うーうーうーじゃんぐるだっ
ジャングルである。密林である。熱帯雨林である。
なんで俺らがこんなトコに居るのかつーと、民族紛争である。
ありがちだよな。
相手は国家では無い。少数民族である。この密林を住処とする獣人族。人獣のほうが合ってるかも。
ネコミミとかイヌミミとかの、萌え~な種族では無い。
どっちかっつーと獣に近いのだ。イメージ的には狼男とかかな。
今殺りあってるのは豹人だけど。
知性や理性はあるものの、本能や野性のほうが遥かに上回ってる連中。
身体能力も高く、魔法は使えんものの、精鋭レベルの騎士とかじゃないと互角には闘えない。
おまけに密林である。重装甲の騎士にはツラい。闘う以前に暑さにやられる。
ここらの豹人どもが、近隣の村落を荒らすようになった、と、王都に伝令が来たのが10日前。
俺がブタを屠殺した翌日。
急に悪さを始めた理由なんざ分からん。獲物が減ったとか、そんな理由でも奴らは動く。
基本ケダモノだしね。人間と結んだ協定なんかじゃ、腹一杯にならんからな。
協定つっても、不可侵条約みたいなもん。
交易とかしてるわけじゃ無いし、破ったところで大した事無い。向こうにとっては。
こっちにとっては一大事である。村が襲われるのもあるが、密林の特産である果実とかが採れなくなる。
密林に入ったらいつ襲われるか判らん上に、襲われたら勝ち目はほとんど無いのだ。
彼らの胃袋直行である。誰も入れないわな、そりゃ。
討つべし。
バルクの決断は早かったが、問題は送る戦力である。
騎士団は、姫さんの下で纏まりつつあるものの、王家にとって切り札かつ最大の戦力である。
おいそれと消耗させるわけには行かない。密林苦手だし、大損害とか受けたら洒落にならん。
それに王都から離れるってのもアレだしね。周り敵だらけなんだし。
でまぁ、拝み倒される感じで、俺らの出番と相成った。まぁ最適だってのもあるが。
俺らはみんな軽装だし、自分で言うのもなんだが、個々の戦闘力がアレである。
豹人は、村襲うとかの時以外は単独で狩りをする。豹とおんなじやね。
だから、軍隊が隊列組んで来ても効率が悪い。少人数かあるいはソロでやるのが一番良いのだ。
豹人より強ければね。そして俺らは強い。奴らなんざ雑魚である。
いやマジでさー、ミューはともかくエルやセリアって、なんであんな強いの?
規格外なのは解ってるんだけどさ、なんで規格外なのかが判らんのだよね。
敵じゃなくて良かったよ。女の子攻撃出来ないからさ、俺。
奴らと何度か殺りあって解ったが、連中に話は通じない。問答無用でバトルである。
向こうはこっちをエサとしか見ていないのだ。エサと交渉するわけ無いわな。
交渉が出来ない以上、接触即バトルである。まー楽勝だけど、めんどい。
奴らは降伏しないし、殺さずに逃がしても恩義にも感じない。
何度逃がしても襲ってくる。某羽扇の人と南蛮王の逸話みたいに、逃がし続けてればそのうち・・・
とか思ってたが、返事は最後まで”次は殺してやる”だった。20回目で止めを刺した。
やっぱり、人ではなく、言葉が通じるだけの獣として扱うしか無いようだ。
ニート曰く、やつらはある程度の戦力を喪えば、敗北を認めて向こうから交渉しに来るらしい。
精霊ネットでも同じだったようなので、信じて良いだろう。力ある者には従う、ってか。
しかしもう100頭は殺ったよなぁ。まだ来ないのかぁ?
三人娘の実力からすれば、バラけて狩るのが効率良いんだが、なんだかんだで一緒のままである。
なんつーかさ、一緒が当たり前になっちゃったつーか、一緒じゃ無いなんて有り得ねーみたいな・・・。
なんてーかこう、良く解らんのだが、俺は何か変わった気がする。
ああそうか、必要度が変わったんだ。あいつらと一緒に居たいんじゃ無いんだ。
あいつらが居ないとダメなんだ、俺は。俺にはあいつらが要るんだ。居るんじゃ無く。
いや、前からそうだったんだ。ずっと前から。俺が気付いて無かっただけなんだ・・・。
「来ました。」
「お偉いさんかな?」
「じゃと良いのぅ。」
「だよなー。もうイヤんなってきたしなー。」
「ビンゴみたいです。」
「我ら。の負けだ。人間よ。お。前たちは。我ら。の戦士。の半数。を屠った。」
「もっと早く来てれば、連中は死なずに済んだろうよ。」
「闘いこそ。我ら。の誇り。力。弱き人間。に。敗れ。た者。惜しく。は無い。」
「さようで。で、用件は?」
「昔。の約束。守る。」
「おーけー。それで良い。で、一つ訊きたいんだが。何故今回破った?」
「南。の山。化け物。暴れ。た。獲物。いなくな。った。」
「どんな化け物だ?」
「見た。者。皆。かえ。って来。ない。」
「見た者が居ないのに、なんで化け物って判る?」
「声。頭。響く。殺す。ころ。す。それ。だ。け。言う。」
「っ!」
「ターク・・・。」
「それって・・・。」
「まさか・・・。」
「今はまだ何とも言えんが・・・な。
あんがとよ。またな。そっちが破らない限り、こっちは約束守るぜ。」
「また。会お。う。強き。人間。」
「ねえ?」
「勘だけどな、アイツ、じゃ無い。」
「根拠はあるんですか?」
「小物だから。」
「小物なのか。」
「あぁ、アイツだったら、もうこの辺に生き物なんて居ねーよ。密林もな。」
「そんな・・・。」
「けどな、多分だけど・・・アイツの子分かも。」
「えっ?じゃあこの大陸に?」
「そこまでは判らんけどな。
この辺は大陸のほぼ南端だろ?ココより南の山だぜ。最南端と言って良いだろう。
そこに巣食ってるなら・・・。」
「ココより南の大陸から来たと言うのか?」
「可能性だけどな。有り得るだろ?」
「でもさ、ココより南の大陸なんて、どれだけ暑いのよ?」
「それなんですが・・・私たち、故郷の第一大陸から、西に来たんですよ。」
「あ・・・なのに、この第二大陸は・・・。」
「南方の気候じゃの・・・。」
「壁、かもな。」
「壁を潜ると、違う方向に流されるの?」
「確証とか、なんも無いけど・・・あの壁だぜ?」
「そうですね。何か不思議な力が働いていたのかも。」
「単純に流されたのやも。風に流されて、目的地からかなり遠くまで行ってしまった事もあるしの。」
「そりゃお前がドジなだけだろ。」
「む、むぅ・・・。」
「けど有り得る。偏流って言うんだけど、俺らは真っ直ぐ西に飛んでたつもりだったけどさ、
ミューが西を向いてたってだけでさ、
ミューを遥かに超えるスピードで、南に流されてたとしたら?」
「抜ける頃には、って事ね。」
「あるいは、壁が別れていたって事も。」
「そうだな。第一も第二も全周囲まれてるんだ。分岐とかあるはずだ。」
「ねえ、もしかして私たち・・・。」
「考えたく無いですが・・・。」
「帰れない、のかの・・・?」
「・・・突っ込むと、何処に出るか分からん、か。やべぇな。
でも、俺が連れて来ちまったんだ、俺が連れて帰ってやる!絶対に!」
「ありがと・・・でもね、無茶しないでよね。」
「はい、無理しないでくださいね。」
「そうじゃ。無理して帰らずとも、わらわたちは構わぬ。」
「いやでも、俺が壁を・・・。」
「バカ。俺が俺がって、言わないの。」
「そうです。もう”私たち”なんです。」
「もう”いちれんたくしょう”じゃ。」
「ん。そっか、そうだよな。俺がバカだったよ。
みんなで帰ろう。俺らみんなで、一緒に。」
「帰れなくても、みんな一緒なら良いわ。」
「ですね。一緒なら何でも平気です。」
「違うのじゃ。一緒じゃ無きゃイヤなのじゃ。」
「あはは!お前ら最高だっ!抱きしめてやるっ!」
「えっ!」「あっ!」「なっ!」
「「「///はぅぅぅぅぅ///」」」
解る人には解るサブタイトル。多分いないと思うけど。
ネコミミ少女は出てもサブかなぁ。
コレ以上ヒロイン書き切れません。てか既に書き切れてません・・・