に更にやや歳の離れた弟や妹達がいたらしい。世継ぎとしては弟の長男が確定済だったとのこと。なので愛姫は立場上わりとフリーで、だから己の身を犠牲にして軍を率いていたとそういうわけ。


 愛姫の息子の政宗くんは特に実家を継ぐ必要などは無い。愛姫としてはそこそこの土地持ちの武将になって欲しいみたいだけどね。それはそれで良いと思う。


 次にジゼル。ジゼルは兄も姉も弟も妹もいたらしい。立場は愛姫と同じく三女で、特に責任は重くない。出会った頃は貧乳娘だったし、はぐれ魔物討伐で鍛錬したりとかの関係でオテンバ姫扱いされていて嫁の貰い手があまりいなかったらしい。だから俺と決闘して購入して貰うというのも、ジゼル自ら父王に進言したことだったとか。

 クエストで「夫から真実の愛を得る」などという条件が設定されていたが為に俺との行為には初め乗り気では無かったけれど、結婚そのものはジゼル自身が最初から望んでくれていたことだったのだ。


 次にフリマさん。フリマさんは第十三王女で正妃の三人目の娘だったわけだが、ウサギな姉が十人ほどトルッコの実家の方にいるようだ。それもややウザイウサギ姉がいっぱい。父王がウサギ姉達を甘やかすことが原因だ。実家だと疲れるので、俺の屋敷の方で昔も今もトルッコ王宮出張所として利用して働いているわけだ。

 既に跡継ぎとなる男の子を生んだことでフリマさんに権力が集中していて、ウサギな姉たちは立場が無くなっているらしい。それでもよぼよぼな王様にお小遣い貰って今も愛でられているそうです。毎日むっしゃむっしゃ野菜食べているんだってさ。


 姉ウサギ達が野菜ばかり食べるところも妹のフリマさんは嫌いらしい。その気持ちは俺もよくわかる。ウサギ族の国で野菜ばかり食べていた時非常に辛かった。せっかくトルッコ料理があるのだからそっちを食べるべきだと思う。


 次は北大陸の姫君の話だが。


 リースはエルフの国の王族としては一人娘だった。長女だし兄弟姉妹は一人もいない。箱入り娘で戦闘経験も無いし、父親に溺愛されていたのでファザコン気味。隣のハイエルフの国のロビン王子と小さい頃から仲良くしていたものの、世継ぎをどうしたものかなかなか難しいところだったらしい。


 俺の嫁になってたくさん子供を生んだので、それが今後はエルフの国の後継者になっていくみたい。ブロントが長男であるもののマリーの相手で忙しくなるかもしれないので、代行として弟のトリオンとピエージェを立てることになっている。

 今後深く関わる必要があるので、夏休みなどの暇な期間にささっと兄弟三人をエルフの国アルフヘイムのアルベロン王に見せに行ったことがある。

 アルベロン王は孫達の顔を見て大喜びしていたな。例の牛乳ビンの絵柄にも負けない良い笑顔だった。


 ティターニアは、兄のロビン王子と妹のティターニア姫とで二人兄妹だった。長男と長女の二人きり。なので父王や兄にはかなり溺愛されていたようだが、スキンシップが苦手なハイエルフ族の宿命なのだろうか、幼少期から来ていたリースの方により深く懐いてしまったらしい。

 若干レズ気味な勢いの関係だったのだが、そこに俺が現れたことで二人まとめておいしく頂いてしまったわけだ。案外それで丸く納まったのかもしれないな。


 兄のロビン王子は相当優秀な人物だったらしく、現在は王となり英雄として活躍中というのは以前にも書いた気がする。子供もいっぱいいるので、ティターニアの生んだ息子達が後を継ぐ必要は特にない。

 せっかくティターニアの生んだ長男にアーサーって名付けてみたのにね。エクスカリバーやカリバーンと呼ばれるような剣はこの世界には存在しないとのこと。石に刺さった剣も無しだ。ちなみにロビン王子が装備していたかっこいい剣はフラガラッハという名称だったらしい。


 次にアンジェラちゃんの話だが、彼女もたくさんの兄弟姉妹がいて特に後継者としての責任は重くは無い。というか姉妹の中でも特に問題人物だったらしく、俺に買われるのに丁度良い年齢と容姿だったから選ばれたのだそうだ。

 順列としては正妃の三人目の子供で六女だとのこと。この世界の王族は人数がかなり多い傾向がある。アンジェラちゃん含めうちの妻達は皆正妃の娘らしい。正妃筋の姫を俺に紹介してくれている分、どの国も俺に配慮してくれているのではなかろうか。


 最後にキャラットちゃんだが、元々三十三人目の子供なので兄弟姉妹がたくさんいる。姫だった頃のお小遣いは毎月三千円なのだったか。姉妹達の中ではまともな性格で、年齢も丁度良かったから俺の嫁として与えられたらしい。フリマさんいわく、フリマさんの姉ウサギ達よりは相当良い性格なのだそうです。

 ウサギ族の娘達はきっとウザカワイイ系なんだろう。キャラットちゃんはそれを考えると大分控えめで我慢する方で立派だと思われる。


 キャラットちゃんは最近はルナから毎月三万円お小遣いを貰って大喜びしているらしい。他の妻達は毎月五十万円を受け取ってそこから子供達にお小遣いを出しているわけだが。

 ルナは嫌がらせでそうしているのではなく、毎月五十万円も渡すとキャラットちゃんが悪い子になるから渡していないのだそうだ。元々お小遣い三千円だったわけだしな。

 裏ではしっかりと余り分を貯蓄している他、キャラットちゃんの息子の男の娘達にはキャラットちゃん分の取り分からお小遣いを配布しているらしい。なので長男のラビくんの毎月のお小遣いは母親のキャラットちゃんよりも高額なのだそうだ。

 息子よりもお小遣いが少ないお母さんの図。そのあたりは皆ルナに口止めされている模様。


 うちの妻達の家族関係はそんな感じだ。


 長女にあたるのはリースとティターニアの二人だけであり、王族としての責任が重いのはリースとフリマさんの二人という状態になっている。そして犬族王家と猫族王家の両方に影響するが比較的フリーなのがルナだろうか。

 王族ばかりを集めた姫ちゃんハーレムだけど、比較的責任が軽いことは間違いない。



 ---



 改めて、最近の妻達の様子について。東大陸の姫君から順に。


 ジゼルは最近は一生懸命勉強している。ジゼル二号が高校生なわけだが、ジゼル二号一人だけだと理解が追いつかないらしく、母親であるオリジナルジゼルも頑張って勉強することでなんとか追いつこうとしているわけだ。なかなか努力家である。


 昔から続けていた編み物だが、今でも続けてはいるもののやや疎かになっている。編み物の範疇を卒業して裁縫の道でも目指そうかなどと以前は考えていたらしい。しかし俺からの提案でジゼルには盾の研究を頑張って貰うことになった。

 そんなわけで、まずは高校の範囲をしっかりと勉強してから大学の範囲へと進み、金属加工についての専門知識をがっつり学んだうえで娘達を含め連携で鍛冶修行をするというプランになっているらしい。

 なんというか、ここまで熱心なこつこつ努力型だとは思っていなかった。侮れないロリ巨乳嫁である。


 次に愛姫だが、愛姫は結構な頻度で高校の方へと出かけて、息子の政宗くんのハーレムを訪問しているようだ。愛姫にとっては孫や孫娘にあたるからね。愛姫は長期間マジメに子育てしていたので、そこらへんのノウハウを新人ママさん達に一生懸命指導しているようだ。

 政宗くんが小さい頃の話もたくさん飛び出すので、今は父親になった彼にとってはなかなか苦しい場面が多いのだとか。

 愛姫は教育ママさんだからな。生真面目な性格をしているし子供達も大変な気がする。

 ベッドの上で俺に教育されている時はとても従順で可愛らしいのだが。


 フリマさんはトルッコ国関連の仕事をこなす一方で、長男のスレイマンくんに立派な王様になれるよう厳しく指導しているようだ。しかし仕事が忙しくて目が届かず、かなり苦戦しているらしい。

 まぁ中東風イケメンだしお嫁さんが既にたくさんいるからね。仕方ないね。祖父にあたる人はウサギ族ハーレム作ってウハウハしていたんだろう?孫が最初から立派な王様になるというのは期待しすぎではなかろうか。


 次に北大陸の姫君に関して。


 リースは午前中ずっと俺と一緒にいる。あまりにもイチャラブしているから他の妻達に怒られた。でもそれでも無視してイチャイチャし続けていたらスルーされるようになった。呆れたという面もあるだろうが、どうにも俺が少し疲れているということがいつの間にか他の妻達にも伝わっていた。というよりもティターニアが俺の代わりに皆のところを一人ずつ回って、俺の微妙な変化について他の妻達に説明してくれたのだそうだ。有り難い話だ。


 ティターニアは屋敷にいる間は不必要には常時くっつかないものの、俺のことを見ている時間が長い。俺がコピー体の娘達を抱く様子もずっと近くから観察している。

 ある程度は慣れたし身体の方は十分過ぎるほど気持ち良いのだが、なんだかんだで娘に手を出していることへの罪悪感を多少は感じてしまう。そんな俺の様子をティターニアはつぶさに読み取って、他の妻達に色々と説明したり、娘達に俺との付き合い方について指導している。


 そうやって俺の精神的負担を少しでも減らそうと必死に支えてくれている。でもその影響で娘達がどんどん優しく床上手になっていく。満足度は上がるのだがたっぷりと搾り取られてしまう。この身体ならば平気だが前世では絶対に身体が保たなかったことは明らかだ。


 アンジェラちゃんは今も魔法や魔道具についての研究を続けている。最近は装備品にかけるエンチャントを研究しているのだそうだ。これまでエンチャントは金属防具にかける重量軽減のエンチャントぐらいだったらしいが、他にも色々と有用な効果を付与出来るように頑張っているらしい。性能アップというよりは使いやすさを向上させる方向で研究中なのだとか。


 最後に、獣族の二人について。


 キャラットちゃんはやることが無くて暇そうにしていたのだが、俺からの注文で格闘術について学ぶことになった。南大陸の人々は、ウサギ族と犬族は素手格闘で魔物を倒してしまうらしいからな。犬族の元王子であるフェンリル公も、実はそのあたりの素手格闘の技術が結構高かったらしい。

 なのでキャラットちゃんはまずフェンリル公の動きを参考にしていた。しかしフェンリル公、手足だけじゃなく明らかに牙使って攻撃してた。さすがにそれはキャラットちゃんには無理なんじゃないかなぁ。キャラットちゃんの歯は人間と変わらない。その方が可愛い。


 そしてルナは。ルナは家長として色々取り仕切って、色んなところにコネを作っているらしかった。以前から広場にいっぱい色々な人達が集まっていたしな。今も年中行事の際は同じことが繰り返されているのだが、その人数が毎年増え続けている気がする。

 正直ルナが何をしているのかその詳しいところまではサッパリ全容が掴めない。フリマさん曰く、重要人物への根回しを滞りなくやってくれているおかげで仕事が捗るらしい。


 でもそんなルナも、ベッドの上では素直なエロ嫁になる。それが彼女にとっての最大の息抜きなのだろう。でも娘の身体に可能な限り毎晩憑依するというのはどうなんだ。別にいいけどね、床上手だし。


 妻達の生活はそのようになっていた。


 そしてそんな生活が、引っ越した頃から一年弱、既に続いていた。



 ---



 918年夏、夏休み。


 高校三年生になった一番上のグループ、愛姫の息子の政宗君、フリマさんの息子のスレイマンくん、そしてジゼル二号の三名は、夏休み期間中、ニッポンポン国の中央部へと向かい、魔物達相手に戦闘訓練を開始した。ハーレムの女の子達も一緒にだ。


 スメスさんが以前十五歳時点で俺と息子達がステータスを完全に共有するなどと説明していたが、HPに関しては本当に凄まじい量に達しているらしい。愛姫の本気の一撃を受けても2%削れるかどうかという状態になっている。

 愛姫曰く、子供を数人作った武将でも愛姫の一撃で吹き飛ばされるケースが多いらしい。既に常人の五十倍程度のHPを確保しているというわけだ。


 だが体力スキルこそ上がったものの、戦闘スキルは全然上がっていない。なので子供達には戦闘スキルを上げてきて貰う。ハーレムのお嫁さん達にはその様子を見て貰ったうえで、大学での進路を考えて貰う。

 衛生兵など後方支援の軍人としての道を選ぶか、戦場には出ずそれ以外の道を選ぶか、の二択だ。


 息子のハーレムのお嫁さん達が武器を持って戦うことはない。不老長寿の肉体があればまだしも、そうでない女性が前線に出るのはどうやっても無理だ。十分なHPを確保するよりも先に身体が老いてしまうからだ。

 一般人の数倍程度までならばHPを確保可能かもしれないが、俺が必要としているのは一般人の十倍以上のHPを確保した不屈の軍隊だ。そのレベルでなければ、この世界の異常な強さの魔物達を相手にすることは不可能だからだ。


 子供達は魔物の巣には入らず、周囲のはぐれモンスターを倒している。はぐれといってもその大半は、巣の外へ出かけ野生動物を狩り持ち帰るという働きアリのような存在なのだが。以前同様、人間を襲う魔物はおらず無視するらしい。


 魔物を倒した際に戦闘スキルの上昇を得るには、魔物に何かしら一撃を加えた状態で、パーティーを組んでいるメンバー内で誰かがトドメを刺せば良いのだそうだ。


 以前説明したこともあるだろうか。節分の豆を魔物にぶつけても魔物はこちらには襲いかかってこない。だから息子達のハーレムのお嫁さんは皆で魔物に豆を投げつける。その間魔物は襲いかかってこない。

 一通り皆が豆を投げ終わったら、夫である政宗君やスレイマンくんが一対一で魔物を仕留める。すると、豆を投げた妻達の戦闘スキルまでアップする。ややインチキ気味だがそういう風にさせておいた。


 市場から大量の豆を買い上げたせいで相場がやや上がったりもしたとかしないとか。


 政宗には、去年から開発していた正宗を持たせておいた。最優先で開発させたところなんとか間に合ったらしい。アダマンと黒鉄を混ぜて作り出された刀身は、よく斬れて尚且つ丈夫な一振りに仕上がった。黒い峰部分に黒鉄を用いたらしい。


 現地で魔物達をズバズバと切り捨てることで、屋敷の方にいる俺の戦闘スキルも上昇していった。


 ジゼルと一緒に特訓して以来、十八年ぶりぐらいの戦闘スキル上昇だろうか。明らかに戦闘力が増していくのがわかった。


 ジゼルもジゼル二号を現地に向かわせている。他の息子達とは別行動で、昔ジゼルを護衛していた騎士の人達をジゼル二号の世話役としてお願いしたらしい。十八年経過した今、その彼らも結構な年齢になっていたのだが快く引き受けてくれたのだそうだ。


 ジゼル二号は昔の貧乳だった頃のジゼルの生き写しだ。コピー体だから当然のこととはいえ、完全に一致である。俺の屋敷から出発する際に顔見せしたのだが、元護衛だった騎士達は随分と喜んでくれていた。


 しかしあの頃のジゼルと今のジゼル二号ではHPがケタ違いだ。俺の体力スキルをそのまま共有している政宗くんほどじゃないとはいえ、その八割程度のHPは持っているらしい。常人の四十倍だ。

 そして武器としては、二本目のミュルグレスを持たせている。ミュルグレスはオリハルコン製だったらしい。ちなみにオリハルコンは紹介し忘れていたが、南大陸で採掘出来るのだそうだ。

 東大陸の黒鉄。北大陸のミスリル。西大陸のアダマン。南大陸のオリハルコンだな。


 ジゼルは本体を休めてジゼル二号の操作も少しやっていたらしい。現地での調子を俺に教えてくれた。


「昔とは大違いですわね。トロールの大棍棒が直撃しても私の頭の一歩手前で完全に止まりますのよ。それでいてHPも1%程度しか削れていませんし」

「うん、そうか。昔のトラウマももう直ったかな?」


 ジゼルは、昔殺された時のことが随分長期間トラウマになっていた。俺に抱かれてHPが上昇することでもう大丈夫なはずだという確信は得ていたはずだが、それでも実際に戦わないことにはどの程度かはわからなかった。

 今回も自分のオリジナルの生身では行かず、娘の身体を動かして戦っている。


 俺の台詞に対して、ジゼルはとても安堵した表情で答えてくれる。少し涙も流していた。


「えぇ……もう大丈夫です。ありがとう、ヒロ。これも全て貴方のおかげですのよ。これからも、わたくしのことを愛してくださいまし」

「うん、そりゃあもちろん。これからもよろしくね、ジゼル」


 そう言って彼女を優しく抱きしめた。



 ---



 さて、戦闘スキルの上昇を感じていたのは俺だけではない。


 ブロントもだった。息子達全員の戦闘スキルが共有され上昇しているからだ。


 それでどうなったかというと、ブロントから俺に練習試合をしようという申し出があった。


 戦闘スキルは魔物を倒した際にしか上がらない。戦闘スキルによって上昇するのは、攻撃の振りの早さや一撃の威力、他には身のこなしなどだ。


 上昇した戦闘スキルを上手く扱えるかどうかというのは、これは個人の才覚による。だから力の扱い方を覚える為に練習試合が行われることは珍しくはない。


 そんなわけで、父親の俺と高校二年生になったブロントとで練習試合をすることになった、のだが。


 まぁなんというか、理由に関しては予想がついていた。というかマリーが直接心の声で教えてくれた。


『おとーさん、おとーさん』

『うん、なんだい、マリー?』

『えっとね、その……行為の最中にね、おとーさんに抱かれている自分を想像していたら、ブロントにバレちゃったの。すっごく怒ってた』

『そ、そうか。実際にはまだ抱いていないわけだが』

『う、うん。それもね、しっかり説明したの。そしたら当然だって言われちゃった。なんか凄いこと言ってたよ。あのクソ親父、思い知らせてやる!みたいなこと言ってた』


 ちなみにブロントは、俺のことはいつも「父さん」と呼んでくる。最近ややトゲトゲしいけどね。まぁそりゃそうか。ブロントにとってマリーは、昔から憧れの人だったわけだし正妻だからな。その心を俺に奪われているんだから、そりゃ怒るのも当たり前か。


 それにしても行為の最中に俺に抱かれる自分を想像するって、どういうことなんだ。


『なぁ、なんでそんな想像をしたんだ?マリー』

『えっと、んっと、理由を聞いてもおとーさん、怒らない?』

『ん?うん』

『だってぇ……ブロントのエクスカリバーの形も大きさも、おとーさんのブルトガングそっくりなんだもん……』

『ちょっ』


 ちょっと!エクスカリバーはまずいから!ヤメテ!!!『飲み込んで、僕のエクスカリバー』とかそういう台詞マジ禁止だから!


 一応マリーにそのあたり問い質したところ、マリーだけが勝手に名付けているらしい。エクスカリバーという名称は俺の記憶から勝手に引き出したのだとか。というか勝手に引き出すな。


『はぁ、そうか。その名称はブロントや他のお嫁さんには伝えていないんだよな?マリー』

『うん、だいじょーぶだよ、おとーさん』

『うむうむ。伝えていたら本当にマズイことになっていたからな』

『ねぇねぇ、おとーさん。エクスカリバーって何のことなの?名称と剣の名前であることしかわからなかったよ』

『それはだな……』


 俺はマリーに、俺の世界のエクスカリバーのことについて教えてやった。様々なゲームに出てくる伝説の聖剣の名前だ。

 装備していると常時ヘイストになったり、バグ技で増やして敵に投げると簡単にカンストダメージが出たり、作品によっては鞘の方が最強の盾だったりもするが、俺にとってのエクスカリバーはブルトガングのライバル武器とも言える騎士剣だった。

 ブルトガングの方がよっぽどレアだけどな。名称と作りやすさの面であちらの方が人気があるが。


 そのあたりを説明してやると、マリーは随分と納得していた。


『そっかぁ、ブルトガングのライバル武器なんだね。おとーさん、ブロントにはブロントソードよりもそっちを使って貰った方が良いんじゃないかな?』


 ブロントソードというのは俺が勝手に名付けた名称だが、黒くてところどころ出っ張っている禍々しい剣だ。正式名称はグラっトンとかそこらへんなのだがこれ以上言うと消されるかもしれん。


 ブロントの名前の由来となっている英雄が愛用していたとされる剣だ。光と闇が両方備わり最強に見えるらしい。


 とはいえ、その元ネタのブロント氏も、本当はグラっトンではなくエクスカリバーの取得を夢見ていた。その当時はエクスカリバーは激レア装備だったので、そこまで廃プレイ出来ていたわけではないブロント氏は結局エクスカリバーを手にすることは不可能だったかと思われる。

 エクスカリバーの取得前にゲームを引退したであろうと予想されている。


 グラっトンは繋ぎで、エクスカリバーが最終目標だったのだ。


 しかしだな。


『あのな、マリー。エクスカリバーを作ることはたぶん通常の金属じゃ無理なんだ。オリハルコンだろうがアダマンだろうがミスリルだろうが、エクスカリバーの素材として皆に認められることは無いだろう。それぐらい最強の武器なんだよ。エクスカリバーが何本も世界に存在したら大変なことになるんだよ、たぶん』


 そう、俺はそう思っている。通常の金属で生産出来るということは、量産可能だということだ。エクスカリバーがそのような安物であるはずがない。


 だからマリーはこう聞いてくる。


『おとーさん、ブロントソードは違うんだよね?あれは作れるの?』

『うん、作れないことも無いかな。色は黒色だし、黒鉄で再現出来ると思う。けれどエクスカリバーは無理だ』

『うーん……それじゃあ、私の絆神力ならどうかな?ブルトガングと比較してどうなのかな?』


 俺のイメージのブルトガングは、守り方面ではあるもののやはり最強の宝剣だ。これも通常の金属で作れるというイメージではない。絆神力でブルトガングを作り出せるのならば、エクスカリバーが作れないはずもない。


『そうだな、絆神力ならエクスカリバーも作れるだろうな』

『本当に?それなら、私がブロント用にエクスカリバーを作って貸してあげたら良いんじゃない?』

『あー……なるほど』


 確かにそうかもしれない。そしたら可能ではあるだろう。その分絆神力の消費が倍になりそうだが。


 しかしだな。


『いや、それは確かにそうだけど、ナイトは攻撃よりも守りを優先するべきだ。盾を優先して欲しいかな』

『盾?それって、盾は現物を作るのではダメなのかな?おとーさんの世界にはそんなにすごい盾があるの?』

『あるぞー。伝説の盾が二種類も』


 俺のやっていたゲームには、伝説の盾が二種類存在していた。どちらも製作は不可能で、クエスト等による入手だったが。


 ひとつは、イージス。イージスの盾ではなくイージスという名称だ。様々なゲームに登場する一番有名なものではなかろうか。極めて高い魔法防御力を誇り、範囲魔法によって他のパーティーメンバーが全滅してもナイトだけ生き残るということが普通に起こりえる最高の魔法防御の盾だ。

 それ以外の特徴として、盾により殴りつける攻撃、シールドバッシュの威力が極めて高い。他の盾の十倍ぐらい。ちょっとした序盤のザコぐらいならば、盾で殴りつけるだけで即死させることも可能だった。


 もうひとつは、オハン。あまり馴染みのない名称だが、ちゃんと歴史上にその名前が残っている盾だ。あのゲームは盾を装備しても常に必ず盾で防御してはくれなかったのだが、オハンは違う。ほぼ全ての物理攻撃に対して上手に盾で防ぎ、物理面では他に並び立つものが無い最強の物理盾だった。別にシールドバッシュは強くない。


 魔法盾イージスと物理盾オハン。この二つを揃えることによってナイトは最強になる。

 ちなみに俺は、ブルトガングとイージス、オハン、そして他にも守りの指輪というレア防具まで揃えた最強クラスの猫ナイトをやっていた。

 そう、猫ナイトである。別にネカマというわけではないのだが。猫大好き。


 続編となる作品でも猫ナイトをやる為の装備として、コルタナとホーリーシールドってヤツを揃えたりと頑張っていた。そんな矢先に、この世界へと転生したわけだな。


 まぁそこらへんの廃プレイ自慢は横に置いておこう。俺はそのあたりのこともマリーに伝えた。マリーは難しそうな声でこう答えた。


『うーん、剣が二本に盾が二つかー。ブルトガング一本に比べると四倍の消費になっちゃいそうだね、おとーさん』

『そうだな、その為にも絆神力をいっぱい稼いでおかないとな』

『おとーさんは、私の盾はどっちが良いと思う?剣はおとーさんのブルトガングだよね。盾はどっちが良いかな-?』

『イージスだな。間違いない』


 ブルトガングは防御の力を秘めた剣なのだ。イージスは魔法防御という面もあるが、盾そのものによる攻撃も可能だ。攻撃と防御をバランス良くする為には、マリーにはイージスを使って貰うべきだろう。


 となればブロントはエクスカリバーとオハンになる。奴のイメージにもピッタリだ。


 俺はそのあたりをマリーに伝え、後日具体的なイメージを伝えることも約束しておいた。



 ---



 そうして数日後、ブロントと俺とで練習試合をする日がやってきた。


 俺はジゼルから昔貰った大盾とメイスを装備している。大盾の方の名称はなんだったかな。カイトシールドだったと思う。割と縦長だ。十一というよりは十四という印象だな。


 対するブロントは、まだグラっトンというかブロントソードが完成していないのでこちらも盾とメイスだ。俺に合わせてくれたのかもしれない。盾の方はやや小さめで、俺が武器防具工場で作って開発して貰ったものを装備している。

 ブルホプロンという名称で、盾の表面に牛のマークのある丸盾だ。そこそこサイズもあるし見た目も特徴的な良い盾だと思う。


 いつも行事が行われている広場の中央で、ブロントと対峙した。妻達や娘達、それにマリーも観戦している。息子の方から俺に語りかけてくる。


「父さん、今は俺も父さんも同じスキルとステータスだ。手加減などせずにやってくれ」

「いいだろう。最初からそのつもりだ」


 俺と対峙するブロントは、随分と背が高くなった。俺の背は百七十五センチぐらいだと思われるが、ブロントの背はたぶん百八十五センチぐらいあるんじゃないかな。すらっと背は高く筋肉も十分についている。俺の方も、この世界に来た時からずっとムキムキのマッチョなんだけどな。


 ルナが試合開始の合図をしてくれて、それで俺とブロントは戦い始める。俺もブロントも右利きだ。右手にメイス、左手に盾。


 俺はガッチリと防御を固めて耐えてやる。ブロントの方は、たぶんまともに戦闘することは初めてだ。メイスの扱いも不慣れに見える。メイスらしい、振る動作で攻めてくる。


 俺達は現在戦闘力不足で極端にHPが多い状態だ。なので互いにどれだけ攻撃しようがHPを完全に破ることは出来ないだろうが、それでも相手を武器で押し出すぐらいのことはなんとか不可能ではない。そしたら勝敗ぐらいはわかるだろう。


 俺はがっちりとガードを堅めながら適度に軽く反撃してやる。そうやってブロントを挑発する。もっと大振りな攻撃で攻めてこいと誘ってやる。誘いながらこっそりと強化魔法をかけておく。左腕と右腕に、それぞれ攻撃力強化のストレングスを。


 ブロントが大きく右腕でメイスをスイングしてくるのが見えた。

 その瞬間踏み込んで、振ってくるメイスに俺の左手の盾を全力で合わせる!


 盾によるパリィだ。ストレングスで強化したパリィはブロントのメイスを弾くどころか吹き飛ばした。そして即座にこちらのメイスでがら空きになった胴に全力の刺突を行う。メイスで突いちゃいけないなんてルールは無い。正に致命の一撃と言っても良い攻撃が奴の胴に綺麗に入った。


 それでもHPを削りきることは出来ない。それだけHPが多すぎる。しかし勝敗は明白。

 武器も吹き飛んだことだし、一旦武器を納めて元の場所に戻る。


 元の位置に戻った時点でリースが声をかけてくる。息子の応援はしなくていいのか?リースよ。


「今の動き、なかなかえげつなかったわねぇ。それもヒロのゲーム知識なのかしら?」

「あぁ、そうだ。盾で戦うのならば必須技術だったな。パリィからの致命の一撃の連携は」

「そう。でも少しは手加減してあげてね。貴方と私の子供なんだから」


 そういって釘を刺される。でも手加減する気など全くない。


 ブロントの方は、マリーが少し慰めていたらしい。まぁ確かにな、お母さんの方がこっちに来ちゃったしな。そんな感じで二回戦。


 今度はブロントがかなり警戒していた。しっかりと守りを固めて大振りな攻撃をしてこない。なのでこちらから徐々に大きく攻撃をしかけてやる。きっとカウンターでパリィを狙っているに違いない。


 わざとそれを誘うように攻めてやりながら、身体の各部位に強化魔法を撒いた。そうしてから、大きく振りかぶるようにみせてやる。


 もちろんフェイントだ。ブロントが盾を合わせてパリィを試みるが見事に空振りする。そんなところに一気に踏み込んで下に潜り込み、カイトシールドで奴の身体を持ち上げてやる。


「え……」


 相当驚いている様子が見えたが、その時には既に空中に打ち上げてやった。攻撃と見なされない動きで盾を接着させて持ち上げて、それで空中に向けて一気に押し出したのだ。強化魔法による身体強化ならば、それが出来た。


 空中に打ち上げた後、即座に左手の盾を投げ飛ばして追撃してやる。俺の装備していたカイトシールドがぐるぐると回転しながら迫り、良い音を立てて命中した。厚すぎるHPバリアの関係で完全には削りきれていないが、本来は相当のダメージが入っているだろう。


 その間に俺はメイスをバットのように持ち替えておいて、落ちてくるブロントの身体を、ホームランするかのように全力のスイングで打ち付けてやった。


 HPバリアによって全て防がれるが、それでもクリティカルはしているかと思われる。ガッキイィィン!と空気が震える音が周囲に響きわたった。ブロントは何事もなかったかのように無傷で地面に落ちたものの、もしも自分のHPが人並だったならば、軽く吹き飛ばされていたであろうことは自覚した様子だった。


 男前な顔に似合わずとても落ち込んでいた。ふふん、俺様大勝利。


「まだまだ父さんには及ばないみたいだな、ブロント。父さんのようになれとは言わないが、盾は武器としても有用だということは心に留めておけ」

「はい……父さん」


 そう言ってブロントは下がっていく。ガックリと肩を落として下がっていく。リースが俺の方を責めるような目で見てから、息子のブロントを慰めにいった。手加減しなかったしな、そりゃそうか。戦闘に不慣れな息子に対してすることじゃねーな。


 一方マリーの方は俺に抱きついてきた。そうして俺に心の声で語りかけてくる。


『おとーさん!すっごくかっこよかったよ!やっぱりおとーさんは凄いや!』

『はっはっは、そうだろうそうだろう』

『ステキ!抱いて!おとーさん!』

『いや、それはダメだから』

『けちー』


 マリーは俺に抱きついて離れなかったが、その日はそのまま家に帰った。メイスはさっさと共有インベントリにしまい、ぶん投げたカイトシールドも拾ってしまっておいた。


 武器をしまった時点でティターニアが抱きついてきた。周囲で観戦していた妻達の様子も見たが、皆わりとドン引きしてた。ジゼルだけ盾のことに興味があるのかうんうん何か唸ってた。愛姫は失神して娘の二号と三号に支えられていた。娘の方がメンタル強いみたいだ。


 その日はマリーにイージスのイメージを伝えた後、それだけじゃよくわからないと言われて三回ほどごっくん、された。俺も三度以上マリーを気持ち良くしてやった。六九の体勢での行為はわりと新鮮だったらしい。


 そんな感じで日々は過ぎていった。

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