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49話 レオナの計画大成功(改)

地球の太平洋に浮かぶ人工島奉仕国家、ノア・プレート。

レオナによる独断専行の第一次派遣から、一か月が経過していた。


世界は混乱した。


否定も非難も、恐怖もあった。


――だが。レオナの予言通り、状況は確かに好転していた――。


「アリスちゃ~ん!各国のお偉いさんたちが、奉仕種族の段階的派遣を始めたいって、

続々と来てるわよ~!」


執務室の扉を勢いよく開き、銀髪ウェーブを揺らしながら

アーシグマ・プライムが飛び込んできた。


アリスは淡々と資料を整理しながら応える。

「わかりました。近いうちにその話を進めましょう」


銀髪短髪のアーシグマ・セレスが、呆れたように肩をすくめる。


「少し前まで、苦情で派遣停止を申し込んできた人たちですよ?」


「もう『派遣してほしい』だなんて……地球人は現金なものですね」


「今泣いた烏が、もう笑ったって感じねぇ」


赤い瞳のアーシグマ・ルビーが、皮肉を込めて呟く。


黒髪で背の高いアーシグマ・ノワールが、楽しそうに言った。


「次はいつ行けるの~?って、はしゃいでた子も多かったし。」

「よかったじゃな~い?」と喜んだ


ちょうど対応が終わったところで、セイラが足早に入室する。


入ってきたセイラが、低い声で言った。


「どうやら……あのバカの言う通りになってしまったようだな……」


――その瞬間


「そのバカって、もしかして僕のことかな!!」


まるで舞台役者のような身のこなしの少女


――レオナが颯爽と現れた。


セイラは深く溜息をつく。


「もしかするも何も、お前しかいないだろ」


「相変わらずセイラは口が悪いな!!ハハハ!!」


レオナは満面の笑みで両手を広げる。


アリスは視線を逸らし、淡々と話題を戻した。


「セイラさんも対応していたんですよね?」


セイラはしぶしぶうなずく。

「ああ、私が出たら大統領が『とにかく強い奉仕種族の子を派遣しろ、

軍の若いやつらと見合いさせろ』って言ってたぞ」


アリスは眉をひそめる。

「お見合い……私たちは結婚を目的にしているわけではないんですけど……」


レオナは王子様スマイルで返す。

「アリス、結婚でもいいじゃないか!!」


「僕たちと愛するご主人様が結ばれる――感動的じゃないか!!」


しかし無視され、しょんぼりするレオナ。


セイラは真顔で告げる。

「戦闘専門だとマーヤみたいに肌の色が濃い者が多くなるぞ。と言ったら、

文句言うやつがいれば大統領令で国外追放だ!!と息巻いていたぞ?」


アリスは頭を抱える。

「そんなことしたら、もっと大混乱になる気がしますが……」


レオナは目をぱちくり。

「あれ?僕、無視されてない……?」


プライムが無邪気に、レオナの気持ちを察したかのように尋ねる。

「それでアリスちゃんはどこから来たの~?」


アリスは淡々と答える。

「日本からです。障碍者や高齢者の移住希望者が増えており、

具体的な受け入れや一時滞在の話し合いをしたいそうです」


プライムは、にっこりと微笑んだ。。

「あら~よかったじゃな~い」


レオナは悲しげに目を潤ませる。

「あれ!?僕、プライムにまで無視されてる!?」


そのとき、セイラが思い出したかのように呼びかける。

「ああ、そうだ、レオナ」


レオナは期待のまなざしで顔を上げる。

「なんだい?セイラ?」


セイラは不敵な笑みを浮かべ、拳を握る。

「私はお前を殴りたかったんだ。ここで一発殴らせろ」


レオナは戸惑いを隠せず、口を開く。

「セイラ、いきなり何を言い出すんだい?」


プライムが小さく笑い、過去を思い出させる。

「あ~あの時のことね~?レオナちゃん、しょうがないわね~」


――そして思い出される、第一次派遣の日。


セイラは空港で半日、移住希望者を待ち続けた。

「なぜだ!!どうして来ない!!」


そこにプライムとセレスが現れる。

「あら、セイラちゃん、こんなところで何してるの?」


「移住者の受け入れで待っているのだ!!」


プライムは首をかしげる。

「あら?派遣の話は聞いたけど、移住の話はなかったと思うけど?」


セレスも静かに補足する。

「はい、移住の件はアーシグマ隊全員、聞いてませんよ」


セイラは目を見開く。

「な…なん…だと…」


レオナは笑いながら駆け寄る。

「ははは!!さすがに移住者までは僕には用意できないからね。」

「まさか信じて待ってたのかい?セイラはドジだなぁ」


――次の瞬間。


こめかみに血管を浮かべたセイラがプライムに目配せをすると、

レオナを羽交い絞めにする――。


「歯を食いしばれ!!」


セイラの拳がそのまま、拳が、レオナの腹にめり込んだ。


「――ぐっ!!」


レオナは声を詰まらせ、膝をついた。


執務室に、静寂。


セイラは少し穏やかに息をつき、告げる。

「なにはともあれ、派遣の再開、移住の受け入れができそうでよかったな。」


「バカの計画が成功したのは癪だがな」


アリスは微笑みながら頷く。

「ええ。おバカさんの計画が成功したのは癪ですが、よかったですね」


プライムも賛同する。

「おバカとハサミは使いようって言うものね~」


レオナは半べそをかきながら呟く。

「ひ…ひどいじゃないか……」


しかし、その表情もまた、どこか愛嬌があり、執務室には笑いが静かに広がる。


そして――窓の外には、次なる波乱を予感させる夕焼けが、

ゆっくりと街を赤く染めていた。

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