第三十四話「1UP」
Smes Log
1:このゲームのメインプレイヤーは俺とルナの娘、金の瞳の乙女のマリーだ。
2:神の使徒である俺はVIPプレイヤーであり種馬としての役割を持っている。
3:ゲームの期限は百年。星歴1000年の3月31日までにこの世界をクリア出来なければ俺達の一族は全滅する。
4:男女どちらの子供を妻に生ませるかというのは非常に重要であり大きな違いを持つ。愛の奇跡はその目的を達成する為の手段である。
5:ルナの最初の子供だけではなく、リースが最初に生む男の子も重要な役割を担っている。
901/3/3 15:22
ジゼルちゃんの出産予定日は三月七日あたりだったはずだが、やはりフラグの神様の意図的な操作により出産日が調整されてしまったらしかった。
今度はさすがに三回目だということで出産中のジゼルちゃんの手を俺はずっと握っていた。いつまでも嫁の出産中にまでリースと一緒にいるのは失礼だろうということで、さすがに反省したのだ。
今回も愛姫と同じように父であるユーロ国王のシャルルン三世さんを呼んでも良いよ、とはあらかじめ言っておいたのだが、本来の予定日より随分と早まっていたことと、雛祭りはやはり節句の行事だということで王は公務で忙しいらしく来られなかった。
俺はジゼルちゃんの手をずっと握っていたが、それはもうすんごい力で握られてた。
ダメージになるだけの負荷がかかったことによりその力がPK防止判定にひっかかり、俺の肉体には伝わらずに俺のHPを削っていった。この世界にPK防止のシステムがなければ、手を握りつぶされていたのだろうか。
長い時間をかけてようやくジゼルちゃんの出産が終わり、俺は彼女に声をかけた。
「頑張ったね、ジゼル。可愛い女の子だよ」
「うん…ヒロ、ありがとう、ですわ」
さすがのジゼルちゃんも相当疲れているようだった。うん、出産に立ち会って大正解だったのかな。今度からは皆が子供を生むときはちゃんと立ち会うようにしないとな。
俺達はその時点では、まだ異変に気づいていなかった。
出産や育児の知識を研修でしっかり学んでいたジゼルちゃんの家担当のメイドさんが、今さっき生まれた女の子の赤ちゃんをこちらに渡してきてくれた。
それを俺は受け取って優しく抱き上げた。可愛いなー。ジゼルちゃんそっくりだなー、などと軽い気持ちで考えていた。
「ふぅ…ふぅ…ねぇ、ヒロ。その子の名前、ちゃんと考えてくださいましたの?早くその子に名前をつけてくださいませんこと?」
「うん、わかった」
「それにしても、可愛い赤ちゃんで良かったです…わ…えっ!?」
突然、ジゼルちゃんの顔が驚愕の表情に変わった。
え?なんだ?何が起きたんだ?
ジゼルちゃんは大きく目を見開いてブルブルと震えている。その視線の先には今先ほど生まれたばかりのジゼルちゃんと俺の娘がいる。その娘の名前も本来考えていたのだが…
一体なんだ?何が起こったんだ?あまりにも異常な反応だ、何かが起こっていることは間違いない。
「ヒロ、その子…」
「どうした?どうしたんだ?ジゼル」
「……」
「何かあったのか?一体何が起こったんだ?ジゼル!」
「……!」
ジゼルちゃんは、可愛い女の子を生んだジゼルお母さんは、俺にはまだわからないが何か相当ショックなことがあって喋れなくなっているらしい。
見開いていた目は今は泣き顔に変わっていた。体の方は相変わらず震えているままだ。
ジゼルお母さんは言葉を失ったまま、震えたまま泣き出した。
赤ちゃんの方は俺が受け取る前までは泣いていたのが抱き上げてしばらくして泣くのが止まっていて、その後ジゼルお母さんが泣き出すと同時にわんわんと泣き出した。
一体何が起こったんだ?
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俺はUIを確認した。
今は他の妻達は傍にはいない。画面中央上部には相変わらずデカデカとマリーの名前と各ゲージが表示されている。
左上には俺の名前、ヒロ=アーゼス。その下にはジゼルちゃんの名前、ジゼル=アーゼスと出ている。
そこまでは良い…そこまでは良いのだが、
ジゼル=アーゼスという名前の、右の方に…×2と表示されているのだ。
…いや、
…いや、そんな、まさか、これはこういうことなのか?
ジゼルお母さんは相変わらず泣いているが、震えはある程度止まっていて、俺がずっと抱いている赤ちゃんの方を見ている。赤ちゃんも先ほどまで泣いていたのが止まっていて、今はゆっくりと深呼吸をしている。
「……!」
「うん、ジゼル、ゆっくりでいいから。ゆっくりでいいから、言ってみて」
「…その」
「うん、その?」
「その…あ、あ、あか」
「うん、あか?」
「…ちゃ、ちゃんは」
「うん、赤ちゃんは?」
「…赤ん坊じゃ、ない」
うん。
そうか。
その赤ちゃんは赤ん坊じゃ、ない。
つまりそういうことなのか?
「俺から言ってもいいかな?」
コクコクコク、とジゼルお母さんが頭を縦に振る。
「これはもしかしてジゼルちゃんなのかな?」
コクコクコク、
「赤ん坊だけど、ジゼルちゃんなんだね?」
コクコクコク。
うん。つまりそういうことらしい。
ジゼルちゃんは、ジゼルちゃんを生んだのだ。
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赤ん坊を一旦メイドさんに任せ、俺はジゼルちゃんと長時間抱き合うことにした。そうしないとジゼルちゃんの心が壊れてしまう可能性があった。ずっと優しく抱きしめて、背中を撫で続けた。
そうしてようやく、ジゼルちゃんは喋れる状態にまで回復した。
「その子…心が無いんですのよ。心が無くて、わたくしとその感覚を共有していますの。ある程度のところまでは自然と動いてくれるみたいですの」
「そうか。そういうことになっているのか」
感覚が繋がっているという点では、俺は既にマリーの件でも経験済だ。マリーは心を持っていてその感情まで俺に通じてくるから非常に厄介なことになるのだが、心が無ければかなり負荷は軽減されるのではないだろうか。
「はぁ…わたくし、普通の女の子が欲しかったですわ。普通の女の子を生んで、名前をつけて、ヒロと一緒に親子三人で仲良くお散歩して…そんな普通のありふれた夫婦生活を夢見ておりましたのに」
そう言ってジゼルちゃんはまたポロポロと泣き出した。赤ちゃんも泣き出す。うーん、確かにリンクしてしまっているらしい。泣き方は大分違うが、そこらへんが自動調整されている部分なのだろうか。
しかし赤ん坊が泣き出してしまうのでジゼルちゃんは泣くのをなんとか止めた。すると赤ちゃんも泣くのをやめる。うん、なんかすごいことになっているのはよくわかる。
「ちょっと…申し訳ないですが、わたくし少し寝てみますので、ヒロはその子の相手をしてくださいませんこと?」
「ん、わかった」
何かあるらしい。ただ疲れただけなのかもしれないが。
ジゼルちゃんは横になって瞳を閉じて、それほど時間が経たないうちに安らかな寝息をたてはじめた。
俺はその間にメイドさんからジゼルお母さんが生んだ女の子の赤ん坊を受け取った。とても可愛い顔をしていて、今は眠っている。これが赤ん坊ではなくてジゼルちゃんだという話なのだからなんとも大変なことだ。
ジゼルお母さんが眠りについてからしばらくして、赤ちゃんの方が目を覚ました。
そうして抱きかかえている俺の方を見つめてくる。うん、可愛い。
赤ん坊は生後しばらくあまり笑わないはずなのだが、随分穏やかな顔でこちらを見つめてきている。
赤ちゃんが右手をかすかに動かしてアピールしている。俺がその小さな手に俺の人差し指を当ててみると、そっと握り返してくる。うん、可愛い、なかなか可愛いじゃないか。
そうやってしばらくすると、また赤ちゃんが眠りについた。そしてそれからまたしばらくして、ジゼルお母さんが起き上がった。
「ふぅ…ちょっと幸せな気分になりましたわ」
起きたジゼルお母さんが俺にそんなことを言ってくる。つまり、今の赤ちゃんの動きはジゼルお母さんが操作したものだったということだろう。そんなことが出来るというのか?
「それで、どうだった?」
「そうですわねぇ…なんだかすごく赤ちゃんの気分になりましたわ。パパー!大好きー!かまってー、かまってー!って気分に…」
「そ、そう、そんなに嬉しかったのか。っていうか、パパなの?」
「ええ、そうですわよ。ヒロだー、ってことはわかっているのに、心の認識がそうなるのですわ」
何やらとても不思議なことになっているらしい。と、ジゼルお母さんが手の仕草でちょいちょいと、俺に赤ん坊を渡すように指示してくる。俺は優しく大事に赤ん坊をジゼルお母さんに手渡した。
ジゼルお母さんは自分の胸をはだけさせると、赤ちゃんにお乳をやりはじめるのだが…途端にとてもイヤそうな顔をした。
「うわ、自分で自分の乳を吸うというのはかなりイヤな気分ですわね」
「なるほど、そうなってしまうのか」
「でも、この子の体のおなかがすいている以上、お乳をやらないというわけにもいきませんし」
なるほどねぇ。赤ん坊の体の方で空腹感を感じてしまっているから、仕方なくそうするしかないわけか。なんとも難儀な話に思える。うーむ、そのあたりもう少しなんとかならないのか?
「こう、接続を切るみたいなことは出来ないの?赤ん坊の体の方の」
「んん?どういうことですの?」
「そうだなー、赤ん坊の体の操作を放棄するというか、体任せにしてみるというか、そういうことは出来ないのかなって」
なんだろうね。そんなこと出来たら便利なんじゃないかなって思ったんだ。
いわゆるオートパイロットというかオートパイロット機能というか、そういうのがあれば良いんじゃないかと思ったわけだが。
「なるほど、早速やってみますわね。…えーっと、んーっと、こう?こうかしら?って、痛い!痛い痛い!やめて!」
どうやら俺の言葉に従いジゼルお母さんはやってみたらしい。しかしお乳をやっていたジゼルお母さんが突然痛がりだした。なんだろう。すぐにはわからなかったが、どうやら赤ちゃんの噛む力が強くなって凄い力で吸われたらしい。
すぐにオートパイロットを解除したらしく、ジゼルお母さんは今度はもう片方の胸でお乳をやりはじめた。うん、なんだろう、オートパイロットだとそこらへん赤ちゃん側が容赦なくなるってことか?相当痛かったんだろうな。
「はぁ、気持ち良くはないですが、あんな全力で噛まれて吸われるよりはマシですわね。まったく、赤ちゃんってもっと可愛げのあるものだとばかり思ってましたのに」
「そうかな?ジゼルによく似て可愛い顔してるけども」
「そんなことは当然のことなのですわ。わたくしとヒロの子供なんですもの」
そういってジゼルお母さんは笑顔になった。ジゼルお母さんというか、ある意味お母さんジゼルになってしまったかもしれない。何故なら今日生んだこの子供はジゼルちゃんであり、赤ちゃんジゼルともいえる存在だからだ。
その後しばらくしてスシネさんがやってきて、何やら特殊な魔法による診断を受けた。
その結果、生まれてきた子供には既にジゼル=アーゼスという名前がついてしまっているらしく新しく別の名前をつけることは出来ないらしい。
そんなわけで赤ちゃんの名前もジゼルちゃんになってしまった。ジゼル二号とでも呼ぶべきなのだろうか?
十分なお乳をやり終わったので、その後ジゼルお母さんとジゼルちゃんは母子揃ってぐっすり眠ってしまった。何とも変な状態ではあるが割と便利ではあるのかもしれない。
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ジゼルお母さんがジゼルちゃんを生んだというその話は、その日のうちに皆に広まることになった。愛姫は既にニッポンポンの実家に逃げていたので被害を免れた。俺にとっては豆腐メンタル仲間の愛姫がその事実を知ったならショックで昏倒していたんじゃなかろうか。
というかね、愛姫の子供が男の子で本当に良かったよ。もしも愛姫が女の子を生んでいたならば、ショックで心が壊れていたかもしれないじゃないか。ジゼルお母さんもあれだけ声がまともに出なくなるぐらいのショックを受けてしまったわけで。
まぁ俺は当然この話をリースの家に戻って俺の口からリースに説明したんだけどね。俺の話を聞いたリースも、この話ばかりはさすがに露骨に嫌そうな顔をした。
「うっわ。ジゼルには悪いけれど、私の最初の子供が男の子で本当に良かったわ。さすがにイヤよ、最初の子供がそんな異常体質だなんて。私だって嫌すぎるわよ」
「うーん…まぁ、そうだよなぁ。愛姫は男の子、政宗くんを生んでいたけれど、特に変わったところは無かったしなぁ」
うん、政宗くんの様子はしっかり確認しておいたんだよ。普通に男の子だった。ただ、愛姫いわく最初からHPが高いだとかそんな話をしていた気がするが。UI見れば具体的な数値こそ書いていないものの、HPゲージの色の濃さとかで大体分かるようになっているんだよね。
男の子と女の子両方変わっていることは間違い無いが、男の子の方が女の子に比較すればよほど正常だろう。男の子は完全に普通の一人の人間だ。逆に女の子はジゼルお母さん曰く、心が無く感覚を共有しているらしい。
そもそもUIで名前の横に×2だなんて出てる時点で、もう完全にコピー体のような扱いなのではなかろうか。
リースがそのあたりすぐに気づいたのか俺にこう言ってくる。
「ねぇ、ヒロ?そろそろスメスさんにまた男の子と女の子について聞いてみたらどうかしら?おそらくは、ネタバレがダメなだけで既に起こったことに関しては詳しく説明してくれるはずよ」
「んー、そうなのかなー?」
「きっとそうよ。だから早めに聞いておきなさい」
リースがそう言うのならきっとそうなのだろう。というわけで、早速スメスさんに聞いてみることにした。
>>Smes:スメスさん、いるかい?
Smes:何か用かな?
>>Smes:男の子と女の子についてそれぞれどうなっているのか聞きたいのだけど。
Smes:合点承知。
なんかすごい軽いノリで了承されてしまった。そうか、既に起こったことを説明するのは特に問題が無いのか?
Smes:まず男子につきましては、これは父親であるヒロ様のステータスの大部分をそのまま引き継ぎます。幼少時には完全には発揮出来ませんが、十五歳に達する頃にはほぼ完全にステータスを完全に共有することが可能です。それだけには留まらず、全ての経験、スキルアップまでをヒロ様と共有し互いにフィードバック致します。つまりヒロ様は男子をたくさん用意するだけで後は家にいるだけで強くなることが可能です。なんとも贅沢な話でございますね。
なんかサラサラっと説明されてしまったが、何かとんでもないことになっているように見えるんだが?
それは色々とチート過ぎないか?俺のHPを受け継いだだけでも色々スゴイことになると思うのだが、もう色々とおかしくてどこをつっこんだら良いのか分からん。
>>Smes:えーっと、それは子供の世代だけかな?孫の世代はどうなの?
Smes:ヒロ様の直接の子供の、第一世代のみでございます。第二世代以降は、その父親のステータスの影響をかなり受けはしますが完全には継承しませんし、ヒロ様に成長をフィードバックするということもございません。ですが第二世代以降の子孫が愛し合った成果の絆値も全て、金の瞳の乙女であるマリー様の絆神力へと変換されますので、一族の数が多いに越したことはございません。
ふーむ、なるほどねー。
それじゃあ、次の質問にいくか。
>>Smes:女の子はどうなっているのかな?
Smes:女子につきましては、これは女子はヒロ様の奥様方のコピー体として機能致します。オリジナルである本物の妻の方達とは異なる存在なので、今まで通りオリジナルの扱いを大事にしてくだされば特に問題ありません。オリジナルが死亡してしまった際には残ったコピー体のうちの誰かが次のオリジナル体として役目を引き継ぐことが可能です。オリジナルがその後蘇生した場合には好きなタイミングでオリジナル権限を戻すことが出来ます。
>>Smes:ふむふむ?
Smes:基本的にコピー体はオリジナル体の指示に従いますが、オリジナル体が睡眠を取るなどすることにより意識を失っている最中は、一時的に他のコピー体一名を操作キャラとして指名することが可能です。十分な数のコピー体を用意してしまえば、オリジナル体を危険に晒すことなく安全な場所で寝かせておくことにより、コピー体のみを戦わせて様々な攻略を成すことが可能になっております。
ふーむ、なんかすごいね。
でも、どちらかというとそのままでは男の子の方が強くなるのでは?という気がする。
つまり、これだけには留まらないはずだ…既に予想は出来ているが。
Smes:既にお気づきかどうかはわかりませんが、コピー体も子供を生むことが可能です。ただし、オリジナルとしての権限が無い限りコピー体が生む子供は全て女子となり、コピー体のみを増やすことになります。
ですよねー!そうくると思ったんだよ!
でもそれって本当にやっちゃいけないモラルブレイクじゃなかったか?だってさぁ…
>>Smes:えっと…ごめん、一応関係上は父と娘になるはずだよね…?
Smes:ヒロ様のお体には、ゲーム開始時の自動キャラメイク設定により近親相姦制限の完全突破の能力が付与されております。ですのでそのあたりは何もお気になさらずとも結構です。マリー様と、リース様の生む予定の男子様が結婚することにも何の問題も御座いません。異母姉弟でも大丈夫ですよ。
うん…あぁそう…なんかとんでもないことを言われた気がするよ、俺。もうお前ら何でもアリなんだね。今更モラルとか気にした俺がバカだったってことなのか。というかサラッと一言今後のネタバレが追加された気がするんだが?
Smes:それでは本日はこのあたりで失礼致します。また後ほど。
そういって今回のスメスさんとの話は終わった。
というかネタバレを自らぶちかましたからそそくさと逃げ帰った形だよねたぶん。
その後スメスさんから聞いた話をリースに話したらそれはもうドン引きしてた。
まぁそりゃそうですよね。わかってたよ、その反応はさ。
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その後三日間ほど、ジゼルお母さんの家に通うことにした。
ジゼルお母さんと赤ん坊のジゼルちゃんは、見た目だけなら仲良し母子に見えた。実際には中の人が一緒なだけなんだけどね。好きな時に好きなだけ操作出来るおかげで、すんごく子育てが楽らしい。
「シモのお世話が楽なことが助かりますわね…まぁその、トイレに自分で自分の体を支えてもって、させるという図はちょっとあれなことは事実ではありますけど」
「うん、ちょっと想像しただけでうわっ、て思っちゃった、ごめん」
とはいっても、自分のお乳を自分で吸うのがやはりイヤらしい。ということで、俺がリースから教わった生活魔法の一種でちょっと手伝うことになった。
性的興奮を一切与えずに効率良く母乳を採取出来るという魔法があって、それを使ってあらかじめ十分な量の母乳を採取してほ乳瓶などに入れておき、ほ乳瓶からオートパイロット状態で勝手に動く状態にした赤ちゃんに飲ませてやればすんなり上手くいくということが判明した。
うん…なんかすごい勢いで採取してるけど、決してエロいことをしているわけじゃないんだ。決して俺はそんなことしてないからな!
減ったMPはジゼルお母さんにくっついていればあっという間に回復するので特に問題が無い。
「この分だと大分楽に子育てが進みそうですわね。ヒロ、本当に感謝してますわよ」
「どういたしまして」
「明日からも、一日一度でも良いですから採取するのを手伝ってくださいまし。自分で出すよりはよっぽど楽ですから…割と大変なのですわ」
「うん、わかった」
そっかー、お母さんってよくわかんないけど大変なんだねえ。
…うん、そろそろ俺も、覚悟を決めてルナやマリーに会いに行くことにするかな。最近は心の中に直接声が響いてくることがほぼ無くなってきているから、おそらくはそろそろ大丈夫なんじゃないかと思われる。
そんな感じに今後の決心を固めながら、その日は過ぎていった。




