第三十五話「心の声」
Smes Log
1:このゲームのメインプレイヤーは俺とルナの娘、金の瞳の乙女のマリーだ。
2:神の使徒である俺はVIPプレイヤーであり種馬としての役割を持っている。
3:ゲームの期限は百年。星歴1000年の3月31日までにこの世界をクリア出来なければ俺達の一族は全滅する。
4:一世代目の男子達は俺と経験やステータスを共有する。
5:女子は妻達それぞれのコピー体として生まれてくる。詳細は略す。
6:ルナの最初の子供だけではなく、リースが最初に生む男の子も重要な役割を担っている。
901/3/7 7:22
その日、意を決して俺はルナの家に向かった、あるいはようやく戻ってきた。
俺とルナの間に最初に生まれた、俺にとっての最初の子供である女の子、マリー。
彼女は生まれる前から特殊な能力を持って生まれてくることがわかっていた。
特にその中でも俺が気にしていたことは、俺と娘のマリーが魂を分け合うというところだった。
このことは猫族の女王との会話で聞いていた。
『正式な名称は存在していないのだ。それは猫族の娘であるらしい。その娘は金色に輝く瞳を持ち、父である神の使徒とその魂を分け合い、神の使徒の一族を統べる存在になるという。比較的短い言葉にまとめるのならば、金の瞳の乙女、といったところだろうか』
魂を分け合う、このことが何を意味するのかが問題だった。
ただ俺の魂が減るというだけの意味ならば、大した問題では無い。
問題は、魂を分けた上で共有し、何らかのリンク、接続がされてしまった場合にどうするかということだ。
マリーは決して心を持たずに生まれてくるわけではないだろう。
何故か?それは彼女がメインプレイヤーであるからだ。
心を持たぬメインプレイヤーなど有り得ないからだ。
心を持った人間と、魂が直接繋がってしまったらどうする?
相手の感情を直接流されて、俺と完全に混ざって一つになろうとされたらどうやって対処したら良い?
生まれたばかりの赤ん坊で、まだ心が心として不確定な存在に、もしも俺の自我を、心を、全てを浸食されて破壊されてしまったらどうするというのだ?
だから俺は女王とその会話をしたその後、最悪のケースを想定して動く必要があった。そしてその為には、ある程度マリーが最低限成長する必要があった。
俺以外の人間と十分な期間触れ合うことで、自分の存在が他人とは違う別の存在であるということをまず自覚させ、そのことによって魂を共有する俺の心にまで侵入したりしないように、即座に離れておく必要があったんだ。
もしも俺がマリーの目に入る位置にいたら、マリーは俺に対して交流を図ろうとしてしまうだろう。
その結果自らの力を暴走させ、声や体で触れ合うのではなく、直接彼女の意識を俺の中にすべりこませてくる可能性があった。
事実として、一切会わずに離れて生活していたというのに、マリーが見た情景、その時の彼女の感情が俺の心の中に直接流れ込んでくることがあった。
俺は生まれたばかりの小さな娘と、その娘を生んでくれた妻の両方を放置するという最低な選択をしてしまった。
娘の顔もまともに見てやれず、頑張って娘を生んでくれた妻にすらまともに会いに行かず、妻の父であるフェンリル公に彼にとって孫娘であるマリーの世話を押しつけた。
本来俺自身がマリーに愛を与えてやるべきところを、他の相手に押しつけてしまった。
しかしそれも仕方ないことだったんだ。
もしもマリーが彼女の力を暴走させ俺の心を破壊してしまった場合、後に成長した彼女がそのことを深く後悔することなど目に見えているではないか。
だから俺は、全てを見越した上で最初から会わずに丸投げするという選択を取ったのだ。
最近はマリーからの意識の流入はほぼ起きていない。他の嫁達からの話で、マリーが二つ言葉を覚えたという話を聞いた。
「ママ」と「おじいちゃん」らしい。
うん…なんとも酷い話ではあるが、仕方ないだろう。
既に他者の存在を認識し、自己とは違う、侵してはならない存在だということを理解してくれているはずだ。
だから俺は前日のうちに、今朝訪れるということをリースに代わりに伝えて貰った。
マリーが生まれてからは、リースの家でルナが作ってくれた食事を食べる日々を続けていた。リースもそれに付き合ってくれていた。リース自身は最近は自ら食事を作って食べているらしい。
ルナには事前にそのあたりの事情を伝えてあったとはいえ、こんなに近くに住んでいるのに御飯だけ貰って顔も合わさない生活を続けてしまった。なんとも酷すぎる話だが、俺の頭が破壊される危険性を考慮すれば致し方無かった。
しかしそれも、これまでの辛抱だろう。もうそろそろ大丈夫なはずだ。
ようやくマリーと顔を会わせられる時が来たのだ。
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ようやく訪れた俺を、ルナとフェンリル公は喜んで迎え入れてくれた。
その時フェンリル公はほ乳瓶を手にしてマリーに飲ませてやっているところで、ルナはこちらを一人待っていた。
久しぶりにあったルナは、少し寂しそうな笑顔で俺に微笑んでくれる。俺の方から声をかける。
「ただいま、ルナ。長い間待たせて本当にごめん」
「おかえりなさい、アナタ。…事前に予想はしていたこととはいえ、あまりにも辛かったです。貴方は本当に酷い人ですね。貴方を見捨てない私にもっと感謝してくれても良いのですよ?」
この世界の人間はあまり冗談を言わない。ルナが本気でそう思っている可能性は高いだろう。
とはいえ、俺にとってもそれで問題無い。
「あぁ、ルナは俺にとっては本当に勿体ないぐらい良い奥さんだよ。色々なこと抜きにしても余りある、素晴らしい奥さんだ」
「もう、その言葉が本当かどうか、今から確かめさせて貰いますからね」
そういってルナがまず俺に抱きついてきた。そして次にキス。
その後俺と両手と両手を繋いで…いつものように、例の愛情値チェックが始まる。
その間ルナはその黒くて綺麗な瞳、最愛の者から魂を吸い取る吸魂の瞳を閉じている。
「愛情値1062、ですね。子供が生まれたことで上限が上がりましたから、これで私の勝利です。リースさんはまだ子供が生まれていないので1000上限でそれ以上の数値は計算されません。それでも勝ちは勝ちです」
なんだかルナが凄いことを言い出した。
そういえばそうだったね。ルナは一位じゃ無いとダメだったんだね。だって、一位だと違うことがあるからだ。
ルナがゆっくりとその瞳を開いて俺を見上げてきた。ちなみにルナは百五十センチ、俺は百七十五センチである。ルナは俺の瞳を彼女のその吸魂の瞳でじいっ、と見つめてきて…
「あぁ、やっぱり一位の魂の味は格別ですね!ちょっとやそっとのことの怒りが全部吹き飛んじゃいます!これからまたいーっぱい吸わせてくださいね、ア・ナ・タ!」
というわけで、俺はルナの吸魂の瞳により全部許されることになってしまった。
そのまま三分ほどずっとルナと至近距離で見つめ合う。うん、まぁ仕方ないんじゃないかな。
ルナも色々思うところはあるだろうし不満もいっぱいあるのだろうけど、俺の魂を愛情一位特権でハイペースで吸うことで簡単に許してくれるつもりらしいから、とやかくいうことじゃないだろう。
というか、上限とか上限突破とかそういうのあったのか。
リースはまだ子供が生まれてないから測定値が1000で止まっているのか?ではリースの愛情値の実値は一体いくつになっているんだろうな?
先ほどの数値を聞く限りでは、子供一人につき上限100アップとかじゃないのか。
十分吸ったことで落ち着いたのか、ルナが俺に語りかけてくる。
「それじゃあアナタ。今日はマリーとしっかりお話してくださいね。もうマリーと話しても大した危険は無いはずでしょう?既に聞いているかもしれませんが、”ママ”と”おじいちゃん”の二つの言葉を覚えたんですよ。でもパパって喋ったことはまだ一度もありません。どうなんですか?そのあたり。父親として無様だとは思いませんか?」
ルナは割と調子に乗っているのかそのように話してくる。
うん、本当はきっと今まで凄く寂しくて辛かっただろうに、そうやって俺をなじることで俺が罪の意識を持たないように誘導してくれているんだろう。言っているセリフ自体は随分と酷いが、その裏に隠された意味を考えればどうということはない。
こういった面まで含めて、それが全てルナの愛なのだ。
「うん、まったくもってその通りだ。だから今日から頑張るよ」
「今日は、私達の家に泊まるのですね?」
「あぁ、もちろんそのつもりだ。許してくれるかな?」
「ずっと私の瞳を見てくれるのなら、許しますよ」
そういってルナは俺を許してくれた。ルナの吸魂の瞳はなんとも現金な代物ではあるが、俺を許す為の理由になってくれることには素直に感謝したい。
きっかけも無しに仲直りするというのは難しいものだ。だから俺は彼女のその呪われた瞳の存在に感謝するべきなのだ。
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ルナは俺を解放してくれた。いつまでもルナと視線を合わせていたらマリーと会話をすることが出来ないから解放してくれた。
だから次はマリーと会話するべき時だ。
マリーはフェンリル公から与えられていたミルクを飲み終わっているようだ。既にフェンリル公が満面の笑顔であやしている最中だった。
「おじいちゃん、おじいちゃん」って呼んでるね。赤ちゃんなのにね、不思議だね。割と奇妙な光景かもしれんぞコレ。生後二ヶ月の赤ちゃんがおじいちゃんだなんて言葉を話すわけがない。
俺が近づくとフェンリル公が位置を変わってくれた。すると先ほどまで笑顔だったマリーが不思議そうな顔をする。うん、割と辛い。辛いけど当然のことだ。それが当然の反応のはずだろう。
「マリー、お父さんだよ。ヒロだよ、パパだよー」
「……」
「ごめんね、マリー。今まで会えなくて本当にごめんね。許してくれだなんて言わない。でもこれからはパパとも仲良くして欲しい」
「……」
マリーはじっと俺の瞳を見ている。
その彼女の瞳は両目共に金色に輝いている。
彼女はじっと俺を見ている。真剣な眼差しで俺を見ている。
そうして、不意に変化が訪れた。
『パ…パ?』
音として出す声ではなく、俺の心に直接マリーは語りかけてきた。
マリーが俺以外の相手と心で直接会話したという話は聞いたことがない。だから、心で会話出来る相手が誰なのか、彼女はまだ目で見た記憶として理解していないかもしれない。
『そうだよ、パパだよ。お父さんだよ』
『パパ…?パパ!パパ!おとーさん!おとーさん!』
『今まで会えなくてごめんね。マリーの心が安定するまでは、会うことが出来なかったんだよ』
『おとーさん!おとーさん!』
言葉での会話は無いが、マリーがこちらをその金色の綺麗な瞳で見ながら両手を揺らしている。
うん、割と興奮している様子に見える。
大喜びしてくれているんだろうか、少し笑顔になってくれている気がする。
呼び方がおとーさんになっているのは、俺が最初マリーに心の声で話し掛けた際に、パパじゃなくお父さんだよー、って言ったことが原因なのかもしれない。
おじいちゃん、という言葉をすんなり覚えたのも、あの際の会話でおじいちゃんという単語を教えたからなんだろうか。
マリーがそのまま心の声で続けてくる。
『おとーさん…あのね…その…』
『うん、なにかな?マリー』
『わたし…その…おしっこ…』
『え?』
え?
えっ?
え!!!
興奮したせいなのか、飲み過ぎたせいなのか、マリーが漏らした。
その感覚を直接俺の心に流されてしまったせいで俺まで漏らした。
漏らすぐらい、どうってことないのかもしれんが…うん、無言で向かい合っていた状態から突然コレだからね、もうね、弁明が大変だったよお父さんは。
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漏らしてしまったので、マリーと一緒にお風呂に入ることになった。娘と一緒にお風呂に入るというのは、父親としてなかなかの喜びなのではなかろうか。例えそれが生後二ヶ月の赤ん坊であったとしてもだ。
「……」
マリーは俺と一緒にいる間、口では一切喋らない。
口で喋る必要が無いからだ。心の声で通じ合えるただ一人の相手が俺だからだ。
赤ん坊としてのマリーはまだ言葉をまともには話せないようだった。
しかし俺の魂を半分食い、俺と魂がリンクしていることによって、心の声の方は随分と発達しているみたいだ。
『おとーさん、ごめんね。おもわずもらしちゃった』
『あー、いいよいいよ。マリーが喜んでくれたからそれでいいよ、もう』
『おとーさん、どこにいるのかなーってわたしずっと考えてたの。わたしの心の声、ルナママやフェンリルおじいちゃんには届かないの。心の声がとどくおとーさんはどこにいるんだろう、ってずっとおもってたの』
うん、なるほどね。心の声が届く俺という存在がいるから、他の人にも心の声で通じ合えるのかな?って考えたわけね。
有り得るわー。それで心の声が普通は届かないということに気づいて、俺に不用意に心の声を送ってこなくなったわけか。うん、ある意味俺の予想通りの流れだなー。
うん、ここまでは俺も予想出来てた。だが問題はここからだった。ここからは予想外だった。
『おとーさん、おとーさん、あのね?』
『ん?なにかな、マリー』
『わたし、おとーさんの見ている景色ずっと見てたよ?ずっとずっと見てたよ?』
『え?』
え?…なんだって?俺からは何もマリーに伝えてないのに、見てた?…え?なにそれ、マジで?
『おとーさん、おとーさん、おとーさんはうわき?してるの?』
『えっと…誰からその言葉を習ったんだい?マリー』
『ルナママがね、ぐちってたの。おとーさんは他のおんなばかりかまっていてぜったいにゆるさない、っていってた』
『…こえー。ルナママに言ったらダメだよ?告げ口はマナー違反なんだ。マリーが怒られてしまうよ』
うん、普通ねぇ、まだ生まれて二ヶ月程度だよ?この子。愚痴ったことを告げ口される可能性とか普通は考慮しないだろう。そもそもマリーは、ママ、とおじいちゃん、しか言葉を覚えていないはずなのだ。いやそれよりそもそも、生後二ヶ月では普通は喋るわけがないのだ。
『おとーさん、おとーさん、早く洗って-。いつもリースさんにしてるみたいに綺麗にしてー』
『むむむ、そういうところまで見ているのか』
俺がマリーの感覚や感情を受け入れたら頭がぶっ壊れるのとは逆に、マリーは俺の感覚を無制限に受け入れたところで何も問題が起きないらしい。脳の構造が何かしらそうなっているんだろうな。
リースとのお風呂の件は…まぁこれは、ずっと彼女の家にあがりこんでその家でルナが作ってくれた食事を共有インベントリ経由で受け取って食べてたからな。
リースは妊娠中でも俺と触れ合えるというこの世界ではとても貴重な存在だから、旅をしていた期間と同様にいつも胸でしてもらっていたんだ。
そうしない限りは夜に毎回賢者になれる薬を飲まなくてはいけなくなるからだ。一本一万円する薬に、使い続けた場合にどんな副作用があるかよくわからない薬に長期間頼るわけにもいかなかったし。
俺はマリーの体を丁寧に洗ってやる。マリーの瞳は金色に輝いているが、耳や髪はルナと同じ黒耳、黒髪だ。お母さん譲りなんだろうきっと。
『おとーさんは、いつもリースさんとお風呂で気持ち良いことしてるよねー。ルナママにうわきものー、っていわれるのも仕方ないとおもうよー?』
『…うん、そこらへんの感覚も全部わかっちゃうのか』
『おとーさんは、わたしとはそういうこと出来ない立場なんだよねー?うん、そこはゆるしてあげるけどー、わたしもはやくああいうことしたいなー』
生後二ヶ月しか経過していないというのに、マリーは既に性に目覚めてしまっているらしい。俺の責任だってことはわかる。よーくわかる。でもなぁ、そんなこと言われてもなぁ、俺にどーしろっていうのよ?
俺はマリーの小さな体を綺麗に洗い上げてやる。体が小さいのですぐ終わる。
赤ちゃん肌なのですっごく質の良い肌である。うん、なんかすごいね。
マリーはどんどん心の声で話し掛けてくる。
『おとーさん、おとーさん、おとーさんはルナママともえっちなことするんだよね?』
『え?うん、するにはするけど、今すぐ手を出すつもりは無かったんだけども…』
『わたし、おとーとがほしい。えっちなことをするとこどもが出来るんでしょう?おとーとが欲しいから、ルナママと頑張ってね』
『マジでか。今夜からか?』
『うんー、今夜からでいいよー。早くおとーと作ってー』
どう考えても二ヶ月の娘とするような会話じゃないよな、というか本来は会話すら出来ないよな。
でも心でなら出来てしまうってことなんだな。
なんかもう色々おかしいけれど、直接心に浸食されるよりはマシだと思うよ、うん。
マリーとのお風呂の時間を十分に過ごしたので、お風呂を上がってバスタオルで体を丁寧に拭いた。マリーの体も拭いた。既に着替えが用意されていたのでそれに着替える。小さなマリーの小さな着替えもあったので着せてあげる。
そうやってからお風呂場から出てくると、ルナにドヤ顔でこう言われる。
「どうでしたか?アナタ。マリーにちゃんとパパって呼んで貰えましたか?」
「えっと、それは」
「……」
「まぁすぐには無理でしょうね。ちゃんとこれからも時間をかけてマリーと仲良くなってくださいね。もっとも、すぐにパパだなんて呼ばれだしたら私が悲しいのでやめて欲しいですが」
「……」
うん、これはあれだね。とても言い出せる感じじゃないね。
まさかこの子がルナに今日から弟を仕込めだとか言っていただなんて仮に話したとしても絶対に信じて貰えないっていうか激怒されるよね。
うん、わかってるよ、わかってる。だから俺はこう言っておくしかない。
『マリー、当分は俺のことを言葉に出してパパだなんて呼んだらダメだ。お父さんも無しだ。非常にまずいことになるからな』
『はい、おとーさん』
『よーしよし、マリーは良い子だ。お父さんもマリーの弟を作る為に頑張っちゃうからなー』
『ルナママを襲っちゃうの?やっつけちゃうの?わたし、期待しとくね』
親娘の心の会話は非常にマズイことになっているが、俺はともかくなんとか夜までにルナをその気にさせるために懸命に努力することになった。
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901/3/8 9:23
昨夜ルナをなんとかその気にさせたところそれはそれは長時間の行為になった。
俺はルナに、次は男の子だということで条件を受け入れて貰い、愛の奇跡を用いて五倍疲れる状態で頑張り続けた。
目を覚ました俺に対して、マリーが心の声で語りかけてくる。
『おとーさん、おとーさん、昨夜はお楽しみだったねぇ、すごかったねぇ』
『…どこでその言葉を覚えたんだ。フェンリルおじいちゃんか?』
『うんー、フェンリルおじいちゃんが言ってた-。なんかお気に入りのフレーズらしいよー。フェンリルおじいちゃん面白いよねぇ、わたし、フェンリルおじいちゃんのこと大好き』
そうかそうか。まぁおじいちゃんのことを大好きでいてくれてそれは良かったよ。
…だってフェンリル公は、そのうち寿命で生き別れることになるからな。
今生きている内しか仲良く出来ないんだよ。とはいってもフェンリル公まだ四十歳程度だからまだまだ長生きするけどな。先の長い話だとはいえ、そのあたりのことを俺はわかっているから、そうしておいたんだよな。
マリーが更に心の声で続けてくる。
『それにしても昨夜のルナママ凄かったねぇ。エロエロだったねぇ。おとーさんも良く頑張ったよねぇ。ルナママあんなにエロエロなのに普段はあんなに澄ました顔しているんだからタチが悪いよねぇ』
『マリー、あまりルナママに酷いこといっちゃいけないよ。絶対にダメだよ、絶対だよ』
『はい、おとーさん』
まぁそんなわけで。
予想以上にあっさりとマリーと仲直り出来てしまったものの、それはそれで逆に大変な面があるよなー、などと思わずにはいられなかった。
色々おかしいよね、うん。




