戦闘かも?
手術は無事終わった。彼女は今眠っている。
2時間もすれば目覚めるだろう。
手術自体はムズくなかった。俺チートだし、魔法薬とかいっぱいあるし。
ただ出血が酷くてね。チート輸血出来なかったらダメだったかも。
エルは最後まで手伝ってくれた。真っ青だったけど、逃げたり泣いたりしなかった。
今は疲れきって眠ってる。
俺にもたれて寝てるエルの頭ナデナデしながら、エルフさんの事を観察ちぅ。
まーおっぱいばっか見てたいのは山々なんだが、そうもイカンわな。
傷口で判ったんだけど、アレは魔獣とかにやられたんじゃない。
刃物、恐らく剣でやられた傷だ。
彼女を襲ったのは人間。まー亜人とか獣人かも知れないけど。
このエルフさんが助かったのは、治癒魔法を使えたからだろうな。
自分である程度治せたから、ここまで生きてられたんだ。
この世界のエルフは、大抵土とか水とか風とかの属性魔法を使える。
水と土属性の魔法は、治癒とか解毒とか、回復系が多い。
エルの風魔法にもあるにはあるが、高度な上に効果は劣る。それにまだ使えないし。
そんな事考えてたら、チートレーダーに感アリ。
数は5.
恐らくエルフさんをこんな目に遭わせた犯人どもだろう。
高潔なるエルフが進んで悪事を働く事はまず無い。
まー騙されて加担しちゃうってのは結構あるらしいが。
どっちにしろあいつらはカタギじゃあるめぇ。殺す。
連続殺人犯とか無差別殺人犯とかのさ、加害者の人権がどーのとか、ご高説を垂れる人種がいるけどさ、言ってやりたいよね。
「アンタの息子や娘が被害者でも、同じ事が言えるのか?」
と。
まぁ言えるなら言えるで、それも人としてアレだけど。
殺されちゃった被害者の人権は何処行ったのさ?
まーとにかくやつらは殺す。
彼女を殺そうとしたのは間違いないし、傷から見て素人じゃない。殺しに慣れてる。
とりあえず、やつらが犯人か確かめるか。
エルを起こすか迷ったけど、初戦闘が人間相手ってのもキツいかなーと思ってやめとく。
「あーすいません、エルフの女性をお探しですかね?」
テレポートでやつらの近くまで移動し、いきなり声をかけてみる。
「っ!お前どこから・・・」
「そっちから。」
「・・・まぁ良い、あのエルフは何処だ?」
「おや?彼女の名前知らないんですか?お仲間かと思ったんで、声かけたんですがね?」
「あ、あぁ、まだ組んだばっかりでな。」
「なるほど。騙してパーティー入れて、ここまで連れ込んで悪さしようとしたら、案外手強くて剣を使うハメになり、あげくに仕留め損なって逃げられた、と。」
「て、てめぇッ!何を証拠に!」
「その発言が、もう証拠みたいなもんだろ?頭悪いなお前ら。」
「アニキ、こいつバラして・・・」
「阿呆、締め上げてあの女の居場所吐かせるんだよ!」
「あ、そーか。あいつもバラさなきゃマズいんだ。」
「・・・漫才は終わりか?蛆虫ども。」
「このガキャぁっ!」
俺を囲もうとして動き出した下っ端どもを眺めながら、どうやって殺すか考える俺。
楽に死なせてなんかやらんからな。
・・・決めた。魔獣に喰わせよう。痛いぞぅ・・・
レーダー使った時、確か熊っぽい魔獣が近くに居たな。あいつに御馳走してやるか。
とか思ってたら、そいつの気配がやつらの後ろから・・・。
なんつーの?以心伝心?いや嬉しくねーっての。手間は省けるけどさ。
「ぎゃぁああっ!」
おぉ、ありゃ痛そうだな。
下っ端Aが後ろから袈裟懸けに爪で抉られ、絶叫とともに血飛沫を上げて倒れる。
「なっ、ヴルムベアだとっ!」
今まで気付かなかったのかよ。まー頑張ってねー。
「ア、アニキぃ~ うぎゃぁぁぁぁっ!」
「に、逃げるぞっ!」
「ぐぁぁぁぁっ!」
「逃がさないよ。」
「て、てめぇ、どきやがれっ!」
「仲間見捨てていくのか?冷てーなぁ。」
「どけっつってんだっ!このガキがぁっ!」
「やだね。」
「やろぉぉぉぉっ!」
「ほい、っと。」
斬り込んで来たアニキの剣を白刃取りにする。うん、チート万歳。
「バ、バカなっ!?」
「直撃のハズだった?ほらほら、熊さんがそこまで来てるよん♪」
「があぁぁぁぁっ!」
「ありゃりゃ、アンタだけになっちゃったねぇ、アニキ。」
「は、放しやがれぇっ!てめぇもヤバいだろーがっ!」
「いやへーきだけど♪」
「くっ・・・おわぁぁぁっ!」
アニキが逃げるために剣を手放した瞬間、ドテッ腹に蹴りをぶち込んでやる。
熊さん目掛けて一直線に吹っ飛んでいき、激突。
「ぐひゃぁあがぁがぁっ!」
うん、流石アニキ。悲鳴も個性的だな。だがもう一捻り欲しかったぞ。
アニキのハラワタを爪で引き摺りだしながら、ドタマを噛み砕いた熊さんが、俺をロックオンした。
「おっと。それだけ御馳走したんだから満足しろや。喰い過ぎは身体に悪いぞ?」
こっちを凝視してた熊さんだが、俺の誠意が通じたのだろう。アニキのドタマを租借し始めた。
「んじゃ、そーゆーことで。さらばだ。」
俺はテレポートで熊さん無双の現場を後にした。
エルはもう起きてて、エルフさんの容態を診ていた。っても心得とか無いんだから、見てただけだろーが。
「何処行ってたのよ?!」
「ぐぼはぁっ!」
「・・・なんでっ・・・いきなりっ・・・エルボー・・・」
「心配させられたからに決まってるでしょっ!」
「うっ・・・ストレートに言われると・・・結構クるな。」
「/// っそんな事より、何処行ってたのよっ?」
「・・・あーションベnあべらばぁっ!」
「バレバレの嘘付くんじゃないっ!・・・そんなに血の匂いさせてるのにっ!」
「・・・ここだってしてるだろ?血の匂い・・・」
「バカにしてる?それぐらい区別出来るわよ。」
「・・・いや、なんつーか感心した。でさ、俺が怪我したとかは思わなかったんか?」
「全然。」
「・・・なんで?」
「だっていつもと変わらないんだもん。怪我とかしてたら動き方とか変わるでしょ?」
「隠してるとか思わないのかよ?」
「私に通用するわけ無いでしょ、そんなの。わっかり易いもん、タークって。」
「・・・なんだろう、この敗北感わ・・・」
「で、何処行ってたのよ?」
「・・・あー、悪者退治?」
「っ!それって彼女を・・・」
「ん。纏めてシバいてきた。てかほとんど熊さんに任せてたけど。」
「熊さん?誰それ?」
「ヴルムベア。」
「ちょっ!それっ!魔獣のっ?どーゆーことっ!?キリキリ吐きなさいっ!!!」
「おぉぉちぃぃつぅぅけぇぇぇっ!くぅぅびぃぃがぁぁぁぁ」
1時間後。洗いざらい吐かされた俺は、疲れて横になっていた。
熊さんと共闘?した事は、どえらい怒られた。
そんな危ない事もうしないで!とか、涙目で言われると言い返せない。男にとって女の涙ってのは効果絶大だよな。あれこそ真のチートなんじゃネ?
あーでも、美女カテゴリ以外の場合はあんまし威力無いのか。モーホー君にも効果無さそうだし。
で、アニキたちのほうは、そんなの当然っつー反応だった。
そりゃね、女性だもんね。あいつら許せねーだろな。
んでね、こっちは危ない事じゃ無いのかよ?って訊いたら、勝てるって判ってたから一人で行ったんでしょ?と。
熊さんはイレギュラーだから。予定外だったから。
なんか行動を読み切られてる気がするのは気のせいか・・・?
「ターク!エルフさんが起きたわよ!」
「お、おぉ・・」
「助けて頂いてありがとうございます。本当に感謝してもしきれません。」
「いえそんな、当然の事をしたまでです。どうか顔を上げてください。」
「そうですよ。逆の立場だったら、貴女も同じ事をしたでしょう?」
「それで、なんでこんな目に?」
「・・・はい、その・・・この森に詳しい案内者が要ると言われて、一時的にならと、あるパーティに入ったんですが・・・」
「あーゆーのだった、と。」
「はい・・・自分の弱さと愚かさが情けないです。」
「弱さってのは・・・貴女十分強いと思いますけど。
貴女はあの人数の中から自力で脱出し、ここまで来られたんです。
まぁここに俺らが来たのは運ですけど、運も実力のうち、ってね。別に運が良くても困らないでしょ?
ただなぁ・・・あんな連中にあっさり騙されたってのはマヌケ過ぎrうぶぅぅぅっ!」
「ったく。傷ついてる女性になんて事を・・・」
「あ、いえその、恥ずかしながら事実ですし・・・それで、彼らは?」
「あー、熊さんの胃袋の中。もしかしたらもう糞になっtおごぉぉぉぉっ!」
「ほんっとにもう!」
「・・・それで、彼らの事はどう報告をなさるのですか?」
「ありのままってのもアレだなー。つか信じて貰えるとは思えんし。
こうしよう。
エルフさんがあいつらに襲われて抵抗してるトコに俺ら登場。
んでエルフさん助けてあいつらから逃げてる途中で熊さんに遭遇。
俺らは横道にダッシュ・・・熊さんとあいつらガチ。熊さん無双。
満腹熊さんは俺ら無視・・・ってカンジ?」
「はぁ・・・それでいきましょうか。他に考えるのもめんどくさいし。」
「じゃ、口裏合わせもよろしくね、エルフさん。」
「って、いつまでもエルフさんってのも・・・あの、貴女のお名前を伺っても良いでしょうか?
私はエル。エル・プリーンと言います。
この失礼なのはターク。ターク・カリウス。」
「助けて頂いておきながら、名乗りもせず失礼いたしました。
セリアーネ・グリューネヴァルトと申します。セリアとお呼びください、エルさん。」
「私もエルって呼んで欲しいんですけど?セリア。」
「そうですか、エル。これからよろしくお願いします。」
「・・・お前ら、いつの間にか俺抜きで仲良くなりやがって・・・」
「あ、えーとタークさん、私は・・・」
「あー聞こえてたから良いよセリア。よろしくな。」
「では二人で世界を?」
「んー、ずっとじゃ無いけどね。仲間集めも目的の一つだし。今んとこ俺らしか居ないってだけ。」
「えぇっ?!ず、ずっと二人っきりじゃ無いのっ?」
「・・・お前、王都の隣来ただけで、熊さんとか出るんだぞ?二人だけで世界廻りきれると?」
「うっ、そ、それは・・・・・・・・・・・二人っきりなんて夢だったのね、儚い夢・・・」
「何ブツブツ言ってんだ?スープこぼれそうだぞ。」
「あうっご、ごめん。」
「あの、それでお二人はこの森で何を?」
「あ~、ココロゲ草採取の依頼請けてさ。エル、塩取ってくれ」
「なるほど。それでしたら私がご案内します。」
「はい塩。
セリア、そこって近い?実は期限が明日一杯なの。遠いと・・・」
「あ・・・私のせいで遅れてしまったのですね・・・」
「いやそこはカンケー無いから。実際間に合うハズだしさ。」
「・・・ですが・・・いえ、これ以上言うのははお二人にも失礼ですね。
場所はすぐそこです。朝から採れば明日中には町を戻れます。」
「そっか。ならお願いするね。」
「ふぉぼびぶ」
「食べながら喋るのやめなさいっ!」
んで翌日。
セリアも入れて3人で集めたココロゲ草は、250枚にもなった。
期限までに帰れば1250ガルだ、ウヒャヒャ。
防具がダメになったので、薄手のシャツ一枚のセリアの揺れおっぱいもウヒャヒャヒャ♪
ノーブラですよダンナ!
あのこぼれそうつーか溢れそうつーか・・・たまらんのぉ
あ・・・ヤバ
俺のリビドーもこぼれたり溢れたりしちゃいそうに・・・
急に内股になった俺を、エルが氷の視線で見ている。
(何故バレた・・・)
3人で町へ戻った時、まだ陽は高かった。