第四十話「くっつきました。」
現在の俺のタイムスケジュールはこんな感じ。
前日夜妻の誰かを抱く。→妻の寝室で起きて朝の挨拶後、妻と一緒にお風呂に入る。
→ルナの家に戻って俺とルナとフェンリル公で朝食後、娘のマリーを実際に見てあやしつつ心の声で彼女と会話。
→リースの家に行き朝のティータイムと打ち合わせ。→ジゼルお母さんの採乳を手伝う。
→フリマさんの部下から事業の進捗状況の報告を受ける。→ルナの家に戻り採乳を手伝った後に昼食。
→昼食後、ティターニアの家に彼女を迎えに行き、リースの家で本番寸前の行為でイチャラブする。
→その後三時のティータイムの後は普通に過ごし、満足したら切り上げて出かける。
→夕食まで何かしらの行動をする。スシネさんに色々と記録をつける為の報告をしたり、キャラットちゃんの家を訪ねて一緒に遊んだり、アンジェラちゃんの家を訪ねて彼女の研究について聞いてみたりする。
→ルナの家で俺とルナとフェンリル公で夕食を取った後、マリーの顔を見てから出かける。→妻の誰かの家でお楽しみ。
うん、これは果たしてなんというか、許されて良いのでしょうかね。
ちょっと我ながら色々と自信が無い。
以前はリースがルナの家に御飯を食べに来ていたが、ルナが出産した頃にはつわりも治まってお腹も大きくなっていたから来ることは無くなっている。最近は彼女の料理も大分上達してきたそうで、自ら作って自宅で食べているらしい。
俺も是非食べてみたいのだけど、ルナの料理と比較されるのがイヤだからということでまだ食べさせて貰ったことが無い。
三時のティータイム用のケーキ等はルナがいつも作って差し入れしてくれている。
相変わらず敵に塩を送るような行為だと思うが、有り難い限りなのでその好意に甘んじている。
先日リースが遂に妊娠したので、次はアンジェラちゃんに相手をして貰うことになっている。
身長百七十センチ、二十一歳で肉体の老化は止まっている。見た目は完全なダークエルフ娘でナイスバディ。正直彼女のことはあまりまだよくわかっていない。研究熱心な良い子だと思うんだけどね。
次の出産予定はキャラットちゃんが八月五日あたり予定になっている。
アンジェラちゃんに彼女が開発した魔力っぽい薬を使って良いか聞いたところ、普通にオーケーされてしまった。次の子も女の子で良いらしいのでそう合意しておいた。合意していなければ愛の奇跡は発動しないからだ。
実際にしてみたところ、以前に船でした時とは違い随分とあちらから動いてくれた。真面目にやれば随分と床上手なのではなかろうか。さすがはダークエルフと言ったところなのか?彼女もリース同様に最後まで失神することはなく、魔力スキルがガッツリ上昇した。随分とタフなんだな。
そんな日々を数日過ごして、七夕の日がやってきた。
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901/7/7 10:18
七夕はジゼルお母さんの誕生日だということで、彼女の採乳を手伝った後に誕生日プレゼントとして指輪を贈ることにした。七月の誕生石ということでルビーをチョイス。俺が投資した宝石事業で作られたルビーのリングのうち、特に一番良いものを一つ融通して貰った。
俺の手からジゼルお母さんの左手の薬指にルビーリングを填めると、彼女はとても喜んでくれた。
「まぁ!すごく良いですわねこの指輪。誕生石?とかヒロが言っていたやつですの?」
「うん、そうだよー、七月の誕生石のルビーかな。割と人気な方だったと思うけども」
「ふんふん、確かにこの赤色は綺麗ですわね。ヒロ、本当にありがとう。愛してますわ」
そういってジゼルお母さんがにっこり笑顔。喜んで貰えたようで何よりだ。
「そういえばヒロ、結構前にキャラットちゃんが愚痴ってましたわよ?」
「え?…なんで?」
「『誕生日楽しみにしてたのにー、わたしだけまた指輪貰えない-、すっぽかされたー!』って喚いてましたわよ」
「…えっと…ごめん、やべぇ」
「ちなみにキャラットちゃんの誕生日は六月六日だったかしら…愛姫様が再び里帰りした日でしたわね。フリマ様から誕生石の話を聞いたのか、ムーンストーンかなー、パールかなー、ってすっごく楽しみにしてましたのに」
「う、うん。教えてくれてありがとう。なんとかしとく」
我ながらキャラットちゃんにあまりにも酷い扱いをしすぎなので少しは反省しなければ。
今日は去年と同様に愛姫の実家の方から広場に竹が運び込まれている。
夜十八時、ルナが皆の分の食事を用意して皆で広場での夕食になった。俺はキャラットちゃんに対してしっかりと謝っておいた。一応は許して貰えたがウサギさんパンチされた。
妻達の願いはやはり、去年同様に「元気な赤ちゃんが生まれますように」が多かった。一方でリースは「ブロントが立派な男の子に育ちますように」だったし、キャラットちゃんは「パパがわたしのことを忘れませんように」だった。…うん、なんというか本当にすまんかった。そしてフリマさんは「事業が成功しますように」となっていた。
まだ俺が抱いていないティターニアの願いは「お兄様といつでもいつまでも一緒にいられますように」だった。
その日の晩もアンジェラちゃんの家に行ったのだが、彼女は今日のような行事に関連するような人の想いを指輪に篭めることが出来ないかな、などと話していた。その日も魔力スキルがたっぷりと上昇した。
901/7/25 アンジェラちゃんも妊娠した。愛の奇跡の効果により性別表示として♀マークが表示されていた。これによりついに今現在襲える相手がいなくなってしまった。
これまでのように、リースがまた相手をしてくれるのかなー、またお風呂で胸でしてくれるのかなー、などと軽く考えていたのだが…
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901/7/25 15:11
「何言ってるのよヒロ。今はブロントの世話に集中しているのだからダメに決まってるでしょ?絶対にイヤよ、お断りよ!」
いつものようにティターニアと本番寸前行為でイチャイチャした後にリースと会話した結果がこの台詞だった。ティターニアとどれだけ目の前でイチャイチャしても構わない代わりに、理由もなくこちらに手を出すな、ってことだな。
予想は出来ていたことだが実際に断られるとちょっと悲しかった。
「ぐぬぬ、そっかー、俺涙目」
「泣いたってムダよ。大人しく賢者になれる薬を飲んで、キャラットが出産を終えるまで待ちなさい。ティターニアに手を出したくないのなら、そうするしかないわ」
「うん、りょーかい」
うーん、そっかー。どうしたものかな。賢者になれる薬を飲むとしてどこの家で寝ようか。特に用事も無いのならルナの家に戻るべきなのだろうか。
俺はそう考えていたのだが、ティターニアの方から俺に提案してきた。
「お兄様、お兄様」
「おや、なんだい?ティターニア」
「お兄様、今日からはわたしの家に泊まりに来ませんか?わたしもお兄様と一緒に寝たいです」
「ふーむ…」
最近のティターニアは随分と成長してきている。成長期にしてもかなり凄いことになっていると思う。背は伸びるし体つきは女らしくなるしここまで急成長するのは想定外だ。いつもジゼルお母さんと一緒に例の牛乳を飲み続けた結果らしい。
ちなみに朝九時過ぎ頃、俺がジゼルお母さんの採乳を手伝う前、リースから朝のティータイムで状況報告を受けているぐらいのタイミングで通っているらしく、たまに入れ違いで遭遇することもあったりする。
ティターニアと一緒に寝ていたのは、紳士とかいう謎クエストというか罠クエストをオファーしていた際に、彼女の体がまだ幼すぎた頃に、リースと三人で寝ていた時ぐらいだろう。
あの頃は既にほぼ毎晩リースがお風呂ですっきりさせてくれていたし、ティターニアもそのことを知っていたはずだ。
いや、しかしね、さすがに今のティターニアにそんなことまで頼むつもりは…もうしばらく我慢したらキャラットちゃんも出来るようになるはずだしな。
「そうだな、それじゃあしばらくティターニアの家に泊まりに行こうかな」
「えっとお兄様、夜はその…」
「しばらく我慢したら良いだけだから、当分は薬を飲んで凌ぐことにするよ。ティターニアにお風呂ですっきりさせて貰うというのは、ちょっと今はまだ俺のプライドが許さない」
「はい、お兄様」
最近毎日本番寸前プレイをしている状態でお前は何を言っているんだ、って感じもするが、しかしそれでも俺なりの意地というものがある。既にティターニアは俺の体に馴れてきているし、やろうと思えばやれないこともないのだろうけど。
さて、この後どうしようかな。夜にはティターニアの家に泊まりに行くことにして、出産が近くてお腹の膨らんだキャラットちゃんに会いに行こうかな、などと考えていたのだが。
ティターニアが更に提案してきた。
「お兄様。わたし、なるべくお兄様と一緒にいたいです」
「ふむ、そうなの?」
「はい。これからずっとお兄様と一緒にいてもいいですか?」
「うん、いいよ」
俺がそうやって軽く了承すると、ティターニアは俺の左側にぴとっとくっついてきた。
うん、可愛い、可愛い。
俺はその時もうちょっと悩むべきだったんだろうか。これからずっとって言ってたしな。
それに七夕の願いにも、いつでもいつまでも一緒にいられますようにと書いてあったしな。
ティターニアにくっつかれたまま、三時のティータイムの後の時間を過ごした。その後ティターニアと一緒に玄関で靴を履いて、再びくっつかれた状態でキャラットちゃんの家を訪ねた。
キャラットちゃんの家につきいつもの長ソファーの上で一緒にくつろぐのだが…ティターニアが俺の左を占拠しているのでキャラットちゃんは右になる。
「ぶー…」
「えーっと、あまり怒らないでくれ、キャラットちゃん。お腹の子に差し障るかもしれないから」
「わかってるよぅ。でもでも、いくらなんでも出産間近のお嫁さんのところにそんな状態で来るのはボク間違ってると思うよ」
「ああ、うん、まぁわからなくもないけど」
キャラットちゃんの一人称はわたしだったはずなのだが、何故か今ボクとか言った気がするな。気のせいということにしといた。
今更そんな思い出したかのようにボクっ子キャラになられても困る。
「おっかしいなー。エルフはスキンシップ苦手だったはずなんだけどなー。なんでそんなにベターって、それがさも当たり前かのようにくっつけちゃうのかなぁ。こんなの絶対おかしいよ、あんまりだよ、こんなのってないよ!ボク納得いかないよー」
どこかで聞いたようなフレーズを話すキャラットちゃん。一方で今もティターニアは俺の左にぴたっとくっついている。うん、それがさも当然のことであるかのようにくっついている。ティターニアの方を見ると、俺とその青い瞳で視線で目を合わせてからにこっと笑顔で返してくれる。うん、可愛い、可愛い。
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キャラットちゃんの家で夕食の時間まで過ごした後は、玄関で靴を脱いでからルナの家に戻って夕食なのだが…やはりティターニアはぴとっと俺の左にくっついたままだった。その状態でルナの家に戻る。
家に戻った俺を見たルナの顔がぎょっとしたものに変わる。最近はずっと俺は一人でだけ戻ってきていたからな。それが突然今日から何の連絡も無しに一人増えてるんだからそりゃぎょっとするわ。
「おかえりなさい、アナタ」
「ただいま、ルナ」
「それで、どういうことですか?これは」
「なんのことかな?」
「…アナタ、覚えてらっしゃい?」
ルナは俺が強い意志を見せたことに対してはあまりつっこんでこないからな。
そのままティターニアと二人で家の中に上がってソファーに座って夕食までのんびり過ごす。
マリーの方は相変わらずフェンリル公が楽しそうに一緒に遊んでた。そうか、孫娘がそんなに可愛いか。そうかそうか。
マリーは成長したらどんな子に育つのかな。背は低くなるのか高くなるのか。ルナが百五十センチだしなぁ。やっぱり低くなってしまうのだろうか。
長ソファーの上でティターニアと軽くイチャイチャしていたら、夕食の時間になる。
ルナはしっかりとティターニアの分まで用意してくれていた。ティターニアはそのことについて普通にお礼を言う。
「私も夕食の席に加えていただきありがとうございます、ルナお姉様」
「それで、なんでヒロの左にくっついているんですか?ティターニアさん」
「何のことですか?ルナお姉様」
お礼は言うけどその件についてはスルーする方向らしい。なるほど、なかなか肝が据わっているのではなかろうか。特にルナ相手にその行動はなかなか勇気が必要なのではなかろうか。
ルナは俺の方をじーっと見つめている。この件について許してやるかわりに俺の魂を大人しく吸わせろということである。
…ちなみに、リースが子供を生んだことによりルナの順位は再び二位に転落したらしい。一度愛情値チェックを受けたのだが、再び次の上限値の1100でカンストしてしまっている為実際の数値がどうなっているのかわからないままだ。二位に転落したので一位の時に比べて魂の吸い取る効率がまた三分の一になってしまっている。要は味が薄いってことだな。
なんだかんだで夕食が終わった後に、ルナがこんなことを言ってきた。
「アナタ。また愛情値チェックを始めるので左手を出してください。ティターニアさんも左手を出して、アナタがその上に左手を重ねてください」
「うん、わかった」
ルナの指示に従って、ティターニアが左手を机の上に置き、俺がその上に左手を置き、そしてルナがその上に左手を置いてからその吸魂の瞳を閉じて集中して愛情値チェックを始める。
しばらくして愛情値チェックが終了し、結果が伝えられる。
「また子供を生む前から愛情値1000カンスト中とか…悪夢ですねこれ。リースさんだけじゃなくこんなダークホースまで現れるだなんて、やっぱりエルフなんて大嫌いです」
どうやらティターニアも愛情値が1000でカンスト中らしい。子供を一人生む度に上限は100ずつ上がっていくのだとか。表示が1000までなだけで実数値は不明だ。
で、そのままティターニアと左手を重ねたままにしていたらルナにバチーン!って右手で叩かれた。なんだかデジャヴ。でも今回はティターニアも俺の手の下でそのまま一緒に叩かれていた。
「それで、アナタ?今夜はどこで泊まる気なんですか?アンジェラさんが既に再び妊娠したという話は聞いています。アナタがティターニアに手を出さないつもりであるならば、私の部屋で寝ることに問題は無いはずですよね?」
「今日からはティターニアの家で泊まろうかと」
「…十五歳になるまでは手を出さないって、アナタが言い出したことでしょう?自らそれを破って彼女を己の欲望のはけ口にするおつもりですか?」
「いやー、そんなことしないよ、しない」
うん、しないよ。絶対にしないよ。我慢するよ。絶対だよ。
ルナは半ば諦め顔をしてた。でも瞳は俺の方をじいっと見ていたので俺も見つめ返しておいた。
おとなしく魂を吸われておくことでルナの機嫌を損ねずに済むのだから安い物だと思う。
やがてルナの方から目を逸らしたので、もう行ってもいいよということだと判断して、ティターニアと一緒にルナの家を出てティターニアの家に移動…するかと思ったのだが。
何故かスシネさんの家の方に連れていかれた。で、そのままスシネさんの家に入った。
スシネさんは俺達を普通に歓迎してくれて、いつものように俺の記録をつける為の聴取が始まった。俺にはさほど質問が投げかけられず、ティターニアの方がスシネさんと話をしていた。
「なるほどなるほど、最初はヒロさんはティターニアさんの体に反応するどころか、触ると強制解除されてしまうような酷い状態だったんですね」
「そうなんです。あの頃のお兄様はちょっと酷かったんです。例えそれが人族の男性の共通の特性とはいえ、わたしの心はちょっと傷ついてしまいました」
「ふむふむ、で、それが十四歳になった途端に反応するようになった、と」
「そうです。それなのにお兄様は十五歳になるまではしないなどと言い出して、最近はいつも一緒にお風呂に入る際にいつも元気なのにずっと我慢しているんです」
「ふーむ…なかなか面白いケースですね。しっかりと記録に残しておきましょう」
何やら俺にとってどんどん都合の悪い記録がつけられてしまっている気がする。これで果たして良いのだろうか。
と、スシネさんが俺の方にも質問を投げてきた。
「それでヒロさん。ティターニアさんはヒロさんにとって今何番目でしょうか?」
「…んん?」
「三番目ですね?わかります。このまま放置しておけば二番目か一番目になる可能性もあるかもしれませんね。まさかこんなダークホースが隠れているだなんて予想外でした。やはり小さな女の子というのは可能性に満ちあふれていますね。それを性の目覚めの頃から育てるだなんて、ヒロさんは策士ですねー。ただし、策士策に溺れるといった感じですが」
スシネさんは勝手に納得してさらさらさらーっとまた記録を取ってしまった。何やら大変なことになっている気がしなくもない。
その後しばらくして聴取は終わり、今度こそ二人でティターニアの家に到着した。俺がこの家で夜を過ごした覚えは今のところ無いな。
その後長時間ティターニアと二人でイチャイチャラブラブして過ごした。昼間も入ったが夜もまたお風呂に入った。
あまり興奮するようなことはしていなかったが俺のブルトガングは俺の意志とは無関係に戦闘状態になっていた。やはりこの体は全然信用出来ない。ティターニアもそのあたりは既に理解してくれていて、少し恥ずかしそうにしながらも気にせずに俺の体を洗ってくれた。
お風呂に入った後、ベッドでティターニアと二人優しく抱き合ってみたが…俺の心は一切そういうつもりがないのに、やはりブルトガングは完全に戦闘状態を保っていた。この体は俺にティターニアを抱けと命令している。やはり薬を飲まない限りどうにもならないみたいだ。
そんな俺の様子を見て、ティターニアが悲しそうに言う。
「お兄様、本当に我慢出来なくなってしまった時にはいつでもわたしを抱いてください。私は一向に構いません。ですが、その体がお兄様の意志とは無関係に動いてしまっていることを既にわたしも知っています。ですから、お兄様の心が壊れないようにしてください」
「うん…ありがとう、ティターニア。俺はまだ君を抱きたくないんだ。十五歳まで待ちたいと考えている。だから、薬を飲んでもいいかな?」
「はい、お兄様」
俺は共有インベントリからギザン大神官特製の賢者になれる薬を取り出し、一本まるごと飲み干した。すると俺の股間のブルトガングの戦闘状態はあっという間に解除され、穏やかな気持ちになれた。
「これでもう大丈夫だ。今日はもう寝ようか。おやすみ、ティターニア」
「はい、おやすみなさい、お兄様」
ティターニアは俺に抱きついてきた。だから俺も彼女を抱き返した。
いつかリースとお互いに抱き合って寝ていたように、俺達は二人で抱き合いながら穏やかに寝ることにした。
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901/7/26 7:03
朝目を覚ますと同時にティターニアにキスされた。
こちらからすることはあってもされたことは初めてかもしれない。
キスの後に声をかける。
「おはよう、ティターニア」
「おはようございます、お兄様」
その後は一緒にお風呂に入る。薬の効果がまだ続いてるのかどうかわからないが、俺は戦闘状態にならずに済んだ。なので自然体で二人でお風呂を楽しめた。
その後は着替えてから玄関で靴を履いて家を出る。ティターニアは俺の左にずっとくっついてきている。まるで最初からそれが当たり前だったかのように。
そのままルナの家に戻り朝食の流れになる。昨日に引き続き俺の左にティターニアがくっついてるのを見て、ルナの顔がまたぎょっとした表情になる。
「えっと…アナタ?今日もですか?」
「なんのことかな?」
「はぁ…まぁいいです。そのような危険人物を放置していた私の負けだということなのでしょう。諦めました」
そうしてそのまま朝食の流れになった。ルナはティターニアの分も用意してくれた。ルナはこのあたり本当に良く出来ているよなぁ。お嫁さんとしては本当にパーフェクトだと思うよ、うん。
朝食の後はリースの家で朝の報告と朝のティータイムだ。ティターニアはやはり俺にくっついている。
朝のティータイムに俺と一緒に現れたティターニアの姿にリースも驚いていたが、昨日の夕食と今日の朝食でも一緒だったことを話すと更に仰天していた。
「ルナ相手にそこまでやるだなんて、恐ろしい話ね。私の行動が可愛らしいものに思えてきたじゃないの。それがティターニアの本性だったのかしらねー」
「んー、どうなんだろうね。俺にはちょっとよくわからないよ」
「そう、ところでヒロ。キャラットちゃんの分の指輪が完成したから取りにきてー、ってフリマさんから連絡が入っているわよ。いつものSPさんから受け取れば良いらしいわ」
「そっか、ありがとうリース」
リースはいつもこのように連絡事項とかをまとめてくれている。有り難い話だ。
「ティターニア、貴方そんなにヒロのことが好きだったの?」
「はい、リースお姉様。最近はとっても大好きになりました」
「それで、なんでヒロにずっとくっついているの?」
「なんのことですか?リースお姉様」
どうやらくっついていること以外に関しては素直に回答するが、くっついていることに対しての回答は拒否する方針らしい。それが例え姉貴分のリースであっても、だ。なかなか強固な決意だと思う。
「ふふん。なかなか良い根性してるじゃないの。私の妹分としてなかなか立派だわ。いつまで長続きするか楽しみね。それじゃあヒロ。これからもティターニアをよろしくね」
「おう」
そういうリースの顔は、なかなか満足そうだった。なんだろうね、妹分だから見えるところで動いてる限りでは許容範囲内ってことなのだろうか。
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朝のティータイムの後はティターニアと一緒にジゼルお母さんの家に向かった。
いつもはこの時間の前にジゼルお母さんとティターニアの二人で例の牛乳を飲んでいるはずなのだが。
ちなみに、例の牛乳は特殊な宅配で定期的に送られてくるように既に手配されているらしい。なんということでしょう。
なんかね、共有インベントリなら一瞬で運べるので、夫婦で別の場所に住むことで宅配業を営んでいる個人業者さんが極稀にいるらしいです。そういう人にわざわざお願いして、例の牛乳を毎日一定量仕入れて貰ってこちらまで運んで頂いているらしい。
定期購入な分多少安くなるにしてもやはりそこそこ高額になるらしいです。うーん…まぁ良いのかなぁ。もっと大量に輸入すれば単価は下がっていくらしいからアリなのかなぁ。
ともかく俺がジゼルお母さんの家を訪ねると、俺と一緒に現れたティターニアの姿を見てジゼルお母さんもびっくりしていた。
「あら、ティターニア。ヒロと一緒でしたの?いつからですの?すごくぴとーっとくっついていますけども」
「昨日の三時頃からです、ジゼルお姉様」
「ふーん…ずっと一緒でしたの?すごいですわねぇ。わたくしも最初からそうしていれば良かったですわ。そしたら今頃はもっとヒロと仲良くなれていたかもしれませんのに」
ジゼルお母さんはちょっとだけ悔しそうにしていた。なんだろう、発想の勝利とかそういう意味なのか?確かに俺もこの発想は無かったわ。
俺がジゼルお母さんの採乳を手伝った後、ジゼルお母さんとティターニアは二人で一緒にホットミルクを飲み出した。母乳を出してから牛乳を飲むという状態になってしまったが、いつもはただ逆になっているだけの話なんだろうから気にしたら負けか。
ちなみに俺の分のホットミルクはありませんでした。
「俺の分がないならジゼルから直接飲んでもいい?」
「別に構いませんけど、もう出ませんわよ?」
「うん…ですよね」
しっかり全部採乳しちゃったからね。仕方ないね、仕方ない。
既に採乳したやつを飲んでも何も嬉しくないし勿体ないからな。
ジゼルお母さんとティターニアがホットミルクを飲み終わってから、家を出てフリマさんの家の方に向かう。SPさんがティターニアもくっついていることに気づいてちょっとドキッとした様子だったが、普通に仕事として俺に箱を渡してくれた。
…小箱じゃなくて箱だった。随分とデカイ。
「神の使徒様、こちらがお願いされていたムーンストーンのリングでございます。どうぞお納めください」
「はい、いつもありがとうございます」
「いえいえこちらこそいつもお世話になっております。宝石事業も大分順調なようで投資費用分は黒字で回収可能な見込みになっています。本日もまことにありがとうございました」
そういって会釈される。元々俺の方からあまり深くは関係を求めていないので、俺に合わせてくれているのだ。必要なものは受け取ったので、ささっと退散する。ティターニアは相変わらず俺の左にくっついている。
昼食の為にルナの家に戻ると、さすがに今度はルナもスルーした。ティターニアにくっつかれたままルナの採乳も手伝う。採乳したルナの母乳はほ乳瓶に入れられてフェンリル公がマリーにいつも飲ませている。
ルナの胸はすごく大きい。ティターニアも服の上からなら見たことが多いはずだが、さすがに生で見るのは初めてらしかった。
この世界の女性は、皆比較的露出度の低い格好してる傾向があるからな。ルナもリースも割と可愛らしい萌え萌えな洋服を普段は着ている。他の子も大体そうなのだが、愛姫だけは年中常に巫女服だ。なんか二十着ぐらい持っているらしい。着物もあるらしいんだけどね。
「うわぁ…ルナお姉様、背は低いのに本当におっきいんですね。羨ましいです」
「私の自慢ですからね。そんなにすぐに追いつかれたりなんてしたら私のプライドがズタズタになってしまいます」
「おぉー…」
ちなみにルナのチートなワガママボディは、ルナが母親の魂を吸い取ったことにより得たものである。本来黒猫の女性はこんなに胸やおしりは育たないらしい。母親の命の犠牲の結果なので、ルナのそのプロポーションは彼女にとっては誇りなのである。
うん、確かに、理由を考えれば極めて正しいことなのだが、何かこう色々と納得がいかない。
その後は昼食を食べて、リースの家に行って、再びいつものように本番寸前プレイでティターニアと楽しんだ。でもどこかティターニアの視線からこれまで以上に優しさと愛情を感じる。
お風呂を上がって着替える頃には三時になっていて、それまではずっと息子のブロントの世話を焼いていたリースがミルクティーを淹れてくれる。
「結局、あれからずっとくっついたままなのよね?やるじゃないの。私も旅の間はヒロの左にずっとくっついていたものね。確かにヒロ相手ならそれが正解ってことなのよ。一日中左側にくっつく生活を数ヶ月も続けていれば、ヒロの心は完全におちるわね」
「それ、俺がいるところで解説する内容なの?」
「ええそうよ。だから、ティターニアがくっつくのは良いけれど他の子をくっつかせちゃダメよ。ライバルは少ない方が良いわ」
なんだか言われたい放題な気がするのだが…ちょっとつっこんでもいいのだろうか
「えっとそれは、俺の心だけが一方的におちるの?」
「そんなわけないじゃない。ティターニアの心も完全にヒロの物になるわよ」
「えーっと、リースも?」
「貴方の心は私の物だし、私の心も貴方の物でしょう?」
「なるほど、確かに」
なんだか凄く恥ずかしい台詞をキッパリ言い切られてしまった。なるほどね。そういえばこの世界ではあまり冗談は通用しないのだったな。ティターニアには冗談が通じることもあるみたいだが。
三時のティータイムの後ティターニアと一緒に息子のブロントの様子を見ておく。うん、やっぱりまだそうそう笑わないね。喋るはずもないし。普通に泣くし、それが普通の赤ん坊だよなぁ。
リースはよくこれを世話出来ていると思う。政宗くんを生んだ愛姫もきっと今頃ニッポンポンで大変な生活をしているだろうな。フリマさんは息子を自分で世話せずに乳母に丸投げしている。仕事をする女性なのだからそれが本来当然の対応かと思われる。だって大変過ぎるんだもの。
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そうやってしばらく過ごした後、キャラットちゃんの家を訪問した。昨日同様にティターニアがぴとっとくっついてるのを見てキャラットちゃんは露骨に嫌そうな顔をした。
昨日同様いつもの長ソファーに座ってから会話が始まる。
「うわー、まただよー。ボクにケンカ売ってるの?売ってるんだよね?どうなのーパパー」
「いや、別にそういうわけじゃないんだよ。昨日からずっと一日中くっついてるというだけなんだ。キャラットちゃんに会いに来る時だけじゃないんだよ」
「えええええ!?さすがにそれはボクも予想外だよ。まさかルナさんにまでケンカ売っちゃったの?うわー、こわー」
「うん、実はそうなんだ」
うん、ぴとっとくっつくだけの行為がまさかこんな恐怖だったなんてね。でもぴとっとくっついてきているティターニアは可愛い。俺がティターニアの方を見ると、にっこりと邪気の無い笑顔で返してくる。天使の微笑みである。なんかすごいね。
「とりあえずキャラットちゃん、これがお詫びの品なんだけど、いいかな?」
「え?なにー?なにかなー」
俺はフリマさんのSPさんから受け取った箱を開け、ムーンストーンのリングを…って、でけぇ!!!有り得ないほどデカイ!!!リングも宝石もデカすぎワロタ。
というかコレよく見たらリングじゃなくてブレスレットだったわ。理由は明白。キャラットちゃんは手足がケモノだから指輪がつけられるわけないじゃん。そっかー、それは盲点だったわー。だからブレスレットなんだな。
「キャラットちゃん、これ、指輪が無理だろうからってことでムーンストーンのブレスレットなんだけど、受け取って貰えるかな?」
「あ!誕生石だー!やったー!つけてつけてー」
俺はキャラットちゃんの左腕の付けやすい場所にムーンストーンのブレスレットを付けた。なるほどねー、手足がケモノだからこうなるわけかー。勉強になったわー。
キャラットちゃんは随分大喜びしてくれた。これで全部許されたらしい。良かった良かった。
その後ルナの家に戻り、俺とルナとティターニアとフェンリル公の四人で夕食を取った。
「ティターニアさん。もう色々言うのは諦めました。これからは私のヒロをお願いしますね。私のですよ?」
「はい、ルナお姉様」
うん、ルナにはルナなりに正妻としてのプライドがあるだろうしな。実際それだけルナは妻として頑張ってくれていると思う。家族をしっかりまとめあげているし、いつもおいしい御飯を作ってくれるし、行事の際には他の皆の分まで料理を作って振る舞っている。本当にパーフェクトなお嫁さんだと思うよ、俺は。
夕食後にはティターニアの家に戻…らずに、またスシネさんの家に行って色々と報告する。
「なるほどなるほど、昨日からずっと一緒にくっついて過ごしたことにより二人の仲は更に深まったと、そういうわけですね」
「はい、そうなんです、スシネお姉さん」
「あらあら、お姉さんだなんて。確かに私はまだ二十前半ですし当然とはいえ、そういって貰えるのは助かりますね。…その言葉を、十年後にもまた頂ければ幸いです。私もそろそろ結婚するつもりなのですが、ヒロさん、これからもここに住まわせて貰ってよろしいのですか?」
「ええ、構いませんよ」
「そう言ってくださると信じていました。それでは続きをまた聞かせて頂きましょうか」
スシネさんは俺とは結婚しない。つまり彼女は普通に歳を取り続ける。そうすればいずれは…まぁ考えるまでもないな。
スシネさんと十分に会話した後はティターニアの家に帰り、彼女と二人まったりとした時間を過ごした。その日は夜はお風呂にも入らず、一切性的なことをしなかったにも関わらず、寝室でティターニアと二人横になった際には俺の股間のブルトガングは完全に戦闘状態になっていた。
やはりこの体は俺の心とは無関係に動くようだ。何かしら実際に誰かにスッキリさせて貰わないことには俺の意志とは無関係に女を犯せと命令してくる。だから俺は、薬を飲んで対抗するしかない。
「ティターニア、俺は今夜も薬を飲むよ」
「はい、お兄様」
薬を飲まなければ体の方が暴走してティターニアを無茶苦茶にしてしまうことは明白だった。彼女はそんな俺を喜んで受け入れてくれるだろうが、俺の心がそれを許せなかった。だから俺は今夜も賢者になれる薬を飲んだ。戦闘状態は完全に解除され、とても穏やかな気分になった。
薬を飲んだ後は、ティターニアと優しく抱き合って眠った。
彼女の温かさを感じながら俺はゆっくりと心地の良い眠りについた。




