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異世界で、一兆円とクエストと。家族計画、神の道  作者: レガ先
第三章 穏やかに過ぎる日々と確認されるゲームルール
39/79

第三十八話「穏やかに過ぎる日々」

 朝ルナの寝室で目を覚ました俺は、UIの時計を確認する。

 901/3/10 7:03

 いつも通りの時間なことに驚いてしまった。


 昨夜はアンジェラちゃん特製の魔力っぽい薬の試作品を試してルナとの行為に望んだ。効果はとんでもない威力の精力剤といったところだろうか。

 それだけでは何の意味も無いのだが、完成した暁にはエルフの姫達との性行為時に互いの魔力スキルがアップする特殊効果が付随するらしい。何故エルフ限定なのかも聞いてみたところ、魔力との相性の関係でそのあたりが限界らしい。

 やはりエルフは本来魔力に長けている種族ってことだな。それがエロにまで影響するというのは如何なモノかと思うが。


 薬の効果の実験台として、マリーの弟を仕込むついでにルナにお願いしたわけだが、実はこれにもそこそこ理由がある。

 この世界に来てから半月ぐらいずっとルナとほぼ一日中まぐわっていたわけだが、実はルナはそこらへんのスタミナが比較的凄くてド淫乱なのである。

 だからルナ相手なら薬を用いても壊れることはないだろうと判断して行為に臨んだわけだが、俺がようやく満足した時にはルナが丁度失神してしまった。とんでもない話だ。


 もしもこんな薬を飲んで最初からティターニアを抱こうなどしようものなら…うん、性行為がトラウマになったり、彼女の心が壊れたり、あるいは逆に俺に対して性依存してしまったり、とても酷いことになるかもしれないな。

 ルナ相手に試しておいて本当に良かった。


 左に寝ているルナの顔を見る。

 黒耳、黒髪、今は閉じているその瞳はとても綺麗な黒くて吸い込まれそうな瞳。実際には吸い込まれそうではなく本当に吸い込まれている吸魂の瞳なんだけどな。

 ルナの寝顔はなかなか可愛い。体の方はワガママボディだからなんともアンバランスだ。


 ルナの寝顔を眺めていたら娘のマリーから心の声で通信が入る。

 まだ二ヶ月児だというのにマリーは完全に心を持ってしまっている。

 口で話すことは出来ないが、心の声はとても饒舌だ。


『おとーさん、おとーさん。昨日はなんだかとんでもないことになっていたねぇ。まさかルナママが失神しちゃうだなんて、わたし初めて見たよー』


 これが本当に二ヶ月児のいうことか!色々おかしいやろ!

 まぁ今更つっこむところでもないな。


『うん、ちょっとした薬の効果の実験をしていたんだ。ちょっと大変だけど、将来のためには結構役に立つらしい』

『ふーん、そうなのー?ルナママを喜ばせる為の薬なのかと思っちゃった。たぶんメロメロになってるはずだよー?あっ、ルナママ起きちゃう、またねおとーさん』


 マリーは俺の見ているものや感じている感覚を全て知ることが出来てしまうらしい。

 マリーが言い残した通り、確かにルナが起きるところだった。

 俺はルナに朝の挨拶のキスをする。


 と、キスをしたらすぐにルナに抱きつかれてしまった。

 なんだろう?と考えていたら、ルナは抱きついたまま猫なで声をあげている。

 …うん、昨日のことがとても満足だったらしい。

 何故マリーはそんなところにまですぐに気づいてしまったのだろう。…まぁ確かに行為の最中、ルナが大喜びしているっぽいことは感じていたが。


 何にせよルナとの不仲はすっかり解消されてしまったらしい。

 俺が頑張ったと言えるのかはなかなか微妙なところだ。こういうのは頑張ったうちに入るのか?

 神から与えられたこの体が、元々異常性能、異常性欲なだけなのだが。


 ルナが抱きついたままこちらを見上げて来たので、俺は一声かけることにする。

 ただ瞳を合わせるだけでルナはきっと朝一番の俺の濃厚な魂をちゅーちゅーしているだろうことは違いないだろうけども、いちいちそこを咎めるつもりはない。


「おはよう、ルナ」

「おはよう、アナタ。…昨日はその、すっごく良かったです。また昨日のお薬、私に試してくださいね」


 朝から完全に煩悩全開なのかルナちゃん。

 まぁいいけどね、そんなことで夫婦の不仲が改善されるのなら願ったり叶ったりといったところだ。


 その後はルナと一緒にお風呂に入ってしっかり身を清めておいた。

 それからいつもの朝食にうつる。

 ルナがちょっとだけいつもより気合いを入れたらしく、少し豪華になっていた。



 ---



 俺は現在、なるべく一日の行動をパターン化しようとしている最中だ。


 ルナの家で朝食を食べた後はマリーの顔を実際に見て触れ合う時間を設けている。

 俺はまだ口から発する声ではパパと呼ばれたことはない。本来二ヶ月児だから呼ばれなくて当たり前なのだが、ルナと、ルナの父でありマリーの祖父であるフェンリル公は、親バカなのか全然気にしていない様子だ。

 いやさすがにおかしいんだから気づけよとは思う。特にフェンリル公は「おじいちゃん」と呼ばれているのだ。さすがにおかしすぎてつっこめないレベルだと思うんだが?


 俺はマリーをあやしながら心の声で会話する。


『マリー、俺のことを口に出してパパって呼ぶのはまだ早いからな。本来は喋っていること自体がおかしいんだ。なるべく普通に過ごしてやりすごすんだよ』

『はい、おとーさん』

『マリーはお父さんの見たもの、感じたものを全部知ることが出来るんだろう?お父さんはマリーの相手をするのと外に出てるのとどっちが良いかな?』

『んー…外に出てくれた方が色んな人の顔が見られるから、そっちの方が良いかなー。皆の顔見るの最近楽しみだよ。おとーさんもそうでしょ?』

『うん、お父さんも楽しみかな。ありがとうマリー。それじゃあ今日も行ってくるね』

『行ってらっしゃい、おとーさん』


 マリーとある程度過ごした後は、リースの家に行って彼女と朝のティータイム。

 リースは俺の代わりに情報収集してそれをまとめてくれている。

 そういった朝の報告を聞きに行くのだ。もちろん彼女に毎朝会うという目的がメインではあるが。


「そういえばヒロ。宝石を東大陸内で流通させるって話だったわよね?宝石職人さんと彫金職人さん、丁度良い人が見つかったらしいわよ」

「おお、それは良かった」

「それでね、アンジェラの誕生日が比較的近いでしょう?だからまずアンジェラの誕生石のエメラルドから試してみるらしいわ。たくさん生産してみて出来が大体安定して良いモノが作り出せるかどうか、やってみるらしいわよ」


 この世界では宝石が大量に産出され非常に安値で流通しているらしい。なんとも景気の良い話である。

 宝石職人というのは宝石をカットする人のことで、彫金職人というのは台座の金属リングの方を作る人のことかなたぶん。

 宝石事業には俺の初期資金の一兆円のうちから三百億円を投資している。具体的な管理は全部フリマさんに丸投げしているけどね。


 リースとの話が終わった後はジゼルお母さんの家に行って採乳の手伝いをする。

 自分で自分のお乳を吸うのはイヤな気分になることと、オートパイロット状態にした赤ん坊に吸われると、とんでもなく痛いことが理由になっている。


 軽く挨拶を交わした後に器具を用意して、生活魔法の一種でぐんぐん採乳する。いつもながらすごい効率だった。


「なんとも不思議ですわよね、これ。便利だからそれで良いのかしら。いつも助かってますわよ、ヒロ」

「どういたしまして」

「ところで、わたくしの胸、どう思いますの?自分でも割と育った方だと思うのですけども」

「すごく、おおきいです」


 いや実際はまだそこまで極端なわけでもないが、これから先更に大きくなるならすごいと思う、うん。


 ジゼルお母さんの採乳を手伝った後はフリマさんの家の方に行き、部下の人達から計画の進捗状況を軽く聞いておく。毎日聞く必要は無いのだが、順調だということだけはよくわかる。


 そうこうしてるうちにお昼の時間が近づいてくるので、そのタイミングでルナの家に戻る。お昼前にはルナからの採乳を手伝う。絞ったお乳はほ乳瓶にいれてフェンリル公が彼にとっては孫娘のマリーに与えている。

 そうしないと、フェンリル公はいつも働いていないのでやることが無くて暇なのである。


「アナタ。いつもこれと同じことをジゼルさんにもやっているんですか?私というものがありながら恥ずかしくないんですか?」

「いや、それはちょっとどうかと思うんだけど。ジゼルだって大変なんだよ、なんだか凄い力で噛まれるらしいから」

「そうですか。マリーはそんなこと無いんですけどね。直接やるとお父様の仕事が無くなってしまうのでこうしているというだけです」


 ほ乳瓶でマリーにお乳をあげてるときのフェンリル公は、狼男であるがゆえに表情はよくわからないがたぶんとても幸せそうだ。

 狼しっぽがすんごい勢いでぶんぶん揺れてるということぐらいはわかる。あと耳がぴくぴくしていたような、していなかったような。


 採乳した後はルナが昼ご飯を作ってくれる。今日もおいしい御飯だった。



 ---



 お昼後の時間をどうしようか以前迷っていたわけだが、ティターニアが最近可愛いのでティターニアと過ごす時間として設定することにしてしまった。

 昼ご飯を食べた後、まずティターニアを家まで迎えにいく。


 ピンポーン、とドアのチャイムを鳴らすと、既に出かける準備が出来ているティターニアが出てくる。

 今日も可愛い、抱きしめてなでなでしちゃう。


「お兄様、最近の私はそんなに可愛いんですか?」

「うん、可愛い、可愛い。ハイエルフの姫ちゃん素晴らしいなー」

「もう、お兄様ったら。ハイエルフの姫だからではなく、私だから可愛いってそこは言って欲しいです」

「うん、ごめんねティターニア。ティターニアだからこそ可愛い。これは素晴らしい」


 ちょっとだけくんかくんかしてみる。女の子特有のいい匂いがする。

 うん、グッドだ。この子をすんなり手に入れられたことを喜んでおこう。


 ティターニアを連れてそのまま隣のリースの家にいく。

 リースの目に届くところでイチャイチャする許可をこの前貰ってしまったしな。

 たまにリースも参戦してくるが、俺の左をティターニアに取られてしまっているので右に座らざるを得ない。


 場所はこの間ティターニアの家でもイチャイチャしてた長ソファーの上だ。

 左がティターニアで右がリースという状態になる。ソファーはふかふかだ。


「うーん、まさかティターニアがこんなに早くこんな風に育っちゃうなんてねぇ…恋する乙女は恐ろしいわね。私も人のことは言えないけれど」

「リースお姉様も、お兄様と十分過ぎるほどラブラブじゃないですか」

「いや、そうだけどね。私だってそれなりに独占欲はあるわよ。でも妹分相手にそんな全力で嫉妬するわけにもいかないし、難しいところね」


 エルフの姫ちゃんを両手に花とは、我ながら良いご身分だと思う。

 うん、素晴らしいなー、素晴らしい。


 長時間イチャイチャした後は三人で三時のティータイム。ルナは前からずっとこの時間の為にオヤツを用意してくれる。今日は三人分用意されているようだ。共有インベントリ経由で届くわけだが、どこから人数に関する情報が漏れたのだろうか。


 ティータイム後はまた三人でイチャイチャする時間を設けて…そこから晩御飯までの時間が、パターン化されない自由時間ということになる。



 ---



 901/3/10 16:47


 さて…パターン化されないその日の行動として、俺はキャラットちゃんの家にやって来た。

 ウサギ族のキャラットちゃんである。例の淫乱ピンクの。


 キャラットちゃんとは去年の十月二十日から十一月の十五日までの二十六日間、男の子を作ろうとまぐわった。愛の奇跡を用いて男の子狙いだったのだが、ウサギ族の男女比が本来10:90である為に普通に失敗して女の子に確定してしまった。

 ウサギ族の男性の姿はまだ見たことが無いが、男の子だった場合どんな子に育つのだろう。


 まぁそこはおいといて、彼女を孕ませた後約四ヶ月ほどほぼ放置していたような状態になってしまっているのだ。十一月二十三日の新嘗祭の時や一月一日のお正月の際には彼女の姿もバッチリ見かけていたんだけどね。その際も特に声はかけなかったという、それはもうとんでもなく酷い状態になってしまっている。

 すれ違う機会はこれまでにもかなりあったはずなのだが、家を訪ねるのは久しぶりだ。逆にたまにすれ違うからこそ放置していた可能性もあるような、無いような。


 正直チャイムを鳴らすのが怖い。しかし鳴らす。

 ピンポーンと良い音がする。


 しばらくして何か中から物音がして、その後バン!と玄関のドアが開かれて、中から出てきた人物にすかさずウサギさんパンチされた。


「バカ!バカバカバカ!しんじゃえ!ふん!」


 そのまますぐに玄関のドアを閉めて、中に去っていってしまう。

 なんだかすごい勢いだったね。

 なんとなく予感がしたのでそーっと玄関のドアに触ってみる。カギは普通に開いているようだ。


 中に入ってキャラットちゃんの姿を探す。キャラットちゃん担当のメイドさんとすれ違って軽く挨拶された。キャラットちゃんの位置は…と、先ほどまでリースの家で三人でイチャイチャしてた長ソファーの所にいた。

 どこの家も構造が同じなのでわかりやすくて助かる。家具も大体同じである。


 キャラットちゃんは目を閉じてプンプン怒っている。けれど白くて太い耳がピコピコ動いている。

 とりあえず俺もソファーに座ってなんとかスキンシップを取ることにする。


 キャラットちゃんはソファーの右の方を空けてくれていたので俺はその位置に座る。座るとすぐに、キャラットちゃんが目を閉じたままだがこちらにコテンとよりかかってくる。俺はとりあえず彼女のピンク色の髪を撫でることにする。


 髪を撫でている間耳がピコピコと動いている。

 よくわからないけどたぶんそこそこご機嫌なんじゃなかろうか。


「うん…なんというか、俺自身色々酷いのはわかる。本当にごめんなさい」

「…むー」

「余裕はあったような、無かったような。もしかしたら心に余裕がなかったのかもしれない。本当にごめんね、キャラットちゃん」


 そのまま撫で続けているうちに、どんどん寄りかかられていき最終的にソファーに押し倒されてしまった。仕方ないのでそのまま長ソファーの上で彼女を抱きしめながらそのまま背中を撫で続ける。

 白くて太い耳は相変わらずピコピコと動いている。そこそこ満足して貰えているのだろうか


 俺の上にいるキャラットちゃんの膝から下がリズムを取るように交互に動いている。

 うん、そういう仕草もまぁ、可愛いっちゃ可愛い。


 背中ばかり撫でるのもあれなのでおしりも撫でておく。彼女は今日も服の下はレオタードのようだ。レオタードの一部に穴が開いておりそこからウサギのしっぽが出ているのでそれも撫でておく。すると彼女の白い耳が結構な勢いで揺れていた。


 と、それぐらいのタイミングでキャラットちゃんがくすんくすんと俺の胸の上で泣き出した。うん、そっかー、ごめんなー。完全に放置しちゃったからなー。そりゃ泣きもするよなー。我ながら酷すぎるわー。


「うー、うー、バカー、パパのバカー。もうちょっとぐらい会いに来てくれたら良かったのにー」

「うん、ごめんね、キャラットちゃん、ごめんね」

「もー、わたしこれでもお嫁さんなのにー。パパの子供もお腹の中にいるのにー!酷いよパパー。またやり捨てだよパパー。いくらわたしがウザギ族だからってあんまりだよー」


 あー…うん、なるほど、ウサギ族って割とこういう扱いされやすかったりするのか?

 淫乱ピンクだからこういう扱いされるケースが結構多いってことなのか?なかなか難しいね。

 別に淫乱なことはそんなに悪いことじゃあないと思うんだけどなぁ。


 キャラットちゃんは俺の胸の上で続けてくる。


「ジゼルちゃんから話は聞いたよ-。ジゼルちゃんに実際に見せて貰ったよ。なんか女の子すごく変わってるみたいだねー。パパは私が増えるのは嬉しいの?」

「んー、誰が増えても嬉しいと思うよ?」

「そう?気持ち悪くはないの?」

「んー、別に気持ち悪いとかそういうことはないかなー。ちっちゃい奥さんが成長していく姿を楽しめるのって結構面白いんじゃないかと思うんだけど」


 うん、割と面白くないか?

 チビジゼルとかチビ愛姫とかチビリースとかが今後見られるってことになるんだろう?

 それも一体だけじゃなくて、年子で三体とかに増えていくわけだ。

 操作するならまだしもオートパイロットで心を持たない謎NPC操作に任せたらどうなるんだろうね?

 たぶんきっと可愛いことになるんじゃないかい?。


 と、俺の答えを聞いてキャラットちゃんは割と嬉しかったようである。


「そっかー。わたし女の子予定だからちょっと不安だったんだー。でもパパがそういうのならわたしも気にしないことにするね。楽しみにしててねー」

「うんー、楽しみにしてる」

「あとー、次こそは男の子生んでみせるからねー。パパも頑張ってねー」


 性別を操作する愛の奇跡は通常の五倍程度疲労する。

 最近は体力が半端無いことになってるから割と大丈夫なんだけどね、うん。


 その後も晩御飯までの時間を一緒に過ごしたところ、キャラットちゃんは四ヶ月放置してた件について三割ほど許してくれた。合計四日通えば完全に許してくれるらしいです。一日じゃ無理ってわけです。当たり前といえば当たり前だな。



 ---



 901/3/11 16:51


 次の日、それまでの行動を昨日通りに過ごした後、俺は左から四軒目の建物、俺がこの世界に来た後最初に出会った人物、シスターのスシネさんが住んでいる家に来ていた。


 スシネさんは俺の物語の記録係をしてくれている。その為に教会からの正式な指令を受けて派遣されてきたのだ。俺と結婚することはせず中立性を保つ為、この家に住んで子を生み育て、俺達一族の生活を記録する仕事を子、孫、ひ孫の代までかけてやってくれることになっている。


 俺がドアのチャイムを鳴らすとインターホンから返事がかえってくる。


『あら、ヒロさんじゃないですか。珍しいですね。いつでも開いていますからご自由にどうぞ』

「あぁ、入らせてもらうね」


 俺は玄関のドアを開け靴を脱いで早速あがることにする。途中スシネさんの家担当のメイドさん二名とすれ違って挨拶される。スシネさんは机に座って色々と資料をまとめていた。


 うん、彼女の仕事をしっかりとこなしているらしい。

 それにしても、物語というよりは完全に資料のレベルでまとめているぽいな。


「スシネさん、ご無沙汰しています。お仕事の様子を見せて頂いても構いませんか?」

「うーん…そうですねー。あまりオススメは出来ません。ヒロさん自身の記録ですし、あまりにもバッチリメモされているのはイヤじゃないですか?」

「あー、うん、割とイヤかもしれませんね、それは」


 俺は机を挟んでスシネさんの対面の椅子に座る。机の上には様々な資料やメモなどが並んでいる。相当色々細かいものが記されているんだろうなぁ。


「スシネさんと過ごした初日のこととかも、全部記録されているんですか?」

「はい、そうですよー。ヒロさんが私の演技にすっかり騙されて何も疑わなかったこともメモしています。ヒロさんわりと騙されやすかったりしませんか?」

「…いや、むしろ演技だったことに驚くというか、半分は本気じゃなかったですか?」


 ホテルの時とか、かなり本気っぽかったんだけどなぁ。視線からもこう、狙われてる感じしてたしさ。


「ええ、半分は本気でしたよ。神様に与えられた体とはいえ、本当にわりとイケメンなんですもの。それに神の使徒は精力もスゴイって話を聞いていましたからねー。あわよくばという気持ちはありましたよ、私だって女ですからね」

「そうですか。お断りしてしまい申し訳ない」

「気になさらないでください。神の使徒に巻き込まれれば、失敗時には百年後に一族全滅ですからね。私だってそれはさすがに怖かったですから」

「そうですか…」


 ふーむ、結構そこらへん、教会関係者は知ってたりするってことなのか?

 難しいねぇ。

 まぁ記録さえバッチリ取っていれば大体わかるってことなんだろうな。


 一応、あの件についても聞いておくか。


「スシネさん。スシネさんが初日に俺をあのホテルに連れて行ったのも、教会の指示だったんですか?」

「ええ、そうですよー。獣族の大陸は本来吸魂の瞳の持ち主を絶対国外には出さないようにしていたんですけどね。フェンリル公がルナ姫を連れてこちらの東大陸に脱出してきたので、教会側は次に現れる神の使徒に対して、吸魂の瞳を持つ黒猫の月の姫君を最初に神の使徒と結ばせるという計画を立てました。だからフェンリル公の一家は教会の庇護下にあったのです」

「なるほどねー」


 うん、なるほど、教会側が最初から仕組んでいたのならば俺に逃れる術があるわけはないよな。

 まったくもって酷い罠だと思うよ。予測不能、回避不可能だわ。

 …いや、回避可能、だったのか?。


「私が初日にあのホテルに連れていったのは、娘の夫となる相手の面構えと、あと女の誘惑に負けないある程度誠実な人物かどうか、そのあたりを確かめたいというフェンリル公からの要望を受けてのものでした。ヒロさんが私の誘惑に負けず断ったのを見て、フェンリル公はそれは大喜びしていたんですよ」

「ふむふむ」


 そうか。そりゃそうだよなぁ。この世界に来た初日から、抱ける女をとりあえず抱いてみましたなんて奴は信用出来ないよなぁ。わかるわー。

 特にこの体は最初から異常性欲だったから、仮にスシネさんに同室で迫られていたら俺は迷うこともなく彼女を食っていたことは間違いない、性的な意味で。部屋を分けなければ完全にアウトだった。

 正直なところ一晩一人で耐えるだけでもかなりの苦痛で、次の日の夜にはルナの体を全力で貪ってしまった。それらのことがルナに対してずっと負い目になっていたりもした。


 で、その後の流れはどうだったんだ。


「えーっと、スシネさん。その後ギザン大神官に連れられて愛玩奴隷を紹介されましたが、ルナを含めて三人いましたよね?そこはどうなっているんです?」

「そう、そうなんです。あの二人は一応、選ばれてもいいようにということでそこそこ良い人を用意しておいたんです。いやー、ヒロさんがすんなりルナ姫を選んでくれて良かったです。他の二人を選ばれていたら計画が頓挫しているところでしたよー。そんなにルナ姫が気に入りましたか?」


 う、そうか。そうだったか。

 あそこでルナ以外を選んだら罠が回避出来たわけか…いや、しかしな。


「うーん…そこはちょっと」

「やっぱり、ロリ巨乳に憧れちゃう人でしたか?ヒロさんは。ルナ姫は見た目十五歳ですものねー」

「う、そんな、直球で聞いてきますか?スシネさん」

「大事なことですからね。是非聞かせて欲しいです」

「えーっと…はい、そうです。巨乳だけじゃなくて、腰がキュッとしまっておしりもおっきくて耳としっぽも良い感じで…」

「ふむふむ」


 俺からそれを聞くとスシネさんはすらすらすらー、っとメモしてしまった。

 あー、これ酷いことになるわー。俺の物語酷いことになるの確定だわー。


「なるほどよくわかりました。これからも是非こちらを定期的に訪れてお嫁さんの話を聞かせてくださいね。各姫との馴れ初めだとか印象ですとか実際抱いてみた感じどうだったとか、そういうこともしっかり記録しますからねー」

「マジですか?」

「大マジですよ。人間味の無い記録なんて面白くもなんともないんですよ?宜しくお願いしますねー」


 宜しくお願いされてしまった。これからも定期的に報告することにするか。


 俺達の物語はまだ始まったばかりだ。記録はまだ一年未満のことでしかない。

 これからの百年間、どうなっていくんだろうな。

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