有名税なのか?
最近、ノーテルンの町で、俺らはかなり有名になって来てしまった。
請けた依頼は全て難なくこなしてる上、ランクAのオッサンたちが評価してくれてるってのも大きい。
なんか二つ名みたいなのも付けられちゃったっぽい。数種類以上あるらしいんだが。
それらは概ね、
『黄金の三姉妹あんど○○』
てなカンジなのである。○○が俺を指すのであろう事は言うを待たない。
まー、あいつらは全員見事過ぎる金髪だし、実際は人間的な年齢差は無いに等しいんだが、
外見的には姉妹に見えても不思議じゃ無いしな。揃ってめっちゃ美人だし。
やっぱ長女はセリアだろな。中身はともかく、見た目はクール系である。
末っ子は当然ミューだから、次女はエルになる。判り易いなしかし。
問題はだな、○○の部分である。
下僕、奴隷、従者、オマケ、ヒモあたりはマシなほうだ。まだ人間である。
犬、ゴミ、アレ、何か、寄生虫、クズ、ばい菌、汚物、・・・etcetc。
エラい言われようである。
まー気にして無いがね。所詮は妬み嫉み僻みである。負け犬の遠吠えである。
悔しかったら、あいつら並みの美少女GETするが良い。
まーあいつら並みの美少女探すってのが、最大の難関だろうけどな。
まずいねーよな。俺だって見たことねーし。
ヒルダさんはイイ線いってるけど、少女ってとs・・・ゴホンゲフン。うん、危なかった。
そんなわけで、俺らが町を歩くと注目の的である。
左右にお姉ちゃんズをぶら下げ、ミューを肩車して歩くのがデフォになりつつある。
ぶっちゃけ重いのだが、ダメ出しすると、
「うー、おにいちゃんのいぢわる!」
とか、うるうる上目遣いで攻撃されるので、兄は必敗である。お姉ちゃんズの入れ知恵だな。
まぁ頭上に丁度ふにふにが乗っかるので、その感触だけでお釣りが来るんだけどね。
ふにふにと云えば、両腕もお姉ちゃんズの谷間にスッポリ埋まってるんで、もうお腹一杯である。
めっちゃギュウギュウに確保されるので、血行が悪くなって痺れることもしばしば。
それを言えば、
「あ、ごめん。」「すみませんー。」
と、圧力は緩めてくれるものの、絶対放してはくれない。しかもそのうちまたギュウギュウである。
両腕がお亡くなりになる日は遠く無いかも知れない。
行き交う♂どもは必ず三人娘に見惚れた後、俺に死ね視線を投げつけて来るのが定番になってる。
中には三人娘に見惚れた刹那、連れの♀に成敗されてるのも居るけど。
うん、決まった相手が居るのに、他の♀に見惚れちゃイカンな。そこは耐えてこそ漢。
チラ見で網膜に焼付け、後で脳内鑑賞すべし。ガン見は下策と知るが良い。最悪殺られるぞ?
俺?俺は問題無い。決まった相手なんか居ないからな。
む?あのお姉さん、良いおっぱいしてるぢゃ無えか。
おぉ!揺れる、揺れているぞ!うーむ素晴らしい!
やはりおっぱいは世界だ!
おっぱいあってこその世界!
世界はおっぱいで出来ていr
「おごがごががぁぁぁぁぁっ!く、くびっ!し、しまr」
「おにいちゃん?なにみてるのかな?」
「ひぎぐげごぐぁぁぁっ!う、うでっ!きまっ!おれr」
「どこ見てるのかな?」「まさか、あの女性じゃ無いですよね?」
うむ、決まった相手が居なくとも、ガン見は危険だったようだ。
おれは ひとつ おりこうさんに なった ぞ ・・・
「あら?落ちちゃった?」
「ミューちゃんの脚が、首にキマってましたからね。」
「一応、手加減はしたぞ?」
「あ、脱臼しちゃってる?」
「この程度、すぐ治せますから問題無いです。」
「そうじゃな。別に気にするほどの事でもあるまい?」
「このままのほうが、引き摺って行き易いわね。」
「ですね。復活するまで、このままにしておきましょう。」
「たまには、わらわに引き摺らせて欲しいのじゃ。」
「そうね。今日はミューに頼んじゃおうか?」
「ですねー。ミューちゃんなら楽勝ですしねー。」
「おぉ、任せてくれ!で、何処まで引き摺れば良いのじゃ?」
「そうねー?・・・あ、あそこの公園にしましょ。」
「あそこですね。あそこなら美味しい屋台もありますし。」
「おぉ!あの”けばぶ”というやつじゃな!」
「あ、飲み物はどうする?」
「私があそこで買ってきます。エルはミルクティーですよね?」
「わらわは”みるくここあ”じゃ!」
「じゃあ私は先に行って、ケバブ買っておくわね。」
「ありゃ?今日は末っ娘ちゃんみたいだな、引き摺り役。」
「なんてこった!いつもはお姉ちゃんのどっちかなのに!」
「くっ!まさかの大穴だっ!」
「くそぅっ!オレはセリアさんに賭けてたのにっ!」
「オレはエルちゃんだっ!くぅぅ、昨日の勝ち分がパァだ!」
「はっはっはっはっ!大穴狙いこそがギャンブルの醍醐味!貴様らまだまだだなっ!」
「やかましいっ!オマエはミューちゃん好みなだけだろがっ!」
「テメエだって、いっつも”あぁセリアさんの胸でぱふぱふして欲しい~♪”とかほざいてるじゃ無えか!」
「そう言う貴様も、この前”エルちゃんのフトモモにすりすりしたい~♪”とかつぶやいてたよな!」
「っ!オ、オマエだってこないだ”ミューちゃんの全てを愛でたい愛でたい愛でたい~♪”とか夜中に叫んでたろっ!」
「ねえ、なんかイヤ~な視線感じない?」
「します。スッゴいイヤな視線です。」
「うむ。イヤ過ぎる視線じゃの。」
「そろそろ、この町出るべきかな?」
「ですねー。まだまだ世界を廻るんですから。」
「一ヶ所に長居しても仕方無いのぅ。」
「結構稼いだし、ランクももうすぐ上がりそうだしね。」
「依頼をあと少しこなせば、Bですね。」
「わらわはCに上がったばかりじゃが、Bになれるかの?」
「私たちとそんなに違わないし、大丈夫じゃないかな?」
「ミューちゃんがCのままだとしても、パーティはB認定されますから、問題無いですね。」
「むう、じゃがわらわだけCなのは、なんだか悔しいのぅ。」
「気にしちゃうとキリが無いわよ。登録時期が違うんだから仕方無いのよ。」
「実力は十分なんですから。ランクなんて飾りです。偉い人には判らないだけです。」
「そうじゃな・・・ランクは実力と同義では無いしな。」
「そうよ。それにね、私は個人としての評価なんてどうでも良いの。」
「です。このパーティとしての評価が全てです。ランクも実力も。」
「うむ、わらわが浅はかであった・・・このパーティが全て、か。その通りじゃな。」
「やたらパーティを移る人とか、臨時パーティとかだと、個人評価重視で構わないけどね。」
「私たちは、ずっと一緒ですよね。」
「うむ、一緒じゃ。ずっと仲間じゃ。」
「ホント、仲間に恵まれてるよね、私たちって。」
「当然です。タークさんの仲間なんですよ。」
「そうじゃ。あやつの仲間に悪いやつは居らぬ。」
「結局、あいつなのよね。要は。」
「です。戦闘では空気でも。」
「うむ、町中では晒し者でも。」
「うん。あいつが居ないとね。」
「つまらないです。」
「面白くないのじゃ。」
「それに・・・。」
「淋しいしね。」「淋しいです。」「淋しいのじゃ。」
「ねえ、やっぱり一番恵まれてるのは・・・。」
「ですね。」
「うむ。」
「これだけ美少女に想われてるのに・・・。」
「ニブ過ぎです。」
「ヘタレ過ぎじゃ。」
「スケベなくせにね。」
「肝心なトコがダメ過ぎですね。」
「教育的指導が必要なのじゃ。」
買い物に出たハズなんだが、結局ブラブラするだけで終わってしまった。
あいつらは、俺が沈んでる間に昼飯食ったらしいんだが、俺は食わせて貰えなかった。
泣きそうになりながら訴えたのだが、速攻却下だった。なんでも教育的指導らしい。うう、酷い扱いだ。
空腹に苛まれつつ、デフォ体勢で『市中引き回しの刑』を執行された俺は、宿に帰った時は瀕死だった。
俺、何か悪い事したっけ?お姉さんのおっぱいガン見しただけやん?
オッサンたちにまで、
”お前、いっぺん死んだほうが良いな””いっぺんじゃ足りないわね””もう手遅れだぎゃ”
と、理由も教えてくれずにダメ出しされた俺は、枕を滝の涙で濡らしながら眠りについた。
もう永眠しちゃいたいかも・・・。
うーむ、そろそろ強敵出すべきか・・・まったり過ぎる主人公チーム。
ヒロインたちの強敵になっちゃうかも、ですが。
感想とか熱望中です・・・。