表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

巫抖と麗

・巫抖と麗


ほのぼの…かな?


【人物紹介】


巫抖(みこと)

高校生

麗とは幼馴染み

帰宅部

若干長めの黒髪


(あきら)

高校生

巫抖とは幼馴染みで同じクラス

バスケ部

巫抖より背が高い



日も長くなった今日この頃。



三階の教室から見えるグラウンドには野球部やらサッカー部やらで大部分が埋め尽くされている。



そんな彼らを何となく窓から眺めているとやっぱり何かしら部活に入っておけばよかったかな、なんて思う。



少し長めの髪を優しく掻き上げるように窓から風が吹き抜ける。



誰もいない教室。




勉強するにはもってこいの空間だ。




「さて、と。」



グラウンドから目線を外して手元に拡げてある英語の課題に取り組む。









やり始めて十分足らず。


廊下からこちらへ近づいてくる足音がした。



「あーっちぃ!あ、巫抖!」



名前を呼ばれて顔を上げる。


この声は・・・




「麗…?」




前の入り口から団扇で扇ぎながら教室に入って来たのはクラスメイトの麗だった。



・・・実は俺の想い人だったりする。




「なぁ、あっつい」


「知らねーよ。水飲んでこい」


「もー飲んだぁ。男子もスカートなら涼しいのにな」


「野郎の生足なんざ見たかねーよ」



俺の言葉に麗はブッと吹き出して「確かに」と笑ったから、つられて俺も笑った。


麗とのやり取りは心地がいい。





「ってか部活は?」


「適当に理由つけて切り上げた。こんなに暑かったらバスケに集中できねーよ」


「お前なぁ…ちゃんとやってこいよな」



呆れながら言うと「いーの、いーの」とヘラヘラ笑ってる。



確かに今までバスケしてました、と言わんばかりの額から流れる汗。

ワイシャツは第二ボタンまで外されていて、つぅ…と首筋から鎖骨へと伝う汗がなんとも色っぽい。



だらだらと歩きながら麗は自分の席に着いた。



麗の席は俺の後ろだ。



振り返ると「あ゛〜」とか呻きながら、ぐでーと机に伏していて色素の薄い髪が風に靡いていた。



「・・・っ」



その柔らかそうな髪に触れようと手を伸ばして



「なあ、」



すぐに引っ込めた。


麗が急に顔を上げたからだ。



「何?」



平然を装いつつ言うが、心臓がドキドキと煩く鼓動しているのを感じる。


さっきの手は見られていなかっただろうか?




それにしても、机に頭を付けていたせいで麗の額が少し赤くなっている。



・・・可愛い。



なーんて思ったり。



そんなこと思っていると、




「俺寝るから起こしてな」



と、麗の突然の命令に「は?」となる俺だがそんなことアイツは気にしない。



「6時ね、おやすみぃ」



そう言って俺が承諾もしないうちにそのまま窓を向いて目を綴じてしまった。



全く、我儘だな。





風に乗って香る制汗剤特有の匂いを嗅ぎながら、勉強しよう、とまた机に向かった。



後ろからは愛しい人の規則正しい寝息が聞こえてきて運動部の暑苦しい声なんかよりよっぽど勉強がはかどる気がした。





麗を起こすまであと30分。





………



キーン コーン カーン コーン・・・



学校中にチャイムが響き渡る。



「もう6時か。」



外を見ると太陽が先程よりも傾いていて、オレンジの色が強くなった気がした。



窓を閉め、帰り支度を始める。


学校には7時まで居ても良いことになっているが俺はいつも6時に学校を出ることにしている。



だって、腹減るもん。




あ。そういえば麗を起こさなきゃな・・・



クルッと後ろを向くと心地良さそうにまだ寝ていた。


「おい、麗。6時だぞ」


「・・・。」



反応なし、か。



「あーきーらー」



ほっぺを引っ張ってみる。



ぷ、変な顔。



「はひむにゃむ・・・」



何言ってるのかさっぱり分からない。


ってか起きる気配ないんだけど。




汗で額に貼り付いた前髪を優しく払ってやると、隠れていた麗の寝顔がはっきりと見えて心臓が高鳴る。



男子にしては長い睫毛は目元を綺麗に縁取り、汗ばみながら頬を紅く染めている姿を見て理性が効かなくなりそうだ。



「・・・ヤバイなぁ。」



とか言っても視線は麗から離せない。



親指で麗の下唇をなぞってみると「んぅ…」とか反応してくる。



あーもー!//




そのまま麗の顎に手を添えて麗の唇に・・・






って、あぁぁぁあっぶねー!!!



あと少しのところでなんとか理性を働かせて近づいた顔を瞬時に離した。




「〜〜〜//…くそっ、好きすぎる!!!」





頭を抱えて小さく叫ぶ今の俺の顔はきっと真っ赤だと思う。


それは暑さから来るものではないのは確かで。



「…帰ろう。」



鞄にノートとかをバサバサと詰め込んだ。



6時30分にもなれば部活が終わった生徒が教室に集まってくる。きっと麗も起きるだろう。ってか、こんなに起こしたのに起きない麗が悪い!



帰る支度を済ませ、愛しい人を一瞥して教室を出た。




・・・・・

・・・・

・・・

・・



あいつが教室を去ってから起き上がった。




ホントは途中から起きていた。

途中っていうのは確か唇を触られた時からだったかな?

その時はビックリしたけど、でも、巫抖だとわかったらすっごくドキドキして…。


巫抖の息を近くに感じて・・・





―――期待してた。





なのに、あいつは何もしないまま離れていくし。




「・・・。」




巫抖に触れられた感覚がまだ残っている唇に手を当てる。




「意気地無し…。」




あと少しだったのになぁ…。




残念・・・。






しかも、『好きすぎる』って、俺の事だと受け取っていいんだよな?



それって…



それってさ…




―――両想い…?





あぁどうしよ。



こんなに近くにいたのに今頃気づくとか俺ダセェじゃん…。



ずっと片想いだと思って遠慮してたけど、もう・・・。





机に掛けていた鞄を無造作に掴んで教室から飛び出した。



巫抖はまだ学校からは出てないはず。




追い付いたら打ち明けよう




『巫抖が好き』って。




そしたらお前はどんな顔するのかな。



笑って『俺も』って言ってくれる?





階段を駆け降りながら顔を綻ばせて、今度こそと期待を胸に数メートル先にいるあいつの名前を呼んだ。





【終わり】



【巫抖と麗】如何でしたでしょうか?

一応シリーズものなのでまた別な話があります。

もしよかったらまた読んでやって下さいね。

ではまた(*´∇`)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ