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異世界で、一兆円とクエストと。家族計画、神の道  作者: レガ先
第三章 穏やかに過ぎる日々と確認されるゲームルール
24/79

第二十三話「神に選ばれた物語の主人公は、神の作った世界における主役ではない」

 900/10/3 22:11


 帰郷する為にトルッコ行きの船に乗ったその夜。俺は少し悩んでいた。何を悩んでいるかというと、今夜はキャラットちゃんとヤるかヤらないか、ということについてだ。


 リースと出会ってから後、最初にヤって孕ませた別の相手はダークエルフの姫のアンジェラちゃんだった。キャラ名繋がりかと思いきやその容姿は完全にダークエルフの女としての容姿が優先されており、名前の元ネタキャラの姿とは全然似ても似つかないものであった。


 ダークエルフの女達には俺には到底理解することの出来ない、孕まされたら負けなどという本当に意味不明な理解に苦しむ価値観を持っていた為、俺はリースの指示に素直に従いそのダークエルフの姫を孕ませた。

 これはあくまで仕方なくやむを得ずという面があった。俺にはそのあたりの価値観は本当に理解出来ないが、そういうものなのだと割り切った。


 でも、ウサギ族のキャラットちゃんは違う。そもそも彼女を手に入れる際に金すら払っていない。つまり本来ヤる理由はないのだ。金払ったのにヤれないとかならまだしも払っていないのだから。


 つまり俺が自分自身の身勝手な性欲を満たすかどうか勝手に判断しろということだ。


 巨大なベッドの方では、キャラットちゃんが今日もゴロゴロ転がっている。

 ダブルベッドという単語はよく用いられるが、あれは普通にトリプルサイズに見える。

 まぁ確かに今もこの部屋には三人いるのだから丁度良いのだが。


 俺は客室内の生活スペースの方で、食卓に使っているテーブルを挟んでリースと向かい合っている。


 彼女はこちらをじっと見ている。一目も逸らさずにこちらをじっと見ている。

 リースは昨日、一昨日俺がキャラットちゃんを抱いたことに対して嫉妬している様子だった。

 昨日はお風呂で二人でイチャイチャしたが、今は船内なのでそういうわけにもいかない。

 有料のシャワールームぐらいはなんとか用意されているのだが船の利用者全員の共用スペースだしな、うん。


 つまり…今日俺がどう行動するつもりなのか、それを見逃さないように、俺の心の動きを見逃さないように、一目も離さずにじっと俺を見続けているのである。


 うん…まぁ、つまりそうやってちゃんとアピールしてくれているのである。アピールもせずに勝手に察しろとかそういうことは言っていないのだ。


 俺はもしもの時の為にと取り置きしてあった、ルナを売ってくれた奴隷商人のザンギ氏特製の、例の賢者になれる薬を共有インベントリから取り出して、それをテーブルの上に置いた。ちなみに三十本ほど買い貯めしてあったりする。

 これまで女を抱かない日にはほぼ毎晩リースが胸でしてくれていた。アンジェラちゃんを孕ませてからの船での数日はリースに気づかれない場所でこっそり飲んでおいたので、彼女にこの薬を見せるのは初めてだ。


 リースはすごく驚いた表情をしている。突然俺が何を出したのか、よくわからないのだろう。

 しかし彼女は臆することなく俺に対して聞いてくる。そのあたりの勇気は本当に大した物だと思う。

 もしも俺がリースの立場だったなら、とても怖くて聞き出すことが出来ないのではなかろうか。


「ヒロ?この小瓶は何?全然見覚えがないわ、こんな小瓶」


 うん、まったくもってその指摘は正しい。そうやって正面から質問をぶつけてきてくれる事が俺は嬉しかった。リースにこの小瓶を見せたことは一度も無い。


「リースには前に話したことがあるかな?ルナを売っていた奴隷商人さんの名前、ザンギって人のことを話さなかったかい?」

「え?ええ、それがどうしたの?この小瓶に関係あるの?」

「えっとね、そのザンギさんが開発したのがこの薬なんだよ。賢者になれる薬だと彼は言っていたけれどもね」

「ふーん?…ちょっと詳しく見せて貰ってもいいかしら?」

「どうぞどうぞ」


 俺が気軽に了承すると、リースはその小瓶を手にとって観察しはじめた。ただ観察するだけではなく何かを考えているらしい表情だ。


 ルナも色々と物知りだと思ったが、リースも随分色々物知りだと俺は思っている。そういった知識に裏付けされた知性の輝きとも言える部分が、どこか二人にはあるように俺は思う。

 知識に裏付けされていない人間の行動というのはやはり色々とおかしいのではなかろうか。背景というかバックボーンというものはやはり重要なものなのだ。

 …ただしこの世界は色々異常過ぎて、バックボーン無しの物も普通に混ざっていそうなものだが。


 リースはザンギ氏特製の賢者になれる薬の小瓶をいじりながら俺に語りかけてくる。


「ねえヒロ?確かそのザンギって人は犬族の国のフェンリル元王子の関係者なのよね?確か、中秋の名月の夜にそのような話を聞いた憶えがあるわ。その時は聞かなかったと思うのだけど、その人の見た目についても教えなさいよ」


 ふむ?どうやらザンギ氏の見た目の情報というのは割と重要であるらしい。何かリースは知っているのだろうか。

 というか話した場面まで記憶しているだなんて、本当に彼女は凄いと思う。俺の言うことを真剣に聞いてくれている何よりの証拠だ。


「んっとね、ザンギさんは筋肉ムキムキのデカイ男の人だったよ。上半身裸でなんかトゲ付きのバンドとか付けてた。そして頭はモヒカンだったよ」

「…ぷっ。もう、ヒロったら。なんでその見た目のことを私に教えなかったのよ。そのことに驚いちゃうわよ。そこまでおかしい人だったら少しは有名でもおかしくないとは思わない?」

「ごめん、重要じゃないとばかり思っていて、見た目のことを伝えることを忘れていたよ」


 彼女は笑っていた。なるほどねぇ、既に謎や問題は解決して家へと帰る船の中だ。しかし何かあるらしかった。


「上半身裸で過ごす筋肉ムキムキの変態大神官として有名だった人がいるのよ。犬族の国を担当していた人で、自称も他称もマッスル大神官ギザンという名が他の国まで広まっていたわ。それはもう見事なモヒカン頭だったらしいわよ」

「うわー、見た目だけで一発でわかるぐらい有名人物だったのか…っていうか偉かったんだ?大神官って」


 人は見かけに寄らない物だとはいうが、ザンギ氏ほど極端な例も少ないのではないのか?あぁ、本名はギザンだったのか。ザンギは偽名だったわけだな。


「ええ、そうよ。大神官というからには偉かったのよ。特にそのギザン大神官様はその見た目からは全然想像もつかないほどに研究熱心な人だったらしいの。人々の生活の役に立つ薬をたくさん発明したからその功績を称えられて大神官の名を与えられたのよ。それを彼自身が恥ずかしがったのか、自らマッスル大神官とか名乗りだしたらしいわ」

「へぇ、相当凄い人だったんだねぇ…」

「そうなのよ。それでヒロ?そのギザン大神官が開発したこの薬にはどんな効果があるのかしら?」


 うん、ようやくそこに話が戻ってきてくれたか。ビックリしたー。いやまぁ今の話はちょっと面白かったから良いけどね。ようやく薬の説明が出来る流れになった。


「その薬はね。ザンギさん、いやギザン大神官いわく、賢者になれる薬っていうらしいんだ」

「賢者になれる薬?ちょっとよくわからないわね。具体的にどんな効果なの?」

「えっとね、性欲を抑えて穏やかな気持ちで過ごせるようになる薬なんだ。今夜からしばらく飲むつもりなんだけど」


 と、俺がそのセリフを言い終えた瞬間、リースがガタッと椅子から立ち上がった。少し震えながら、こちらのことを見ている。えっ?何?いきなりどういうこと?


 彼女は少し泣いているようだった。


「ねぇヒロ?それって、私の為よね?」


 泣きながら俺にそう語りかけてくる彼女の顔はどこか嬉しそうな表情である。

 そこまで喜んで貰えるとは思っていなかったが、俺の判断は間違っていなかったらしい。


「うん…俺達二人で続けてきたこの旅も、もうすぐ終わりだからさ。最後ぐらい、少しは俺なりに誠意を見せておこうと思って、ね」


 一昨日何も考えずにキャラットちゃんとやってしまったことに対する償いの意味もあった。ヤる必要はなかったんだ、あの時は。その前のアンジェラちゃんを何も考えずに孕ませたからすっかり失念してしまっていた。


 リースは俺の座っている左に椅子を寄せてきて、その椅子に座ってから俺の左にくっついてきた。俺の左はやはり彼女のお気に入りの場所なのだろうか。気に入って貰えていることは素直に嬉しい。


「もう…バカね。ヒロったら本当にバカよ。大バカよ。一昨日の時点で気づいていればもっと格好良かったのにね。…でも、ありがとう。愛してる」

「うん、俺もだよ。リースのことを愛してる」

「…うん」


 一昨日キャラットちゃんを理由も無く抱いたことで、リースは本当は深く傷ついていたのだ。彼女は何でもない風を装っていたがどれほど辛かったのだろうか。

 あの時の会話は確か…


『やんやん、パパこわーい。おそわれるー、赤ちゃんできちゃうー、らめぇー』

『よいではないかー、よいではないかー』

『…はぁ、ヒロって本当にバカね』


 …うん、なんていうか本当にごめんなさい。リースは身を斬られる思いだったのかもしれないな。俺はもうちょっと彼女の気持ちを良く考えて行動するようにしなければ。


 その日の夜は賢者になれる薬の効果で安らかな気持ちで寝られた。リースと最初から対面で抱き合ってぐっすり眠った。キャラットちゃんが背中の方からずっとウサギさんパンチしてたけど完全に無視した。

 ごめんなキャラットちゃん。俺にとってはリースの方が大事なんだ。

 一回ヤって彼女の処女を奪っておきながらそれもまた酷い話だとは思うが、事実なんだからしょうがない。

 とはいっても、彼女だって既に離婚不可能な俺のお嫁さんの一人のはずなんだがな。もっと大事に扱うべきなんだろうがそういう博愛は俺には無理だわ。


 それにしても本当にその日の夜はグッスリと安眠出来てしまった。

 心が繋がる喜びというのはこういうことなのかな。後ろの子とはまったく繋がってないけどね。



 ---



 目が覚めた俺はUIの時計を確認する。

 900/10/4 6:31


 UIに意識を集中している間、実際の目に映る景色はぼやけて見える。UIでぼやける俺の視界には、ぼやけていてもわかるが俺の愛しの可愛いリースの寝顔が見える。彼女の存在は俺にとってはとても頼もしいものだ。今後も絶対に手離しはしない。


 だからこそ今は、せっかく早く起きたので、彼女の存在に勇気づけられているうちに確認しておくべきことがある。

 システムメッセージのスメスさんに対して聞き質すべきなのだ…様々なことを。さて、どこから切り出すべきかな。


 >>Smes:スメスさん、いるかい?今日は大事な話がしたい。

 Smes:わかっております。ようやく腹を割って話せるときが来ているでしょう。こちらこそ宜しくお願い致します。


 うむ…どうやらやはりスメスさんは俺にとっての協力者であるらしかった。彼は俺に対して極めて好意的なのではないか?

 本来このような質問には答えられないと正直に言っていた。俺がクエストを未オファークリアしたことでようやく俺に少しは協力出来る体制になったということを、彼の方から理由を伝えてきたのはそういうことなのだ。


 よし、ならば聞くとしようか。


 >>Smes:俺は遂に、ルナが生むであろう予定の金の瞳の乙女の存在を知った。その子の存在は何なのだ?俺はVIPプレイヤーという話だったが、彼女は何だ?

 Smes:金の瞳の乙女、それはこの世界におけるメインプレイヤーです。…ヒロ様、賢明な貴方様は既に理解しているのでしょう。貴方は彼女を生み出す為の餌に過ぎません。そしてこれからも彼女の餌として頑張って頂く必要があるのです。

 >>Smes:薄々分かっていたさ。だからこそ今、こうやって君に問い質しているんだ。


 そうなのだ。俺は神に選ばれてこの世界にやってきたのにこの世界における主役は俺ではなかったんだ。俺は主役を生み出す為の存在だったのだ。

 少なくとも俺自身はそんなストーリーの物語をこれまでに聞いたことなどない。もっと物語を読み漁ればどこかにはあったのか?。


 それに…俺以外の使徒達は、この事実を素直に受け入れられたのか?


 Smes:ヒロ様は本当にお優しい方なのですね。貴方がそれを私に問い質すのは、過去の神の使徒達がこの事実を受け入れられたのか?ということでしょう…無理でした。無理だったのですよ。神に選ばれてこの世界に来たというだけなのに、ただそれだけでこれまでほぼ全ての神の使徒達は、自分たちがこの世界の主役であるとばかり思い込んでしまっていた。しかし貴方はそうではなかった。主人公であるだなどとは考えてはいても、世界の主役であるなどとはこれっぽっちも考えていなかった。…違いますか?


 うむ。


 そうだ。


 実はそうだったのだ。


 俺は、魔物の巣で何度も食われたという愛姫の話を聞いて、あれ、これムリゲーじゃね?って即座に判断した。

 腕しか残らないだとか本当に有り得ない話だ。しかしそれでも戦わなければいけないなど本当に有り得ない。俺は愛姫が何度も特攻を繰り返してくれていたからこそ、そこにすぐに気づくことが出来た。

 愛姫が弱いというだけならまだ理解出来る。しかし彼女がジゼルちゃん相手に見せた強さはあまりにも圧倒的過ぎた。レベル百ぐらいあるんじゃね?って強さだった。リースに対して放たれたロビン王子の斬撃などよりも、愛姫の薙刀の一撃の方が圧倒的だったんだ。

 その彼女が、単身ではなく一国の三百人規模の軍隊を引き連れて挑んでも腕しか残らない世界だって?しかも最低ランクの魔物の巣だぞ?この世界の魔物の巣を攻略することが相当異常難易度なことは明らかだ。


 では…他の神の使徒はどうだったのだ?


 Smes:ヒロ殿は既に気づいておられるでしょう。この世界の魔物は、ヒロ様の世界の一般的なゲームや物語にいるような生ぬるいものばかりではございません。一瞬の油断が命取りのそれはとてもシビアなバランスになっています。己の存在を、神に選ばれたからといって即世界の主役だなどと判断するような愚か者達を、全て篩いにかけて選別する最初の試練として、我々は比較的序盤に魔物の巣攻略のクエストを発行しているのですよ。


 そう、そうなのだ。愛姫が死にまくるという話を聞いていなければ俺も無謀にも魔物の巣に挑んでいたかもしれん。東大陸最強の武人である愛姫ですら腕しか残らないのだ。俺が挑めば肉一片たりとも残るはずが無かっただろう。


 Smes:使徒達の多くは、魔物の巣に挑んでも這々の体でなんとか逃げ出してきました。それから彼らは皆我々を責めてくるのです。この世界はゲームバランスがおかしいであるとか、こんなのムリゲーであるだとか、それはもう何も考えることをせずに我々を責めてくるのですよ。何故前世の常識を持ち出してくるのか理解に苦しむ限りでした。


 まぁ確かに、そういう流れにもなるんだろうな、うん。俺だって、ジゼルちゃんの上半身がトロールの棍棒一発で吹き飛んだのは本当にショックだったよ。いやもう本当にグロかったし、一撃死だったからな。HPによるバリアがほぼ無いというだけであそこまで悲惨なことになるだとは。


 しかし今はそんなことを思い返している場合ではない。


 >>Smes:それで君達、管理者?とでも呼べばいいのか?は、彼らに対してこれまでどのように対応してきたんだ?


 そう、それによって何かが起こったはずなのではないか?


 Smes:そうですね。あまりにも質問責めにされるものですから、我々は彼らに本当のことをお伝えするしか無かったのです。あなた達は主役ではない、主役を生むための餌に過ぎないのだということを。しかしそのことを伝えると、彼らはもう本当に心の底から怒り狂うのです。絶望する方々もたくさんいらっしゃいました。そうやって一気に篩いにかけられて、ようやく少しだけの人々が残るのです。これまでにも残る人はゼロではありませんでした。…しかし。


 しかし?しかし、だなどという事はつまりその残った奴らもダメだったのだ。何故ダメだったのか?その理由も既に俺は予想がついていた。


 Smes:しかし、そのようなことがあっても残るような方々は、ある意味潔癖であるといいますか、本当にそれはもう大層立派な、逆に言えばガチガチでただ堅いだけで柔軟さの足りない人達ばかりだったのであります。そんな潔癖症な彼らにはこの世界の異常性を受け入れることが出来ませんでした。その結果精神崩壊を起こし、物を口にすることが出来ない、あるいは正常に消化吸収することが出来なくなり、飢え死にしていったのであります。


 うん。


 そうなんだよ。


 こう、この世界は色々と異常過ぎるんだ。ただ強いだけの人間はこんな異常な世界で生活していけるわけがない。俺の有名な心より崇拝する方の言行録には「頭がおかしくなって死ぬ」というそれはもうインパクト絶大な台詞があるが、高潔なだけの人物ではこの世界は頭がおかしくなって死ぬしかないんだよ。

 俺はそう思っていた。


 だから、


 だからこそだ、


 >>Smes:だからこそ、頭が元々イカレていて前世でまともに生きられなかったような、俺を呼び出したんだな?

 Smes:イグザクトリィ、その通りでございます


 うむ、納得した。すごく納得した。いやー、良かったー。スッキリしたわー。

 胸のつかえが一気に取れた気分だった。


 Smes:それではヒロ様。これからも頑張ってくださいませ。ヒロ様は女を抱いて孕ませていればそれで幸せだというとても貴重な方です。これからもメインプレイヤーとなる金の瞳の乙女の為に、種馬として頑張ってくださることを切に願っております。それでは本日はこれにて、失礼致します。



 そういって今回のスメスさんとの話は終わった。かなり核心に近づけたのではなかろうか。



 ---



 900/10/8 12:13


 内海貿易船は予定通り五日間の旅を経て、トルッコの国の港に到着した。ちなみにこの港の名前はコッカイというらしい。黒海のことか?トルコは黒海の付け根あたりの国だったと思うが。


 ちなみにこのコッカイには疑似堂とかいう観光名所もあるらしい。他の国のものをパクったものをコレクションしてある施設なのだとか。もう色々ツッコムのはやめとこう、うん。つっこんだら負けだと思っている。


 港についた時には既に迎えの馬車が来ていた。迎えにはハイエルフの姫のティターニアちゃん、ティニーをお願いしておいた。別に残念なジェームズ氏を解雇する気は無いが、わざわざ出迎えなど希望していないからな。


「リースお姉ちゃーん。おにいちゃーん。…えーっと、あとウサギさん?」

「はーい、ウサギ族のキャラットでーす。よろしくねー、ティニーちゃん」

「えっ?えっ?その、あの?」


 キャラットちゃんには迎えにティニーが来ることを教えておいた。ついでに彼女のことも少し話をしておいた。その一方でティニーにはお手紙を送ってなかったので情報格差が出来てしまっていた。ここらへん手抜きせずもっと根回しするべきだったか?いやでもめんどかったからね、うん。


 キャラットちゃんはティニーに抱きついていた。自分よりも小さい女の子がいて嬉しいらしい。獣族全般はスキンシップを好むという話だが、初対面でいきなりベタベタ抱きつかれてティニーは戸惑い気味にみえる。でもケモノな手足が少し気に入ったのか、あまり怯えてないようだ。エルフと獣族は仲が悪いということだが、スキンシップさえ通じていれば獣族側も怒ることはないということか?


「まぁ、そこらへんは馬車の中で追々話すことにするよ。もう乗っちゃってもいいかな?」

「おにいちゃん、うん、大丈夫です。もうティニーは観光したので、ルナお姉ちゃんからすぐに連れて帰って来いって言われてます。いきましょー」

「おー」


 俺達が観光する時間はないんだな。トルッコには初めて来たんだけどな。まぁいいや、さっさと帰ることにするか。


 馬車は普段使っている連絡馬車よりも高速で走り出した。やはり今回も高速仕様であるようだった。

 好きな時に好きなだけタクシーのように馬車に乗れるのはやはり気持ちが良いですね。公共交通機関は俺にはやっぱムリだわーと思いながら、俺達は帰路についたのだった。

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