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41話 レオナ再び(改)

執務室の扉が勢いよく開かれた。


「そう!! この僕さ!!」


まるで舞台役者のような身のこなしで、レオナが颯爽と現れた。

腰まで届く金髪がふわりと舞い、光を反射して虹のように輝く。

その登場の華やかさに、一瞬その場の空気が止まる。


セイラは額を押さえ、深くため息をついた。

「……やはりお前だったか……」


アーシグマ・プライムは嬉しそうに手を叩く。

「あら~ん! レオナちゃん、久しぶりじゃな~い♡」


「やぁ、プライム。元気だったかい?」

レオナはにっこりと微笑み、軽く手を振って執務室へ入ってくる。


アリスは反射的に頭を抱えた。

この笑顔、このテンション、この自己肯定感の塊。

面倒ごとの前触れでしかない。


(ああ……まためんどくさいのが来た……)


「レオナさんが地球に降りてくるなんて思いませんでした。それに、レオナさんたちはもう——」


「ええねんええねん」

マーヤがひょいと割って入る。

「こいつら、地球の男見ておもろいから逝くのやめたんやて」


レオナは親指を立て、王子様スマイルでキメる。

「そうさ!! アリス、僕たちは“イクために逝く”のをやめたのさ!」


アリスは一瞬止まり、真顔で首をかしげた。

「逝くために逝くのをやめた……? ちょっとよくわからないですね……」


「ん? わからないかい?」

レオナの口元が、嫌な予感しかしない形に歪む。

「つまり僕たちは、ご主人様と性——」


「やめーや!!」

マーヤが素早くレオナの口を塞いだ。


レオナはくぐもった声で「ちょっとぉ、息できないってばぁ!」

と抗議しているが、誰も助けない。


セイラは眉をひそめる。

「はぁ……じゃあ、あいつらも降りてくるのか?」


マーヤは肩をすくめた。

「そうなるなぁ?」


セイラの顔がさらに曇る。

「勘弁してくれ……」


そう呟いたセイラの前に、

マーヤの腕を振りほどいたレオナが、すっと距離を詰める。

「セイラ、どうしたんだい? 僕のこと、嫌いかい?」


「好き嫌いなどない!」

セイラは即答した。

「ただお前はいちいちうざいから苦手なだけだ」


アーシグマ・ルビーがケラケラ笑いながら口を挟む。

「それ、地球の女子の間じゃ“嫌い”って言ってるようなもんよぉ」


「そうなのか?」とセイラは本気で悩む。


アーシグマ・プライムは笑いながら肩をすくめた。

「セイラちゃん、女子の機微とか理解できないからしょうがないわ~」


「お前らアンドロイドだろうが!」

セイラが怒鳴り、二人はさらに楽しそうに笑う。


そんなドタバタを見て、アリスはようやく我に返る。

気を取り直して、真剣な口調で問う。


「レオナさんたちのせいで大変だったんです。何でこんなことをしたんですか?」


レオナは指を鳴らし、くるりと一回転して答えた。

「奉仕種族が愛する地球のご主人様たちに、僕たちの“有用性”を示すためさ。

 それには、ちまちま派遣するより、

一気に送り込んだ方がインパクトあるだろ?」


アリスは額を押さえ、冷たい声で言う。

「……そのせいで地球人も私たちも大混乱だったんですよ。私はこの一週間、

まともに睡眠取れてません」


「ハハハ! そんな些末な問題さ!」

レオナは手を広げ、踊るように笑った。


アリスのこめかみに血管が浮かぶ。


マーヤが、(このまま説教モードに入ったらヤバい)と察し、慌てて話題を変えた。

「で、なんで愛するご主人様に一気に送り込むんがええと思ったんや?」


「そうですよ!」アリスが続ける。

「この混乱のせいで次の派遣が無期限中止になってしまったじゃないですか!」


「ハハハ、怒らない怒らない」

レオナは軽く手を振って、いたずらっぽくウインクする。

「早くて一か月、遅くて三か月もしないうちに――

各国から“派遣してくれ”って要請が来るからさ♪」


アリスたちは顔を見合わせ、半信半疑の視線をレオナに向けた。


その時、再び執務室の扉が開く。


「皆はん、お久しぶりどす! 元気にしとりましたか?」

元気いっぱいの関西訛りとともに、シズクが入ってきた。


その後ろには、リュナとマリナの姿もある。


アリスは思わず目を丸くした。

「皆さん勢ぞろいで……地球に降りてきたんですね……」


リュナは豪快に笑う。

「おう!! 俺もペアリングしたいからな!!」


マリナは髪をかきあげ、うっとりした表情で言う。

「かわいい遺伝子のご主人様がいいわねぇ……」

そして小さな声で、

「できればドスケベだともっといいわぁ……」


「マリナさん、今なんて言いました?」

アリスが聞き返そうとしたその瞬間、レオナが間に割って入る。


「ハハハ! 久しぶりに楽しくなるねぇ!」


レオナの高笑いが、執務室に響く。


マーヤは天を仰ぎ、セイラは頭を抱える。

アリスはそっと資料を閉じ、無言のままため息をついた。


果たしてレオナの予言は当たるのだろうか。


奉仕種族の夜は、また一段と騒がしく、更けていく——。

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