う~み~は、ひろい~な♪
もうじき夏である。
ノーテルンは北国なので、さして暑くなんて無いんだが、やはり気温は上がる。
なんとなく汗ばむようになって来たしな。
「海が見たいですっ!」
「んあ?何だ急に。」
「海って、見た事無いんですっ!」
「ああ、セリアって、ずっと森に居たんだもんね。」
「わらわは見た事あるが・・・空からじゃったしのう。」
「海かぁ・・・。西のほう行けば・・・。」
「カレリリアの街があるわね。港街。」
「結構デカかったよな、あそこ。」
「お二人は行った事あるんですか?」
「あー、エルの叔父さんってのが住んでてな、何度か遊びに行った。」
「そういえば、ヨハン叔父さんにも会いたいな。」
「面白い人だもんなー。物知りだし。」
「ほぅ、わらわも会ってみたいのぅ。」
「私もですー。」
「ニートでヒッキーな森の姫君に、海も見せてやれるしな。」
「あぅぅぅぅっ!・・・にーと・・・ひっきぃ・・・ひ、酷いですー・・・あ、でも姫君って///」
「女王様のほうが良かったか?」
「それは断固拒否しますっ!」
「なんで?」
「っ! なんでって、・・・その、あの、イメージと云うか・・・あぅあぅ///」
「ふむ、わらわにも良く判らんのぅ。」
「///あぅあぅあぅ・・・とにかくダメですっ!却下ですっっ!!」
「久しぶりのぽややんかしらね。」
「あー、確かに久しぶりかも。」
「ふむぅ、これがぽややんなのか。面白いのぅ。」
「///あぅぅぅぅ・・・忘れた頃にやってくるんですね・・・。」
「カレリリアまでの護衛とか、あると良いんだけどね。」
「まー無くても良いさ、ノンビリ行くべ。」
「叔父様に連絡とかしなくて良いんですか?」
「あ、そうだった・・・手紙書かなきゃ。」
「けどヨハンさんなら、いきなりでも問題無い気もするなー。」
「随分あばうとな御仁なんじゃな。」
「そうねー、アバウトと云うか適当と云うか・・・とにかくそんな人。」
「タークさんみたいですね。」
「そうじゃな、こやつは全てにおいててきとーじゃ。」
「あー、確かに。性格とかこいつに似てるかも。」
「ぶ、無礼者どもっ!、この精緻で緻密で繊細な俺に向かってなんという・・・。」
「精緻な人は、そんな寝癖頭のままで居ないわよ。」
「緻密な人は、もっとお行儀良く食事します。」
「せんさいなおにいちゃんなら、まいにちおなじふくはきないとおもうの。」
「ごぶぅぅぅっっっ!」
「護衛の依頼、無かったね。」
「まー、あんまし賊とか出ないルートだしなぁ。」
「歩いて行くとすると・・・5日ぐらいですか。」
「わらわが飛ぼうかの?」
「その手があったな。けどインメルマンとか無しだぞ。」
「木の葉落しなら良いかの?」
「バカタレ、俺ら墜死させる気か!」
「ねえ、そのインメルマンとかって、なあに?」
「私も知りたいですー。」
「あー、口で言うより、見たほうが早いな。」
「おぉ!そうじゃな。久しぶりにやりたいn あぅっ!」
「ココで龍変するんじゃ無えっ!アホタレっ!」
「す、すまぬ・・・つい。」
「出発は明日ってことで、今日は準備にあてましょ。」
「ですね。オットーさんたちにもお別れとか・・・。」
「う、うむ・・・あやつらには世話になったしの・・・わらわの妙技披露は明日でも良いの。」
「淋しそうだったね、オットーさんたち・・・。」
「はい。なんだか申し訳ないです・・・。」
「むう、やはり別れというのは苦手じゃ・・・。」
「まぁ、オッサンたちも後で来るとか言ってたし、スグ会えるよ。」
「ヒルダさんが、勝負水着にするって気合入ってたわ。」
「水着・・・私持ってないです・・・。」
「わらわもじゃ・・・。」
「水着はワンピース以外認めん!エルもいっつもワンピースだしな。」
「・・・だって、そうじゃないと褒めてくれないし・・・///」
「えぇっ!何でですかぁっ!?」
「理由を言うのじゃっ!」
「ツーピースとは何か?
それはただの寸胴隠しである!スタイルが不本意な者の逃げ道に過ぎん!
殊更に胸部と臀部のみを強調し、己が弱点である腰部から目を逸らさせるためのデコイ!
確かに、アレで無くてはならぬ婦女子が使用するのは許容しよう。俺とて鬼では無い。
だが!お前らには許さんっ!
大きさも形も抜群な上、弾力的な胸っ!
贅肉も無く見事に引き締まったウエストっ!
ぷりぷりでぷにぷにな可愛い尻っ!
お前らにデコイは不要っ!逃げる必要など無いっ!
その流れるが如き美しきライン!見事なまでの凹凸っ!
女性美を極めたとも言えるその肢体には、ピッタリフィットなワンピースこそふさわしいっ!
否っ!ワンピースで無ければならんっっ!!誰が許しても俺が許さんっっっ!!!」
「「「///あぅぅぅぅぅ///」」」
「///はぁ、はぁ、い、いつもの事だけど・・・。」
「///はぁ、ふぅ、こ、こう言い切られると・・・。」
「///ふぅ、はぁ、は、恥ずかしくて悶死しそうなのじゃ・・・。」
「ア、アレがインメルマン?」
「マルトちゃん、落ちて当たり前ですね・・・。」
「おー。ん?あー今やったのが木の葉落しな。」
「あんなのされたら・・・」
「絶対落ちます・・・。」
「安全第一を厳命すべきだな。」
「うん。」「です。」
「あ、あれが海ですかっ?!」
「ぢょ、ゼリ、ア、ぐ、ぐびっ!じ、じまっ!」
「あぅっ!す、すみませんっ!」
「かはっ!はぁ、はぁ、けほっ・・・セリア、興奮し過ぎ・・・よ・・・。」
「セリアの前じゃ無くて助かったぜ。」
「あぅぅぅ///」
「じゃが、わらわも初めて見た時は、おんなじじゃったのぅ。」
「飛んで来たんでしたっけ?」
「いや、母上の背に乗って来たのじゃ。マルトより少し大きくなった頃じゃったか。」
「マルトはまだ海見てないんだ?」
「うむ。もう少ししたら、連れて来てやろうと思ってたのじゃが・・・。」
「お姉ちゃんの背中じゃ怖いってか?」
「うっ、そ、そんな事は無い・・・ハズ・・・き、訊いておらぬ・・・し・・・。」
「怖くて訊けないんだ・・・可愛いお姉ちゃんねー。でもきっと大丈夫よ。」
「ですね。マルトちゃんなら、きっとまた喜んで乗ってくれますよ。」
「あーそだな。あいつシスコンっぽいし。」
「///そ、そうかの・・・。」
「ああ。俺らをちゃんとココまで運べたじゃねーか。」
「うん。自信持って良いわよ。」
「でも、また落としちゃったら嫌われちゃうかもですよー?」
「あぅっ!も、もうあくろばっとは封印したのじゃ!」
「まーそれが賢明だよな。」
「少なくとも、誰か乗せてる時は絶対禁止よ。」
「ですー。」
「う、うむ。わらわももう、あんな心配なぞしたく無いしの・・・。」
「あそこの空き地に降りよう、ミュー。」
「うむ。あそこなら丁度良いな。」
「なんか人がいっぱい走って来ますね・・・。」
「そりゃ・・・ドラゴンが舞い降りて来るんだもの、何事かと思うでしょ。」
「まー、ミューはゴールドだし、いきなり攻撃とかはされんだろ。」
「あ、叔父さんが居るわ。」
「あー、あの人が来ないわけ無いか・・・。」
「好奇心に勝てないわね、叔父さんだし。」
「でも、丁度良いですね。」
「そうじゃの、知り合いが居れば疑われずに済みそうじゃ。」
「一応貴族だしね、叔父さん。」
「えっ?!じゃ、じゃぁ、その、エ、エル、も?」
「いっけない、秘密だったんだっけ・・・テヘ♪ あぅっ!」
「テヘ♪じゃ無えよ、ったく。このアホ娘。首席の名が泣くぞ。」
「え、えぇっ?!しゅ、しゅせき?」
「わらわにも教えるのじゃ!もう隠すのは許さぬのじゃ!」
「あー、まー、お前らには隠してたっつーより、言い忘れてただけっつーか・・・。」
「キリキリ吐いて頂きます。」
「うっ!言う、言うからっ!その笑顔怖いからっ!ひぃぃぃっ!」
「エル、骨はしゃぶってやる。安らかに眠れ。」
「貴方も同罪でしょっ!って、しゃぶるって何よっ!このヘンタイ!」
「とても貴族には見えんのぅ。」
「ですねー。」
どうにもまったりから抜けられない・・・。
どーしよー?
ユニーク5000突破。大感謝。