第三十三話「娘への想い。父への想い」
今日も朝リースの寝室で目を覚ました俺はUIの時計を確認する
901/1/25 6:45
既にルナが娘のマリーを生んでから二週間が経過していた。その間、あえて俺は直接マリーには会いに行っていない。何も無ければ会いに行ってるところなのだが、そういうわけにもいかないのだ。
この二週間を過ごしていたところ、時折心の中に別の映像と感情が流れ込んでくることがあった。フェンリル公とルナがこちらを見ている映像と、嬉しい、という感情が俺の中に突然、かすかにだが流れてくるのだ。
…それが何を意味しているかなど、考えるまでも無い。マリーの感じたものの一部が俺の方に直接流入してきているんだ。
頭の中に他の人間が認識している映像や感情が直接流れ込んでくるというのは本当にヤバイ。
睡眠中など感覚を遮断している時であれば問題無いのだが、もしうっすらとではなくフルに流されたのならば、俺の頭がぶっこわれても何もおかしくはない。
俺が不用意に近づくと、マリーが俺に自らのイメージを伝えるその力を暴走させてしまう可能性がある。その場合俺の頭がぶっ壊れる危険性はかなり高いだろう。
だからある程度マリーの力の制御をして貰えるようになるまでは、ある程度物心つくまでは、不用意に近づくべきではないのだ。
安定さえすれば、言葉を十分に覚えてさえくれたら、なんとかなるんだろうけどな。
だからそれまでの辛抱だ、うん。
俺がフェンリル公、ルナの父が家に入ってくるのを許した理由はこの事態を見越してのことだった。
もしも娘のマリーとなんらかの特殊な事情で触れ合うことが許されなかった場合、ルナの父であるフェンリル公に、俺の代わりに愛する娘に愛を与えて貰う、その為にフェンリル公を受け入れたのだ。
俺にとっては本当に渡りに船だった。フェンリルおじいちゃんの存在が無ければ、マリーは十分な愛を受けることが出来ず、結果として良い子には育たなくなってしまうところだっただろう。
俺は知っている。俺はよーく知っているのだ。人は愛を受けた分だけ他の人に愛を与えられるようになる。
フェンリルおじいちゃんからの深い愛情をその体一杯に受けたマリーは、周りの人にも愛を分けてあげられる、それはとても良い子に育つことだろう。
と、少し話は変わるが、
今日はせっかくちょっと早めに起きているので、久しぶりにスメスさんに色々聞いてみることにする。
>>Smes:スメスさん、いるかい?
Smes:なんでございましょうか。
>>Smes:マリーの絆神力について教えて欲しい。やはり絆値が関係しているのか?
マリーの誕生の瞬間から常に、俺のUI中央上部には常時マリーのステータスがドンとでかく表示され続けている。そしてそこには、俺やリースなど他の人は持っていない絆神力という専用の極太ゲージが存在しているのだ。
マリーのステータス表示が誰にまで表示されているかを確認したところ、妻達全員に表示されているらしい。一方フェンリル公やスシネさんや残念執事のジェームズ氏などのUIには表示されていないということが判明した。つまり、俺を含んだ神の使徒の一族だけに、全員に常時表示されているらしい。
誕生直後にはゲージは黒色だったが、俺とマリーの接触後、その絆神力という特殊ゲージはとても薄い白色に染まっていた。とても薄い白色である。つまりまだまだ集まっている力が少ないということだろう。
スメスさんは俺の質問に答えてくれる。
Smes:はい、その通りでございます。絆神力とは、神の使徒の一族が互いに上手に愛し合うことで得られる絆値の総合計値をそのまま力へと変換するものです。一族全体の団結が必要であると同時に、一族の人数が多ければそれだけでもかなりの高数値を得られるでしょう。
>>Smes:かなり重要なのか?
Smes:非常に重要です。ゲージが真っ白になる程度にまで高めなければ、この世界を最後まで攻略することは極めて困難となるでしょう。ヒロ様お一人の力では到底不可能です。…これ以上のアドバイスは不要でしたかな?
そのようなことを聞かれる。とはいっても、既に手は打ってあるのだが。
>>Smes:あぁ、もう大丈夫だ。ありがとう。
Smes:そうでしたか。それでは本日はこれにて失礼致します。
そうして今回のスメスさんとの話は終わった。
ちなみに絆値っていうのはあれだよ。うまくプレイすると0.5×二人分あがるやつだよ。
今まで使われてない数値だからどこかで来るだろうとは思っていたが、やっぱりだったよ。夫婦の絆ではなく一族の絆として合算だとは思ってもみなかったけどな。
つまり、常に夫婦二人で一緒に気持ち良くなりなさいって話なわけだ、畜生!
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最近ティニーの様子がわりとおかしい。
ちなみにおかしくなっている原因もある程度察しはつく。色々と周りの環境に変化があることもそうだし、彼女自身の体が成長していることもそうだろう。
それに加えて、俺が贈った大粒のピンクダイヤモンドのリングがとてもお気に入りらしい。成長に合わせて指がきつくなるかもだからということで、台座のリングの方は何やら特殊な構造のサイズフリーみたいな仮のものになっている。
とはいってもピンクダイヤモンドの方は完全なものなのでとてもキレイである。この世界が宝石激安の世界で本当に良かった。
何故ティニーにピンクダイヤモンドを贈ったのか?
実はそこらへん割と謎である。なんとなく贈っておこうかなー、という気持ちになってしまったのだ。こういうのがあれか、フラグなのか。
自らの左手の薬指につけられたその大粒のピンクダイヤを見て、嬉しそうにしている様子を良く見かける。ジゼルちゃんに自慢しに行ったりもしているらしい。
ジゼルちゃんとティニーは牛乳仲間だからな。一緒に例の牛乳を飲んで胸を育てる同盟である。既に貧乳キャラ絶滅の危機は避けられない状態だ。
この世界の人族は何故か宝石が嫌いらしい。
だから俺はてっきり、ティニーが宝石リングを自慢したところでジゼルちゃんが欲しがるはずがないとばかり考えていたのだが…
ある日ジゼルちゃんの家を訪れた時にこんな話になったのだ。その時も彼女はいつものように編み物をしていた。
「ねぇ、ヒロ。最近ティニーがいつもピンクダイヤを自慢してくるのですわ。どういうことですの?」
「え?うん。なんとなく似合うかなーと思ってティニーの誕生日に贈ってみたんだよね」
「私には贈る気は無いですの?」
「…え?」
あれ?おかしいな。
この世界の人族って、確か宝石嫌いなはずじゃなかったっけ?
なので俺は当然聞き返してみた。
「えーっと、プラチナリングじゃなくて宝石リングが欲しいの?」
「そうですわよ。何をおっしゃってますの?」
「いや、だって、人族って宝石嫌いだったんじゃ…」
「あんな綺麗な物を毎日見せびらかされたらさすがに気も変わりますわよ」
え…えー?ちょっとそれは無いんじゃないの?
設定とは一体なんだったのかと問い詰めたい。小一時間問い詰めたい。
「ともかくそういう訳ですから、わたくしにも一つ考えてくださいまし」
「えーっと…うん、わかった。それじゃあジゼルの誕生日がいつか教えて貰っても良いかな?」
「…もう過ぎてますわよ。ヒロに目の前でスルーされましたわ」
なんだって?
まったくそんな話は聞いていないわけだが。
「ごめん、ジゼル、それっていつのことだろうか」
「言わなかったわたくしが悪いとはいえ、その数日後にヒロは旅立ってしまわれたのですわ」
「…えーっと?」
「たー、なー、ばー、たー!」
よくわからないけどジゼルちゃんの誕生日は七夕だったらしい。
でもこれってたぶん後付けじゃない?
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七月の誕生石はルビーなので、なんとかルビーを調達して貰えないかということでフリマさんをその後訪ねに行ったのだが、ついでだから全員分用意しろなどと言われてしまった。
愛姫が九月九日でサファイア、フリマさんが十月十日でオパールになるそうです。
ついでにアンジェラちゃんが五月五日でこちらはエメラルド。
なんとなく魔のエメラルドなどという単語が思い浮かんでしまった
誰か一人忘れているような…
何故宝石リングを欲しがるのかと聞いたところ、ティニーが皆に自慢していたからだそうな。せっかくだから全員分揃えておけという話になってしまった。
ちなみにこの世界には本来誕生石なんて概念は無い。人族の大陸が宝石嫌いという設定なのでその関係で誕生石など存在しないらしいのだ。
このあたりの話を以前リースと一緒に指輪を買う際に話していた記憶がある。
なのだが、俺のその誕生石という知識について興味を持ったフリマさんが色々と聞いてきた。
俺にはそこらへんの誕生石の知識はほとんど無かったのだが、何故か久しぶりにTIPSを確認したらオマケの項目にバッチリ用意されていたんですよ。
一体どういうことなの。
他の人のUIには俺のようなTIPSが無いらしいから、俺のTIPSの知識を広めることが何かの攻略のカギにでもなっていたというのか?
俺の語る誕生石という概念にフリマさんは随分と興味を示してくれた。
せっかくなので大量輸入したうえでドワーフの宝石、彫金職人も招きいれ、大々的にやってみるらしい。ただし費用は俺持ちだが。利益が出たらその半分をくれるらしい。
「なるほど、中々興味深い話です。その情報があれば今よりも東大陸で宝石が受け入れられるようになるかもしれませんね。ヒロ様、ありがとうございます」
「いえいえ、どういたしまして。こちらこそ実際の仕事を押しつけてしまい申し訳ない」
「良いのですよ。これも妻の勤めでありますし、利益の半分は我がトルッコの方で頂きますから。宝石が東大陸で流通するようになれば、西大陸のドワーフとの関係も少しは改善されることになるでしょう」
ふむ…そういうことになるのか?
そういえばスキンシップが苦手なエルフ族のリースと過剰にスキンシップを取りながら獣大陸を回ったんだよなぁ。
あんな感じに、何かしらの形で関係改善していけば、この世界の仲が悪い種族達も関係改善出来るのだろうか。
ちなみにその後、リースとティニーの誕生石がどうなっているのかも調べてみたところ、割と俺の好きじゃない宝石ばかりでした。
なんだろうね。
こういうのってやっぱり何かそういうフラグの神様が調整していてくれたってことになるのかね。誕生石を無視してその場のノリでピンクダイヤモンドを選んだのは大正解だったのだろうか。
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901/2/3 12:23
愛姫が妊娠した日は去年の五月十五日で、元々出産予定日が二月四日あたりになっていたかと思われるのだが、やはりというか節分に愛姫が出産の日を迎えることになった。
ちなみに節分の日は理屈はよくわからないんだけどわりと変動するらしいです。最近はずっと二月三日固定らしいんだけどね。このあたりもTIPSに書いてあった。
この世界では通常エリアの魔物に豆を投げても特に問題無いそうだ。
豆は攻撃と見なされないのか、退散していったり投げられた豆をその場で食べ始めたりするらしい。
本当にそのあたりよくわからんね。ちなみにトロールに豆投げると喜ぶらしいよ、謎だね。
愛姫に事前に、ニッポンポンのお殿様=愛姫のお父さん呼んでもいいよー、と伝えたところ大喜びしていた。最近、マリーの異常さが怖くてまたずっと引き篭もっていたからね。
男の子が生まれたらお殿様が名前付けて良いですよ、とは伝えておいたのだが。
愛姫が生んだのは男の子だった。お殿様がなんか政宗とかいう名前をその子に付けちゃった。大丈夫なのか?そのあたり。
俺は早速、そのあたりの処理がどうなっているのかをUIで確認した。
愛姫の家の中でUIを確認したところ、俺のUIのパーティーメンバーリストにはその政宗君の名前は表示されなかった。
母親である愛姫の方のUIにはしっかりと表示されているらしい。苗字としてアーゼスとは表示されていないそうだ。
うん…俺にとっての初めての男の子かー。
でもなー、なんか顔がすごくお殿様に似てる気がするのは気のせいかなー?気のせいじゃない気がするんだけどなー?
男の子を生んだ愛姫はすごく安心したという顔で喜んでいた。俺はそんな愛姫に声をかけた。
「愛姫、お疲れ様。立派な男の子だねー、格好良く育つのかなー」
「旦那様、本当にありがたきことじゃ…その、おのこを生んだばかりの身でこのようなことを申すのは、まことに心苦しいのじゃが…」
ん?なんだろう。俺に何か相談があるらしい。
…なんとなく予想はつくが。
「その…今のこの家はあまりにも恐ろしゅうて、しばらくは実家に帰らせていただきたいのじゃ~」
そういってめそめそと泣く愛姫ちゃん。うん、確かにその判断は正しい。
愛姫は俺の大事な豆腐メンタル仲間だからな、今は避難させておいた方が良いだろう。
俺がすんなり了承してあげたところ、愛姫はお殿様と一緒に生まれたばかりの政宗くんを連れて実家へ帰っていった。
次はジゼルちゃんの番かな。ジゼルちゃんは男の子と女の子、どちらを生むのだろうか。
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さて…突然だが少し良いだろうか。
話をしよう。あまり一般の人々の共感を得られるような話ではないが、この物語の今後の展開にはとても重要になる話だ。俺という人間の、バックボーンに関する話だ。
俺は、前世において三十を過ぎていた俺は、実はほとんど働いたことがなかった。一切無いというわけではないのだが、ほぼ無いといっても差し支えの無いレベルだった。
仕事における挫折が原因でやめたという面もある。俺この仕事向いてないっぽいな…ということを思い知った時に、本当に強く心を打ちひしがれてしまったんだ。
日雇いの仕事に登録して軽作業を回ったら、軽作業というか知識が必要ないだけでしんどい仕事だったことなども挫折した原因だった。
建築現場において作業用エレベータに紐を引っ掛けて転落死した人がいるという話を聞いたり、木箱の解体中に勢い余って釘踏んづけて鉄釘が安全靴貫通して足の裏に刺さったり、そういったことも仕事を挫折した原因だった。
では俺はその後実家で親のすねかじりで生活していたのか?
…実はそうでもない。年金の支払いや国民保険などで父の世話になっていたが、父どころか家族全員が互いに別居していた。
俺の家族は父と祖母と姉二人がいるが、家族仲はとても悪かった。
祖母は以前は元気だったが記憶している限りの範囲無いで既にボケて老人ホームだったし、姉二人もそれぞれ別居で詳しい内容は割愛するが子供を作らなかった。
父は既に年金が貰える年齢に達していたが、一人も孫がいないという状況だった。それでも俺の父は今でも働き続けていた。
俺は俺の自由になる俺の金を得てしまっていた。だからその金で生活するという、およそ一般の人には無い、特殊な環境で生活していた。
俺がこの世界に召喚されたのはいつのことだったのだろう。その時俺の父はまだ生きていたのだろうか、それとも既に死んでしまっていたのだろうか。父は孫の顔を一人でも見ることが出来たのだろうか?
俺の前世での無念は、このあたりから来ている。
一つは父親に孫の顔を見せるということ。
もう一つは、前世ではほとんど働けなかったけれど、働いて誰かの役に立つということ。
他には…他はまぁ良いだろう。
フェンリル公に、俺とルナの娘のマリーと毎日一緒に遊んで貰っているのは、前世で俺が自分の父に孫の顔を見せてやれなかったその事に対しての罪滅ぼしの意味があるのだ。
それは俺の勝手な思いからの行動でただの自己満足なのかもしれない。だが、それでも、それでも俺にとってはそのことで俺自身の魂が救われるのだ。
働くということについて、俺はフリマさんの働く姿を見ていて彼女が羨ましかった。
働いている人にはわからない感覚かもしれないが、働かないというのはそれはそれで身を切られるほど辛いことなのだ。
誰にも必要とされない、誰にも求められない。
働いて誰かの役に立っていた方がよほど気分が良いことだ。誰かに必要とされる喜びまで含めて、働くことで人は幸せになれるのだ。
俺はこのあたりの話も全て、リースに全て、話していた。
何故フェンリル公を受け入れて今のようにさせているのか、前世における父に孫の顔を見せてやれなかった無念。そして俺も何かしら働きたいという無念、そのあたりのことをリースに話した。
この世界に来た時、俺に最初から一兆円という金が与えられていたこと、そのことも前世の俺が置かれた特殊な事情に良く似ていた。
それほどの大金では無かったが三十を超えるまで一人暮らしする程度には不自由することのない金が前世の俺には与えられてしまっていた。
俺の話を聞いたリースは、俺を優しく慰めてくれた。俺の頭を優しく撫でながらこう言ってくれた。
「もう、ヒロは本当に優しい人なのね…優しすぎて生きていけないぐらいなんじゃないの?そこまで色々気にしてる人いないかもしれないわよ?いっぱいお金があっても、それでも何かしら働きたいのよね?」
「うん…」
「そうね、働きたいなら好きなだけ働けば良いわ。必ずしもお金を稼ぐ必要は無いのよ。誰かに喜ばれる事業を始めたらそれだけでも十分だと思うわ。あとはそうね、前世のお父さんのことは…私にはわからないわ。フェンリル公は喜んでいるしそれだけでも十分かもしれない。けれど」
「うん…?」
「けれど、そうね。この旅が終わったら神様に相談してみると良いかもしれないわ。旅と言えるかどうかはちょっと微妙なところだけどね。それでどうかしら?ヒロ」
「リースは旅の後も一緒について来てくれるの?」
「当然よ。夫婦なんだから私達はいつでも、いつまでも一緒よ」
そういって彼女は満面の笑みを俺に返してくれた。俺の心は、俺の魂は彼女に支えられている。
だから俺は…俺だって、他の妻達の心を支える努力ぐらいはしなくっちゃな。
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改めて、最近のティニーの様子がおかしい。
むしろ彼女は今もすくすくと成長中なのだから、変化があるぐらいが当然だろうか。
俺がその見た目を好む彼女に贈った大粒のピンクダイヤモンドは、彼女も大好きらしくて暇がある時に眺めてみては笑顔になっているようだ。
そんなある日、ティニーからこのような相談を持ちかけられた。その日は俺とティニーの二人だけで、ティニーの家のメイドさん二名がミルクティーを入れてくれていた。
「おにいちゃん、ヒロおにいちゃん」
「はいはい、何かな?ティニー」
「お兄ちゃん、ヒロお兄ちゃん?」
「んん?今何かちょっとだけ言い方変化した?」
「んーっと…お、おにい、さま?」
ん?なんだって?
おにいさま?…おにいさまとな!?
なんかこう今クラッときたんだが!
「おにいさま…お兄様って呼んでも良い、かな?」
「うん、いいよ!」
「えっ…ちょっとびっくり…いいの?お兄様」
「うん、いいよいいよー」
お兄様かー。俺がお兄様かー。
本当は関係上は夫婦なんだけどなー、なんかこうグッと来るものがあるぞー。
「兄様、とかヒロお兄様、っていうのはどうなのかな?」
「お兄様の方がいいです。お兄様でお願い」
「うー…よくわからないけど、わかった、わかりましたわ、お兄様」
そういってティニーが抱きついて俺にキスしてくる。彼女の中で何かが急速に変わりつつあるらしい。
口調もわざと変化させようと努力している様が見てとれるようになってきた。
やはりきっかけはピンクダイヤモンドなのだろうか。綺麗な宝石は少女を一人の女へと急速に成長させる効果があるのか?心も体もすくすくと成長しているそんなティニーが可愛い。
同じく育ったって意味ではジゼルちゃんも相当なものだ。
編み物をする彼女の姿は子供を生む前からとてもお母さんっぽいし、その胸やおしりは以前より大分成長している。この分だとやはり前にも感じたようにジゼルお母さんと認識を改める必要があるな、などと俺は考えていたのだが。
まさかこの後あのようなことになるとは…
ジゼルちゃんはジゼルお母さんというよりも、お母さんジゼルになってしまったのである。




