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異世界で、一兆円とクエストと。家族計画、神の道  作者: レガ先
第二章 夫婦で回ろう世界一周編
18/79

第十七話「SystemMessage-スメス-」

 900/9/20 7:45


 次のドワーフの国の港へと向かう内海貿易船の客室内で、俺とリースとアンジェラちゃんの三人で、今日もルナが作ってくれた朝食を食べている。朝食は投入されている一方で手紙の返信はまだ来ていない。

 共有インベントリ内から既に俺が贈った手紙は消えているから、家族の誰かが手紙の横取りでもしない限りは大丈夫だろう。これまでに特に何か起こったこともないし、まず間違いなくルナ本人が回収しているかと思われる。


 つまりそうだな。嬉しすぎて返信に困ってるとかそんなところだろう。まさかそんなに喜んで貰えるだなんて俺も思っていなかったが、ルナが喜んでくれるならそれ以上のことは望まない。


 ルナから届いた朝食を食べながら、俺の目の前でリースとアンジェラちゃんが会話していた。


「今日もクロちゃんのご飯はおいしいわねー」

「んーっと、昨日からクロちゃんじゃ無くなったのよね」

「え?リースちゃん、どういうことそれ?」

「ヒロが昨日クロちゃんに新しい名前をプレゼントしたのよ。クロちゃんからルナになったの。だから今はルナね」

「そっかー、ルナちゃんかー。なんだかお姫様の名前みたいね~」


 アンジェラちゃんは俺にはよく分からないが、女の子データベースとかいう謎な物を持っているのだったか?ルナという名前もそこに含まれるのだろうか。


「アンジェラ、ちょっとあんた、ルナって名前を聞いたことがあるの?」

「ん?そうねー、随分と前に、私よりもちょっと後に生まれた獣族のお姫様につけられた名前にそんな名前があったみたい~?」

「ちょっと!その話詳しく教えなさいよ!」

「え?え?やーだー、リースちゃん朝から激しい~」


 なんともふざけた雰囲気だったが、そのあたりの話をアンジェラちゃんから聞いてみる。


 アンジェラちゃんは現在二十一歳なわけだが、アンジェラちゃんが生まれた時の前後ぐらいに、犬族の現在の国王の弟、当時は王子だった人物と、猫族の国の現在の女王の妹、当時はお姫様だった人物が結婚して、その二人の間に女の子が生まれたらしい。そしてその子に付けられた名前がルナであると。

 ふむ…となると、その子供は現在は十九歳とか二十歳あたりではないのか?


「アンジェラ、あんたその王子様とお姫様とそのルナって名前をつけられた女の子が今どこにいるかわかる?」

「え?知らない-、興味ないしー。でも何か変な騒動が起こったとか起こってないとか~」

「その子供のことについてはわからないの?誕生日だとか、髪の色だとか」

「わかーんなーい。どうせ猫族の子供なんだから今は猫の国に住んでるんじゃないの~?」

「ぐぬぬぬ、でも知らないのならしょうがないわね、私の方で調べておくわ」


 なんとも変な話である。まぁこれはそうだな。話の流れ的にはたぶんその二人の子供がルナなんじゃないのかね?


 ん?…ええと、今言った意味はそう、俺の嫁のルナが、その王子様とお姫様の子供のルナと同一人物なんじゃね?って意味の話だ。こういうのはお約束の流れってやつだろう?

 しかしそうなると俺は、その王子様とお姫様の子供のルナちゃんに、改めてルナって名前を贈ったことになるのか?俺の嫁のルナは、クロという名前を今まで名乗っていたというのに。


 まぁしかし、でもそれらのことがどういう意味を持つのかはサッパリわからないが。アンジェラちゃんのこの間の話ではクロという名前は珍しいものらしいがそこもよくわからん。


 しかし誕生日はまだしも、何故リースは髪の色を気にしたのだ?



 ---



 900/9/20 10:11


 何やらリースは色々考えていたようだが、気分転換として俺はリースと二人で船の甲板に出てきていた。

 俺はリースに対して、俺の至った発想、その王子様とお姫様の子供のルナが、俺の嫁のルナと同一人物である可能性を考えたことについて語ってみた。

 髪の色のことはよくわからんのでそこはつっこまなかった。


 俺がその発想を伝えると、リースはすごく驚いていた。


「ヒロ、貴方ってニブいのか鋭いのかよくわからないわね。どうしてその発想に思い至ったの?」

「えっとね、俺の世界の物語とかだと、そういう流れはいわゆるお約束ってやつなんだよね」

「ふーん、でもそういうことも意外とバカに出来ないわよ。この世界の神様は色々おかしいみたいだし普通に考えられるわ」


 うん、俺は今までクエストをこなしてるにあたり、随分とご都合主義をこれまでも感じていたからな。そういえば最近はクエスト受けてないけど。


「いやしかしだな、俺はその、ルナちゃんにルナという名前を贈ってしまった可能性があるわけで、そのことをどうしたものかと今悩んでいるわけだが?」

「そうね。随分と変な話になるわよね。何故ルナはクロだなんていう偽名を使っていたのかしら」


 ん?偽名?いやまぁ確かにそうはなるのだが。


「偽名なの?」

「そうよ。個人カードの名前変更だなんて話は私聞いたことないもの。ルナの個人カードの名前はきっと最初から、ヒロが彼女を買った時からルナだったはずよ」

「んー、でもそうするとなんでUIに出る名前がクロになってたんだろうなー」


 俺がルナを購入したその時から、UIに表示される名前はずっとクロ=アーゼスのままだった。というかまだ俺の嫁のルナがその王子と姫の間の子供のルナちゃんと同一人物であるとはまだ確定してはいないわけだが。


「知らないわよ。でも何か方法があるのかもしれないわね。教会関係者にのみ伝わる秘術とかがあるのかもしれないし」

「ザンギさんがそのあたり細工したのかな?」

「…ヒロ、貴方突然鋭いわね。確かに教会関係者だったなら不可能な話では無いかもしれないわ」


 ふむ、よくわからん。いや今はそんなことよりもだな。


「なぁリース、俺どうしたらいいんだ。王子と姫の子供のルナちゃんに、偽名を使ってまで隠していたところにルナという名前を贈ってしまうのは、どう考えてもヤバイとしか思えないんだが?」

「あー…そうね。でもそんなの贈ってしまってから悩んだところでどうしようもないでしょう?意外と喜んでくれる可能性もあるかもしれないじゃないの」

「うーむ…」


 んー、んー、どうなんだろうねそのあたり。偽名を名乗っていたら突然本名を贈られるとかスゴイ複雑な気分じゃないか?俺だったらビックリしすぎて心臓止まる気分になるわ。


「ねえ、ルナからの手紙の返信はまだ来てないの?」

「ん?うん、昨日の寝る前も朝食食べてる時とかもまだ見かけてないけど」

「つまり、返事がまだってことね。ますますもって怪しいわね」


 あー、うん。怪しい。確かに怪しいっちゃ怪しい。ほぼドンピシャリで正解だったということにはなるのかもしれない。しかしだな。怪しいことに何か問題があるのか?


「んー、でもルナが怪しかったからって何の問題があるのか俺にはサッパリなんだが?愛があればそれで十分に思えるのだが」

「まぁヒロにとってはそうでしょうね。ルナにとってはどうかはわからないわよ。何か深い事情があるのかもしれないし」

「ルナの事情ねぇ…そういうの、獣大陸でわかったりするの?」


 まだ次のドワーフの国の次の港にすら着いていないが、その次はウサギ族の国、獣族のいる南大陸に行く予定である。


「私にはわからないわ。獣族の住む南大陸でわかるかもしれないしわからないかもしれない。まぁでも、ヒロが悩む必要は無いわよ。私が代わりに考えておくから」

「うん、任せる」

「だから私にはなるべく色々なことを全て話しておくべきよ。考える材料が無ければどうしようもないのだし」

「うん、それはもちろん」


 とはいっても、俺にとってはどの情報が重要でどの情報が重要じゃないのかなんてサッパリなんだがな。何をリースに話したら彼女の考える役に立つのだろうか?



 ---



 900/9/20 12:11


 再びルナが作ってくれた昼食を皆で食べることになるわけだが、共有インベントリから食事を出していたリースがルナからの手紙の到着に気づいていた。


「ヒロ、ルナからの返信が届いているみたいね。でも今日はいつもとちょっと違うみたいだけど」

「ん?うん。でも食事の最中はちょっと」

「そうね、じゃあ食べ終わってからにしましょう」


 その日の昼食もすごくおいしかった。飽きないように毎日少しずつ別の料理が出されているのである。その全てがおいしいのだから、ルナは本当にパーフェクト過ぎる嫁である。本当にヤバイ。


 食べ終わったので食器を共有インベントリに戻して片付けてから、改めて手紙を読むことにした。その際確かにいつもの手紙と違うことがわかった。


 手紙に赤い封蝋が押してあるのである。なんだろう、何かの花のマークのようだが俺にはよくわからん。しかしどこかで似たようなマークを見かけたことがあるような無いような。しかしリースには何故かわかったようだった。


「これは椿ね」

「ツバキ?なるほど、赤い花だっけ?赤いローソクで赤い花の封蝋押してあるとか洒落てるね」

「ええそうね。椿の花の紋章は、理由はよくわからないけれど犬族の国の紋章として使われているらしいわ」

「ふーん。なんで猫族のルナがその封蝋を使うのか俺にはよくわからないけれど」

「まぁいいわ、今はともかくルナからの手紙を読んでみましょう?」


 うん。ちょっともったいない気がするがその椿の封蝋を破壊して手紙を開けてみた。その手紙にはこのようなことが書かれていた。



「愛するヒロへ


 昨日の手紙、本当にありがとうございます。ヒロからの初めてのお手紙だったこともありますが、私は嬉しすぎて泣いてしまいました。

 そのせいで少しお返事が遅れてしまいました。許してくださいね。


 私の新しい名前、本当にありがとうございます。私にとって最高の誕生日プレゼントになりました。私は昨日二十歳になりました。今のヒロと同い年さんですね。本当の所はまだ私にはわかりませんけれど。


 私はルナ=アーゼスになります。私はヒロのおかげでルナ=アーゼスになれました。私の本当の名前はルナ=アーゼスです。

 ヒロは時々とても鋭いところがあるみたいですね。それともたまたまなのでしょうか?

 それらのことが全て、ヒロが神の使徒になったことにも関係しているのでしょうか?


 この間の手紙には遅くとも十二月の中旬か下旬までにと書きましたが、なるべく早めに帰ってきてくださいね。でもあまりにも早すぎると私の心の準備がまだ出来ていないかもしれません。急ぎすぎず、遅すぎず、ヒロのペースで帰ってきてください。


 この間のお手紙のことは本当にごめんなさい。お手紙を出した後にすごく不安になってしまい、共有インベントリに戻ってきたのを見て即座に回収してしまいました。

 そのことでヒロに疑われたり嫌われたりするんじゃないかとすごく不安になってしまいました。しかしそれらは全て私の心配のし過ぎだったみたいですね。

 ヒロ、本当にありがとう。魂の底から愛してます。


 早く貴方に会いたい。ヒロの妻、ルナ=アーゼス」



 ふむ。


 なるほど。


「んっと、気になるところも多いんだけど、それよりもまず、リース?」

「…なによ、悪かったわよ。とっさの判断だったわよ」

「あー、うん。素直に認めるんだそこは。でも確かにナイスプレイだったよ、ありがとう」

「どういたしまして。ヒロのそういう色々気にしないところが好きよ」


 この間のルナからの手紙はルナがすぐに回収してしまっていたのだ。そのことをすぐにリースは気づいたようだが、その手紙をリースが預かるということにして俺に対して隠したらしい。

 そういえば随分と共有インベントリを探した後に突然飴玉を三個取り出して配ってたんだよな。糖分欲しかったのかと思いきやとっさに誤魔化す為にそうしたわけか。


 手紙を読んでいたのは俺とリースの二人だけだったので、放置されたアンジェラちゃんがふてくされていた。


「ねーねー、ヒロくん、リースちゃん。アタシなんのことかさっぱりわからないんだけど~?」

「あー、うん、あんたは黙ってて」

「えー、ひどーい。アタシも構ってよ~」

「はいはい」


 手紙の詳細については、少し後で確認することになった。



 ---



 900/9/20 13:21


 あの後しばらくアンジェラちゃんをおとなしくさせるのに時間がかかったが、なんと今日はルナが食後のデザートまで作ってくれていたらしいことが発覚した。

 白い牛乳プリンであった。ルナは牛乳はホットミルクで楽しむのが一番などと以前言っていたが、何か思うところがあったのかもしれない。

 まぁそうだな、きっとそれだけ喜んでくれたってことなんだろう。だからサービスでその牛乳プリンを作ってくれたってところかと思われる。


 デザートを食べたことで満足したのかアンジェラちゃんはそのまま昼寝してしまった。そんなわけで、リースと二人で甲板まで上がってきた次第である。


 今更な話であるが、この内海貿易というのは広く広がる大海原という感じではなく、左右が岸壁に挟まれてしまっていたりする。進行方向に対して左側には全方位360度崖で囲まれている中央大陸、魔大陸とも呼ばれている存在があり、対して右側にはその周囲に並ぶ各大陸がある。周辺の東西南北の大陸はそれぞれ中央部が高い崖になっている一方で、大陸中央部から離れるに従って崖の高さが段々と下がってくるらしい。

 次は二十三日の零時にドワーフの大陸のもう一つの港に到着する予定なので、左側の崖は高く右側の崖は大分低くなってきているといった状態だ。右側の崖がほぼ無くなったあたりに港があるといった風である。


 まぁそのあたりのことはさておき、リースと二人でルナからの手紙の内容を再確認することにした。


「それにしてもこれで割とハッキリしたんじゃないかな?」

「そうね」

「本当の名前はルナ=アーゼスと書いてあるのは、予想が正しかったってことなんだろう」

「ええ、そういうことでしょうね」


 うん、いくらなんでも強調しすぎである。大事なことなのでルナ=アーゼスと手紙の中で三回繰り返してあるのである。これはほぼ間違いないだろう。


 しかしだな。


「しかし、元偽名を名乗るクロちゃんだったのが、犬族の王子と猫族の姫の子供のルナちゃんで、俺が名前を贈って再びルナになったとして、結局それらが何故そうなったのかという謎がサッパリわからん」


 うん、事実確認は出来たが結局ルナの謎はまったくわからないままである。一体何があったのだろうか。

 おそらくここらへんの情報はまだ何も手がかりは無いのではないのかな?いや、あるのかもしれんが俺にはわからん。リースにはわかるのかもしれないが。

 コレはあれか。そのあたりのことを獣族の大陸で調べてから、ルナが待つおうちに帰れば良いのだろうか。


「そうね、そのあたりのことは獣族の住む南大陸で調べてみたらいいんじゃないかしら?」

「そういえば、今後の予定ってどうなってるの?」

「あら?ヒロにはまだ詳しく話してなかった?ちょっと説明するわね」


 うん、聞いてない気がする。


「ドワーフの国の次の港を過ぎたら、その次はウサギ族の国よ。獣族の住む南大陸は、西から順にウサギ族、犬族、猫族が住んでいるの。ウサギ族の国で降りた後は陸路で犬族と猫族の国を通って、その後猫族の国で船に乗ってから東大陸の南の国のトルッコで降りて、ヒロの家に帰るっていう予定になっているわ」


 うん、聞いてない気がするというかそれ完全に俺聞いてなかったよね?たぶん。


「海路より陸路の方が早いってこと?」

「ええ、そうよ。海よりも陸の方が早いわよ」

「えーと、それじゃあなんでドワーフの大陸で降りずにそのまま船に乗ったの?」


 急ぐ旅でも無いがちょっと気になった。まぁのんびり過ごせたしルナのご飯もおいしいが。


「あら、忘れたの?アンジェラを孕ませる為でしょう?」

「あ。あーあーあー」

「まさか忘れているだなんてね。ウサギ族の国につくまでにアンジェラをちゃんと孕ませておいて頂戴。アンジェラは割とのんびり屋さんみたいだから、無事に妊娠させた後はそのまま船で別れるつもりよ」

「えーっと、それ割と酷くない?」


 うん、海路の方が遅いなら一緒に行った方が早いはずだが。というか孕ませたあげく一人で船に放置とかあんまりな話である。


「あのね、ヒロ。忘れたの?エルフ族と獣族は仲が悪いのよ」

「あー…そういえばそうだったね。うん、すっかり忘れてた」

「エルフ族は獣族に嫌われるのだから、アンジェラを一緒に連れていくわけにはいかないわ。あの子が獣族の空気とか読めるわけないでしょう?だから連れていくのは無理よ」

「うん、わかった、納得した」


 納得はした。しかしリースは問題無いのだろうか。だってリースもエルフではないか。だからそう思って俺は聞き返すのだが。


「それじゃあ、リースは大丈夫なの?」

「私なら大丈夫よ。全然平気よ」

「え?」


 うん、本当にどうしてだ?


「え?なんで大丈夫なの?」

「獣族がエルフ族を嫌う最大の理由は、肉体でのスキンシップを軽視して敬遠してるところだからよ。私は今は妊娠しているでしょう?妊娠中の女性は普通は男性を避けるものでしょう?だから私が、妊娠中にも関わらずヒロの体にピッタリとくっついてスキンシップを取っていれば、これはもうエルフにはほぼ無理な、むしろ獣族でも難しいことをエルフの身でやってのけている、それはもうとんでもないラブラブカップルだってことを証明出来るのよ」

「…なるほど」


 なるほどー、なるほどー。俺とリースが周囲の目が痛いぐらいにイチャイチャすることが、何よりも獣族に認められる条件になってしまうらしい。

 つまりアレだ。リースがわざわざ禁呪に手を出して、禁呪の副作用により妊娠後も俺とくっついていて大丈夫な体になったことが、獣族の大陸で認められる条件にもなったということだな。


「そこまで考えていたのか。リースは本当にすごいな」

「そうでしょう?ヒロはもっと私のことを認めるべきよ」

「認めてるよ、認めてる」

「わかってるわよ。だから大人しくこれからも私の尻に敷かれていなさい」


 結局そこに話が落ち着くことになるわけか。まぁそれでいいんじゃないかな。これからもリースの尻に敷かれておくことにしようか。



 ---



 900/9/23 0:11


 ドワーフの大陸の南部の港に到着した。6時間の停泊後船は再び獣族の国のウサギ族の国へと出航する予定になっている。

 必要ない気もするのだが、アンジェラちゃん本人の希望により再びやわらかロープによりいやらしく彼女のことを縛り上げておいた。一応は逃げられなくするという目的もある。

 とはいっても縛りあげた後そのまま気持ち良さそうな顔で寝てしまったが。


 ドワーフの大陸の前の港で乗ってきたドワーフ族の未亡人の娼婦さん達が少しずつ船を去っていく。

 相変わらず見た目は完全に幼女である。この体で人族並の性欲を持っているという話なのだからなんとも言えない。

 船を出ていく彼女達の顔を見ていたのだが、随分とまぁ満足した表情ばかりであった。お肌もつやつやに見える。体もお財布もきっと満足したということなんじゃないでしょうか。

 彼女達を購入したであろう特殊な素質を持っている人々は、お金は知らないが体はカラッカラになってるかもしれんね。何しろ十日間だしね。


 六時に出航後は、九月二十八日の朝六時頃にウサギ族の国に到着予定である。



 ---



 900/9/26 7:03


 朝目を覚まして俺はUIを確認する。起きる時間は大体いつも通りだ。その後は他の項目を確認する。


 パーティーメンバーリストを見る。そこには上から順に俺達三人の名前が並んでいる。

 一つ目は俺の名前ヒロ=アーゼス。次はリースの名前リース=アーゼス。その次がアンジェラ=アーゼスとなっている。

 この並び順は愛情値順だったのだったか?正妻であるリースよりも上に名前が来る可能性があるのは同じ正妻であるルナぐらいだろう。しかし今だときっと、リースが上に来てしまう可能性が高いのではないだろうか。


 状態表示欄を見る。

 リースの状態表示欄にはずっと前から、妊娠中であることを示すピンクのハートマークと、愛の奇跡の効果により子供の性別を確定させたことを示す♂マークがついている。

 その一方で…遂にというかなんというか、アンジェラちゃんの状態表示欄にも妊娠中であることを示すピンクのハートマークが点灯していた。


 うん、やり遂げたというか犯り遂げたというか、そういうことである。妊娠した以上、愛姫やジゼルちゃんの時と同様に、その時から男性の体に触れることを拒否するようなあの状態が発症するんだろうな。

 リースが特別なだけで、この世界の女性にとってそれが普通のことである。生まれてくる子供の為に全力で防衛機構を働かせるってことだ。


 それにしてもそうだな。最近全然クエストが発生してないな。

 アンジェラちゃんといたしている最中は、システムメッセージのスメスさんは毎日元気にアンジェラちゃんが0.5ずつスキルアップしていくログを垂れ流していたんだけどな。クエストとかそこらへんのログが全然流れないわけだが。


 そういえば…そうだ。今回俺はある意味初めてとも言えるが、クエストを受けずに姫を孕ませたのではないか?


 愛姫の時はあれは魔物の巣のクエストが発生していた。ジゼルちゃんの時も出会ったのは魔物の巣のクエストの発生中だったし、国王を訪問しようとかいう別クエストも同時に発生した。その次のトルッコの姫のフリマさんの時は、愛の奇跡というクエストが発生していた。

 リースを嫁にしたのも強奪愛というクエストを受けた流れだったし、ハイエルフの国の姫のティニーの時だって紳士とかいう謎クエストが発生していた。


 ふむ…これは一体?

 と、そんなことを考えていたらログウィンドウに動きが来た。スメスさんの黄文字が流れる。


 Smes:新たなクエストが発行されました。クエストリストよりご確認ください。

 Smes:クエスト「ダークエルフの姫を捕らえよ」は既にクリアされていました。クエストクリアおめでとうございます。


 ん、なんだって?


 Smes:北大陸の姫君コンプリート、おめでとうございます。


 まるで誤魔化すかのようにそのようなログが流れる。東大陸の姫君コンプリート時とほぼ同じセリフではなかろうか。


 >>Smes:そんなことよりも俺は少し言いたいことがあるのだが?

 Smes:なんでしょうか。


 む?どうやらこちらの質問に答えてくれるらしい。


 >>Smes:このクエストの仕組みとか実際どうなってるのよ?

 Smes:そうですね。流れに逆らわず従うことで大体良い結果が出るようにはなっているはずです。まさかクエストの発行を待たずにクリアされるプレイヤー様が出るとは思ってもみませんでした。本当におめでとうございます。


 あー、うん。そこは認めよう。色々ご都合主義を感じることがこれまでも多かったからな。…しかし、どうしたものかな。


 >>Smes:これからも、聞きたいこととか聞いていい?

 Smes:このような質問には通常お答えしない決まりになっておりますが、プレイヤー様は前代未聞の快挙を成し遂げましたので、たまにであればお答え致します。今回はこのあたりでご容赦ください。それでは失礼致します。


 ふむ、なんだろう。スメスさんって割とイイヤツなのかもしれないな。ただのシステムメッセージじゃないってことだけはよくわかったよ本当に。


 しかしそうだ。ちょっとスメスさんに言ってみたいことがあるんだ。


 >>Smes:そんなことより猫の女の子とにゃんにゃんしてみたよ。

 Smes:大変結構なことだと思われます。本当におめでとうございます。


 うん、質問じゃなければ答えてくれるのか。


 >>Smes:可愛いエルフの姫ちゃんともにゃんにゃんしてみたよ。

 Smes:それもまた大変結構なことだと思われます。本当におめでとうございます。


 うん。ちょっとね、そこらへんの俺の願望を達成したことをね、誰かに自慢してみたかったんだよね。んー、もっと自慢してみようかな。


 >>Smes:二人ともちゃんと俺の子供を妊娠してくれたんだよねー。どや?どや?可愛い赤ちゃん早く生まれないかなー。楽しみだなー。

 Smes:ええ、そのことはそれはもう、本当に大変とても素晴らしいことです。おかげさまでこの世界もようやく動き始めることでしょう。貴方様には我々も心より感謝しております。今後のご活躍も楽しみにしております。


 む…何やら随分と褒められてしまった。何故だ。どうしてだ?俺がそうやって悩んでいたら、スメスさんが更に続けてきた。


 Smes:ルナ様とリース様、お二人の子供が次世代に旋風をきっと巻き起こすことでしょう。我々もそれを今から楽しみにしております。これにて今日のところは本当に失礼致します。それではまた近いうちに。



 最後にスメスさんがそう言ってスメスさんとの会話は終わった。俺からもわざわざそれ以上呼びかけることもなかった。

 うん、よくわからないけど俺はちゃんと神の使徒をやれているらしいね。褒められたんだから素直に喜んでおくことにしようか。


 スメスさんも言っていたがルナとリースの子供が今から楽しみである。何か仕組まれているのかもしれないが、生まれてくる子供に何を仕組むというんだ?どこぞの天空のアレとかじゃあるまいし。

 他の嫁の子もちゃんと楽しみではあるので、そこは間違えないでいて欲しい。皆どんな子が生まれてどんな子が育つのだろうか。


 友達百人みたいな話ではないが、こう、家族が増えるのはなんとなく楽しいではないか。

 うん、そういうことにしておこう。

 そんなわけで俺は今日も、今は考えることを放棄しておいた。

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