おうさま が あらわれた
なにげにニートは逸材であった。
とにかくいぢれば反応するので飽きない。
三人娘も面白がっていぢりまくるので、3日間の馬車旅も退屈せずに済んだ。
いぢられまくった本人は仮死状態になってるが、他人事である。
もう悟りを開いた模様で、ニートと呼んでも返事するようになった。
ニートによって大体の情報は得た。
国王はかなりデキる人物らしい。
精霊ネットでも、好意的カキコが主流なようだ。カキコってなんだ?
かなり革新的な事をやろうとしてるみたいである。
ぶっちゃけ絶対王政。
貴族どもから地盤や武力を奪い、言うなれば名誉職にしちまおう、としてるわけだ。
ヨーロッパが中世から近世へと変わった原因。
これ以後、反乱は貴族ではなく民衆が起こすモノになる。そう、革命だ。
早過ぎるんじゃ無えか?と思う。
だが、貴族どもが分割統治していた領地が無くなれば、国力は飛躍的に向上する。
貴族による中間搾取は無くなり、バラバラだった兵力は王の下、国軍として一元化出来る。
他国が封建制のままで居れば、大陸統一も夢ではあるまい。
野心家なのか?
違うようだ。
この国、ザンド王国は小国だ。第一大陸と違って、コッチは国が多い。
ザンド王国は海に面してる事もあり、豊かなほうだ。
だが国土は狭く、人口も多くない。当然軍隊は貧弱である。
豊かだが弱い国。そりゃ狙われるだろう。
先代の王までは、隣の大国、メビラス王国と友好関係にあった。表向きは今もだが。
だが、先代とその妻であるメビラス王女は、子宝に恵まれなかった。
んで、去年即位した現王は先代の甥である。メビラスとの血縁は皆無。
メビラス王は野心家であるらしい。
妹をザンドの先代に嫁がせ、あわよくば併合、もしくは属国化を狙っていたようだ。
だが妹は懐妊せず、血縁をタテに呑み込むのは難しくなった。
ならば実力行使。
だが一応大義名分が無いと、後々面倒な事になる。
そこで内乱。どっちに付くにせよ、勝たせてやれば、めっちゃ恩が売れる。
てか、貴族どもを煽ってるのはメビラスらしい。
なるほどね。孤立無援なんだ、王様。
ニートを初めとして、子飼いが居るには居るが、ぶっちゃけ居るだけである。
ニートはかなり頭が良いんで、内政とかやらせれば使えるハズなんだがな。
とにかく力、それも武力が欲しい。
そこに降って湧いたのが俺ら。
人数こそ4人だが、クラーケンを瞬殺するパーティ。
しかもめっけた?のはニート。そりゃ取り込もうとするわな。
現王が、絶対王政を目指すのは、他に方法が無いからだな。
貴族どもから力を奪い、王の下に全て纏めない限り、隣国に蹂躙されて国は滅びる。
自分だけ生き残るためなら、手段は幾らでもある。
だが国を、国民を守るには・・・他に選択肢は無い。
将来、バカや基地外が王になって、国民が大迷惑するかも知れないが、そんな未来はどうでも良い。
今現在を乗り切るためには、これしか無いんだな。
しょーがねーなー、手伝ってやるか。
まー会ってからのハナシだけどね。
会ってみて、ウマが合わなかったらそれまでだ。
まぁあれだ、貴族ぶっ潰すってのがやりたいだけなんだけどね。
過去にも何度もやったけどさ、あれ爽快感最高なのよね。丸っきり悪役だしさ、あいつら。
まー俺には、♀には手出し出来ないっつー弱点があるんで、そーゆーのは部下とかに任せてたけどね。
大体は娼婦にされた模様。それも最下級の。ザマミロ。
中にはソッチに適性あるのも居たらしいけどな。
「私がザンド国王、バルク・ザンドだ。諸君らが異界より参られた御仁か。」
「初めまして、バルク王。ターク・カリウスと言います。」
「お初にお目にかかります。エル・プリーンと申します。」
「初めまして。セリアーネ・グリュンヴァルドと申します。」
「わらわはミューレリアス。姓は無い。見知り置きをの。」
「堅苦しい挨拶は終わりにしよう。ヤーデク、皆さんをご案内してくれ。」
「御意。」
「おぉー、ニートがマトモに見えるぞっ!」
「ニートとは何ですかな?」
「へ、陛下っ!それは別に・・・」
「あー、コイツの渾名ですよ。意味は・・・かくかくしかじか。」
「はっはっはっ!それはピッタリですな。うむ、気に入った。私もニートと呼ぼう。」
「バ、バカなぁぁぁっ!」
「む?何か不満なのか?ニート。」
「王の意向だぞ?光栄ぢゃ無いか。」
「まさか、王様に逆らうわけ無いわよね?ニートくん。」
「不敬罪ですよ、ニートさん。」
「極刑じゃぞ、ニート。」
「・・・欝だ死のう。」
「まぁ掛けてくれ。」
「ういせっと。おーフカフカだぜー。」
「私ココねっl!」
「っ!左をっ!・・・仕方ありません。私は右で・・・。」
「お前ら、デカいソファなんだから、もっと離れろっt」
「イヤ。」「イヤです。」
「あーもー、だからそんなくっつくな!
あぁぁ、ふにふにがぷにぷにでぱふぱふな・・・」
「ふっ、両脇ぐらいで浅ましいのぅ。・・・わらわはココなのじゃ♪」
「「っ!膝上っ!!!」」
「ふにぷにぱふ・・・って、おいコラ。」
「おにいちゃん、だめなの?」
「許す!」
「おにいちゃん、ナデナデしてっ♪」
「この甘えんぼめ。」
「えへへ♪・・・はふぅぅぅ///」
「くぅぅ、ちみっこキャラを生かした絶好のポジション取りっ!」
「あぅぅ、妹キャラを生かしたおねだりスキル発動っ!」
「「ミュー、恐ろしい娘っ!」」
「なぁ、ニート。彼らはいつもこんななのか?」
「マジで、ボクはニート固定なんですね陛下・・・はい、いつもみたいです。」
「うらやましいと思わんか?」
「ボクは別に・・・ボクには姫様が居ますから///」
「なんだとっ?!アレをも見ても何も感じないと言うのか?!
ううむ・・・お前なんかに妹はやらんっ!今決めた!もう決めた!」
「えぇっ!そ、そんなぁっ!ボクが20になったら、結婚認めてくださる、って・・・」
「無かった事にする!はい決定!王の決定だからなっ!
あれを見ても、何も思わんような種無しに可愛い妹はやれんっ!」
「た、種無しって・・・ちゃんとありますっ!」
「嘘をつけっ!漢があれを見たなら、迸る何かがあるハズっ!それが無いお前は種無し確定だっ!」
「うわぁぁっ!暴論ですよぉぉっ!」
「やかましいっ!種無しニートなど、やっぱり妹にはふさわしkだはぁぁぁぁぁっ!!」
「お兄様っ!わたくしのヤーデクを虐めたりなさったら、幾らお兄様でも許しませんですわよっ!!」
「あぁ、姫様・・・いつの間に・・・。」
「///わたくしのヤーデク・・・大丈夫ですの?怪我はありませんの?///」
「///姫様・・・///」
「///ヤーデク・・・シルヴィアと呼んで欲しいですわ。姫様なんて呼ばないで。///」
「///シ、シルヴィア。///」
「///あぁ、わたくしのヤーデク♪///」
「なぁ?」
「うん。」
「はい。」
「うむ。」
「スッゴい背中痒くね?」
「うん。」「はい。」「うむ。」
「にしてもさ。」
「うん。」
「はい。」
「うむ。」
「無いよな。姫さん。」
「無いわね。」「無いですね。」「無いのじゃ。」
「あの二人、生温かく見守ってやるか。」
「そうね。」「ですね。」「じゃな。」
王様もやっぱりアレな人に・・・
哀れ過ぎニートに光あれ。
ナイチチはワキです。王女でもワキです。