第三十六話「生贄決定済」
Smes Log
1:このゲームのメインプレイヤーは俺とルナの娘、金の瞳の乙女のマリーだ。
2:神の使徒である俺はVIPプレイヤーであり種馬としての役割を持っている。
3:ゲームの期限は百年。星歴1000年の3月31日までにこの世界をクリア出来なければ俺達の一族は全滅する。
4:一世代目の男子達は俺と経験やステータスを共有する。
5:女子は妻達それぞれのコピー体として生まれてくる。詳細は略す。
6:リースが最初に生む子供はたぶんマリーの結婚相手予定ということで合っているはずだ。確証は無いけどな。
901/3/8 12:45
ルナを随分と久しぶりに長時間抱いた次の日の昼食の席で、ルナの方から俺にこんな話を切り出してきた。
「アナタ。アナタにも家長としてのそれなりの仕事というのもあるでしょうから、ある程度の行動の自由を認めてあげます。本当なら、別に大した仕事もしていないのだから一日中マリーの相手をしていろとも思ってはいるんですけどね」
随分と有難い申し出だった。てっきり数日間は完全にこの家にだけ拘束されるかと思っていたんだけどね。
意外過ぎた…もしやあれか、昨夜久しぶりにルナとにゃんにゃんしたことで、大分満足してくれたってことになってしまうのか。マリーからの弟が欲しいという提案に素直にのっかっておいて大正解だったのか?
当のマリーは、今はフェンリル公からほ乳瓶でお乳を頂いているところである。
赤ちゃんって最初は笑顔とか覚えてないよねえ?
笑顔でニコニコしながら狼男のフェンリル公にミルクを飲ませて貰っている金目の黒猫赤ちゃんの図である。たぶんきっと色々おかしいはずだが。
ちなみに母乳は、例の生活用の魔法でルナからそれはもう効率良く採乳しておいた。
一切の性的興奮無しに超スピードでたっぷり採乳したので、それはもうビックリされてしまった。
うん、便利ではあるけど色気はないよねこの魔法。すげー便利だとは思うよ、うん。
とりあえず許しが出たので、まず最初にジゼルお母さんの家に向かった。
俺がジゼルお母さんの家を訪ねた時、ジゼルお母さんはベビーベッドにジゼルちゃんの体を寝かせて編み物をしていた。俺の姿を見るととても驚いていた。
「あら、ヒロ。ルナさんの家に向かったという話を聞きましたので、そのまままた三日か一週間ぐらい軟禁されているものとばかり思っていましたわ」
「いや、その…なんか許されちゃったよ、外出」
「そうでしたの、何故許されたのかしら?」
「いや、ちょっとそれはね」
ジゼルお母さんは編み物の手を止め色々と俺に質問してきた。結局俺は言い逃れ出来なくなってしまった。マリーと会話したことはなんとか伏せたが、ルナを久しぶりに抱いたことは白状せずにはいられなかった。
「なるほどねぇ…ギザン大神官の薬のおかげでもありますが、わたくしも比較的すぐに次の子を作れるようになりますわよ。ですから、次もまた女の子をお願いしますわ。慣れてみると案外楽しいですわよ、コレ」
と言いながら寝かせてあるジゼルちゃんの方を指差す。ジゼルお母さんが手を振ると赤ん坊のジゼルちゃんも手を振る。完全に連動可能になっている。既に操作に慣れてきているのだろうか。
「えーっとその、ルナと同時というのはさすがに無理があると思うんだ」
「わたくしも最初から同時にしろだなんて言っていませんし、それはわたくしだってお断りですわよ。ルナ様の次はわたくしのところに来たら良いですわ。次もまた女の子でお願いしますわね」
「ふむ…」
てっきり次は男の子を欲しがるかと思いきや、次もまた女の子で良いらしい。
俺としてはその方が実際どうなるのかわかりやすくて助かるんだけどね。
ジゼルお母さんは更に話を続けてくる。
「ティニーも昨日からまたわたくしの家に遊びに来ていましたわよ。ヒロの言うオートパイロット?でしたか。アレを使うとすごい勢いでほ乳瓶からお乳を飲み干すのですわ。割と怖いですわよ。わたくしの胸にあんなことされたらたまりませんわ」
「うん…そっかー」
最初試してめちゃくちゃ痛がってたからなぁ。やっぱアレか。あくまで赤子がお乳をねだっているだけだから攻撃とは見なされていないのか。それでいつものPK防止が働かずとんでもなく痛いことになるのか。どこのヘラクレスだ。
「それで?今日はせっかく来たのですから、また手伝って頂けるのかしら?」
「うん、せっかく外出許可貰えたし、ジゼルもその方が助かるだろうと思ってさ。余計なお世話だったかな?」
「…そんなことありませんわよ。すごく嬉しい。本当に助かりますわ」
それから俺は色々と器具の準備などしてからジゼルお母さんから採乳を開始した。
性的興奮は一切無いらしいが、とてもスムーズに容器に母乳が貯まっていく。
とそのタイミングでマリーから通信があった。
『おとーさん、おとーさん』
『んー?何かな?マリー』
『それが確かジゼルちゃん?だよね。結構可愛い人だよね。その変な髪型触ってみたーい』
変な髪型って、ちょっと。そりゃあ確かにジゼルお母さんは銀髪ドリルだけどさ。いや本当は銀髪ドリルじゃなくて縦巻きロールだかそういう名称だった気がするけどさ。だからってそんな直接的な批判はどうかと思うのだが。
『マリー、人の髪型を変だなんて批判することはお父さん絶対に許さないよ。絶対だよ。これはこれで完成されている有名な髪型の一つなんだよ』
『ええっ、そうなの?…そうなんだー。ごめんねジゼルちゃん。わたしもうジゼルちゃんの髪型を変だなんて絶対に言わないよ。絶対だよ』
うん…なんか俺の心の声の口調まで感染したかもしれないな。こういうのってよくあるはずだよね、確か。子は親を真似るというか、そういうことだよたぶん。
『ジゼルちゃん、も無しだ。せめてジゼルさん、とかジゼルお姉さん、かジゼルお姉ちゃん、にしなさい』
『うぅ?そうなのー?でもお父さんもついこの間までジゼルちゃんって心の中で思ってなかった?』
『そこまでバレてるのか!そこまでか!いやでも、マリーはダメだよ。それがマナーだよ』
『ぶぅー、おとーさんのいけずー』
どうやらよほどジゼルちゃんと呼びたかったらしいな。
気持ちはわからなくもない。ジゼルお母さんは比較的ちっちゃくって、最近は胸やおしりも大きくてなのに顔は童顔気味で結構可愛いからな、うん。
『それじゃあおとーさん。さっきの三つのうちのどれが一番いいの?』
『ジゼルお姉ちゃん、がお父さんとしてはベストだ』
『どうして?』
『…それは、女性は誰だって若く評価されたいからだ。事実としてこれからも体は老いることはないだろうけど、年齢自体は高くなっていくからなぁ。ともかく、ジゼルお姉ちゃんと呼ぶことだ。ジゼルおばさんだなんて呼んだりすることは絶対に許さないぞ、絶対にだ』
『はい、おとーさん』
うん、マリーは素直で良い子だなぁ。妻達は皆お姉さんと呼んで貰うことにしよう。
それがマナーってやつだ。
俺はそこらへんでてっきり話が終わるかと思いきや、マリーは更に話し掛けてくる。
ジゼルお母さんの採乳は既にかなり進んでおり、これ以上はやりすぎなぐらいなのだが。
『ねえねえおとーさん。おとーさんはジゼルお姉ちゃんのこと好きなの?』
『んー、わりと好きな方なんじゃないかな、最近は』
『そーなんだー?どうしてー?』
『編み物してる姿とかとても女の子らしいし、体も以前よりすごく成長してるからねー』
『そうなのー?ジゼルお姉ちゃん結構おっぱいおっきいよねー。ルナママほどじゃないけどすっごいよねぇ』
『…あまり女性の胸のことを話すものじゃありません。自分の番になった時に苦しむだろうからね』
『う…わかったー』
それでようやくマリーからの通信が止まった。止まったのは良いのだが。
「ねぇ、ヒロ?」
「う…すみません」
「そんなに私から採乳したかったのですの?もうこれ以上は今は出ませんわよ」
ジゼルお母さんにちょっとだけ怒られた。でも随分と出たなぁ。これだけの量がこの体に納まっていたという事実に驚かざるを得なかった。俺が来るまであまり出さずに貯め込んでいたのだろうか。
---
ジゼルお母さんの家を出た次は、距離が近いのでフリマさんの家を訪ねる。次はフリマさんの出産日が近づいているので既にお腹はかなり大きくなっている。それでも彼女は普通にいつものように仕事を続けていた。
相変わらずフリマさんの部下の人々は中東風イケメンばかりであった。
フリマさんが生む男の子もイケメンになるのだろうか。
「フリマさん、ご無沙汰しています。ヒロです。お時間よろしかったでしょうか」
「ええ、ヒロ様。今は少しぐらいなら大丈夫です。…そうですわね、例の件なら、既に大分手続きそのものは済んでおります。規模が大きいものの、私達の子供達が成長する頃には利用出来る見通しになっていますわ」
「本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いします」
「任せられました。私の子供達も利用して構いませんよね?」
「ええ、それはもちろんですとも。むしろこちらからも是非お願いします」
うん、計画は順調なようだ。良かった良かった。
ちなみに何の計画かというと、隠す必要も無いので暴露してしまうが巨大な土地を整備して、全寮制の保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、軍事学校を整備する予定なのだ。
俺がこの世界に来た時に受け取った一兆円のうち、これまでに家+土地に五百億、東大陸の姫君購入に千五百億、北大陸の姫君購入に二千億、これだけでも合計で四千億円使用済である。
姫君購入に使われた金額は各国家の軍事費として主に利用されているはずだしムダでは無かったはずだがそれでも使いすぎた感はある。
ここに更に新嘗祭の翌日に追加で土地を三百億かけて広範囲購入しており、そこに更に五千億分を投資し、それでも足りないようなら教会の銀行事業部から神の使徒特権で金を借りる予定になっている。これで残額七百億だ。
この近辺の土地が安くて本当に助かった。現代日本の土地代が高すぎるだけなのかもしれないが。
ちなみに残額七百億のうちの三百億ぐらいは宝石関連事業の実験費として既に使われてしまっていたりする。随分減ったねぇ、別に無償で運営するわけじゃないので、大丈夫だとは思うが。
何故こんなことをするのかということは…ここらへんはまた今度説明することにしよう。
色々と酷いということだけは言っておく。
俺はフリマさんにお礼を言ってから退出することにした。またいつものSPさんに見送られる。別れる前にまたSPさんから話をされる。
「神の使徒様、この度の巨大事業には我々も大変期待しております。何しろこの世界で教育といえば教会が管理するものでしたので、世界で初めての教会以外の教育機関となることでしょう」
「いやー、具体的な仕事をそちらに押しつけてしまい、申し訳ないです」
「とんでもございません。利益が出た際には半分頂くことになっておりますし、フリマ様もやり甲斐のある事業を与えられたことを大変喜んでおられます。本日はまことにありがとうございました」
そういってSPさんに深々とお辞儀される。俺もお辞儀を返して、別れる。
計画は順調に進んでいるようだし何も心配はいらないだろう。
---
901/3/8 14:45
ジゼルお母さん宅とフリマさん宅を訪れた次は、リースの家を訪ねた。
そろそろ三時のティータイムだからな、うん。
ピンポーン、とドアのチャイムを慣らすと、カメラで確認したのかインターホンから声が聞こえてきた。
『ヒロ?貴方なんでこんなところにいるのよ。てっきりまた数日そのまま軟禁されてるかと思ってたわよ!』
「リース、中に入ってもいいかな?」
『いいわよ、早く来なさい。待っているわ』
俺が中に入ると、リースは笑顔で迎え入れてくれた。彼女は笑顔だけどちょっと泣いていた。
つい一昨日まで一緒に過ごしてたんだけどね、俺と一緒にいるのが当たり前になってしまっているからな。
最近は彼女も随分とお腹が大きくなってきている。妊娠六ヶ月半弱ぐらいだろうか。
リースが生む予定の男の子とルナが生んだ俺の最初の娘のマリーが将来結ばれる予定になっているみたいだが、そうするとどんなことが起こるんだろうね?
リースと一緒にティータイムを楽しむ。最近はおなかも大きくなってきているのでメイドさんに任せているようだ。メイドさんが淹れてくれた紅茶を飲む。つわりが治まったことによるのか、ミルクティーだった。
それを飲みながら彼女と話し始める。
「それで?ヒロ。今日ここに来たということは大分上手くいってるということね。一体どういう風にしたの?相当珍しい気がするわよ」
「えっと、それはそのだな…昨夜ルナを激しく抱いてみたら、許されてしまったんだ」
「ちょっ、貴方ねぇ。いつかはするにしても、久しぶりに再会したその夜にするとか随分と大胆ね。それ本当にヒロのアイデアだったの?何か不自然に思えるわよ?」
「それはだな…」
俺はリースに、マリーと心の声で普通に会話が成立してしまったこと、口ではまったく喋れないが心の声は随分と普通に喋れてしまうこと、マリーの提案で弟が欲しいということでルナを口説き落として、その日の夜にはその気にさせて、長時間まぐわったことなどを説明した。
その話を聞いたリースは割とドン引きしていた。まぁそりゃそうだよな。それが正しい反応だと思うよ、俺は。
「うっわ、凄まじいわね。ジゼルの赤ん坊も相当酷いけれど、心を持っていてそれな分そっちの方がよほど重症に思えるわ」
「だよなぁ…そもそも、赤ちゃんって普通二ヶ月じゃ喋るわけないよなぁ。笑顔すらそもそもおかしいと俺は思うんだけど」
「そうよ、きっとその通りよ。私も今なんとか調べようとしてるけれど、そんなすぐには笑顔にもならないし喋らないはずなのよ。ルナやフェンリルさんが親バカなせいなのかあるいは意図的に無視しているのか問題になってないけれど、いくらなんでもおかしすぎるわよ」
うん、本当に色々おかしい。あまりにもおかしい。
だから比較的常識人な愛姫はそれが怖くて引き篭もっていたし、政宗くんを生んだ機会に一時退避していったしな。その選択はまったくもって正しい。気にしていない他の連中が異常なだけなんだ。
リースの大きくなってきているお腹を見て…少し確認しておこうかと思った。
「ねぇ、リース」
「なーに?ヒロ」
「えっと…その、リースが生む子供って、マリーと結婚してくれるかな?いいよね?」
「う…そういえばそういう話になっているんだったわね。今から心配になっちゃったじゃない。うぅ、息子が化け物猫娘に襲われちゃうのね。ちょっと今から怖くて泣けちゃうじゃないの」
そういってリースは本当に涙目になって泣き出している。
うん、ごめんねリース。リースの生む男の子はマリーの生け贄として捧げられる予定なんだ。
南無三、南無三、許しておくれ。
とそのタイミングでマリーが話し掛けてくる。
『おとーさん、おとーさん』
『ん?なんだい、マリー』
『おとーさんは、リースさんのこと好きなんだよねー?どれぐらい好きなの?』
『えっと…』
『ルナママより好きなの?』
随分と直球でくるねこの子は!まぁ俺もさ、基本直球で聞きたいと考えている方だよ、うん。だから気持ちはわからなくもない。
マリーに嘘をついたところでバレるのは時間の問題だ。俺はマリーに嘘をつくような娘には育って欲しくない。だから全部正直に答えてやる。
『ああ、そうだ。ルナママより好きなんだよね』
『うっわー、言い切った!言い切っちゃったよおとーさん!もうちょっと大人の配慮とか出来ないの?おとーさん。ルナママは、わたしにとっても本当のママなんだよ?』
『俺が大人の配慮をして、マリーが嘘つきさんになるよりはマシさ。マリーはあまり嘘をついたりしたらダメだよ。でも相手を傷つけない為の優しい嘘だけはつくようにするんだ』
『うん…うん、そっか。わかった。ありがとう、おとーさん』
『今の俺のセリフは絶対ルナママには内緒だからね。そんなことがバレたらルナママが深く傷ついてしまうからね』
うん、というか、バレたら絶対ヤバイっていうか死ぬね。
PK出来ない世界なのにとんでもないことになるね。限界までいたぶられる気がするね。
というか、ルナが御飯を作ってくれなかったらそれだけで俺の心が死にそうだ。毎日食べてるルナの御飯はそれはもうとってもおいしい。今はコレ無しじゃ生きていけない。
『わたしのことは好きなの?おとーさん』
『うん。マリーのことは好きだよ。けれどそれは娘としてであって女としてじゃあない。俺は絶対にマリーを抱いたりしない。だから、そういうことはリースが生む男の子とするようにしなさい』
『うん、わかった。楽しみにしてる!』
俺の体や俺の一族には近親相姦制限の完全突破の能力が付与されているらしい。だから俺もマリーも、やろうと思えばすることは不可能じゃないかと思われる。
しかしそれは、例え体が出来たとしても俺の心が無理だ。本当に勘弁して欲しい。心を持たない相手ならまだしも、心を持った娘を抱くとか父親としては本当に無理過ぎるんだよ。
そんなことをしたら、例えマリー自身が良くても俺の心の方がぶっ壊れてしまう。
それに、スメスさんがわざわざマリーの相手としてリースの子供を指定したということは、相当深い意味があるはずなんだ。つまりそれで上手くいくという答えをあちらからあらかじめ教えてくれたってことだ。せっかく貴重な大ヒントを頂いたのだからそれを無視するというのはいけない。
と、物思いに耽っていたらリースの方から話し掛けてきた。
「ヒロ、どうしたの?さっきから何か変よ?」
「えっと…マリーと少し話をしてたよ」
「あら、どんな話かしら?」
「んとね、俺はマリーを絶対に抱いたりしないから、そういうことはリースが生む男の子とするようにしなさい、って言い聞かせておいた」
「ちょっと!何焚きつけてるのよ!私の息子なのよ!?そりゃ私と貴方の息子ではあるんだけど、もうちょっとこう、手加減というかなんというか…可哀想だとは思わないの!?」
その後リースに色々と叱られてしまった。うん、ごめんねリース。
でもね、俺としてはね。幼少時からずっと傍にいてくれて女の子に慣れさせてくれる存在というのは男性にとってはとても貴重なものだと思うんだよね。
一度慣れてしまえばなんとかなるよ、きっと。
今後の流れが楽しみだなー。
俺にとって段々と他人事になっていくだろうから随分と気楽なものだよ。




