バレたっ?
海である。
夏である。
ビーチである。
当然、水着である。
ホンモノの中世には、水着など存在しないのだが、ナンチャッテ中世であるふぁんたじぃにはカンケー無い。
例え無かったとしても、俺が創っちゃうしね。
三人娘はゴキゲンである。
波打ち際できゃいきゃいじゃれ合っている。
当然ながら全員ワンピース。それも競泳タイプである。
あの見事な肢体には、ゴテゴテチャラチャラな飾りなどナンセンス。シンプルイズベスト。
彼女らの肢体こそが至高の美なのだ。余計なモノは要らん。
あー、ミューにはスク水を!っつーご意見もあろうかと思うが、却下させていただく。
俺がソッチ属性ぢゃ無いので。悪しからず。
え?ブルマ?
アレは良いモノd・・・ゲフンゲフン
水着はカレリリアの街で買った。
海水浴場はあるし、シーズン初めでもあるので、品数は豊富。
知ってる人は知ってると思うが、女の子の買い物に付き合うってのは、漢にとっては拷問である。
とにかく決まらない。決められない。
コレが良い、やっぱりアレが良い、ううんソレも良い・・・エンドレス。
しかも三人である。単純に3倍では無い。3乗でも足りん。果てしない時間の無駄。
なので俺が強引に決めた。さっきも言った競泳用。
まー三人とも長髪だし、凹凸がハンパ無いので、競泳向きじゃ無いんだが。
元々観賞用チョイスだし、似合ってるし、あいつらも喜んでるから無問題。
エルは赤、セリアは青、ミューは白。
俺が買ってやるから、と言ったら、アッサリ同意した。
帰りは珍しく、俺の腕や頭じゃ無く、買っってやった水着を抱きしめて歩いてた。
別宅に戻ってスグ、ワザワザ着替えて見せに来た。おいおい、どうせ明日着るだろ?
顔赤らめてモジモジしながら上目遣いで”どうかな?”って・・・完敗である。
そもそも選んだのは俺である。選んだ本人がダメ出しするわけ無いじゃん?
と言おうとしたのだが、ハンパ無く可愛いのでとにかく褒めた。
”可愛い””良く似合ってる””最高だよ”
ぐらいの台詞をリピートしてただけだったんだが、効果はあったようで、
”///あぅぅぅぅ///”
と逃げていった。晩飯の時まで顔赤かった。ふっ、可愛いやつらめ。
ちなみにココはプライベートビーチである。
エルの叔父さん、ヨハンさんの土地。別宅の付属地っつーモノ。
ヨハンさんは俺らを大歓迎してくれて、海辺の別宅を提供してくれた。
なんとメイドさん付きである。おかげでメシとかお任せ出来るので、俺らはお遊びちぅ。
メイドさんは残念ながら、”昔は乙女”な人だった。
けどまぁ、そーゆー人のほうが仕事出来るし気が利くんだよね。経験って大事。
「タークぅ、泳がないの~?」
「遠慮する。」
「何故ですかー?」
「見てるほうが良いから。」
「何をじゃ?」
「アホ。お前らに決まってるだろが!」
「///うー」「///あぅ」「///むぅ」
「そいやさ、ヨハンさんに聞いたんだけどさ、この海の向こうに何か壁みたいなのがあるとか?」
「あ、私も聞いた事ある。なんだか船がぶつかっちゃうと、木っ端微塵なんだって。」
「わらわは一族の年長者に聞いた事あるぞ。なんでも我らも通れぬとか。」
「精霊さんたちも通れないそうです。と言うか近づくのも危ないって言ってます。」
「見た目とかは?」
「うーん、シンキロウ?って知ってますか?私は知らないんですが。」
「あー知ってる蜃気楼ね。なんか空気の歪みみたいに見えるんだ。ユラユラって感じでさ。」
「そんな感じなんだそうです。それになんかスゴい力があるらしくて。」
「うむ。わらわもそう聞いた。無闇に触れると、龍族といえども命に関わるほどらしい。」
「龍すら危ないなんて・・・何なのかしら?結界?」
「うーむ?切れ目とか終点とか無いのかな?」
「無いそうじゃ。この大陸の全周を囲んでおるとか。」
「精霊さんもそう言ってます。」
「ぬわにぃ?!囲まれてるってのか?!じゃ、この大陸の外には・・・。」
「・・・出られないって事ね・・・。」
「うむ、そうなるかの。じゃが、別に出られなくとも構わぬのではないか?」
「です。何か出なければいけない理由でも?」
「う。そ、それは・・・」
「セリア。」
「了解です。」
「わらわは首を。」
「ちょ、ま、おま、な、おごはぁぁぁぁっ!ぐげぇぇぇぇっ!どひょぉぉぉぉっ!」
「「「キリキリ吐きなさいっ!」」」
「転生ね・・・。」
「どおりで・・・。」
「なんか納得じゃ・・・。」
「納得・・・つーか信じるの?お前ら。」
「信じるわよ。」「信じます。」「信じるのじゃ。」
「お、お前ら・・・くぅっ」
「お、男のくせに泣かないのっ!もうっ!」
「うぅ、だってよぉ・・・ふつー信じて貰えないぞ、こんなハナシ・・・。」
「私たち、規格外ですから、ね♪」
「それに、みんな仲間じゃ。」
「うぅぅぅ・・・お前ら、良いやつ過ぎ・・・。」
「当然でしょ。貴方の仲間なんだから♪」
「うぷ。」
「です。他の誰も信じなくとも♪」
「うぷぷ。」
「わたしたちはしんじるから♪」
「うぷぷぷ。」
「「「ね♪」」」
俺は幸せ過ぎる。6つのふにふに天国もだが、こいつらと一緒に居られるのが、だ。
失いたくない。
守りたい。
共に居たい。
こいつらが、こいつらと共に在ることが、
俺の幸せそのものだ。
ありがとう。
居てくれて。
出会ってくれて。
仲間になってくれて。
ずっと・・・
傍にいて欲しい
ふにふに天国から酸欠地獄に落ちるまで、俺はずっとそう思っていた。
「その宿敵ってのは、必ずこの世界に居るのね?」
「そして、この世界を滅ぼそうとしている、と。」
「そなたは確信しておるのじゃな。」
「ああ。間違い無くアイツは居る。だがこの大陸には居ないっぽい。となると、だ。」
「この大陸に居ないっていうのは確かなの?」
「絶対とは言い切れないけど・・・多分居ない。」
「50年も前に来ているなら、精霊さんが知らないハズありません。」
「そうじゃな。我らとて何も知らぬしの。」
「他の大陸なんて・・・聞いた事も無いわよ?」
「壁のせい、ですね。」
「じゃな。壁のせいで、お互い知らぬだけなのじゃろう。」
「この世界の生物には、その壁は破れないのかも知れないが・・・。」
「その宿敵なら破れるかも、って事ね。」
「ああ。アイツはいつも、降りた世界の者たちを超越する存在だった。今回もそうだろう。
だとすれば、それぐらいやってのけそうだしな。」
「最初の大陸だけで満足する可能性は無いんですか。」
「ゼロとは言えないけど、可能性は低いな。アイツは全てを壊すまでやめない。」
「破壊の権化か。なれば壁を破壊するのも・・・。」
「得意分野って事か・・・なるほど。有り得るわね。」
「それで、タークさんはどうするおつもりなんですか?」
「コッチから乗り込んでやろうと。アイツのホームにさ。ただ・・・。」
「うむ。壁、か。」
「向こうから来てくれれば、こっちからも行けるかもだけど、そうなったら・・・。」
「この大陸が無事じゃ済まなくなる。それだけは避けたい。だから・・・」
「その・・破れるんですか?」
「多分。アイツが破れるなら、な。
もし俺が破れなかったら、アイツも破れないと思って良いだろう。」
「・・・ホント、呆れるくらい人外ね。煩悩だけで生きてるし。」
「です。人間不合格です。色魔です。」
「おにいちゃんのれつじょうまじん!」
「ぐはぁぁぁぁぁっ!」