天使にご用心?
「あっつ~・・・」
「砂漠ですから・・・。」
「そうじゃがのぅ・・・。」
「もうじき日が暮れるってのに、オアシスまだかいな?」
「もう着いてて良いんだけどね?」
「もうスグのハズなんですが。」
「迷子にならないのは救いじゃのぅ。」
「だよなぁ、砂漠で迷子なんて、普通に死ねるよな。」
「イザとなったら、ミューが居るけどね。」
「ですね。迷子になっても安心です。」
「迷子にすらならんではないか。」
「ホント、俺らってズルいよな。」
「あ、見えて来たよ。」
「おー、いかにもって感じだなー。」
「椰子の木が一杯です。」
「風呂は無理でも、水浴びは出来るの。」
「テント村ってトコだな。俺らもテント張るしか無さそうだ。」
「そうね。他もみんなキャラバンとかみたいだし。」
「こういう場所でのルールとかあるんでしょうか?」
「じゃな。勝手にやって顰蹙買うのもな。」
「俺も分からんなー。訊くのが一番だな。おし、エルとセリア、よろ。」
「なんで私たち?」
「他オトコばっかじゃん。俺が訊くより、絶世の美少女が訊いたほうが親切に教えてくれるに決まってるし。」
「///そ、そういう事なら仕方ないわね・・・。」
「///き、訊いてきます・・・。」
「こりゃ!」
「痛て!なにすんねん!ミュー。」
「わらわは"ぜっせーのびしょーじょ”では無いと言うんじゃな?」
「いや、絶世の美少女だが?」
「///うっ、即答・・・な、ならば何故わらわだけ・・・」
「あー、お前言葉遣いがな。そのわらわ口調は向いてないと思わんか?」
「あぅっ!・・・た、確かに・・・。」
「理由はそれだけだ。お前があいつらより劣ってるとかじゃ無いから、な?」
「///はぅ、そ、それなら良いのじゃ・・・。」
「あの、すみません。」
「ん、なんだい?・・・ほう、こりゃまた別嬪な二人連れだな。」
「///別嬪って・・・あ、教えて欲しいんですけど、ここでやってはいけない事とか・・・。」
「///私たち、砂漠は初めてなんです。」
「そうだなぁ、まず泉の水を汚すな。みんな使うんだからな。
飲むのはともかく、飛び込んだりしちゃイカン。洗濯とかもな。
そういうのは水を汲んでいってやれ。
あとは、まぁ普通にやっちゃイカン事はするな。他のテントを勝手に覗くとかな。
「なるほど・・・ありがとうございます。」
「っと、イカン、えーと・・・これは少々言いにくいんだが・・・。」
「なんでしょう?ご遠慮なさらずにお教えください。」
「・・・まぁ大事な事だからな。
その、なんだ・・・出るものは、泉からなるべく離れた所で出してくれ・・・。」
「出るもの?」
「なんでしょうか?」
「うっ、察して欲しいんだが・・・まぁ、あとは、連れの兄ちゃんにでも訊いてくれよ。」
「「?」」
「・・・お前ら、解んねーのかよ・・・。」
「///わ、解らないから訊いてるのっ!」
「///そ、そうですっ!」
「わらわも解らんぞ?」
「・・・育ちが良すぎるってわけでもねーのに・・・おっぱいは良すぎるかもだが・・・
あのオッチャンも可哀想な・・・あのな、”花摘んで来る”ってヤツだよ。」
「「「//////はぅっ!//////」」」
「周りオトコばっかだし、覗かれるなよ?」
「///き、気をつけるわっ!」
「///じゅ、順番に見張りますっ!」
「///エ、エルに結界も頼むのじゃっ!」
「なんなら、俺が結界張って・・・一緒に入ってやrぶぐるぁぁぁぁっっ!!」
「「「///このヘンタイっ!!」」」
「なぁ、お前ら。」
「なあに?」「はい?」「なに?」
「なんで俺にしがみ付いてるんだ?」
「あったかいんだもん♪」「あったかいですから♪」「おにいちゃんあったかい♪」
「・・・さいですか。いや、寝る時は離れて・・・確かに砂漠の夜は冷えるけどさ・・・。」
「なら良いでしょ?」
「ですよー。」
「さむいのいや。」
「・・・俺は色々とリビドーがキケンとか理性が危ないとか大変なんだが・・・。」
「タークは漢なんでしょ?」
「耐えてこそ漢なんですよね?」
「がんばれー。」
「ぐぅぅ・・・本音を言えば耐えたくない・・・野性に目覚めたい・・・リビドーを解放したいっ!
おっぱいもお尻もフトモモも・・・そして、まだ見ぬ”秘蜜のダンジョン”の最深部を極めたいっ!
だ、だが、し、しかし、俺は漢っ!耐える!耐えてみせるっ!」
「うふふ・・・頑張ってね、えい♪」
「ふふふ・・・頑張ってください、えい♪」
「えへへー、がんばれー、えい♪」
「///お、お前ら、やめっ!そこダメっ!のぉぉぉぉぉぉぉっ!」
「っ!起きて!なにか来るっ!」
「んぁ・・・?エル、どし・・・。」
「セリアっ!ミューっ!起きてっ!」
「うー、なんでしゅかぁ?」「にぇみゅいにょ・・にゃ。」
「起きなさいっっ!!」
「「ひゃぅっ!」」
「外見てくる!」
「ちっ!他は誰も起きてない・・・見張り役・・・もみんな寝てるだと!?」
「タークっ!」
「魔法か?コレ!?」
「解らない。なんか変な力・・・頭の中になんか聞こえるっていうか・・・それで起きちゃったの。」
「二人は?」
「ダメ。起こしてもまたすぐ・・・。」
「エルフとドラゴンまでやられるって・・・普通の魔法じゃなさそうだな?」
「貴方に効かない力で良かったわ。私一人じゃ・・・。」
「いや、俺もなんだかぽややん状態だ・・・。スッキリしねぇ。
何処だ?俺にも気配が見えない・・・敵・・・だよな?」
「眠らせるだけの悪戯?だと思う?」
「んなわけねーよな。」
「っ!あっちっ!」
「あれって・・・おっぱい?じゃなくて美女?・・・てか天使っぽい?!」
「やっぱり最初はおっぱいなんだ・・・って、テンシ?知ってるの、ターク?!」
「い、いや、俺の最初の世界の・・・伝説の存在に似てる、な、と。」
「ど、どんな奴なの?」
「神の使い。手下。下僕。パシリ。戦争時には使い捨て。要は下っ端。」
『エラい云われようですね。』
「えっ!何?」
「なんか聞こえた!」
『ありがちな念話ですよ。テレパシーでも結構です。』
「ありがちて・・・まぁ意味解ったから良いけど・・・。」
「それでアンタは?この世界に神が居るとは思えんのだが?」
『ええ、神は居ませんね。ですが天使は居ます。このとおり。』
「なんでやねん!」
「っ!俺より先にツッコむとわ・・・。エル、侮れん奴!」
『私も飛ばされて来たのですよ。異世界の方。』
「「!」」
『300年ほど前、この地に来たのは私たちです。』
「たち?他にも居るの?」
『・・・居た、です。今は私一人だけです。』
「なにかあったのか。てか、そもそもなんでココに?」
『私の元居た世界の神、その方の御意志によって、私たちはこの世界に飛ばされたのです。』
「なんでまた?」
『私たちの神が、この世界にも信者を獲得しようと・・・。』
「布教のために飛ばされたのかよ?」
『はい、私たちは泣いて嫌がったのに、あの鬼畜は無理やり・・・。ああ思い出すとムカつく!』
「本音トークになってきたわね。」
「まさか・・・俺の世界の神じゃないよな?」
『違います。その設定は、色々キケンがアブナイので採用されませんでした。』
「そっか、安心した。」
「それで?コッチの世界に来た理由は解ったけど・・・。」
『この世界にはライバルが居ないので、あの鬼畜は簡単に信者を獲得出来ると思っていました。
毎年100万信者獲得のノルマを課せられたのですが・・・。』
「ノルマ毎年100万て・・・現場を知らないキャリア組?」
『そうなのです。あの傲慢で恥知らずな鬼畜は、現実を知らず、知ろうともしませんでした。
そのためにどんどん信者を失い、ライバル神たちに差をつけられ・・・。』
「新規開拓か。信者居ないと、神としちゃ死活問題だしなー。」
「そうなの?」
『そのとおりです。国民が居なければ国とは言えないように、信者無くして神は存在し得ないのです。』
「なんとなく解ったけど・・・。」
『それで、私たちが無理やり派遣されたのですが、あの鬼畜は私たちを飛ばしたせいで、
元の世界での信者を更に失い、ついには・・・消滅しました。』
「なんつーか・・・やり切れん話だな。トップがバカだと・・・。」
『そのため、私たちに送られるハズだった神力も途絶え、仲間たちは次々と・・・。』
「・・・訊き辛いけど、その、どうして貴女だけ生き残れたの?」
『・・・消え行く仲間たちが、一番年少だった私に、遺し得る全ての物を遺してくれたからです。
おかげで、私はなんとかこの世界に順応するだけの時間を得られました。』
「うぅ、ぐすっ、好い人たち・・・だったん・・・だね・・・。」
『はい・・・あの鬼畜の下で、度重なるセクハラにも耐え、信者たちからのクレームや要望に対応しつつ、助け合い、励ましあってきた、最高の仲間たちです・・・。』
「その神、生きてたら俺が殺してやったのに・・・。」
「・・・えぐ・・・それで、私たちに何か・・・用が?」
『お願いがあります。貴女、エレーネさんに。』
「え、私に?」
『はい。貴女の中で、眠らせて頂きたいのです。私を。』
「ほぇぇぇぇっ!?」
「理由はなんだ?」
『理由は、私ももう長くは無いからなのです。順応出来たと言っても、完全にではありません。
少しずつ弱っているのです。
この世界の住人である貴女の中で、完全に順応出来るまで眠らせて欲しいのです。』
「き、危険とか・・・無いの?」
『危険はありません。』
「え、えと、う、うん、危険が無いなら・・・。」
「待てぃ!そもそもなんでエルなんだ?」
「あ、そっか・・・それ訊かないと・・・。」
『簡単に言えば、相性です。シンパシィです。』
「そ、それだけ?」
『それだけです。』
「即答・・・なんかちょっと不満なんだけど・・・。」
『私が入れば、色々便利機能が付きますよ?お肌艶々とか、ムダ毛全廃とか。
今すぐご契約頂けるなら、皮下脂肪自動調節もサービスで付いてきます。』
「っ!入って!今すぐ入って!てか入りなさいっ!」
「お、おい・・・。」
『はいは~い♪ご契約ありがとうございます。
あ、あと、今は弱ってるのでダメダメですが、
回復して来たら色々機能追加しちゃいますから。お楽しみに☆ミ』
「ふふふふふ・・・♪これで私もお手入れ地獄から解放・・・カロリー計算ももう・・・。」
「・・・布教ってか、セールスだよなぁ、アレ・・・。」