第五十一話「宝剣の授与」
システムメッセージのスメスさんから話を聞いた後のその日の午後、マリーは中学校の授業が終わり次第即座に帰ってきて、ティターニアの家にいた俺に抱きついてきた。それはもう凄い勢いで抱きついてきた。
俺はそんなマリーの髪を優しく撫でてやる。彼女の綺麗なストレートロングの黒髪は艶があってとても滑らかだ。
マリーが俺に撫でられながら俺に心の声で話しかけてくる。
『おとーさん!おとーさん!』
明らかにいつもより興奮している様子だった。確かに気持ちはわからなくもないが。
『ゲームクリアしたら、この身体も巻き戻して貰えるんだって!それでお父さんの物になれるんだって!お父さんも聞いたんだよね?スメスさんから』
『うん、聞いた聞いた。なんとなく試しに聞いてみたんだけど、まさかそんなクリア報酬があるだなんて思っても見なかった』
『私もだよー、お父さん。神様はバッドエンドが嫌いだって話を聞いて、もしかしたらと思って聞いてみたの。私、もう一度綺麗な身体に戻れるんだね。綺麗な身体に戻ってから、それで私の全部をお父さんにあげられるんだね』
『うん、そうみたいだな。お父さんも嬉しいよ、マリー』
この世界はやはり処女信仰が激しいからな。処女の状態で結婚してそれで完全に自分のものにする傾向が強いからな。俺もその方針には全面的に賛成だ。その方が夫婦の絆が強くなるだなんてことはわかりきっているじゃないか。
マリーは強い決意を篭めた声で、俺に告げてくる。
『おとーさん、頑張ろう!必ずこの世界をクリアしよう!私も頑張るから、おとーさんも頑張ってね。おとーさん、愛してる!』
『あぁ、俺もマリーを愛しているぞ。絶対にクリアしてみせるぞ、この世界を』
そうやって二人で決意して、キスをした。
その後は夕食の時間までマリーと二人でティターニアの家の中でイチャイチャした。ティターニアは家の外では俺に常時くっついているが、今は家の中なので一生懸命育児に励んでいた。こちらの様子を凄く気にしていたけどね。何度もチラチラとこちらの様子を見ながら少し涙目になってた。
その内夕食の時間になったので、マリーとティターニアと一緒にルナの家に向かった。
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今まであまり説明していなかったが、現在ルナの家での食事時の座り方はこうなっている。
横長のテーブルに対して、まず俺とルナが正面同士向かい合っている。俺の左にはティターニア、俺の右にはマリーが座っていて、マリーの右にはブロントが座っている。
ルナの右、俺から向かって左にはルナの父のフェンリル公が座っており、そしてそれ以外の席には中学入学前の他の子供たちが座っている。
ルナは既に男の子七人、女の子のコピー体を十人生んでいるからな。今家にいるのはルナ四号以降の八人の女の子と最初の男の子だったジタン以外の六人の男の子がいる。小さすぎる四人は食卓にはついていないが、食卓を囲む人数が十六人ぐらいいるのだ。
そしてルナはその全員分の食事を毎日毎食作っている。ただし昼間学校に行っている子達の分は作らずに済む。なんというかルナはお母さんとしてとても立派に勤めを果たしている。そんなルナを娘のマリーの次にしか愛していないのだからなんともまぁ我ながら酷い話だな。
ブロントが食卓に参加しだしたのは、マリーが中学校に入り一緒に生活するようになってからだ。いつもルナの家に食べにくるから、マリーと二人っきりで食事したことはたぶん無いんじゃないかな?ルナの御飯がおいしいからというのが最大の理由ではあるのだが、まぁそういうことだ。
ルナは割と皆を良く観察している。だから今日も何かに気づいたようだった。ルナがマリーに向けて話し掛ける。
「あら、マリー。今日は何かとても良いことがあったみたいですね。最近少し元気が無さそうで心配していたのですが、お母さんはほっとしましたよ。何があったのかしら?」
「えへへー、お母さん、それは秘密なの」
「そうですか、別に構いませんよ。どうせお父さんが何か知っているのでしょうし。ねぇ、アナタ?」
「ん?うん」
ルナが俺の方を吸魂の瞳で見つめてくる。なので俺も見つめ返す。ルナは俺から魂を吸う際に、俺の魂の味から何か判別出来るらしい。しばらくちゅーちゅーと魂を吸ってから、あちらから目線を逸らした。
ルナは少し何か考えた様子だったが、そのまま食事に戻った。
夕食の後、マリーとブロントは一緒に手を繋いでフェンリル公の家へと戻っていった。フェンリル公はすぐには家に戻らず、小さな子供達の相手をしていた。ずっと子供を生み続けている関係で今でも家には零歳児や一歳児、二歳児がいるからな。その上の子供達もいるし、フェンリル公の出番は尽きないわけだ。
夕食後ルナに引き留められるかとも思っていたのだが、特に引き留められず帰っていいよって言われた。子供の世話もあるしな、落ち着いて話が出来る状態ではない。
なのでティターニアと一緒に家に帰った。今は丁度抱ける相手がいない時期で、夜のお勤めは基本無しだった。なのでそういう日は昔からずっとティターニアが処理してくれている。性的な意味で。
してくれている時のティターニアは、とても嬉しそうな顔で飲んでくれる。昔からずっと続けている関係で、直飲みする限りではとてもおいしいらしい。俺には理解出来ない世界だけどね。でも嫌がられるよりはマシだよな、と考えていた。
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さてそんな夏のある日のこと。夜なのにマリーがしばらくの期間、ティターニアの家にいる俺を訪ねてくるようになった。
理由を聞いたところ、ブロントとケンカしてしまったらしい。まぁそりゃなんといいますか、わからなくもないですがね。原因は俺とマリーが深く相思相愛なことだろう。
行為の最中に自分以外の誰かのことを考えられたりでもしたら、誰だって嫌だろ普通に。つまりそこらへんが原因なんだろうと判断した。
それでどうなったかというと、一ヶ月の間だけ別々に暮らすとかそういう方針になったらしい。それじゃあ普通はブロントがリースの家に帰る流れになるだろうに、マリーがこっちに来ることにしたらしい。
なんということだ。これでは浮気相手がバレバレじゃないか。
『えへへー、おとーさんごめんねっ。おとーさんのことばかり考えていたから怒られちゃったよー』
『いや、まぁいいんだけどね。この家の中でなら好きなだけイチャイチャ出来そうだしさ』
『うんうん。おとーさん期待してもいいの?本番しちゃう?』
『う、うーん。それはちょっと嫌かな。ごめんね、マリー』
うん、ごめん、ごめんよマリー。おとーさんちょっとイヤなんだよね。
マリーを抱きたいという気持ちはあるのだが、なんといいますかその、息子と○兄弟になるのはすげー辛いというか勘弁して欲しいというか、俺のプライドが色々とですね?
俺がそこらへんの事情を話すと、マリーはちょっと怒ってた。あとわりとマジ泣きしてた。
夜にマリーと二人でお風呂に入るようになった。最近は以前着けていた事故防止用の水着もつけていない。それで浴槽の中で対面で抱き合っていた。俺の股間のブルトガングは常時戦闘状態。
そんな日を既に二日続けていて、三日目だったのだが。
今日もマリーは俺と抱き合いながら、俺とキスしながら、心の声で文句を言ってきていた。
『もー、おとーさんのいけずー。男の人ってそこらへん凄く気にしちゃうの?やっぱり最初から最後まで全部独り占めしたいものなの?』
『うん、そうだぞマリー。そこらへん気にするヤツは結構いるはずなんだ。最初から最後までずっと独り占めしたいものなんだよ、マリー』
『うー、おとーさん。中に入れてくれないの?いつもこんなにおっきくしてるのに。リースちゃんや愛姫ちゃんにはあんなに激しく貫通、収縮、炸裂させていたのに。私には入れてくれないんだ。ひどいよー、おとーさん』
『うーん、そんなこと言われてもなぁ』
お湯でのぼせないうちに浴槽を出て、お互いにしっかりと身体を洗う。そうして身体を洗ったのだが、マリーが今夜はこう続けてきた。
『ねぇねぇ、おとーさん。下のお口にくれないのなら、上のお口にちょーだい?』
一瞬何を言われたのか理解するのに時間がかかった。と、完全に理解する前にマリーに襲われた。
『えっと、マリー?何をする気なんだ?』
『えへへー、おとーさん、いつもティターニアお姉ちゃんにごっくん、して貰ってるよねー。凄く興味あったんだー。私も試してもいいよねー』
そういって、マリーは早速とばかり行為を開始してしまった。
ずっと俺がティターニアにされていたのを俺の身体の感覚として知り尽くしていたからか、初めてだというのに見事にやり遂げてしまっていた。
俺はその晩、すっからかんになるまでマリーに吸い尽くされてしまった。
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そんなわけで一ヶ月の期間中、二十八日ぐらいほぼ毎日吸い尽くされてしまった。なんということだ。完全に吸い尽くしてティターニアの分を残さなかった為、ティターニアが毎晩凄く不満そうにしていた。
最終日の翌朝、ティターニアの寝室で朝一緒に起きたマリーから心の声でこんなことを言われる。
『おとーさん、なんだかすごくわけがわからないぐらい毎晩おいしかったよ。私びっくりしちゃった。これってやっぱり、ティターニアお姉ちゃんの成果なの?』
『うん、そうみたい。俺のブルトガングからずっと長年飲んでいるうちに味が良くなったらしい』
『そっかぁ』
マリーが少し考え込むような顔をしている。何故か自分の左手のてのひらをじいっと見つめている。どうしたんだろう?
少しそうやって考え込んでからマリーがこちらを見つめて心の声で語りかけてくる。今日も綺麗な金色の大きな瞳をしている。
『ねぇ、おとーさん。ちょっと聞いてもいいかな?』
『ん?なにかな、マリー』
『ブルトガングって名称はどこから来ているの?リースお姉ちゃんがつけたんだっけ?』
『えっと、うん、そうではあるんだけどもね』
『本当にそれだけ?おとーさんの世界には何かそんな名前の物は無かったの?』
ブルトガングが存在するのかしないのか?俺の世界にブルトガングが存在したかどうか。それはだな、
『存在する、存在するぞ。父さんにとっても、とても大切な宝物だったんだ』
『うん、そうなんだ。ねぇおとーさん。その宝物のことを教えて?私にその、おとーさんの大切な宝物の事を教えて欲しいの。それが何かのきっかけになるかもしれないの。心の中でイメージしてくれないかな』
『よし、わかった、待ってろよ』
俺は俺の心の中の、思い出の中のブルトガングのイメージを思い浮かべた。
ブルトガング。それは伝説の武器の一つだ。ブルトガングと名の付く物は色々あるだろうが、俺にとってのブルトガングは一つだけ。それはナイト専用の騎士剣であり、見事な造形の宝剣とも言えるものだった。
身に着けるだけで被弾を抑える効果がある、守りの力を秘めた剣だった。
俺は俺の知るその剣のことを強くイメージした。そしてそのイメージをマリーが受け止めていく。なんだろう、何か大切なものをマリーと共有していく気がした。
俺とマリーはその間瞳を閉じて集中していた。イメージを受け渡し終わって俺が瞳を開くと、マリーも同時にその金色の瞳を開いた。そしてマリーが俺に告げてくる。
『おとーさん、わたし、なにかいける気がするの。ちょっと見て欲しいな』
『うん、そうか。よくはわからないけど朝食前にしようか』
『うん、おとーさん』
その後起きたティターニアと一緒に、三人で朝のお風呂にささっと入ってから、ルナの家に行く前にいつも行事の際に集まる広場にやってきた。
俺とティターニアが木のベンチに座って見ている前で、マリーが何やら集中を開始する。
マリーは御飯の後に学校にいく関係で、今は夏服を着ている。セーラー服に短めのスカート。背は今は百七十センチ弱。黒耳で綺麗な黒髪ストレートロングの彼女が、集中しながらゆっくりと左手を空中に向けて伸ばす。後ろの方では黒くてちょうどいい太さのしっぽが左右にすごい勢いで揺れていた。
そうしてマリーが肉声で、こう言い放った。
「顕現せよ!宝剣、ブルトガング!」
その求めに応じるかのように、マリーの左手が光ってそこから光と共に武器が発生した。なんの武器かなんてもはや確かめるまでもない。その武器は、いや宝剣は、俺の知っているゲームの剣、宝剣ブルトガングそのままの姿で出現したのだ。
剣を出現させたマリーは、そのまま左手で少し振って確かめていた。質量が無いかのように軽く動かせるようだ。マリーが扱うにはややサイズが大きい長剣として出現しているが、重さを感じないのなら問題無いだろう。
剣を振っているマリーが肉声で聞いてくる。
「おとーさん、これUIではどうなっているのかな?ちょっと確かめてみて?」
「ん?うん、わかった。確かめてみる」
マリーはそのままブルトガングの使い心地を確かめている。マリーにはまだ魔物との戦闘経験は無い。なのであまり上手に扱えているとは言えないようだったが。
俺はUIを見た。俺達一族全員のUIの中央上部には、マリーの誕生以来ずっと彼女のステータス表示が出ている。そして彼女は彼女専用の絆神力というゲージを所持しているわけだが。
その絆神力のゲージが、ガリガリと削られているのが見える。すぐには枯渇しないようだが、減っていることが目に見えてわかった。ブルトガングを出現させ維持する為には、この絆神力が必要だということだ。
「おとーさん、この剣がブルトガングなの?これがおとーさんの剣なの?」
「うん、そうだぞ、マリー。どうだ、わりとかっこいいだろう?」
「うん、凄くかっこいいよコレ!さっすがおとーさんだねー。えへへー、おとーさんの剣ー」
そのまま五分ほど維持していたが、絆神力ゲージはなんとか枯渇することは無かった。名残惜しいがゲージが尽きる前にブルトガングの維持をマリーが中断した。するとすぐにブルトガングは消滅し光になって消えた。
絆神力ゲージはすぐには回復しないようだった。MPのように身体接触で早く回復するかどうかマリーと抱き合って試してみたのだが、回復量は一切上昇しなかった。
回復はしている。しかしその回復速度があまりにも遅い。絆神力ゲージの全回復には十二時間程度はかかってしまうのでは無いのだろうか。今の絆神力の量では、まともに実用には耐えられないかと思われる。
しかしこれでようやく、絆神力の用途が一つ判明した。伝説級の武器を実体として出現させる、そういう力があるのだ。
ブルトガングのお試しを終わった後、マリーが俺に抱きついてきた。そしてそのまま心の声で語りかけてくる。
『おとーさん、ありがと。私これで一つ強くなれた気がするよ。これが私達の力なんだね、おとーさん』
『あぁ、そうみたいだな。それにしてもよく気づけたな、マリー』
『えっと、その、そのね?おとーさん。言ってもいいかな?』
俺に抱きついてきているマリーが少しもじもじと恥ずかしそうにしている。一体どうしたのだろうか。
『うん、どうしたんだ?マリー』
『えっと、そのね。なんだかその、おとーさんのブルトガングを毎日ごっくん、していたら。左手の方がね、少し熱くなってきていたの。最初は気のせいかと思ったんだけど段々熱くなってきて、何かが身体の中から出たがっている気がして。それでおとーさんに聞いてみたの』
な、なんだろう。これはなんというか、つまりはそういうことなのか?
『つまり、その、俺から直接毎晩飲んでいるうちに、俺の心の中のイメージが、マリーに徐々に受け取られていたと、そういうことなのか』
俺がそう伝えると、抱きついているマリーがそのままこくん、と頷いた。
どうにもそういうことらしい。
ごっくん、された結果としてマリーに俺の宝剣が授与されたってことだ。
たぶんもう気にしたら負けだと思う。
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その日の三時のリースの家のティータイムでは、やはりリースに絆神力の件で問い詰められることになった。何故ならマリーのステータス表示は一族全員に常時表示なのだ。絆神力のゲージがガリガリ減るのも全員から確認可能なわけで。だからリース以外にも何かしら聞かれる羽目になった。
他の皆にはマリーが新しい力によって剣を生み出せるようになったんだよ、ということだけを伝えた。他の皆には剣の名前は伏せておいた。
しかしリースは俺にしつこく剣の名前について食い下がってきた。
「ねぇ、ヒロ。剣の名前を教えなさいよ。ヒロが言わないってことはそこに何かがあるってことじゃないの。ほらほら、大人しく吐いちゃいなさいよー」
「うぅ、ティターニア、助けてー」
「リースお姉様。剣の名前は宝剣ブルトガングでしたよ」
ティターニアがあっさりと剣の名前をばらしてしまった。なんだろう、もしや毎晩マリーに全部飲まれてしまったことへの意趣返しだったのだろうか。もう名前をばらされた時点で俺の股間の肉剣との相関性を疑われて、リースに根掘り葉掘り聞かれて、すぐに全てバレてしまった。
話の全容を聞いたリースは、ちょっと疲れた表情をしていた。
「まさか私がたまたまつけた名称がそのままストライクだったなんてね。なんとなくヒロの相手をしていたら、そういう名称が思い浮かんじゃったのよね。まさかそれがヒロのゲームでの宝物の名前だったなんて、ちょっと呆れちゃったわよ。そんなに大切なアイテムだったの?それ」
うん、そうなのである。かなり大切なレア物だったのである。ほとんどのプレイヤーが所持していない圧倒的レアとして有名なものだったのだ。
そのあたりのことを説明したらさすがのリースも苦笑い。うん、ごめんよ。ちょっと廃プレイしすぎたわ。悪名もバリバリだったし本当に悲惨だわ。
でも全て納得したという表情だった。そしてリースが俺に告げてくる。
「なるほどねー。でもその方向性で今後も進めるのはアリだと思うわ。ヒロの好きだったゲームの、ナイトの武器なんでしょう?ブロントもナイトの名前をつけたのよね?なるほどねー。それじゃあ何かしら、今後はマリーとブロントで夫婦ナイトプレイでもしてみる?」
「あー、うん、それアリだと思うよ。俺の知ってるゲームでも、ナイトを二人か三人用意して強敵の相手をする場面があったからさ」
「ふんふん、なるほど。マリーとブロントは猫族とエルフ族で対極にあるわけだし、方向性の違う二種類のナイトとしてコンビを組ませたらどうかしら?そこらへんの設定はヒロも考えてみてね」
「うん、りょーかい」
なるほどね。ダブルナイトのコンビネーションバトルか。となるとそろそろ、武器や防具もマジメに調達しないといけなくなるかな。
三時のリースのティータイムの後、俺はティターニアと共にフリマさんを訪ねてみた。それでなんとか、一時的に借金をしてでも武具生産工場を発足させて、そこで世界中の武器防具を生産可能にするようにお願いしておいた。
計画そのものはかなり前から発案されていて、既にフリマさんは根回し等終えていてくれた。工場の設計図等も既に全部出来上がっていた。俺の代わりに俺の名義と権限で、資金を借りてくることもすぐに了承してくれた。後のことは任せておいても大丈夫そうだった。
まだまだ時間の余裕はあるが、これで大筋の方針は決まった。
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次の日の朝から、俺とマリーでの特訓が始まった。
昔ジゼルから貰った大盾は今でも所持している。一族の中で最高のHPを持っているのは俺だろうし、俺がマリーのブルトガングによる攻撃を盾で受け止めて威力を確認してみることにしたのだが。
盾で受け止めているというのに、俺のHPは一撃で二割強も持っていかれた。五発受けきればオーバーキル分で少し吹っ飛ばされるぐらいだった。このブルトガングによる攻撃は、相当高い威力を誇っているらしい。戦闘の素人なマリーですらこれなのだから、鍛えた際にはどれほどの威力を発揮することやら。
マリーの攻撃を受け止めるだけでは練習にならないので、一応俺からも反撃は試みた。何を試したかというと、盾による弾きである。マリーのブルトガングによる斬撃に大して、全力で盾による弾きをカウンターしようと試みたのだが。
しかし弾きは一切成功しなかった。マリーの斬撃は非常に弱々しいもので、それが普通の剣ならば楽に弾き飛ばせるぐらいの威力で盾で弾いたはずだった。しかしその弾きがブルトガングの斬撃の威力で抑え込まれてしまうのだ。これはもうとんでもない代物なのではなかろうか
絆神力ゲージを枯渇する前に切り上げるには五分程度しか練習出来なかった。毎朝の訓練で確認したが、絆神力を消費してもマリーの肉体にも精神にも一切の疲労は無いらしい。つまりそういったものとは無関係の別の場所から出てくる力ってことなんだな。精神論でどうにもならない分、ある意味厄介かもしれない。
戦いを通じて、マリーのスキルについても確認してみた。どうにもマリーのスキルは全てゼロの状態でスタートだったらしい。そう、体力スキルについてもゼロスタートだった。
そして悔しい話だが、ブロントはスキル等を俺と全共有しているので行為の際には俺と同じスキル基準で評価されるらしい。だからブロントと交わることにより、マリーの体力スキルは0.5ずつ高速で上昇しているらしい。
マリーの身体が子供を生めないだけで、避妊しているとは見なされないからスキルは通常通り上がるということだ。ブロントの子供を一人も生まずに体力スキルだけを伸ばせるということだな。
『ごめんね、おとーさん。おとーさんに伝えるのは辛いけれど、でも確かにブロントのおかげで体力スキルがぐんぐん上昇していることは事実なの』
『うん、本当に本当に悔しいが、事実ならばしょうがない。体力スキルが高い方がマリーの身の安全も高まるからな。この世界では大事なことだ』
『うん。本当はおとーさんにして欲しいけれど、おとーさんもいつもは忙しいだろうから我慢するね。私の相手をする時間を常に取れるわけじゃないもの。だからおとーさんはおとーさんの役割を頑張ってね』
割と酷いことを話している気がしたが、気にしないことにした。
種馬よりも酷い気がしなくもないがそんなことはないだろうたぶん。こんなに可愛い俺の娘を一時的にでも触れているだけ有り難いと思うべきなのだ、まったく。絶対に奪い返してやるからな。
俺がそんなことを考えていると、マリーは俺に抱きついてキスしてくる。俺の感情の動きも全てマリーには常時丸わかりなんだろうな。
俺はそんなマリーを俺の右側に抱き寄せて、右手で彼女の頭を撫でながらルナの家へと朝食に向かう。ティターニアはいつも俺の左側にくっついてくる。マリーと結婚していない以上、俺の左は基本的に常時ティターニアが独占だ。ティターニアのことも十分過ぎるほど深く愛しているから問題ないんだけどね。
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917/3/31 20:46
その日の晩俺は、スシネさんの家に来ていた。明日からマリーが高校生になるからな。
俺の左にはいつものようにティターニアが座っていて、俺の右には今回はマリーが来ている。
俺のこの毎回の報告の様子を一度見に来たかったのだとか。
スシネさんの隣ではスシネさんの娘のアカリちゃんがその仕事の様子を見ている。アカリちゃんは今九歳ぐらいらしいです。スシネさんが三十一歳の時点で生んだのだけども、まぁだからスシネさん本人は既に今四十歳かな。俺がこの世界に来た時には二十三歳でまだ若い女性だったのにね。さすがに若さを保つのは無理があるなぁ、っていうのが見ていてよくわかってしまう。
スシネさんがまとめた結果を用紙に出力してくれる。
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ルナ姫 南大陸出身、猫族
英雄マリー 金の瞳の乙女
男子7名 女子11名
愛姫 東大陸日本本国出身
男子5名 女子14+1名
ジゼル姫 東大陸ユーロ国出身
男子5名 女子14名
フリマ姫 東大陸トルッコ国出身
男子19名
リース姫 北大陸アルフヘイム国出身
男子5名 女子14+1名
ティターニア姫 北大陸アヴァロン国出身
男子6名 女子12名
アンジェラ姫 北大陸ダークエルフ国出身
女子19名
キャラット姫 南大陸ロップイヤー国出身
男子10名 女子9名
男子57名 女子93+2名 英雄1名 計151+2名
王族の割合 100%
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スシネさんが解説してくれた。それはもう嫌そうな顔で。
「なんといいますか、お疲れ様です。このプラスされている部分はコピー体の娘さんに生ませた人数を示しています。ヒロ様は、リース様と愛姫様の娘さんに同時に手を出されたそうですね?母親も同時で娘も同時にだとか。そしてそのまま四月に孕ませただけではなく、二月にも再び二人を同時に妊娠させたと。間違い有りませんね?」
そう言って割とギロッと睨まれた。そんなこと言われてもなぁ、スシネさん自身が記録している時点で間違いがあるはずもないではないか。
「はい、間違い有りません」
「そうですか。中学校までは性行為を完全に禁止してるというのに、あの二人相手には普通にやってしまわれましたか。まぁ確かに十分に成長していましたものね。種馬としては優秀ですが人間としては確実に腐っているはずです。褒めてますよ?一応」
そう言いながらスシネさんはチラッチラッと俺の両隣を見てくる。
俺の左にはいつも通り妻のティターニアがくっついている。俺の右にはそれに負けるかとばかりに娘のマリーがくっついている。両手に花というか、もう言い逃れ出来ないね、うん。
その様子を見てスシネさんが深いため息をつく。
「抱かなければ良いという問題なんでしょうかね。完全に恋人同士では無いですか。マリー様と結婚しないという選択は正しかったのでしょうが、やってることと実態があまりにも乖離し過ぎています。既に結婚なされているのに明らかに愛が夫ではなく父親へと偏っているではないですか。何故そんなに堂々と不倫出来てしまうのか、私は理解に苦しみます」
「俺さ、可愛いは正義だと思うんだ。マリーは可愛い。だから俺の物。必ず奪い返してみせるさ」
「そうですか。娘を愛しても息子は愛さないのですね。なんという非道い父親なんでしょうか。まだうちのヒモ亭主の方がマシに思えます」
スシネさんはそういって、資料をまとめてからアカリちゃんと一緒に寝所へ下がっていった。俺達も帰ろうかと思ったのだが、マリーがくっついて離れない。
マリーが俺にくっつきながら心の声で話し掛けてくる。
『おとーさん、おとーさん』
『うん、なんだいマリー?そろそろ帰って明日に備えないと、お前も明日高校の入学式だろうに』
『えへへー、ねえねえさっきの聞いた?完全に恋人同士だってさー。嬉しいな-、嬉しいなー』
『そこに喜んでいたのか。あぁ確かにマリーは俺の恋人だな。でも一応体面上はブロントの妻なんだから一応は体裁は保つようにするんだぞ?』
『はーい、おとーさん』
そういってマリーが俺にキスしてきた。だから俺は一応マリーの頭を、綺麗な黒髪をなでなでして返してやった。
反対側を向いたらティターニアにまでキスされた。うん、ほぼ毎日キスしてる気がするんだけどな、足りないのか、ティターニア。
そのまま三人で玄関で靴を履いて表に出て、マリーとはそのまま入り口を出たところで別れた。そのまま家に帰って、今はティターニアの番だったのでたっぷりと彼女と愛し合った。
明日はマリーの高校の入学式かー。俺も参加しておこうかねー。




