主人公らしいよね?
『エルフ』
ふぁんたじぃの定番であり、かつ美形の代名詞でもある種族。
エルフにぶちゃいくは存在せず、♂なら長身イケメン、♀ならスレンダー美女。それ以外は存在しない。
いや存在するならば、ソレはエルフでは無い。パチモンであろう。某中華な国とかには居そうだが。
俺の過去の人生においても、彼らはお馴染みの存在だった。否、現在においても。
だがしかし、俺は彼ら、いや彼女らには激しく失望していた。
何故ならばっ!!
賢明なる諸氏にはお分かりかと思うが、彼女らは基本貧乳なのである。
顔立ちといい、くびれた腰といい、スラリとした脚といい、彼女らは実に美しい。
だがっ!
あの胸はっ!あの貧弱な胸だけはっっ!!
二次元に頻出していた(る)巨乳エルフなどという存在は、幻に過ぎなかったのだ・・・。
世間には、ツルペタとかそーゆー需要もある事は百も承知である。
だが、美意識とゆーものは個人の主観が全てであり、他人の意見なぞカンケー無いのだ。
ワケわからん抽象ゲージツを賛美するのは勝手であるが、ソレを他人に押し付けるのは愚行の極みと云えよう。
美意識とは、いやこの場合ただのストライクゾーンだろ?とか云う意見もあろうが、とにかくそういうモノなのだ。
敢えて言おう!
俺にとっては乳こそ全てであr
「ぐぼげっっ!」
「なに大声で恥ずかしい事口走ってるのよ!このヘンタイ!」
「ぐふぅ・・・まさか声に出していたとわ・・・不覚っ!」
「まー貴方の趣味とか好みとか全部知ってるから、今さら驚きはしないけどねっ」
「いっ、いつの間にっ?!」
「何を今さら・・・この万年おっぱい発情魔人」
「ぐ、ぐううぅ・・・言い返せないこの屈辱っ」
「とにかくっ!街道で変な事口走らないでよっ!一緒に居る私の身にもなってよね!」
「う・・・すまん。」
王都で昼食を摂った俺らは、隣町オルセン目指して西の街道を歩いていた。
オルセンて町は、江戸時代の宿場町みたいなモンで、距離的には品川宿とかが該当する。
まー王都住民の保養地つか歓楽地みたいなカンジで、夜の姫君も大勢おられる。ピンからキリまで。
そんな土地なんで、ぶっちゃけ治安はイマイチである。
酔っ払いの喧嘩なんざ、みんなスルーである。
んで、伸びた酔っ払いのフトコロは速攻空っぽになったり。
まー楽しいけれど、油断出来ない町なんである。
「もう半分以上来たわね。」
「んだな。ここら辺で一休みすっか?」
「ん。そうね、ちょっと疲れたし。」
「もうちょいダイエットしtわらばっっ!」
「何か言った?」
「・・・いえ。」
鳩尾に苦痛を抱えながら、顔に天使の微笑みを貼り付けたエルの後を付いていく俺だった。
適当な木陰を見つけて腰を下ろしたエルに、ポイっと皮袋を投げる俺。
「何コレ?」
「四次元○ケット」
「うわっ?なんかすっごくイヤな気配がしたわよ、今。」
「やっぱこの呼び名は危険か・・・。」
「で、何なのよ、コレ?」
「あー、簡単に言うと倉庫。」
「倉庫?コレがぁ?」
「ん。そいつは魔具だ。中に空間魔法が仕込んであって、家一軒分くらいの荷物が入る。」
「うそっ!?」
「ほんと。オヤジから貰った。」
「ゲルト様の魔具なんだ・・・じゃぁ信用出来るわね。」
「お前、俺の言葉では信用出来んと?」
「当然でしょ。」
「くっ、即答とわ・・・」
「でも、こんなスゴいの、私が貰っちゃって良いの?」
「あぁ、俺のは別にあるしな。」
「あーそだ。お前の髪の毛一本くれ。」
「か、髪なんて何に使うのよっ?!」
「そんな慌てるなよ。その袋にお前の情報を記憶させて、他人に開けられたり盗られたりしないようにするんだ。」
「そ、そんな事出来るの?」
「出来る。つかやらないとマズいだろ?それ盗られたら一大事なんだから。」
「そうね・・・確かにやらないとマズいわね。ちょっと待ってね・・・はいコレ。」
「ん。ブツブツブツブツイブツ・・・はいオシマイ。」
「・・・なんか私の髪持ってブツブツ言ってるのって・・・」
「言ってるのって?」
「キモかったかも。」
「ぐふぅうううううっっ!」
あの袋なんだが、実は俺が創ったモン。
実際アレ無いと勇者ごっことかマジ無理だし。
お馴染みのポーションとかさ、リポDサイズだったとしても、99本とか持ち歩くの無茶でしょ?
他にもアイテムとかわんさか出てくるんだし、アレ無いとお話にならないのよね。
ちなみに俺のは、初回転生時から使ってる愛用品だったりする。
なんかね、転生しても成人する頃になると、いつの間にか部屋とかにあるんだよ。
中身も入ったまんまで。
「あ、忘れてた。」
「なに?」
「コレもやるよ。」
「こ、これって指輪?!」
「他のなんに見えるつーんだ?」
「え、あ、うぅ、いやでもまだ正式には、その・・・」
「何ワケ分からん事言ってるんだ?そいつも魔具。お前の魔法さ、結構使い勝手良いからさ、魔力増幅と燃費節減、回復も付いてる。」
「え、え、え、ええぇ~!?」
「うるさいなー。さっきから何テンパってんだお前?」
「な、何でもないわよっ・・・そ、それで、コレはどうやって使うの?」
「あー嵌めてるだけで良いよ。勝手に起動するから。」
「・・・・・・・・」
「どした?」
「えっと、どの指に嵌めれば良いかな?」
「魔具だからな。嵌めれば勝手にサイズ合うよ。」
「そ、そうなんだ・・・うふふ♪・・・えへへ♪・・・」
「変なヤツ・・・」
「変なヤツでも良いもん♪えへへ♪」
「・・・まいっか。そろそろ行こうぜ。」
「うんっ!」
「・・・あ、ターク・・・」
「ん?」
「その、あ、ありがとね。指輪」
「良いって。んじゃ行くぞ。」
「・・・この指輪、ず~っと大事にするからね♪」
「まー、気に入って貰って何よりだ。」
オルセンの町に着くまでの2時間。
あいつはずーっと左手薬指に嵌めた指輪を眺めたり撫でたりしながらニヘラニヘラしていた。
アレより綺麗な指輪なんていくつも持ってるだろーに。何がそんなに気に入ったのか。
あんなに喜ぶんだったら、また指輪創ってプレゼントしてやるかな・・・。
#主人公は前世の記憶は持ってるんですが、何か大切な記憶に限って置き忘れてくるようで・・・。