新きゃらかも?
この街の名はコロバス。チ-マ号の母港である港街。
建物の形とかは若干違うが、港街ってのは、何処も似たようなもんだな。
流通の要所である為、住民は多く、かつ人見知りしない。
いや、ここの住民、とくに♂はしなさ過ぎると云うべきか。
三人娘はお疲れである。
昨日一日観光して、疲れ果てている。
体力は人一倍以上のあいつらが、だ。
理由は簡単。ナンパである。
某長靴半島の国民もかくや、と思われるアグレッシヴさでナンパされまくって、疲れきってしまったのだ。
こっちの女性たちは、そーゆーのにも慣れたもんなので、簡単にあしらっているのだが、三人娘は圧倒的に経験値が不足している。
エルはあれでも貴族のお嬢様、セリアは森の元ヒッキー、ミューに至ってはほぼ完全なヒッキーだったのである。
大して粘る事は無く、アッサリ引き下がるとはいえ、とにかくひっきりなしにナンパされ続ければ、それなりにダメージもあるだろうな。
てなわけで、今日のあいつらは宿に引き篭もりを決め込んでいる。
新大陸2日目にしてヒッキーである。まぁ仕方無いか。
なので今日の俺は、一人で街をブラついている。
ふにふにだらけのデフォ体勢も捨てがたいものがあるが、身軽な現状もまた良し。
露店やら何やらを冷やかしつつ、おっぱいサーチに余念が無いのである。
コッチの女性もまぁ、なにげにご立派なモノをお持ちの方が多い。
気候のせいだろう、何やら薄手の服装もあって、目移りする事しきりである。
慣れているんだろう、おっぱいガン見してると、微笑んでくれたりもする。
だがしかし。
おっぱいはともかく、それ以外つーか総合的につーか、惹かれるほどのものが無いのだ。
おっぱいは偉大であり、宇宙の真理であるが、ソレだけでは足りないのだと、改めて実感した。
何が足りないのかは良く判らん。
スタイルだって顔立ちだって十分良いのだ。三人娘にはちと及ばんが、そーゆー女性しか見ないんだしな。
なのに何か物足りない。あいつらには感じる何かが無い。
三人娘には有って、彼女らに無いモノ。分からん。
考えても分からんし疲れるんで、とりあえずコレだけには惹かれるおっぱいサーチに勤しむとしよう。
「あ、ターク。」
「ん?何だニート坊ちゃんか、あっち行け。」
「いきなりソレ!酷過ぎるよ?!」
「酷くねーよ。お前のせいで国王なんぞに会うハメになったんだ。
こっち来るな、ニート坊ちゃん専門バカ学者。どっかに篭ってろ。」
「うわぁ、王室直属の研究者であるボクに、そこまで言ったのは君が初めてだよ・・・。」
「王室直属だろーがなんだろーが、一歩外に出れば、お前はただのニートだ。」
「う・・・心の何処かで肯定してるボクが恨めしい・・・。」
「まぁ良い。おっぱいサーチにも飽きてきたところだ。相手してやろう。
土下座して感謝するが良い、ニート。」
「ボクにはヤーデク・スラウキって名前があるの!」
「黙れニート。ニートに名など必要ない。あっても使い道無いしな。ニートだし。」
「めちゃくちゃ酷い事言われてる気がする。てかボクはヤーデk・・・」
「うるさい。めんどいからお前はニートで確定なの。あいつらもそう呼んでるしな。」
「えぇぇぇぇっ!か、彼女たちにまで・・・欝だ死のう・・・。」
「ああ死ね、骨は捨ててやる。」
「ひどっ!死後にまでっ!?」
「で、何の用だ?」
「スルーされた・・・うう、陛下からのお迎えの馬車が、明日来るから・・・。」
「ふむ、明日なんだな。よし、今日中にこの街出ちゃえば・・・。」
「えぇぇぇっ!そんなのダメだってばっ!ボクが陛下に叱られちゃうよぉっ!」
「知った事か。ニートに人権は無いしな。潔く十三階段登れ。」
「死刑確定なのっ?!」
「ニート死して艶本を残す、か。」
「な、なんで知ってるのっ?!」
「あら?ニーt・・・学者くん。こんにちわ。」
「ニーt・・・学者さん、お久しぶりです。」
「おぉ、ニーt・・・学者ではないか。」
「・・・もうニートで固定されてるんだ、ボク。目から汗が止まらないよ・・・。」
「そう言ったろ、ニート。ちなみに誰も名前は覚えてないからな。」
「・・・もうニートで良いよ・・・。」
「ふぅん、明日馬車が来るんだ。」
「またお尻痛くなりそうです。」
「そういえば、わらわは乗った事無いの。」
「王都までは馬車で3日です。準備しておいてくださいね。」
「メシとかはそっち任せで良いんだな?」
「うん。専属のコックもいるから。」
「コックまでいるんだ・・・贅沢ねー。」
「税金の無駄遣いですね。」
「王族とはロクでも無いのぅ。」
「あ、あのね、そーゆー事はあんまり・・・。」
「俺らはそんな気遣いはしない。言いたい事は言う。」
「そうよ。イヤな相手にヘコヘコしたりしないから、そのつもりで。」
「です。だからニートさんも、私たちとあまり関わらないのが吉ですよ。」
「じゃな。そなたは嫌いではない故、巻き込んでは可哀想じゃ。」
「・・・もう手遅れだと思うんだけど・・・。」
「あーもしさ、俺らが王様と喧嘩になったら、お前どうする?」
「どうするも何も、直属なんでしょ?まぁニートくんは気絶させるぐらいにしといてあげる。」
「ですねー。でも、王様に私たち紹介するのはニートさんだから・・・。」
「そうじゃの。後で厳罰じゃろうの。」
「うわぁぁぁぁ、やっぱりそうだよね・・・け、喧嘩しないでよぉ・・・。」
「王様次第だよ。・・・てか、どんな王様なんだ?」
「んー、少なくともバカじゃないよ。臣民の事も考えておられるし。」
「えー?馬車に専属コック付けてるのに?」
「あれは、先々代の国王が始めたんで・・・陛下はいずれ廃止したいみたいだけど、色々あるらしくて。」
「それなりに伝統が出来ちゃったんですね。」
「でね、陛下は色々改革したいらしいんだけどね・・・」
「お決まりじゃの。既得権益か。」
「まぁこんな国どうでも良いが、王様は俺らに何期待してんだ?」
「どうでも良いって・・・多分なんだけどね、内乱になりそうなの。」
「戦争かよ・・・で、俺らに手を貸せってのか。」
「私はイヤよ。」
「私もです。戦争なんて嫌いです。」
「わらわもじゃ。無益な殺し合いなぞ好かぬ。」
「そう言われると思ってたけど・・・だけど、陛下はそういう人を求めてるんだと思う。」
「ほぉ?」
「内乱、いや反乱起こしそうなのは、君たちの想像通り、大物貴族たち。
多分君たちが一番嫌いなやつらだね。ボクも嫌いだけど。
陛下がやろうとしてる改革は、貴族の特権を削るモノばっかりだからね。
君たちは名声とか金銭とかに拘らないし、庶民の味方だしね。
それになにより、しがらみが無い。
陛下にも多分ズバズバ言うと思うけど、そういう人が欲しいんだよ、陛下は。
自分たちの利益しか考えてない家臣ばっかりだからね、陛下の周りは。」
「お前はどうなんだ?」
「・・・ボクは、陛下に拾われたおかげで、好きな研究させて貰ってる。
恩返ししたいけど、ボクの力じゃどうにもならないんだ。闘いなんて出来ないし。
魔法は少し使えるけど、専門は薬だしね。」
「流石ニート。見事なまでに役立たずだな。」
「こら、いくらホントの事でも、言っちゃダメでしょ!」
「ニートさんはダメダメだなんて、言っちゃいけないですよ。」
「ニートじゃから、仕方ないのかのぅ。」
「っ!なんなのっ?! ボクちょっとカッコイイ事言ったよね?なにこの展開!?」
「決まってるだろ。お前がニートだからだ。」
「ニートだからよ。」「ニートだからです。」「ニートだからじゃ。」
「・・・欝だ死のう。」
「うっわ、ケバっ!」
「コレに乗るの?」
「すっごくイヤです。」
「無駄の極みじゃの。」
「我慢してよ。」
「貴様らが、壁の向こうから来たとかいう異界人か?」
「異界人ね・・・ああそうだよオッサン。」
「きっ貴様っ!ワシは騎士団長だぞっ!」
「知るか。自分から名乗りもしねー礼儀知らずなんざ、オッサンで十分だ。」
「そうね。非礼よね。」
「騎士にあるまじき行為です。」
「ふん。どうせ家柄だけで就いた地位であろ。」
「あ、あの、ミスク団長、彼らは陛下が客人としてお招きしておられますので・・・。」
「はっ!こんな生意気なガキと小娘をお招きとはな・・・ふん、まぁ良い、いずれ目に物見せてくれるわ・・・
おい!行くぞ。愚図愚図するな!全く、使えん部下どもだ。」
「特権意識丸出しだなー。貴族の傍流ってトコかな。」
「実力も無さそうよね。」
「部下の騎士たちにも、嫌われてるっぽいです。」
「人望は無さそうじゃの。あの性格では当然か。」
「うん、嫌われ者だよ、ミスクは。実家は子爵なんだけどね、そこの次男。」
「如何にもだな。しっかしよぉ、騎士団長があんなで、内乱なったらどうすんの?」
「反乱側に付きそうよね。」
「でしょうね。そのほうが威張れるでしょうし。」
「じゃが、そのほうが楽かも知れんの。」
「だよな、あいつ相手ならスゲー楽勝っぽいわ。バカだし。」
「バカだよねー。君らに喧嘩売る時点でもう終わってるよ。」
「ニートにまで言われるとわ・・・ちょっと不憫。」
「そうね、同情しちゃうかも。ニートにまで言われるなんて。」
「ですねー。とっくに終わってる人にまで言われるなんて。」
「うむ。ニートにまで言われては浮かばれんのぅ。」
「なんなのっ!ボクって一体なんなのっ!?」
「「「「ニート!」」」」
「・・・欝だ死のう。」
新キャラ・・・哀れ過ぎるかも。
頭脳キャラになる予定だったんですがね・・・。