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巫抖と麗 2

【巫抖と麗】シリーズ。

一話目のその後のお話です。

ほのぼのだと思います。

※キスシーン有り。


「おーい巫抖、大丈夫か?」




部屋のドアを開けるとベッドで寝ている巫抖がいた。







ついさっき、今日は休みなので朝のニュースをボケーと見ていたらポッケに入っているケータイが鳴り出した。



画面を見ると“巫抖”という文字が出ていた。



恋人が朝から電話をかけてきてくれて嬉しくないはずがない!



すぐに電話に出たが、聞こえてきたのはいつもの聞き慣れた声ではなかった。



どうかしたのかと聞いてみたところ、用件は簡単なことだった。





“風邪をひいて動けないから来て欲しい”




だそうだ。




勿論即OK。

巫抖の一大事に行かない理由なんて無いじゃないか!




巫抖の家族は仕事かなんかで今週いないから自由に過ごせるとは聞いていたが、巫抖もまさか誰もいない日に風邪を引くとは思っていなかっただろう。




電話を切ってすぐに着替えてから近くのコンビニに寄って水やゼリーなんかを色々買って巫抖の家に急いだ。





そして今、俺の目の前には苦しそうな巫抖がいるのである。




「麗ごめんな。せっかくの休みなのに…」



巫抖は枕から頭を軽く持ち上げてすまなそうに言った。


大分声が掠れている。



「別に気にしてないよ。ってか、土曜なんに巫抖に会えて嬉しいし」



ニッと笑うと巫抖も安心したのか笑い返してくれた。



コンビニの袋を部屋の丸いテーブルの上に置いてベッド脇に座った。



「ありがと。」



ぽふっと持ち上げていた頭を枕に降ろして笑う巫抖。



あ〜可愛い…!



いつもとは違うその笑顔にきゅんときてしまった。



綺麗な顔立ちの黒髪美人さんに今にも抱きつきたいが、ここはなんとか我慢して…。




あーでもやっぱり可愛すぎるから




ちゅ。




っておでこに軽くキスをした。




「お、お前っ!//」



あ〜らら。照れちゃって…。



風邪のせいで赤い顔が更に色付いた。



そういえば恋人になったのは良いけど、そこから何の進展も無い。



いい雰囲気に持っていってキスしようにも毎回巫抖にストップかけられちゃうし…。



なんでかなぁ?



あの日は自分からしようとしてたくせに。…まあ、未遂だったわけだけどさ。



俺的にはもう次の段階に行っちゃいたいんだよね〜。



でも巫抖が嫌がるから仕方無いけど…。




「薬とか持ってくるからちょっと待ってて。」



照れて布団を顔の半分までかけて上目遣いで睨んでいる恋人に苦笑して部屋をあとにした。




一階に降りて台所に向かう。


台所に入って左側にある棚の上から二番目を開けた。



「え〜と。薬は・・・あった!」



そこには俺が思った通り、風邪薬の箱が入っていた。


小さい頃から遊びに来ているから大体の物の配置は分かる。



「あとは、タオルを濡らして…」



今度は洗面台に行き、タオルを絞って巫抖の部屋に戻った。






「巫抖、薬…って、寝てるし…。」



部屋に入ると巫抖は寝息を立てていた。

熱があるため呼吸の度に上下する布団の動きが速い。



取り敢えず冷たいタオルを額に乗せてあげると幾分楽な表情になった。



「薬飲ませないと…。」



このまま寝せておいてあげたいけど、薬を飲まなければ治りが遅くなるし、少しでも早く巫抖を楽にさせてあげたかった。




「巫抖。巫抖、起きて」



熱を持った頬に手を添えて言うと、うっすらと開いた瞼の奥にある瞳と視線が絡み合った。



「ほら、薬持ってきたから。」



「あー、さんきゅ。」



風邪薬とコンビニで買ってきたペットボトルに入った水を巫抖に渡す。

それを若干嫌そうな顔をして一気に飲みこんだのを喉仏の動きによって確認できた。



「う〜まずっ」



あからさまに舌を少し出して言った巫抖の笑顔はいつものと同じで、なんか安心した。



「なんか食いたいもんある?ゼリーとか買ってきたんだけど。」



口の開いたペットボトルにキャップをしてテーブルの上に置いて、袋からゼリーや栄養ドリンクなどをテーブルに並べる。



「いや、今はいいや。後で金返すから。今は一旦寝よっかな。…今日はありがとうな。もう一人で大丈夫だから。」



巫抖はもう一度布団に入って寝る体勢になってそう言ったが、ここで引き下がる俺ではない。




「俺帰らないけど?」



「え?…いや、ほら、長くいると風邪うつるかもだし。」



「そしたら一緒に寝ようか?同じベッドで。」



「な、何言ってんだよ!」



「ほら。」



「…?」



「手、握っててやるから。」



布団の中に手を入れて巫抖の右手を握ると「うつっても知らないからな!」って真っ赤になって言いながら巫抖は目を綴じた。



その顔が嬉しそうなのを俺は見逃さなかった。








チクタク…チクタク…



あれから5分位経っただろうか。


「寝ないの?」



寝息をたてる気配の無い巫抖に聞いてみると、ゆっくり目を開けて



「んー。」



て。なんとも曖昧な返事。



「なんで?」



「何でって…なんか、ドキドキして寝れねぇ。」



「じゃあ、さ。」



「…ん?」



「キスしていい?」



「ばっ!何でだよ!」



突然の提案に大きい声で突っ込んだ為に喉に負担をかけてしまい咳き込む巫抖。そんな彼に笑いつつ話を続ける。



「だって…いつもさせてくれないじゃん。俺たち付き合ってるのにさ。」



「それは…」



「それは?」



聞き返すと目線を下げて小さくボソボソと喋りだした。それを俺は聞き逃さないように神経を集中させる。



「麗が、学校とか誰かがいる所でしたがるからだろ!それに・・・」



少しの沈黙の後、



「麗に見られてると思うと…その…恥ずかしくて!」



なんて顔を真っ赤にして言ってくるもんだから思わず



「ふふ。」



って笑ってしまったんだ。



「笑うな。」



「だって、可愛すぎて。」



本当になんでこんなに可愛いんだろうな、俺の恋人は。



「今ならいいだろ?誰もいない。」



握っていた手を離して巫抖に覆い被さるようにして顔を近付けると、自由になった手でそれを阻止しようとしてきた。



「だからお前に見られるのが…ちょっと!」



「うるさいよ?」



邪魔な手は押さえ付けて触れるだけのキスをする。



「んっ//」



なんて色っぽい声出しちゃってさ。


もう無理。我慢の限界なんだわ俺。



押さえ付けた巫抖の手は震えてるし、目も唇も固く綴じちゃってさ。

どんだけ緊張してんだよ、ってね。



「巫抖、力抜いて口開けて?」



そう言うと、言葉に従うようにおずおずと開く唇に引き込まれるように自分の唇を合わせた。



「っ…//」



もう抵抗しなくなった手を離し、巫抖の頭を抱えてもっと深く口付ける。



「ふぁ…ん…//」



逃げる巫抖の舌に自分のを強引に絡ませると、最初はぎこちなかったが段々と自ら絡ませくれるようになってきた。



クチュクチュと水音が部屋を支配している。




初めてのディープキスを堪能して、唇を離すと熱に魘された様な目をしている瞳と目が合った。



目尻から流れている涙に唇を這わすと擽ったそうに肩を震わせた。



「どうだった?」



わざとらしく聞いてみると目を反らして



「よか…た…//」



って。



あー、今スッゴク腰にきた。俺ってばヘンタイ。



このまま次にいきたいトコだけどこれ以上悪化させないようにそれはまた次回のお楽しみに取っておくことにしようかな。



巫抖が元気になった時にでも、ね?



こーなったら早く治してもらわなきゃ。




「おやすみ」



また手を握り直して眠りにつく巫抖の頭を撫でる。



「うん、おやすみ」




巫抖が早く治りますように・・・。





【終わり】

巫抖と麗シリーズその2 ということで 如何でしたでしょうか。

あの後、麗は風邪をうつされ、色々大変だったとか…(笑)


皆様も風邪には気を付けてくださいね。

ではまた(*´∇`)

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