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貴族?おいしいの?

 いよいよ粛清が始まる。

 だが、ぶっちゃけ俺らはする事が無い。

 新参者だしね。国民ですら無い。

 下手に手出ししないほうが無難だ。


 バルク王は、異界の人間のおかげで云々、とか言われるのはマズい。

 まーブタ屠殺以外は、目立つ事はやって無いし、大丈夫だろうが。

 

 豹人討伐にしても、冒険者として請けた仕事って事になってる。

 国王の切り札だとは思われたく無い。

 バルクは良い奴だし、あいつを助けるにやぶさかでは無いが、あいつが成し遂げてこその改革である。

 俺らがやったんじゃ意味が無い。

 俺らはココに居続けるわけじゃ無いんだ。国政に関与するのはよろしくない。

 部外者の友人として、手助けするレベルに留めておくべきなんだ。


 ただ、貴族どもの間諜は、城内にかなりの数が侵入していた。

 こいつらは見つけ次第、ってかセリアが居るから侵入した時点で始末した。

 だが、元から居た家臣の多くは貴族の息が掛かってる連中であり、こいつら全部始末しちゃうと、色々問題なので、それは出来なかった。

 まぁ、真っ黒な奴は殺ったけどね。王の近侍とかにも居たしね。暗殺されたら目も当てられん。


 そんなわけで、俺らの存在自体は秘密でも何でも無いけど、何やってるのかは分からん状態にしておいた。

 まぁ上陸した時点で、クラーケン殺しの美少女御一行様である。今更居なかった事には出来ないわな。

 

 貴族どもは、俺らが何やってるのか知りたくて仕方無かったろう。なんせ強い事は判ってるんだし。

 俺らが王の傍に居ただけで、かなりの抑止効果はあった。

 先手打って、王を亡き者にしたくとも、俺らが居ちゃねえ。

 

 登城した貴族どもに、勧誘とかされるのは日常茶飯事だった。

 もーしつこいのなんの。どこぞの宗教団体並みである。ワタシハカミヲシンジマセン


 だがおかげで、貴族どもの動向は良く解った。バカばっかしだもんな。失言多くてね。


 まー、精霊ネットつー便利すぎるモンがあるんで、あんまし意味無かった。

 ”こんな事わかったー!”と知らせに行くと、”もうつぶやいて貰いました”だもんなー。

 精霊ってつぶやくんだ・・・。


 さて本番である。

 城門から次々に騎士が出て行く。

 一斉検挙。

 抵抗したら殺害も許可されている。無抵抗でも投獄され、後日糾弾。

 今日一日で、この国から貴族が消える。

 爵位は残るけどね。一代限りの名誉称号として。

 爵位に応じた年棒が、引退しても年金が支給されるんで、全くの名のみでは無い。


 極一部、ほんの一握りの貴族は残る。清廉の士と呼べる人たち。

 門地やら血筋やらのせいで冷遇されていた彼らは、能力に応じた地位と爵位を与えられ、

 新生バルク王国の柱石となる予定。

 

 なにげに俺は公爵である。この国の。まだ発表されてないが。

 ミューが、俺とエルの出生について口を滑らせてしまったため、無理やり受けさせられた。

 ただまぁ、名称だけだけどね。俸給とか貰っても、この国から居なくなっちゃうんだし。


 三人娘は揃って伯爵である。バルクは俺と同格にしたがったし、俺もそうだったんだが、

 エルが断固として固辞した。父より上の爵位など受けられない、と。ええ娘じゃのぅ。

 残り二人もエルに倣ったんでそうなった。


 理由を訊いたら、エルと同じが良いから、だった。エルちょっと涙目になってたな。

 じゃあ俺も伯爵に、って言ったら、貴方は元々公爵になるんだから受けなさいと命令された。

 三人娘が揃って言うので仕方なかった。敵うと思う?思わんでしょ?


 

 騎士たちが、続々と戻ってくる。貴族どもを縛り上げて。


 怒鳴り散らしている者。泣き喚く者。悄然と首を垂れている者。

 色々いるなぁ。でも悪役だからな。同情はしない。


 


 「めちゃ上手くいったなぁ。つかアッサリ過ぎじゃね?」

 「何言ってるんだよー。準備にどれだけボクが・・・。」

 「まぁな。戦さってのは戦う前の下準備で勝敗が決まるようなもんだからな。周到にやって当然だ。」

 「今回は、向こうより私たちのほうがちゃんと準備してたって事ね。」

 「てーか、セリアが居る時点でこっちの勝ちだよ。戦さで最重要なのは情報だ。

  敵がいつ、どういうルートで、どれだけの兵を、誰が指揮して攻めて来るのか?

  これだけ解れば、勝つのは難しくは無いだろ?

  まー、コッチがバカ将軍で、向こうが稀代の名将だったりするとアレだが。」

 「そうじゃなぁ。セリアのおかげで、向こうの情報は筒抜けじゃったしのぅ。」

 「セリアさまさまね。」

 「///はぅぅぅぅ、照れちゃいますー。」

 「でもさー、メビラスが黙ってるかなぁ?」

 「知らん。自分で考えろ、ニート。」

 「ちょっ!酷いよ、攻めて来られたらどうするんだよっ!」

 「あのな。俺らはバルクの家臣か?」

 「しゃ、爵位貰ったでしょ?!」

 「じゃ、返す。くれって言ったわけじゃ無えんだし。別に要らんし。」

 「えぇぇっ!」

 「ニート。タークの言うとおりだ。彼には私に従う理由は無い。」

 「へ、陛下・・・で、でもメビラス軍が来たら、今の我が軍じゃ・・・。」

 「それでタークたちを戦場に送り、自分たちは安全な場所に居ると言うのか?」

 「そ、それは・・・。」

 「確かにタークたちは強い。彼らが居ればメビラス軍とてただでは済むまい。」

 「で、でしたら・・・。」

 「何、連中がおいそれと攻めて来られなくすれば良いのさ。」

 「ど、どうやってですか?」

 「それを今から考えるんだろうが。」



 「この丘に砦でもあればな。」

 「そうですねー。反対側は谷ですし、難攻不落とまではいかなくても、かなりの物が出来ますねー。」

 「ここを扼すれば、メビラス軍は山脈越えするしかなくなるな。」

 「あそこは魔獣も多いですし、行軍は大変ですよー。」

 「しかし砦を造るとなるとな・・・。」

 「資材はともかくとして、日数が・・・。」

 「国境からスグだしな。邪魔されるのは確実だ。」

 「えーお二方。良いお話があるんですがね?」

 「ん?ターク、何か妙案でもあるのか?」

 「妙案は無いけどね。人材なら居る。」

 「人材?」

 「ぱんぱかぱーん♪セリアさん、ご入場~。」

 「///はぅぅっ!なんなんですかっ!スッゴく恥ずかしいですっ!。」

 「セリアさん?一体どういう事ー?」

 「精霊はなー、砦ぐらい一日で建てられるんだよん♪」

 「なんとっ!」「ほんとにっ!」

 「はぅ、で、出来ます。資材さえあればですが。」

 「そ、それは是非!」

 「ただあの、精霊さんをタダ働きさせるのは心苦しいので、供物を奉げて頂きたいのですが。」

 「供物?何を奉げれば?」

 「主に土の精霊さんに働いて頂きますので、農作物を。」

 「どのぐらい用意すれば・・・。」

 「なるべくたくさんの種類を、なるべく多く、としか。」

 「出来るだけ多く、か。」

 「はい。私がお願いすれば、無償でもやってくれますけど、報酬を頂けるとなれば張り切るのは、

  人間も精霊さんも同じです。好意的にもなりますし。

  これを機会に、毎年供物を奉げ続ければ、何かと助けてくれるかと。」

 「どんな恩恵が?」

 「土の精霊さんですから、土地の力を増し、作物の出来を良くしてくれるとかですね。」

 「それは、やるべきですね陛下。」

 「うむ。王命を出す事にしよう。」

 「では、準備が整ったら言ってください。」

 「・・・うーむ、俺空気。」



 「あそこに建てれば良いんですね?」

 「そうだ、頼む。」

 「供物は足りてるかなー?」

 「十分みたいです。なんかスゴい数の精霊さんが来てますよ。」

 「では頼む。」

 「よろしくー。」



 「なーんかさ。」

 「ん?」

 「この国、ていうか今回のアレコレ、セリアが一番働いてるわよね。」

 「そうじゃなぁ。セリアだけで良かったくらいじゃの。」

 「私たち、セリアに頼り過ぎちゃったかな?」

 「んー、いや、やっぱそれで良いんじゃね?」

 「良いのか?」

 「今回はセリアの得意分野だったってだけさ。」

 「そうね。壁抜ける時は、ミュー主役だったし。」

 「しゅ、しゅやく・・・。///」

 「その時その時、やれる事をやれる奴がやれば良いんだ。俺らはそれで良いんだ。」

 「そっか。ごめん。誰が、じゃ無くて・・・。」

 「わらわたち皆の出した結果なのじゃな。」

 「けど、今回あいつが一番頑張ってたしな。後でなでてやろう。」

 「「むー」」

 

 「スゴい・・・本当に一日、いや一晩で出来たぞ・・・。」

 「なんという事でしょう・・・。」


 「おーい!」

 「おつかれー!」

 「ごくろうさんなのじゃ!」

 「あ、みんな。」

 「頑張ったなぁ、バルクたちビックリしてたぞ。」

 「いや、私たちもビックリしたじゃない!」

 「うむ、正直あれほどとはのぅ。」

 「はぅ、私は何も・・・お願いしただけですからー。」

 「なーに言ってんだよ、結構フラフラじゃんか。」

 「はい、冷たいミルクティー。」

 「けーきも持ってきたぞ。」

 「はぅ、ありがとうございますー。」

 「良くやったなー。よしよしご褒美~。」

 「え、あ、はぅぅぅぅぅっ//////」

 ダメだ・・・山場が、山場がぁ・・・・出来ないです・・・

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