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54話 世はまさに――大奉仕種族時代!

――人類史の教科書には、こう記される日が来るのかもしれない。

“この時代を境に、地球は静かに変わり始めた”と。


第一次派遣の混乱が落ち着いた地球。

街には、ペアリングした男性のために仕える奉仕種族の女の子たちが、

静かに、しかし確実に根を張っていた。


政府や省庁、役所の裏方では、

彼女たちの笑顔と手際の良さが業務をスムーズにし、

企業では、ご主人様である男性社員を立派な社会人へと育て上げ、

会社の利益にもつながっていた。


少年たちにとって、奉仕種族は――

先生であり、姉であり、妹であり、時には恋人のような存在でもあった。

勉強が苦手で運動が得意ならスポーツに集中させ、

運動音痴でも勉強が得意なら学問の道へ導く。

さらに、勉強もスポーツも苦手でも、

好きなことや興味のあることに全力を注げる環境を整え、

「君にはこの道があるんだよ」と未来を示す――そんな存在だった。


老人や過疎化の進む村や町では、まるで孫のようにご主人様の体を支え、

穏やかに寄り添いながら、時間を共に過ごす。

茶をいれ、縁側で一緒に空を見上げ、笑い、泣き、そして静かに生きる。

彼女たちの存在は、人と人の“間”に風を通すように、

失われた絆を再び芽吹かせていた。


精神や身体の障碍者、引きこもりやネグレクトを抱える家庭では、

看護師であり守護者であり、母のように寄り添う存在になっていた。

“奉仕”という言葉では言い表せないほど、彼女たちは人の心の奥まで届いていた。


◆――ニュース番組からの声


母親A「うちの息子、奉仕種族の子が来てから勉強頑張ってるのよ!

    あんなに遊んでばかりだったのに、机に向かってるんだからねぇ!」


母親B「うちの息子も暴れん坊だったんですけど、今じゃ学校に行きつつ

ボクシングジムにも通い始めて……いやぁ、あの子のおかげですよ!」


女性C「ああ、旦那に奉仕種族の子が来たんですけど、

    最初は“国公認の浮気”かと思ったんです。

    でも今じゃあの子がいないと家が回らない。

    家事も育児も手伝ってくれるし……言い方悪いけど、

    一家に一人奉仕種族って感じですかね」


中年女性D「うちの夫も変わったのよ。休みの日はテレビ見てばかりだったのに、

あの子と一緒に料理してくれたりして……出会った頃みたいに優しくなっちゃって、

ちょっと感動しちゃったわ」


引きこもりだった少年の母親は、涙ぐみながら語る。


母親E「うちの息子、10年も部屋にこもってたけど、

    あの子が来てから出てくるようになったの」


取材記者「それはよかったですね。息子さんにとって、救いの女神ですね」


母親E「馬鹿言っちゃいけない! 息子だけじゃない、

    私も救われた。あの子はもう娘みたいなもんだよ」


精神疾患を抱えるシングルマザーも涙を拭いながら語る。


 母親F「あの子が来てくれて、本当に救われました……。

     息子と私の心をつなぐ天使です」


 その隣で、自閉症の息子を抱える奉仕種族・リナが微笑む。


 リナ「わたしはただ手を貸しただけだよ? 天使なんて大げさだってば」


 ――その柔らかな笑みは、たしかに“天使”と呼ぶにふさわしかった。


◆――学園でも注目の存在


若い女性たちの間でも、奉仕種族は注目の的になった。

ご主人様と一緒に高校や大学に編入し、

制服やキャンパスコーデで新しい魅力を見せる。


超ミニスカートや体のラインを意識したファッションで歩く姿に、

男子学生は鼻の下を伸ばし、女子学生は憧れと羨望を抱く。


女子高生A「奉仕種族の子たち、めっちゃかわいい~! 真似したくなるよね♡」

女子中学生B「超かっこいい! あんな風になりたーい!」


SNSでも“奉仕種族ムーブメント”は爆発的に拡散していく。


「奉仕種族の子と写真撮ってもらいましたー☆ 

 ご主人様もすっごく優しくて素敵な人でした♡」

そんな投稿が毎日のように流れ、若い女性たちの価値観にも変化が生まれていた。


「ねぇ、うちの近所のキモオタ、奉仕種族の子が来てから

 ちょっと変わったんだよ?」

「えー、もしかして惚れちゃったん?」

「惚れてはないけど、なんか“男らしく”なったっていうか……

 あたしが引っ張ってあげればよかったかなーってちょっと後悔」


「それあるー! 

 うちのクラスの陰キャ君も奉仕種族の子が来てから漫画描き始めたの!」

「それでそれで?」

「読ませてもらったけど、意外と面白いんだよ! 

 勝手に“つまんない奴”って決めつけてたの、

 私たちの方だったんだなって思った」


――そんな小さな気づきが、静かに地球を変えていく。


街で、ご主人様と楽しそうに歩く奉仕種族を特集した雑誌も人気を博す。

出版不況の中でも新刊が発行されるほどだ。


アパレル業界も黙ってはいない。


「奉仕種族さん、うちの服を着てモデルになってください!

 ご主人様同伴でかまいません!」


そんな依頼が殺到し、“モデル奉仕種族”という新ジャンルまで誕生した。


ファッション誌の表紙には、優しく微笑む奉仕種族と、

その隣で照れくさそうに立つ人間の男性。

――その一枚の写真が、「理想の男女関係とは何か」を、世界中に問いかけていた。


奉仕種族たちの存在は、

経済を活性化し、社会を支え、人々の心を救う――

まさに、時代を動かす力になっていた。


そして、誰かが言った。


「これは革命じゃない。

 でも……確かに、時代は変わった」


そう、人はこの時代をこう呼ぶ。


世は、まさに――大奉仕種族時代!


静かで、優しく、

しかし、後戻りできないほど確かな変化の時代を。

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