巨乳エルフげっとぉ!
町へ戻った俺らは、まっすぐギルドに向かった。
依頼のほうの手続きは至極アッサリ終わったんだが、セリアの一件は大騒ぎになった。
ここで初めて知ったんだが、セリアは冒険者じゃ無かった。
あの森に住んでるだけなんだと。かなり昔から。
んで、森で迷った人を助けたりってカンジで、少しずつ人間と関わるよーになって。
なんか森のライフセイバーみたいなカンジになってきて。
そのうち、このギルドマスターのおっさんに頼まれて、冒険者のガイドとかするようになって。
地元の冒険者とか狩人とかにとって、彼女は女神とまでは行かずとも敬愛の対象であり、危害を加えようなんて不心得者は居ない。
よそ者が彼女にガイドを依頼するには、ここのマスターを通さなきゃならんらしい。
んで、マスターが認めないと彼女に会う事すら出来ない。
なんでかっつーと、彼女は世間知らずあーんどお人好しなんで、今回みたいな事態を未然に防ぐため。
マスターのおっさんは、なんでもガキの頃に森で死に掛けてたのをセリアに助けられ、その言動はなんかもう信仰に近い。
過保護っつーか箱入りっつーか、なんかそんなカンジで、地元民とマスターの眼鏡に適ったカタギの冒険者としか接触した事の無かったセリアは、警戒心てのが皆無に近かった。
「で、ではセリア様に不埒を働いたクズどもは、ヴルムベアに食い殺されたと仰るんですね!」
「はいマスターさん。その通りです。」
「何か、そやつらが死んだと確定出来る証拠はございますか?セリア様。」
「もし生きてたら?」
「生かしてはおきませんよ。絶対に。」
「コレで良いかな?」
「む、ターク殿・・・カードですか、これなら確かに。」
「いやマスター、俺みたいなペーペーに”殿”って・・・」
「なにを仰います。セリア様の命の恩人に対して、敬意を払うのは当然です。」
「・・・まいっか。
んでさ、なんであいつらセリアに会えたの?」
「それなんですが、あやつらは流れの冒険者でして。
しかもセリア様目当てで来たというのが一目瞭然でしたので、話も聞かずに断ったんですが・・・」
「尾けられた?」
「おそらく。
3日前にセリア様は、ここに遊びにいらしてましたので・・・その帰り道にでも。」
「んで、森に入ってから声かけられたのか。」
「はい・・・迷っているので、案内して欲しい、と・・・」
「セリア、お前無用心過ぎ。相手は野郎ばっか5人だぞ?ちったぁ疑え。」
「あうぅ・・・返す言葉もありません・・・」
「マスター、言いたか無いけど、アンタも悪い。
四六時中見てられるわけじゃ無いんだ。キチンと教えておくべきだったんだ。
人間は良い奴ばっかじゃ無い、ってさ。」
「・・・そんな事をお教えして、セリア様が人間嫌いになったりしたら、と思ってしまったんです・・・
誠に浅はかでした。申し訳ありません。」
「謝るなら俺じゃなくてセリアにだろ?」
「マスターさん、私は気にしていませんから・・・」
「そうですよマスター。セリアは世間知らずでお人好しでぽややんですけど、頭良いんですから。」
「エル。それって褒めてくれたんですか?なんか微妙な気が・・・ぽややんて・・・」
「そうよ、褒めたの。ちゃーんと微妙な皮肉も通じるんだから、頭良いでしょ?」
「うぅ・・・褒められてる気がしないんですけど・・・」
「そだなー、こいつの言う通り、セリアは頭良いよな。
いくら長く住んでるったって、あの森の事あそこまで詳しく知ってるんだもんな。
記憶力良いのは間違い無いし、咄嗟にあいつら撒いて逃げるだけの機転もある。」
「あぅ・・・照れちゃいますよ~。」
「たださ、やっぱ経験が足りないよな。
普通に人間に交じって暮らしてれば、あんな連中に騙されたりするわけが無い。
ぽややんなのも、森に一人でいる時間が長いからだろ?暇そうだし。」
「う~、私ぽややん確定なんですね・・・」
「んむ。おっぱいはボヨヨンだgえべらぁぁっ!」
「・・・懲りないわね、全く。」
「なんかもう、完全にパターンですね。」
「あ、そうだ!セリアも私たちと一緒に行かない?」
「え?えっ?」
「だってさぁ、一人であの森に居ても淋しいでしょ?
それに世間を知るには丁度良いし、
私たちがいつも一緒ならああいう連中に騙される心配も無いしね。
あとこいつ沈めるのも手伝って欲しいし。」
「沈めるって・・・私には無理そうなんですが・・・でも旅ですか・・・
一人で淋しいのは事実ですが、森を離れた事が無いので・・・なんか不安です。
・・・・・・それに・・・私が居ないと皆さんがお困りになりませんか?」
「セリア様、お気遣いはご無用です。
私たちは貴女様に頼り過ぎていました。いえ、利用していたと言っても過言ではありません。
貴女様に人間の醜い部分をお教えしなかったのも、貴女様が助けてくれなくなるのを恐れていただけの事。
本当に醜かったのは私たちなのです・・・」
「マスターさん・・・貴方たちは決して醜くなどありません。
私という存在を、悪意ある人間から守ろうとしてくださっていたのは確かなのですから。
それに・・・楽しかったです。
町の方や冒険者の方々とお話出来るのは、本当に楽しみだったんですよ。」
「セリア様・・・ううう・・・」
「あーセリア、んでどーする?
俺は、いや俺らは、嫌がるのを無理やり連れてくつもりは無えしさ。セリア次第なんだ。」
「うん。一緒に来てくれれば嬉しいけど、無理強いはしないよ。」
「行きます。世界に連れて行ってください、タークさん、エル。」
「おぉぉぉー!! 巨乳エルフげっとぉぉおぶぅぅぅっ!」
「・・・こんな感じで良いんですか?エル。」
「流石ね・・・もう光速エルボーをマスターするなんて。頼りになるわ。」
「うふふ・・・私、土と木の属性なんですが、実は光の精霊さんを呼べるんです。」
「えええぇっ!?精霊使いなのっ?! ってエルボーに関係あるの!?」
「使う、というのはちょっと違います。力を貸して貰うんです。あ、エルボーは名前だけです。
精霊さんは私たちより下位の存在ではありません。対等なんですから。」
「そっか、そうだよね。自分たちに見えないからって、低く見たりしたら失礼だもんね。って名前だけなんだ・・・」
「貴女も・・・もしかしたら精霊さんに認めて貰えるかも知れませんね。光速エルボーの遣い手ですし。」
「えっ?私なんて無理だって。全然見えないし、魔力も大した事無いし・・・遣い手って、名前だけでしょ?」
「魔力は関係ありませんし、認められれば向こうから姿を見せてくれます。
要は人柄とか、感受性とか・・・なんかその辺りが重要らしい?んです。」
「・・・らしい?って、疑問形なんだ・・・じゃ、セリアも分からないんだね?」
「セリアに期待するお前が悪い。まー簡単に言えばさ、相性って事じゃね?」
「復活も早くなってきたわね。もっと威力を・・・」
「なんか酷い事言われた気がしますが・・・そうですね、ソニッ○ブームとか強そうなワザ名付けてみたら良いでしょうか?」
「・・・強そうって・・・それで威力上がるなら苦労しないんだけど。」
「セリアの場合、ぽややんブローとかにするの?」
「あうぅ・・・やっぱりぽややんなんですかっ!?それに全然強そうじゃ無いですっ」
「・・・あぁ・・・セリア様のイメージが・・・・・・」
仲間入りが決定したんで、セリアを登録して貰ってる間、待合室でお茶しようって事になった。
「うー、私がぽややんなら、エルは何なんですか?タークさん。」
「俺は呼び捨てにしないの?」
「あーなんとなくなんですけど、男性を呼び捨てにするのが苦手なんです・・・。」
「そっか、まー良いよ。エルと差別されてるんじゃ無きゃ。」
「そ、そんな事しませんっ!エルより大切なくらいですっ!」
「ちょっ!いきなりなんなのセリアっ!私はこいつより下なのっ!?ってまさかフラグっっ?!」
「あうぅ、そういう意味ではなくて、その、あの、タークさんが手術して下さったから、その・・・フラグってなんですか?」
「あー、そう言われれば・・・私よりタークのほうが上って言われても仕方無いかも・・・フラグの事は忘れなさい。」
「あ、あの・・・決してエルが大切じゃないとかそういう・・・聞かなかった事にします・・・」
「はいはい、解ってるから安心して。ただね、もうちょっと言葉を選ぶとかしたほうが良いとは思うけど、ね。・・・それが大人の選択よ。」
「あぅ、ごめんなさい・・・気をつけます・・・」
「まーセリアは対人スキル未熟だからな、おいおい慣れるさ。」
「・・・はい、頑張ります・・・って、忘れてました、私がぽややんなら、エルさんは何なんですか?」
「あー思い出しちまったか・・・中々手強いヤツめ。」
「う~、誤魔化すつもりだったんですね・・・」
「はっはっはっ、セリアがぽややんなら、エルは・・・」
「私は?」
「・・・」
「・・・私は?」
「・・・」
「・・・・・・わ、た、し、は、?」
「・・・えー・・・あー・・・仲間で首席で大切な幼馴染巨乳美少女?」
「///っ!・・・疑問形なのが引っかかるけど、許してあげる///」
「う~、ぽややんとすっごい差があるんですけど~・・・」
「セリア、男には色々あるんだよ・・・建前とか粉飾とか談合とか使いこなせないと生き残れないnごぼるぁぁぁぁっ!」
「聞こえてるのよっ!」
「さっきより威力上がってますね・・・」
「ふふん、光速エルボーMkⅡよ。」
「・・・ネーミングセンス無いですね、エル。」
「っ! セ、セリアに・・・よりによってセリアにっっっ!!!」
「カード出来ましたよ、セリア様。クラスレンジャー、ランクDです。
おや、お二人はどうしたんですか?生きてますよね?」
銀熊亭に帰って晩飯になっても、エルはゾンビ状態だった。
「なんか良い名前・・・カッコイイやつ・・・強そうなの・・・」
据わった眼でブツブツ言ってるのがスッゲー怖いんだが。
俺が沈んでる間に何かあったらしいんだが、訊くのも怖いし。
セリアも言おうとしないし。どーもマスターのおっさんに言われたらしい。口外しないほうが良い、と・・・恐らく彼は正しい。
「そいやさ、セリアって新人だよね、なんでDからなんだ?」
「あ、なんかマスターさんが、今までの実績加味だとかで。」
「納得。つかそれならもっと上でも良かったんじゃね?」
「いえ、森ならともかく、他所では新人そのものですから、妥当ではないかと。」
「そっか。おっさん中々考えてるなー。伊達に歳食ってねーか。」
「もう、それはマスターさんに失礼ですよ!」
「んでさ、セリアは精霊呼べるんだよな。どんな事して貰えるんだ?」
「ん~、結構何でもアリです。」
「何でもって・・・光関係じゃ無くても?」
「光の精霊さんが、他の精霊さんに頼んでくれるんです。精霊さん同士は仲が良いんで、大抵は聞いてくれちゃうんですよ。」
「ここでも談合が・・・いやカルテルか。あれ?コンツェルンだっけか。」
「?」
「あーごめん。ちょっと飛んだだけ。
んじゃ、いきなり城おっ建てたりとか出来ちゃうの?」
「それは流石に無理ですけど、砦くらいなら1日あれば何とか・・・」
「おーけー把握した。お前も規格外だ。」
「えぇぇ~っ!いきなり酷いですっ!」
「酷く無いわ。俺もエルも規格外だしな。お前もお仲間確定になったってだけだ。」
「う~、喜んで良いんでしょうか?って、エルも規格外なんですか?」
「俺の事は疑問に思わないのかよ・・・」
「えっと、その、精霊さんが教えてくれたんです・・・タークさんの魔力とか属性とか・・・」
「むぅ、意外な伏兵か。まいーや。ただその、俺の事は・・・」
「はい、誰にも言ってないですし、言いませんよ。精霊さんにも口止めしてあります。」
「そっか。やっぱセリアは賢いなー。エルの事も精霊に訊けば解るよ。」
「はぅっ///頭なでないでください~///」
「ごめん、イヤだったか?」
「イ、イヤじゃないですけどっ、恥ずかしいっていうか、慣れてないっていうか・・・///」
「じゃ、慣れようか♪」
「///はぅぅぅぅ///」
翌朝まで、エルはゾンビのままだった。聖水用意しといたほうが良いかな?